残念女の異世界紀行

CHAPTER Ⅱ

０８ フレム通貨

　わたしは今アイテムボックスに入っている脱死蛇だっしほだを売るために、“薬剤ギルド”に来ている。
　冒険者ギルドでも売ることはできるのだが、薬剤ギルドで売った方がより高値で買い取ってくれると、ワルナが教えてくれたのでここに来た。

　イヴァラはそこそこ規模が大きい街らしく、冒険者ギルドや薬剤ギルドの他にも、様々なギルドの支部が設けられているようだ。
　ちなみにギルドがない街や村の場合は、個人店に直接買い取りの交渉をすることになる。

「いやぁ～お客さん、脱死蛇だっしほだ１８匹とは…本当に助かります！なかなかこんな状態が良く数を手に入れることは難しいんですよ。」

　買取受付のオジさんがニコニコと上機嫌で査定してくれている。

　待っている間にこの大陸の通貨について復習しておこう。

　アシュヴァラには４つの大陸と大小様々な島が存在している。
　わたしが今いる〈オルギン〉大陸は“フレム通貨”で統一されていて、他の大陸ではまた違った通貨が流通している。
　以下がフレム通貨の種類である。

黒硬貨　１フレント（Ft）
金硬貨　１フレン（Fn）
銀硬貨　１フレイ（Fy）
銅硬貨　１００フレ（F）
赤硬貨　５０フレ
青硬貨　３０フレ
緑硬貨　１０フレ
紫硬貨　　５フレ
水色硬貨　３フレ
桃色硬貨　１フレ

　種類が多くみえるが、実際日常で使うのはせいぜい銅硬貨から桃色硬貨までである。
　職業によってバラつきがあると思うが、銀硬貨１枚が大体１ヶ月の給与なので、これを仮に２５万円とすると…

銀硬貨　１Fy = ２５万円
銅硬貨　１００F = ２５００円
赤硬貨　　５０F = １２５０円
青硬貨　　３０F = 　７５０円
緑硬貨　　１０F = 　２５０円
紫硬貨　　　５F = 　１２５円
水色硬貨　　３F = 　　７５円
桃色硬貨　　１F = 　　２５円

―となる。
　ここに来るまでに確認したら、外食するのには大体平均１５F―つまり３７５円―くらい必要だった。
　物価は安いようだが、せめて今日明日生活できるくらいの金額で買い取ってほしい。

「―…うん！！どれも状態が良く素晴らしい！！そうだなぁ～この数と質の良さならー…１匹ぃぃい～…」

　査定が終わったオジさんがソロバンのような…恐らく計算機か何かをパチパチ弾きながら唸った。
　一体いくらになるのか……。緊張の瞬間だ。