25 / 44
成田 紅の後悔
しおりを挟む
「ふはっ、そうなの~?」「それでさ~_____…」
成田 紅は目の前で楽しく話している2人の弟を眺めていた。
父に似た私とは違い、弟達は割と似ている。ただ、下の弟 紫貴のほうがきりっとした感じなので全体的に男らしい。
「姉さん、どうしたの?」と碧が私に問いかける。
「ううん、なんでもないよ~」そう言うと碧は穏やかな笑顔を返す。
家族で唯一、芸能活動をしていない碧はとても穏やかな性格でいつも話を聞いてくれる。
柔らかな笑顔を向けてくれるだけで周りも温かな気持ちにさせてくれ、家族の癒される存在なのだ。
きっと私と同じでその笑顔をみたくて紫貴も実家に帰ってくるのだろう。
そんな紅は後悔している事がある。
それは昔、碧と共に母に撮影場に連れてこられ、キッズモデルをしていた時の事。
碧は、引っ込み思案な事もあり、紅によくくっついていた。
でも、母がメイクするその時は私から離れ、その光景をキラキラとした目で眺めていた。
そんな碧に「あおちゃん、男の子なのにメイク好きなの変なの~」と言ってしまったのだ。
紅は何も考えずに言った一言だった。
ただそれから碧は眺めたりするのをやめ、メイクから自分を遠ざけていった。
今思えば、自分から離れキラキラした目をし、何かを見つけた碧が羨ましいと思ったのだと思う。
好きなものを好きと言えないきっかけを作ったのは私なのだろう。
そう後悔しているのだ。
「ねぇ。姉さん、紫貴。俺、恋人ができたんだ。」
少し緊張した面持ちで碧が私達に告げる。
「あお、初じゃん!!」
「おめでとう!この前言ってた人?」
「うん、そうだよ。あの時はありがとう。」
そう照れたように言う。
「でね、相手は…男の人なんだ…。」
その言葉に一瞬、紫貴と固まる。
「…。びっくりするよね。」
(それは予想外だったけど…。)
「あおちゃんが選んだ人なんだからきっといい人なんだろうな。」
予想外の言葉返ってきたのか、碧は固まった後ふにゃと顔を緩める。
(私はあの時からなにがあってもあおちゃんの味方だもん。きっとそれは紫貴も同じはず…)
「あお、おめでとう。あお、泣かせたら俺怒るから~」そう紫貴がおちゃらける。
「ふふふ、もう~怒るってなに~。」
そう言って少し泣きそうな顔で笑っていた。
「いつか、俺の自慢の姉弟を紹介したいな。」
そう言ったのだった。
_________________________…
そして案外いつかはすぐに訪れた。
個室のレストランで初めて相手に対面する。
「え?モデルのBENIに俳優の花森紫貴…。」
とびっくりしていた。
碧は芸能活動をしてる事を伝えなかったようだ。
碧の恋人は影山朝也といい、いかにもモテそうな部類で正直、あおちゃん大丈夫かな?と思ったけど杞憂だった。
朝也は弟の紫貴ともすぐ打ち解け楽しそうに話している。
そして、碧をまるで宝物かのように大事にしているようにみえた。
全身から碧を愛おしいと伝えているようだ。
2人が見つめ合って笑って話しているのをみて少し泣きそうなった。
(あおちゃん、もうあの頃みたいじゃないんだ。好きってちゃんと言えてるんだね。)
どうか2人の幸せが長く続きますように。
紅はそう願うのだった。
成田 紅は目の前で楽しく話している2人の弟を眺めていた。
父に似た私とは違い、弟達は割と似ている。ただ、下の弟 紫貴のほうがきりっとした感じなので全体的に男らしい。
「姉さん、どうしたの?」と碧が私に問いかける。
「ううん、なんでもないよ~」そう言うと碧は穏やかな笑顔を返す。
家族で唯一、芸能活動をしていない碧はとても穏やかな性格でいつも話を聞いてくれる。
柔らかな笑顔を向けてくれるだけで周りも温かな気持ちにさせてくれ、家族の癒される存在なのだ。
きっと私と同じでその笑顔をみたくて紫貴も実家に帰ってくるのだろう。
そんな紅は後悔している事がある。
それは昔、碧と共に母に撮影場に連れてこられ、キッズモデルをしていた時の事。
碧は、引っ込み思案な事もあり、紅によくくっついていた。
でも、母がメイクするその時は私から離れ、その光景をキラキラとした目で眺めていた。
そんな碧に「あおちゃん、男の子なのにメイク好きなの変なの~」と言ってしまったのだ。
紅は何も考えずに言った一言だった。
ただそれから碧は眺めたりするのをやめ、メイクから自分を遠ざけていった。
今思えば、自分から離れキラキラした目をし、何かを見つけた碧が羨ましいと思ったのだと思う。
好きなものを好きと言えないきっかけを作ったのは私なのだろう。
そう後悔しているのだ。
「ねぇ。姉さん、紫貴。俺、恋人ができたんだ。」
少し緊張した面持ちで碧が私達に告げる。
「あお、初じゃん!!」
「おめでとう!この前言ってた人?」
「うん、そうだよ。あの時はありがとう。」
そう照れたように言う。
「でね、相手は…男の人なんだ…。」
その言葉に一瞬、紫貴と固まる。
「…。びっくりするよね。」
(それは予想外だったけど…。)
「あおちゃんが選んだ人なんだからきっといい人なんだろうな。」
予想外の言葉返ってきたのか、碧は固まった後ふにゃと顔を緩める。
(私はあの時からなにがあってもあおちゃんの味方だもん。きっとそれは紫貴も同じはず…)
「あお、おめでとう。あお、泣かせたら俺怒るから~」そう紫貴がおちゃらける。
「ふふふ、もう~怒るってなに~。」
そう言って少し泣きそうな顔で笑っていた。
「いつか、俺の自慢の姉弟を紹介したいな。」
そう言ったのだった。
_________________________…
そして案外いつかはすぐに訪れた。
個室のレストランで初めて相手に対面する。
「え?モデルのBENIに俳優の花森紫貴…。」
とびっくりしていた。
碧は芸能活動をしてる事を伝えなかったようだ。
碧の恋人は影山朝也といい、いかにもモテそうな部類で正直、あおちゃん大丈夫かな?と思ったけど杞憂だった。
朝也は弟の紫貴ともすぐ打ち解け楽しそうに話している。
そして、碧をまるで宝物かのように大事にしているようにみえた。
全身から碧を愛おしいと伝えているようだ。
2人が見つめ合って笑って話しているのをみて少し泣きそうなった。
(あおちゃん、もうあの頃みたいじゃないんだ。好きってちゃんと言えてるんだね。)
どうか2人の幸せが長く続きますように。
紅はそう願うのだった。
0
お気に入りに追加
381
あなたにおすすめの小説
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。


鬼上司と秘密の同居
なの
BL
恋人に裏切られ弱っていた会社員の小沢 海斗(おざわ かいと)25歳
幼馴染の悠人に助けられ馴染みのBARへ…
そのまま酔い潰れて目が覚めたら鬼上司と呼ばれている浅井 透(あさい とおる)32歳の部屋にいた…
いったい?…どうして?…こうなった?
「お前は俺のそばに居ろ。黙って愛されてればいい」
スパダリ、イケメン鬼上司×裏切られた傷心海斗は幸せを掴むことができるのか…
性描写には※を付けております。

ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる