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「好きなことを好きと言うのは難しい」
母はモデル、父は人気俳優、姉も弟も両親の影響で芸能活動をしている。
そんな芸能一家に生まれた次男の成田碧は家族とは違う職業を選んだ。
小さい頃に母に連れられキッズモデルとして活動をしていた。
たくさんの服をきて写真を撮られる事よりも母がメイクしている所を見るのが好きだった。
たくさんの化粧品、テーマによって雰囲気が変わる母、魔法使いのようなメイクアップアーティスト。
いつしか碧はメイクアップアーティストになりたいという夢を持つようになった。
「メイクが好きなの?」
じーっと観察している碧をみてメイクさんも気になったのだろう。
「あっ…」
今より小さい時に姉に「あおちゃん、男の子なのにメイク好きなの変なの~」と言われたのを思い出し、緊張と戸惑いで黙ってしまう。
(男の子なのに変だよね…)
「落とさないように気をつけてくれれば触ってもいいし使ってもいいよ。」
と優しいメイクさんは碧が答える前に微笑んで言ってくれた。
こくっと頷き触ろうとした時、
「あおちゃん!服汚れるわよ、撮影に集中しなさい。」
と母に注意された。
「ご、ごめんなさい」
キラキラしたアイシャドウ触ってみたかった。
仕事人間の母に無口な父、気の強い姉、わがままで自由奔放な弟そんな家族に囲まれた碧は
なんとなく周りの空気を読んだり姉や弟におもちゃやおやつなどを譲ったりと引っ込み思案で争いが嫌いな穏やかな性格をしていた。当然母の言う事もよく聞く子だった。
どんなに好きなおやつやおもちゃがあっても好きと言えず、譲ってしまう。
そんな子なのだ。
特に好きな化粧品はいつも眺めてみているだけで母には言えなかった。
年月は流れ、母は碧がモデルに向いてないのに気づいたのか撮影所に連れていかれることはなくなり芸能活動などはせず普通の学生生活を送るようになった。
そうこうしているうちにメイクアップアーティストになりたい思いも薄れていったのだった。
ただ、化粧品が好きなのは変わらずメイク雑誌を読んだり時々百貨店で化粧品を眺めたりしたりと趣味の一つの様な感じになっていた。
普通の学生生活を送るようになって成長していく内に女性からアプローチされる事が増えた。
なんせ芸能一家に生まれただけあって碧は一際綺麗な顔の作りをしていた。
くっきりとした二重で色素の薄い茶色の瞳に陶器の様な真っ白な肌、すっとした鼻に少しぽてっとした唇、柔らかそうな茶色の髪。線の細い碧は中性的にみえ中学生の時はよく女の子に間違えられた。
そしてそれを鼻にかけない穏やかな性格はより女性を惹きつけた。
ただ女性にはよくモテたが女性には興味がなくどちらかというと男性に目がいくことに気がつき、自分はゲイなのだと自覚した。
セクシャルを自覚したことにより一層好きなことについて家族には言えなかった。
芸能活動で忙しい家族達。たまにリビングで顔合わせ話す程度。家族仲は悪くないし碧は家族が好きなのだが、彼らは人気でとても忙しい。
たまに会っても聞き役にまわり自分の事を話せないでいるのだ。
就職活動も始まり、せめて好きなものに関わって仕事がしたいと思い、化粧品メーカーを何社か受け内定をもらうことができた。
それには家族も喜んでくれて応援もしてくれた。
正直、芸能活動をやめてから家族とは違う職業を選ぶ自分に負い目を感じたりセクシャルの事など素直に言えない自分に罪悪感を感じたりしていたが、家族が喜んでくれた事が何よりも嬉しかった。
念願の化粧品メーカーの営業の仕事に就く事ができ今までより自分を好きになれた気がした。
母はモデル、父は人気俳優、姉も弟も両親の影響で芸能活動をしている。
そんな芸能一家に生まれた次男の成田碧は家族とは違う職業を選んだ。
小さい頃に母に連れられキッズモデルとして活動をしていた。
たくさんの服をきて写真を撮られる事よりも母がメイクしている所を見るのが好きだった。
たくさんの化粧品、テーマによって雰囲気が変わる母、魔法使いのようなメイクアップアーティスト。
いつしか碧はメイクアップアーティストになりたいという夢を持つようになった。
「メイクが好きなの?」
じーっと観察している碧をみてメイクさんも気になったのだろう。
「あっ…」
今より小さい時に姉に「あおちゃん、男の子なのにメイク好きなの変なの~」と言われたのを思い出し、緊張と戸惑いで黙ってしまう。
(男の子なのに変だよね…)
「落とさないように気をつけてくれれば触ってもいいし使ってもいいよ。」
と優しいメイクさんは碧が答える前に微笑んで言ってくれた。
こくっと頷き触ろうとした時、
「あおちゃん!服汚れるわよ、撮影に集中しなさい。」
と母に注意された。
「ご、ごめんなさい」
キラキラしたアイシャドウ触ってみたかった。
仕事人間の母に無口な父、気の強い姉、わがままで自由奔放な弟そんな家族に囲まれた碧は
なんとなく周りの空気を読んだり姉や弟におもちゃやおやつなどを譲ったりと引っ込み思案で争いが嫌いな穏やかな性格をしていた。当然母の言う事もよく聞く子だった。
どんなに好きなおやつやおもちゃがあっても好きと言えず、譲ってしまう。
そんな子なのだ。
特に好きな化粧品はいつも眺めてみているだけで母には言えなかった。
年月は流れ、母は碧がモデルに向いてないのに気づいたのか撮影所に連れていかれることはなくなり芸能活動などはせず普通の学生生活を送るようになった。
そうこうしているうちにメイクアップアーティストになりたい思いも薄れていったのだった。
ただ、化粧品が好きなのは変わらずメイク雑誌を読んだり時々百貨店で化粧品を眺めたりしたりと趣味の一つの様な感じになっていた。
普通の学生生活を送るようになって成長していく内に女性からアプローチされる事が増えた。
なんせ芸能一家に生まれただけあって碧は一際綺麗な顔の作りをしていた。
くっきりとした二重で色素の薄い茶色の瞳に陶器の様な真っ白な肌、すっとした鼻に少しぽてっとした唇、柔らかそうな茶色の髪。線の細い碧は中性的にみえ中学生の時はよく女の子に間違えられた。
そしてそれを鼻にかけない穏やかな性格はより女性を惹きつけた。
ただ女性にはよくモテたが女性には興味がなくどちらかというと男性に目がいくことに気がつき、自分はゲイなのだと自覚した。
セクシャルを自覚したことにより一層好きなことについて家族には言えなかった。
芸能活動で忙しい家族達。たまにリビングで顔合わせ話す程度。家族仲は悪くないし碧は家族が好きなのだが、彼らは人気でとても忙しい。
たまに会っても聞き役にまわり自分の事を話せないでいるのだ。
就職活動も始まり、せめて好きなものに関わって仕事がしたいと思い、化粧品メーカーを何社か受け内定をもらうことができた。
それには家族も喜んでくれて応援もしてくれた。
正直、芸能活動をやめてから家族とは違う職業を選ぶ自分に負い目を感じたりセクシャルの事など素直に言えない自分に罪悪感を感じたりしていたが、家族が喜んでくれた事が何よりも嬉しかった。
念願の化粧品メーカーの営業の仕事に就く事ができ今までより自分を好きになれた気がした。
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