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しおりを挟む「…くん、成田くんっ…」
その声に碧はぱっと目を覚ます。
そこに居たのは身支度を整えた日並だった。
窓の外は明るくなり朝になっていた。
「成田くんおはよう!影山くん準備で部屋に戻ったよ。」
はっと昨日の出来事を思い出し碧は顔が赤くなる。
「っおは…ようございますっ」
言葉が上ずる。
(そうだ、昨日朝也さんと…。夢じゃないよな…。)
「?どうしたの?影山くんと大丈夫だった?気まずかったかな?ごめんね」
「いえいえ、とてもいい人でした。」
動揺を悟られない様、なんでもないかのように答えた。
「それはそうとあと30分でミーティング始まるよ!早く用意した方がいいんじゃないかな。」
と日並に言われすぐさま碧は準備をする。
(なんでキスされたんだろう…ああ考えると思い出しちゃうよ、今日朝也さんの事みれないよ。)
これからミーティングなのに碧の頭の中は朝也の事で頭がいっぱいだった。
(ゲイだからその場のノリだったのかな…なんかそれはやだなぁ…。)
別にファーストキスを大事にしてたわけではないけど、自分でそう考えたのに何故かモヤっとした。
それから碧はミーティングを終え、メイクトレーニングの見学をしていた。
営業は後ろで資料を見ながら一緒になって製品を学ぶのだ。
講師をしているのは朝也だった。
朝也は丁寧な口調で実際にタッチアップしながらメイクを教えている。
こうしてみると本当かっこいいなと碧は思った。昨日の出来事は夢なんじゃないかとさえ思った。
ふいに朝也の口をじっと見てしまう。
(あの唇で……。ああ考えるのやめよう。)
じっーと遠くからみていると朝也は気づいたのかにこっと微笑んでくる
思わず碧は目を逸らしてしまう
(なに意識してんだ、俺。)
変に心臓が、バクバクと音をたてる。
もう昨日の事は忘れよう。切り替えようと
思った。
全ての日程が終わり表彰式も終わりとなった。
本社以外のスタッフはお昼で解散する。
本社スタッフは片付けや部屋のチェックアウトなどがあるので少し残る事になっている。
碧は黙々とダンボールに備品などを詰めているとふいに肩を叩かれた。
叩かれた方をみると朝也がいた。
「朝也さん!」
予想外の人物にびっくりする。
「そんな驚かないでよ。お疲れ様。今日の朝挨拶もせず帰ってごめんね。」
優しい笑顔で碧に言う。
「いえ、俺も熟睡してたみたいで…」
「昨日の事は覚えてる?」
自分の中で忘れようと思ってたのでまさか朝也から言われると思わず、ぼっ顔が赤くなりぱちぱちと目を瞬かせる。
「あ、あ、…はい」
「急にあんな事してごめんね。…こうなんて言うか予想外の事でこうなんかがーってなっちゃって」
朝也も困ったように言い、しどろもどろになっている。
「でも軽い気持ちでしたわけじゃない事をわかってもらいたくて。」
(え?…どうゆうこと?)
戸惑っている碧を優しく見つめ「碧くんともっと仲良くなりたいんだ。君にもっと近づきたい…好きって事だよ。」
その素直なはっきりとした言葉と熱い視線に碧の胸が高鳴る。
真剣な顔つきが嘘ではないと言っている。
(朝也さんが、俺を好き…?)
「えっ…あ、」
「急に言われて困ると思うけどこのチャンスを無駄にしたくないんだ。とりあえず連絡先教えてくれないかな?ご飯でも今度ゆっくり行こう。」
そう言われ碧は「はい…。」としか言えず、連絡先を交換する事となった。
「じゃあまた連絡するね?お疲れ様、碧くん。」
ご機嫌な朝也に言われ「お疲れ様です。」
と一言返すだけで精一杯だった。
(え?ええ、朝也さんが俺を…?どこを好きになったんだろう…)
そう考えると身体中が熱くなり、心臓はドキドキと高鳴る。
「はぁ~あんな顔ずるいよ、かっこいい」
連絡先を交換した時の朝也は嬉しいのが顔から全部伝わってきた。
朝也さんの事を、考えまた碧は悶々とするのであった。
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