転生するともふもふに囲まれてました!〜でもちびっこだからあっぷあっぷ・・・〜

炎猫幻

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ケンソーク家

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アーノルド視点

鳳凰に魔力供給されてから、傷が塞がる速さがあがった。さすが神獣、すごい力だ。

「う”う”ぁ・・・!あ”っ!?」

急激な速度で治るのは痛すぎたのか、その痛みから逃げようと、子供が身をひねり出した。

抑えなくては。怪我している場所以外を治してしまうと、ただの魔力摂取になってしまう。ソユアは、ただその場所を治すように意識しているだけだから、動いてしまっては治せない。

ものすごい勢いで流している魔力も、一度切れると、もう一回同じ量を放出するのは難しい。

焦って、一歩近づいた瞬間に子供の周りに草が生えてきた。そして、子供の患部に医療効果のある液を垂らしてくれるガマという植物が近づいていく。

それと同時に、周りに流れていた血が無くなっていく。これはすごくいいスキルだ。教えてもらいたい。戦場で確実に使える。

蔓のような細い草が子供の体を捕まえる。

誰がこのスキルを使ったんだろうか?辺りを見回すがわからない。無詠唱だと、こういうところが不便だ。

ガマが子供の怪我している部分にたどり着き、手伝ってくれている。

そこからは順調に進み、傷も完全に塞がった。

「この子を少しだけ預かるわよ。いいわよね?」

そう言いながら強制的に、未だに目を覚まさない子供を抱き上げ、一人スタスタとソンアリーは進んでいく。

いきなり過ぎないか!?

白狐も猫又もびっくりして、ソンアリーの後ろをウロウロしながらついて行っている。

鳳凰はソユアを労るように、花をプチっと取っては、座りこんでいるソユアの手元に置く。取っては、置く。それをずっと繰り返している。癒やされる。

「ちづきを救ってくれてありがとう。と言っているわ。貴方は凄いわよ。」

ソンアリーは止まらずに言った。ソユアが嬉しそうにギュッと胸の前で手を握った。

「ふ・・・うう・・・ぇぐっ」

そして、泣き出してしまった。鳳凰は慌てて、ソユアに駆け寄り、クルル、クルルと心配そうに鳴いている。健気だなあ。

「ソユア様、帰りましょう。泣くよりも喜ぶのが先ですよ」

「ひくっ・・・わかってる・・・けど・・・これも喜びの涙だから・・・っ」

別にいいでしょ?と、ヨリックにソユアは言った。そして、俺たちについていかなくては!と立ち上がった。

「ここからの城への帰り方はわかるね?」

「?はい、わかります」

ソユアは不思議そうに首を傾げながら言う。ソユアの腕の中にいる鳳凰も揃って首をかしげるから威力が半端ない。

「ん”っ!ふう。危険な目に会うことはないと思うが、一応用心するように。俺らは仕事があるから、先に帰る。涙が収まったら帰ってきなさい」

「!!ありがとうございます!気をつけて帰ります!」

可愛らしく、ふふふっと笑いながら、その場に座った。すると、ソユアの腕の中から飛び出し、もう一度、花を取ってきては置く、という行為を繰り返し始めた。

気に入ったらしい。くるる、くるると、今さっきより少し高い鳴き声が聞こえる。

そして、ソユアは今さっきまでとは違い、持ってくるお花を自分の知っている言葉の限りに褒め尽くしている。

「あら、とても青くて綺麗だわ。こちらは黄色が淡く入っていてとても可愛らしいわね」

頬が緩む。

「気持ち悪い顔をしていないで、改善するべきことが見つかったでしょう。エッカルト、私は貴方の落ち込んでいる顔は嫌いです。早く、話し合い、改善し、もっとより良いものにしましょう。」

俺のことをサラッとディスるのが本当に上手い。ひどすぎないか?

でも、エッカルトのことを励ますのが一番うまいのがヨリックだ。エッカルト限定でうまいのは何故なのかは俺は知らない。

二人が密かに愛し合っていても、言い出せないことも俺は知らない。俺には関係ない。二人の恋のキューピッドになるなんて、到底俺には出来ない芸当だからな。

そっと、ソユアに防御魔法をかけ、歩き出す。これからは書類仕事に追われる。

頑張らなくては・・・。



ーーーーーーーー
作者から

皆様、展開についていけましたか?大丈夫でしたか?場面が想像しにくかったらすみません。これからも頑張っていきます。
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