13番目の彼氏。

空々ロク。

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13番目の彼氏。第1話

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13番目に付き合った彼氏は悪魔だった。
比喩でも例えでも何でもなく正真正銘本物の悪魔だ。
「アモン」と名乗るソイツと出会ったのは半年前。
12番目の彼氏と別れて行きつけのバーに行った時だった。
「また振られたの?」
俺の顔を見るなりそう言ったマスターに苦い顔を返す。
「今回は俺が振ったんだっつの」
「恭弥はクセ強いからね。合わせるのが大変そう」
「うっ……そう言われると返す言葉もねぇな」
いつものカクテルを出してくれたマスターに礼を言ってから一気に飲み干す。
恋人と別れた時は強めのカクテルを飲むに限る。
何年もここに通っている俺のことなどマスターにはすぐバレるらしく、何も言わずとも俺が求めるカクテルを出してくれる。
「今回はどうしたの?」
「連絡がしつけぇの。一緒に居ない時ずっと連絡してきやがる」
「あれ?でもその前の彼氏は連絡くれなくてムカつくって言ってなかったっけ?」
「……言ってたけど。限度っつーのがあんじゃん」
自分がワガママであることは勿論理解している。
その所為で上手く行かないことが多いのも分かっている。
もっと我慢していれば長く続いたかもしれない。
もっと相手に合わせれば長く続いたかもしれない。
そう思ったことも少なくないが、それでも自分の中身というのはなかなか変えられない。
「理想が大き過ぎるとか?相手に求め過ぎとか?」
「そうかもしんねぇ」
「けど恋はしたいんだ?」
「……したいっつーか勝手にしちまうっていうか。恋愛体質なんだろうな」
「絶えず彼氏が出来てるってことは恭弥に魅力あるんだろうしね」 
マスターはニコッと笑って2杯目のカクテルを差し出した。
軽くお辞儀をして手を付ける。
「魅力……なぁ。中身さえマシなら良かったのにってやつか」
「そう思う人もいるかも。でも実際恭弥は人を惹き付けるタイプだと思うよ」
「それは俺も否定しねぇけどさ」
自分の顔が整っている方だという自覚はある。
顔を褒められることなど日常茶飯事で、学生時代は毎日のように告白されてきた。
全て断っていたけれど。
「けど俺、自分が好きになった奴じゃねぇと駄目なんだよな。突然告白されても気持ち動かねぇの」
「へぇ。じゃあ今まで付き合った人は全員自分から告白した人なんだ」
「そー。惚れやすいって思っただろ?」
「付き合った人数で言ったら多い方なのかもしれないけどそんなにモテるのに惚れたのが12人って考えたら少ないんじゃない?」
マスターの言葉に「成程」と頷く。
あまり真剣に考えたことはなかったが言われてみればそうかもしれない。
俺は恋愛体質に加えて恋愛依存症だ。
常に恋をしていなければ気が済まない。
その割には少ない方かもしれない。
「次は上手くやれるといいけど」
「恭弥、それ前回も言ってたよ」
「仕方ねぇじゃん。結局上手くいかねぇんだもん。いっそマスターが紹介してくんねぇ?顔広ぇじゃん」
「紹介かぁ。あ、ちょうどさっき恭弥好みの子が来たんだった」
「マジ?会いてぇな」
「違う店行って飽きたらまた来るかもって言ってたけど。少し変わった雰囲気の人だったんだよね」
「本当に俺好みか?それ」
「自覚ないの?話聞いた限りいつも変わった雰囲気の人好きになってるじゃん」
「んー、そうかな。自分の好み分かんねぇわ。少なくとも一目惚れはあんまりしねぇかな」
「確かに。恋愛依存症の割にはそういうとこ慎重だもんね。あ、お客さんだ」
バーのドアが空いてマスターは「いらっしゃいませ」と声を掛けた。
さり気なく俺の席のひとつ空けた隣に手を向ける。
「また来てくれたんですね」
「ここが1番美味かったから」
「ありがとうございます。お好きなもの注文してくださいね」
営業スマイルを浮かべるマスターが目で「この人」と合図してくれるのが分かる。
軽く頷いて客に目を向けた。
短めの赤髪に鋭い瞳、耳に開けられた無数のピアスと両腕のタトゥー、カッコイイというよりは綺麗と称したくなる顔。
「……!」
けれど何よりも俺が惹かれたのは唇から覗く八重歯だった。
やたら長くて強そうなそれに何故か妙に惹かれた。
じっと見ていた俺の視線に気付いたのか客は俺に目を合わせた。
「ん?なんか用か?」
「いや、別に」
ドクンと心臓が高鳴ったのは初めてかもしれない。
一目惚れなど絶対にしない俺がこんなにも早く落ちるなんて。
「この人、彼氏と別れて凹んでたんですよ。良ければ話聞いてやってください」
気を利かせたマスターの言葉に客は俺の方を向いてニッと笑った。
「おー、いいぜ!話聞くぐらいしか出来ねぇけど。何でも言えよな」
「……どうも」
綺麗なくせに笑った顔は可愛いなんて──完璧過ぎて卑怯だ。

「俺、アモンっつーんだ。宜しくな」
「アモン?どういう漢字?」
「んーと、愛に紋章の紋」
「変わった名前だな。けど似合う」
「そうか?サンキュ!」
アモンはニカッと笑った。鋭い八重歯が2本光る。
それはやはり魅力的に見えた。
「お前は?なんつーの?」
「恭弥」
「恭弥な。覚えた。よくここ来んの?」
「常連だからな、俺は。お前のこと初めて見た」
「この辺に居座り始めたの最近でさ。今日は時間が出来たから酒でも飲もうかなと思って」
アモンはマスターからカクテルを受け取って俺にグラスを向けた。
「こういう時って出会いに乾杯とかするんだろ?」
「ん?あぁ、そうだな。俺にも同じやつ頼むわ、マスター」
「そう言うと思ったから準備しておいたよ。はい」
「流石だな。ありがと」
向けられたグラスにグラスをぶつける。
甘ったるい香りが漂うカクテルを一気に飲み干す。あまり飲んだことのない味だが、俺の好みに近かった。
「これ、なんていうカクテル?」
「パパゲーナ。チョコレートリキュール使ってるから甘めなんだよね」
「へぇ。結構好きかも」
アモンは甘めのカクテルが好きなのだろう。
一緒に注文していたメニューもチョコレートだ。
チョコレート味のカクテルにチョコレートを合わせる辺りチョコレートジャンキーなのかもしれない。
「そー!それそれ。まさにチョコレートジャンキーってやつ」
「は?」
何故俺が考えていたことが伝わっているのだろう。
一言も喋っていないのに。
見るとアモンはバツが悪そうな顔をしていた。
「あー、えっと」
「どういうことだ?人の思考が読めんのか?」
「んーと、えーっと……」
明らかに言い訳を探しているアモンにずいっと顔を寄せる。
そして逃がすまいと腕を掴んだ。
「説明よろしく」
「怖ぇ奴。人は見た目じゃねぇってマジだな」
「そんなに怖くねぇだろ。一般的な仕事に就いてる社会人だし。で、お前は?」
「……悪魔」
小声で言われた単語を理解するまでに時間が掛かった。
あまりにも非現実的で。
「俺、人間じゃねぇの。人間のフリした悪魔」
「嘘言ってるようには見えねぇな」
「嘘じゃねぇもん。けど人間って絶対ぇ信じねぇじゃん。だから言いたくなかった」
不貞腐れるアモンを見れば今までどれだけ嘘つき呼ばわりされて来たかが分かる。
確かに「悪魔」など誰も信じないだろう。
強いて言えば鋭い八重歯がそう見えなくもないが、確信には弱い。
「まぁ、なかなか信じ難いことではあるよな。思考読む以外に出来ることあんのか?」
「ある。つか、出来ないことの方が少ねぇし。空も飛べるし人間操ることも出来るし魂奪うことも出来る」
「マジかよ。そりゃヤベェな」
「恭弥は俺の言うこと信じんのか?」
疑うような縋るようなアモンの視線。
それは同時に信じて欲しいと願っているようにも見えた。
「ここで嘘つく必要もねぇだろ。だから本当だと思う」
「マジでっ!?お前、良い奴だな!」
興奮したアモンは勢いよく俺に抱き着いた。
やけに力が強く感じるのは人間でなく悪魔だからだろう。
「痛てぇな!」
「あ、悪ぃ悪ぃ!つい嬉しくてな。悪魔ってこと信じてくれる人間なんて恭弥ぐらいしかいねぇもん」
「見れば見るほど悪魔に見えてきた。てか悪魔って普段何してんのかとか人間のフリしてる意味とか色々気になるんだけど」
「俺のこと知りてぇって?んじゃ、恭弥んち泊めてくれ」
「はあ?何で見ず知らずの奴泊めなきゃなんねぇんだよ」
アモンにはとても興味がある。正直に言えば一目惚れした。
けれどそれとこれとは別だ。
流石に即頷ける案件ではない。
「だって俺、家ねぇんだもん」
「昨日まで何処で暮らしてたんだよ」
「外フラフラしたり24時間営業んとこいたり」
「ふぅん。けどその割には金持ってるみてぇだし仕事とか生活とかどうなってんだ?」
「恭弥なら俺の話まともに聞いてくれそうだし全部教えてやるよ。だからお前んち行きたいわけ」
つまりアモンは悪魔だということをなるべく隠しておきたいのだろう。
いくら信じない人間が多いとはいえ全員がそういうわけではない。
聞く人によっては余計な詮索をしたり興味を持つ可能性がある。
「はぁ。仕方ねぇな」
「ありがと!代わりに奢る」
そう言ってアモンは会計よりも大分高い金額を支払い「釣りいらねぇ」とマスターに言い残した。
「あれ?恭弥も一緒に帰るの?」
「まぁな。コイツ泊めっから」
「急展開だなぁ。まぁ、恭弥らしいか。今度こそ上手く行くことを願ってるよ」
ウインク付きで言われ、俺は苦笑する。
「別に付き合ってねぇけどな」
「家に連れ込むならほぼ確定じゃない?」
「言い方が悪ぃ!泊めるだけだ!じゃあな、また来る」
先に出て行ったアモンを追い掛けるようにバーを出る。
「……恭弥って本当変人ばっかり好きになるなぁ」
マスターの言葉は俺には届かなかった。

「恭弥の家ってここ?」
「そう」
バーを出て30分程度で自宅についた。
一軒家の前でアモンは「マジか!」と驚いたような声を出した。
「すっげぇでけぇじゃん。富豪?」
「違ぇ。それと別に普通だからな。期待すんな。そんなに広くねぇし」
鍵を開けてアモンを先に入れる。
後から家に入った俺は鍵を厳重に閉めた。
一軒家は防犯面で弱い。過剰なほど自己防衛するのが一番だ。
ズカズカと上がって行ったアモンは勝手にリビングで寛いでいた。
足を投げ出してソファに座る姿は久しぶりに休んだと言わんばかりの寛ぎ具合だ。
「はー!こういうのしたかったんだよな。人間になれば出来ると思ってたのになかなか出来ねぇんだもん」
「いつから人間のフリしてんだ?最近?」
「2週間ぐらい前からだな。魔界で人間界の話してた奴がいて、気になったから俺も来ようと思って」
「そんなに簡単に来れるもんなのか?」
「来れる。っつーか多分悪魔なんて紛れ込んでるぜ?人間が気付かねぇだけで」
ケケケッと独特な笑い方をするアモンはもう悪魔にしか見えなかった。
人間離れした綺麗な顔にも今なら納得出来る。
「成程な。有り得そうだ。で、いつ帰るんだ?そもそも魔界ってとこに住んでんだろ?」
「恭弥が死ぬまで帰んねぇ」
「は?俺基準?」
「だって恋人がいなくなったら嫌だろ?」
「待て待て。いつお前が俺の恋人になったんだ?」
「なってねぇの?恭弥、俺のこと好きじゃん。……あ、そっか。悪ぃ」
その言葉で理解する。言っていないはずの俺の気持ちが筒抜けになっていたのだと。
「お前……それ、どうにかなんねぇの?」
「んなこと言ったって勝手に聞こえてくるんだから仕方ねぇだろ。でも多分全部じゃねぇし。強い言葉だけ聞こえるんじゃねぇかな」
「つまりアモンと一緒にいると俺の分が悪いってことか」
「えーっ!一緒にいようぜ!恭弥のこと飽きさせねぇ自信あるから」
その言葉に俺は弱い。
恋愛依存症の俺は常に誰かに恋していなければ気が済まない。そして可能ならば同じ思いを抱いて欲しいと思っている。
だから「飽きさせない」という言葉は俺の中で大きい。
俺の為に尽くしてくれるような気がして。
「分かってて言ってんだったらすげぇムカつくけど……まぁ許してやるか。追い出しはしねぇよ」
「良かった。俺のこともっと知って欲しいし、恭弥のこともっと知りてぇもん」
「てかお前こそ俺のこと好きなわけ?」
「好き好き!大好き!」
「全然知らねぇくせによく言うぜ」
軽い言い方に呆れてしまう。
こういうタイプは俺のことをよく知ったら離れていく。
俺の恋愛観は重くて面倒くさいからだ。
アモンもそういう奴かもしれない。
それならば深く落ちる前に引いた方が良さそうだ。
12回も恋愛をしていればどうすべきかなんて分かる。
そう、分かる──のだけれど。
「え?でもそういうもんじゃねぇの?先のことなんて分かんねぇし今好きって思うならそれでいいじゃねぇか」
結局俺は恋愛体質で恋愛依存症だ。
一目惚れした相手にそんなことを言われたら。
「まぁ、確かにな。嫌われたらそん時考えりゃいいか」
「嫌う?俺は恭弥のこと嫌わねぇよ、絶対ぇ」
「はいはい」
そう言ってきた恋人に今まで何回嫌われたか分からない。
マスターの言う通り俺が惚れる相手が変わり者なのもそうだが、それ以上に自分が悪いことは分かっている。
好きになり過ぎる、愛を伝え過ぎる、欲しがり過ぎる──全部度を越しているのだ。
だから嫌がられる。それも全て理解している。
次こそは「普通」に人を愛さなければ。
「恭弥の考え方も悪くねぇと思うけどさ」
「人の頭ん中覗くな」
「元から人間って自分勝手なもんだしいいんじゃねぇの?恭弥はそのまんまで」
「……そうかな」
「じゃあ俺、恭弥以上に好きになり過ぎてやるよ。愛も伝え過ぎるし、欲しがり過ぎてやる。そしたら恭弥の過ぎるなんて俺以下だろ?」
アモンは八重歯を出して笑った。
本気でそう思っている顔。人間には有り得ない純粋無垢な顔。
だからそれが──決定打だった。
「……本当お前ってバカそう」
「はぁ?んなことねぇし。悪魔は平均的にバカだから俺は普通」
「そうじゃねぇよ。バカで優しくて損してんぜ、絶対ぇ」
「まぁでもそういうもんじゃねぇ?損得気にしてたら魔界で生きていけねぇぞ。損ばっか掴まされるからな」
「ははっ、何だよそれ。面白ぇ世界」
「面白くて残酷で、でも愛しい世界だ」
本気でそう思っているのだと分かる表情。
裏表のなさは見ていて充分伝わってくる。
俺の感情が筒抜けになるのは複雑な気持ちだけれど、アモンは分かりやすくて嘘をつかないから同じことかもしれない。
「あーあ。沢山恋愛してきたけど悪魔に落ちるとは思わなかった」
「俺も人間に恋したのは初めてだ。お前が死ぬまで一緒にいてやるから安心しろよ」
ニッと笑うアモンは本気でそのつもりらしい。
遠い未来の約束は永遠のようで嬉しかった。
「アモンのお陰でやっと恋愛依存症辞められそうだな」
「そしたら何になるんだ?」
「んー、アモン依存症?」
「よく分かんねぇけどすっげぇな、それ!」
大きく笑ったアモンを見て──これからずっと嫌いになれそうにないと思った。

恋人と別れた日に出会った奴と付き合うなんて、出来過ぎたドラマのようだ。
けれどそれが悪魔だなんて、一気に有り得ない物語になる。
だからこそ惹かれたのかもしれない。

13番目の彼氏は悪魔で──多分これが最後の彼氏。
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