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森の中
神様に
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レドラ視点
「アケンナー様、さすがに、いきなりハーデス様の記憶を見させるのは、子供にはしんどい事じゃないのかと・・・」
私はアケンナー様に言う。
私は今、真っ白の空間で女の人と相対している。
アケンナー様は運命、不変の必然性、宿命が擬人化された神様だ。ハーデス様とは死者の国の支配者のことだ。
ハーデス様は下界を見下ろすのが趣味で、よく、違う世界のものを見比べては、楽しんでいる。
私もハーデス様に神獣へと転生をさせてもらった。
私の言葉に、アケンナー様はキョトンとして、首を傾げた。
「はあ、そうですか・・・。子供には早すぎましたか。どうしたらいいんでしょう・・・あの子には早く過去のことを思い出してもらいたいの・・・彼の時間があまりない・・・」
ちづきは自分では、ちゃんとした記憶を持っていると勘違いしているようだが、実際は違う人の記憶を埋め込まれている。
予定した場所とは違う場所に降り、私達が見つける頃には、奴隷として使われたみたいで、違う過去を持ってしまっていた。
そして、この世界での醜い記憶は消したのだが、前世の記憶がぐちゃぐちゃになって、この世界での記憶と混じってしまったらしい。
ちなみに愛の神、アフロディーテとは会ったが、それも忘れていた。アフロディーテは落ち込んでいた。
私達は前世のことを正しく思い出してもらうために、色々試行錯誤しているが、大体の方法が四歳の体には耐えきれないもので仕方なく夢を見せることにしたわけだ。
しかし、二回目にして、兄弟が事故に合う瞬間を見せられたちづきはひどく、心を乱していた。
「なにか、他の方法は・・・?」
「ないわ。だから、夢の難易度を下げるわね。癒やされるような風景にしてあげるわ・・・」
「それだと、思いだすまでに時間がかかるのでは・・・」
「しかし、これ以上の負担をかけれないの・・・アフロディーテ様が話しかけても、思い出さなかったのよ?」
「そうですね。彼に会うまでには何年でしょうか?」
「2年もないわ・・・どうすれば・・・」
自分の体がふわっと軽くなった。
ああ、もう今日の通信は終わりらしい。
「検討を祈ります」
頭を下げ、目を閉じる。
「ごめんなさい。私のせいなのに」
そう言って、アケンナー様は私の頭に手を置いて撫でてくれた。
少しすると、ジュンっという、独特の音が響き、目を開けると森の中に戻ってきていた。
横を見ると、寒そうに見を丸めているちづきが居る。
すぐに翼で自分の体の方に寄せてあげて、温めてあげる。
「んんぅ・・・」
ちづきが私の方にすり寄ってきた。可愛らしい。
こんなに可愛らしい子を守ることを任命させられたのだ。守りきってみせる。
もう二度と、酷い目に合わさせないように。
「アケンナー様、さすがに、いきなりハーデス様の記憶を見させるのは、子供にはしんどい事じゃないのかと・・・」
私はアケンナー様に言う。
私は今、真っ白の空間で女の人と相対している。
アケンナー様は運命、不変の必然性、宿命が擬人化された神様だ。ハーデス様とは死者の国の支配者のことだ。
ハーデス様は下界を見下ろすのが趣味で、よく、違う世界のものを見比べては、楽しんでいる。
私もハーデス様に神獣へと転生をさせてもらった。
私の言葉に、アケンナー様はキョトンとして、首を傾げた。
「はあ、そうですか・・・。子供には早すぎましたか。どうしたらいいんでしょう・・・あの子には早く過去のことを思い出してもらいたいの・・・彼の時間があまりない・・・」
ちづきは自分では、ちゃんとした記憶を持っていると勘違いしているようだが、実際は違う人の記憶を埋め込まれている。
予定した場所とは違う場所に降り、私達が見つける頃には、奴隷として使われたみたいで、違う過去を持ってしまっていた。
そして、この世界での醜い記憶は消したのだが、前世の記憶がぐちゃぐちゃになって、この世界での記憶と混じってしまったらしい。
ちなみに愛の神、アフロディーテとは会ったが、それも忘れていた。アフロディーテは落ち込んでいた。
私達は前世のことを正しく思い出してもらうために、色々試行錯誤しているが、大体の方法が四歳の体には耐えきれないもので仕方なく夢を見せることにしたわけだ。
しかし、二回目にして、兄弟が事故に合う瞬間を見せられたちづきはひどく、心を乱していた。
「なにか、他の方法は・・・?」
「ないわ。だから、夢の難易度を下げるわね。癒やされるような風景にしてあげるわ・・・」
「それだと、思いだすまでに時間がかかるのでは・・・」
「しかし、これ以上の負担をかけれないの・・・アフロディーテ様が話しかけても、思い出さなかったのよ?」
「そうですね。彼に会うまでには何年でしょうか?」
「2年もないわ・・・どうすれば・・・」
自分の体がふわっと軽くなった。
ああ、もう今日の通信は終わりらしい。
「検討を祈ります」
頭を下げ、目を閉じる。
「ごめんなさい。私のせいなのに」
そう言って、アケンナー様は私の頭に手を置いて撫でてくれた。
少しすると、ジュンっという、独特の音が響き、目を開けると森の中に戻ってきていた。
横を見ると、寒そうに見を丸めているちづきが居る。
すぐに翼で自分の体の方に寄せてあげて、温めてあげる。
「んんぅ・・・」
ちづきが私の方にすり寄ってきた。可愛らしい。
こんなに可愛らしい子を守ることを任命させられたのだ。守りきってみせる。
もう二度と、酷い目に合わさせないように。
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