転生するともふもふに囲まれてました！〜でもちびっこだからあっぷあっぷ・・・〜

ケンソーク家

経緯

「トラップにかかったというのは覚えているかな？」

「・・・たぶん。すごい、いたかったから」

薄く意識が上がったときに凄い激痛が走ったのは覚えてる。でも、すぐに沈んで、何かクスって笑っちゃうような夢をみてたんだけど、思い出せない。

「俺らのせいで怪我をしたんだ。本当に申し訳ない。俺の方で責任を取らせてもらうために養子に君を迎え入れたい。ダメか？」

この男の人は何を言っているんだろう？養子？養子ってなんだっけ？

「ようし・・・？」

「ああ、意味がわからないか。君に、ちづきに俺の家族になってもらうんだよ」

「かぞく？」

え？チョット待って、この人、家族って言った？家族！？

「ああ、ダメか？」

「う・・・あ・・えっと・・・」

困って、レドラを見ると背中を押された。そして、なぜか笑っている。クルルクルルとご機嫌な音がずっと聞こえる。

ああ！これか！レドラがこのケンソークの人たちが言うことを聞けって言ったのは。こういうことだったのか！！

「ずるいよ！」

『そう言わなければ、拒むだろう？』

「だ、だめだったか？」

拒むに決まってる。

「そりゃそうでしょ！」

『くふふ、しかし、約束したものは破れないだろ？』

「！？」

何故か男の人が傷ついた顔をしている。

『ち、ちづき。我らの声は男の人達には聞こえない』

『レドラの声が聞こえていないから、話が噛み合ってないんです』

『は、早く言いなおさなきゃ。受け入れてあげて』

慌てながら、ノウルたちが話しかけてくる。男の人の顔色が悪くなった原因は僕らしい。

「あ、あの、えっとちがくて・・・」

「ああ、すまない。いきなり過ぎたな。何かあったら呼んでくれ」

トボトボと悲しそうに男の人は扉の方へ向かっていった。

水色の髪の人は追いかけるつもりはないそうで、ただその人を見つめていた。

僕は慌てて金髪の人に抱きつく。というより、突進した。

「う”っ！！」

「ぼく！ぼく！なりたい！か、かぞくに！」

なんだか変な言い方をして恥ずかしい。だから、男の人の太ももにグリグリと押し付ける。

「いだだだ！いてっ。ちょ、その行動はやめようね」

と言われて、男の人が離れてしまった。なにかいけないことしちゃったかな？

不安で顔がこわばる。

すると、いきなり目線が高くなった。

「え？え？うわあっ」

「よかった！ありがとう！ありがとう！」

男の人に抱き上げられたんだと分かって安心した。今は高い高いをされている状況だ。だから、男の人の顔がよく見える。男の人はひどくホッとした表情で僕を見つめている。今さっきまでの雰囲気とぜんぜん違う。

驚いて固まっていると、水色の髪の人が金髪の人に耳打ちした。

「キャラ崩壊してますよ」

「あっ。すまない。変なところを見せてしまったな。」

二人の会話が面白くて思わず笑ってしまった。

すると、二人は固まってこっちを見たから僕は怖くなって、笑顔を引っ込めた。

「ああ、すまない。俺の家族になるんだから、家族を紹介してあげよう」

「お・・・おこられない・・・？」

「？ああ。俺の家族は優しいからな」

それを言ったときに、金髪の人は今日一番の笑顔を見せた。つられて僕も笑顔になる。この人の笑顔は好きだ。

この人が笑顔になるほどに愛おしい家族だ。きっと、いい人なんだろう。

降ろしてもらって、一緒に歩いていく。この人と家族になれるのは、すごく楽しみ。