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森の中
狐火
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いきなり消えた神様の声に呆然としながらも、僕は死体を見た。
死体は今さっきまでの禍々しい雰囲気はなくなって、普通の青い鳥の死体になっていた。
「今さっきのって何?」
『今さっきの?ああ、今さっきのはスキルと言ってな』
「それはしってる!こえのひとのこと」
レドラがふざけてスキルのことを教えようとしてきた。いや、スキルのことも聞きたいけれど、それより声の人のことが聞きたい。
焦らさないで!と、頬を膨らませてレドラのことを見れば、レドラは笑っていた。
『くくく、すまん、すまん。今さっきの声の人は愛の神様だ。愛神|《めいしん》と読んでやれ。今さっきのうるささが倍になるぞ』
「今さっきのうるささがにばい・・・それはやだから、やめとくね」
今さっきの女性愛の神様なんだって分かった。けれど、なんで愛の神様なんだろう・・・。
一人で考えてもわからないから、レドラの毛でもふもふしながら聞いてみる。
「どうして、愛の神様なの?」
『・・・それは、ちづきが前の世界では愛されてなかったからな』
「あー、うん。分かったよ」
レドラは一瞬話すのを迷うように、一回顔をそらして、僕の方を見た。
僕は、レドラの言う意味がわかってしまった。僕の前世は本当にひどかった。けれど、今話すべきではないと思うから、後で話そうと思う。
ていうか、皆、僕の過去のことを知っているのかな?
そう思って、レドラを見上げると意志が通じたかのように答えてくれた。
『ちづきの過去を知っているのは私だけだ』
「なら、よかった」
何故か僕はホッとしてしまった。
別に聞かれていたとしても、この世界では何も関係のないことなのに・・・。
暗くなってしまった僕の気持ちを変えてくれようとしたのか、レドラはクルルッと鳴くと、僕を風魔法で持ち上げてくれた。
今更、気づいたけれど今さっきまで僕が立っていた場所は空き地のような感じで、木が少なくなっていて、皆の姿が上からでも見える。
少しして、高さに慣れて、周りを見回すと、本当に狐に包まれたかのように思った。
「うわあ!すっごくきれい!!」
森中に淡い光が灯っている。いつもは緑一色の森が今は様々な色で彩られていた。
「なにこれ!どうやったの?レドラ」
興奮してレドラに聞くと、なぜかノウルが教えてくれた。
『我の狐火をちょっといじっていろいろな色にして、森の中に浮かべてみただけだ』
「そうなの?すごいね!ノウルってすごい!」
『・・・そんなにおだてても何も出てこないぞ?』
ノウルがジトッとなにか隠してるんじゃないだろうな?という目で見つめてきた。
「おだててるんじゃないよ!じゅんすいにすごいとおもってるの!ほんとうに!」
僕は興奮しながら、手を大きく動かして、きれいな色になった森の凄さを綺麗さを、ノウルに伝えた。
『そんなに喜んでもらえるとは・・・嬉しくなってしまうだろう』
ノウルが拗ねたような口調で言うからおかしくて、一人、森の上で笑った。
「うれしくなっていいんだよ!ノウルはすごいんだから!」
森の中にいるノウルに聞こえるように大きな声を出すと、うるさい!そんなに大きな声を出さなくても聞こえる!と怒った声が聞こえてきた。
そんな僕の言葉一つ一つに反応してくれるノウルは優しい。
死体は今さっきまでの禍々しい雰囲気はなくなって、普通の青い鳥の死体になっていた。
「今さっきのって何?」
『今さっきの?ああ、今さっきのはスキルと言ってな』
「それはしってる!こえのひとのこと」
レドラがふざけてスキルのことを教えようとしてきた。いや、スキルのことも聞きたいけれど、それより声の人のことが聞きたい。
焦らさないで!と、頬を膨らませてレドラのことを見れば、レドラは笑っていた。
『くくく、すまん、すまん。今さっきの声の人は愛の神様だ。愛神|《めいしん》と読んでやれ。今さっきのうるささが倍になるぞ』
「今さっきのうるささがにばい・・・それはやだから、やめとくね」
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「どうして、愛の神様なの?」
『・・・それは、ちづきが前の世界では愛されてなかったからな』
「あー、うん。分かったよ」
レドラは一瞬話すのを迷うように、一回顔をそらして、僕の方を見た。
僕は、レドラの言う意味がわかってしまった。僕の前世は本当にひどかった。けれど、今話すべきではないと思うから、後で話そうと思う。
ていうか、皆、僕の過去のことを知っているのかな?
そう思って、レドラを見上げると意志が通じたかのように答えてくれた。
『ちづきの過去を知っているのは私だけだ』
「なら、よかった」
何故か僕はホッとしてしまった。
別に聞かれていたとしても、この世界では何も関係のないことなのに・・・。
暗くなってしまった僕の気持ちを変えてくれようとしたのか、レドラはクルルッと鳴くと、僕を風魔法で持ち上げてくれた。
今更、気づいたけれど今さっきまで僕が立っていた場所は空き地のような感じで、木が少なくなっていて、皆の姿が上からでも見える。
少しして、高さに慣れて、周りを見回すと、本当に狐に包まれたかのように思った。
「うわあ!すっごくきれい!!」
森中に淡い光が灯っている。いつもは緑一色の森が今は様々な色で彩られていた。
「なにこれ!どうやったの?レドラ」
興奮してレドラに聞くと、なぜかノウルが教えてくれた。
『我の狐火をちょっといじっていろいろな色にして、森の中に浮かべてみただけだ』
「そうなの?すごいね!ノウルってすごい!」
『・・・そんなにおだてても何も出てこないぞ?』
ノウルがジトッとなにか隠してるんじゃないだろうな?という目で見つめてきた。
「おだててるんじゃないよ!じゅんすいにすごいとおもってるの!ほんとうに!」
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『そんなに喜んでもらえるとは・・・嬉しくなってしまうだろう』
ノウルが拗ねたような口調で言うからおかしくて、一人、森の上で笑った。
「うれしくなっていいんだよ!ノウルはすごいんだから!」
森の中にいるノウルに聞こえるように大きな声を出すと、うるさい!そんなに大きな声を出さなくても聞こえる!と怒った声が聞こえてきた。
そんな僕の言葉一つ一つに反応してくれるノウルは優しい。
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