マギアメイデン・マルアーク

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初日 屈辱

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 一人の魔法少女が飛び、現場へ向かう。怪人が現れ、それを魔法少女が倒しにいく。この街では当たり前のことだった。しかし、最近はそんな停滞した習慣に異変が起きていた。
(敵側の魔法少女……まさか……)
 空を舞うのは白い衣装を身に纏った魔法少女マルアーク。フリルやリボンの端は金糸で彩られ、聖なる乙女という印象を受ける。白い翼を広げるその姿は名前が示す通りの天使である。袖の無い丈が短いワンピースを着てはいるが、ロンググローブやニーソックスで陶磁器の様な白い肌を慎ましく隠している。風に靡く長い金髪は艶やかで、見開かれた青い瞳も宝石のごとく美しいが、不安の色を浮かべていた。

   @

 昨晩、眠る直前まで彼女はある事態に悩まされていた。変身前のマルアークは明るい茶色の髪をした、どこにでもいる普通の女の子であった。自室では気を抜いてネグリジェ一枚で過ごすこともある。
「はぁ……どうするものか……」
 最近増えている魔法少女の失踪事件。見かけや世間的には一般的な少女であるマルアークだが、その血筋は特別。親子代々の魔法少女であった。魔法少女を纏める組織でも上位に位置するため、家庭は裕福であった。都市部の真ん中に広い自室を持てる一軒家に住めるというだけで、その恩恵が伺える。
「エイルがいなくなってから急増してる……何か関係が……」
 変身アイテムと兼用のスマホでデータを見ながら彼女は状況を重く見る。元々命懸けである魔法少女の失踪、という名の戦死はたまにあった。とはいえここ数か月の件数は異常だ。手練れの魔法少女さえ消えている。
 加えて、狙われているのは自分の組織の魔法少女のみ。フリーや別組織の魔法少女には被害が出ていない。
 もし仲間のエイルが洗脳され、撒き餌の様に利用されているのなら納得が出来る状態だ。味方の姿をしているのならば、油断しても仕方ない。被害が偏る理由も分かる。
 さらに不安を煽るのは、『魔法少女モノのエロ動画』が増えているということ。映像は見ていないが精巧なコスプレ動画だと願いたいが、その題材がどれも消えた魔法少女と一致する。その上、映像には魔物の様なものに犯される魔法少女の姿が……。
「あ……」
 その時、マルアークの苦悩を断ち切る様に扉がノックされる。彼女は一枚羽織ってから扉を開ける。
「ヒカリ、いいかい?」
「うん、どうぞ」
 扉の前で待っていたのは、同い年くらいの少年であった。彼は許嫁の陽大。特別さはないものの優しく誠実な好人物である。
 親同士が決めた結婚とはいえ、互いに悪く思っていない。それどころか強い恋愛感情さえ抱いていた。マルアークはゆったり過ごしたいという普通のだらしなさ、可愛く見せたいという歳頃らしい見栄、それでも肌を晒して上からも透けて見える様な恰好では少し恥ずかしいという羞恥から、思わず上着を着込んだ。
「少し休みたかったとこ」
「そうか」
 二人は隣り合ってベッドに腰掛ける。手を重ね合うと、不安が和らぐ。
「最近、疲れてない?」
「そう? 普通だと思うけどな……」
 陽大はマルアークが悩みを抱えていることを感づいていた。
「魔法少女のこと? それとも……」
「魔法少女のこと。でも大丈夫よ、私は最強の魔法少女なんだから……」
 魔法少女のことは一般に秘密だが、血縁を残す為に選ばれた陽大は家族や魔法少女仲間以外で数少ないマルアークとしての彼女を知る人物であった。
(そう、最強の力であるスターゲイザードレスとテラフォームハープが私にはある。それに、いざとなればレインボードレスだって……)
 最強と究極、二つの力を持つマルアークは自身が負けることはないと自負していた。しかし、仲間はどうだろうか。いくら自分に追いつく形で強化されていたとしても、戦う前に毒牙に掛かれば意味がない。それに、最初に消息を絶ったのは歴戦ながら強化を持たないエイル。嫌な予感がしていた。
「ヒカリ……」
 陽大はマルアークの人間としての名を呼び、顔に手を添えて自身に寄せる。それが口づけの予兆であると察すると、マルアークは目線を反らす。
「だめっ……。まだ私達は……」
 たとえキスだけでも婚前交渉は厳禁。こうして同衾し、夫婦となる準備こそしているが、一線は越えていない。
「ここなら、いいよね?」
「うん……」
 額への口づけはマルアークも許した。
 そして二人は共に眠る。肌は重ねて、交わりはせずに、ただ共に眠るだけ。それでも、マルアークという大きな力と使命を抱えた少女、ヒカリにはかけがえのない安心できる時間だった。

   @

「ここね」
 マルアークは現場に降り立つ。そこには、座り込む人々と一人の少女がいた。黒髪のショートヘアに、彼女と同じ様な黒を基調とした服装の魔法少女。すっかり雰囲気が変わってしまったが、ばっさり切り落とされた髪、瞳が紫になった以外はかつての仲間の変身前そのものであった。パープルのメッシュが怪しく光る。
「見つけた……エイル!」
 マルアークはかつての名で友を呼ぶ。しかし彼女は即座にそれを否定した。その名の意味、慈悲などもう持たぬと言わんばかりに。
「その名はとっくに捨てた。今の私は、魔法少女……デリンジャー」
 そして、彼女はマルアークに銃を向ける。爪の尖ったグローブで引き金に指を掛け、いつでも撃てる準備をしている。そのまま悪戯っぽく笑ってみせた。マルアークにとっては、見たことのない表情であった。
「だったら、目を覚まさせるしかない!」
「目を覚まさせる? 目が覚めたから私は今、こうしているのよ」
 力ずくでもと構えるマルアークに対し、嘲笑うデリンジャー。
「あなたは操られているのよ! 目を覚まして!」
「自分が操ってたから向こうも操ると思ってるんだ。それってミラーリングってやつ?」
 洗脳魔法の気配はしない。信じたくないが、自らの意思で敵の手に落ちているのか。それともマルアークほどの魔法少女でも感知できないほど巧妙な魔法なのか。
「私は教えてもらったの。おいしい、暖かい、面白い、そして気持ちいい……。必死に我慢していい子やってたのが馬鹿みたいに思えたわ……」
「騙されているのよ! そんな短絡的な楽しみの為に将来を……未来を失うの? 我慢が実を結ぶ前に諦めてしまうっていうの?」
 マルアークは必死に呼びかける。だが、デリンジャーは怒りの形相になって彼女へ詰め寄った。
「実を結ぶ? それはいつなの? いつまで我慢すればいいの? 一番下のガキが大きくなるまで? その頃には、私はみんなが楽しんだ学生時代を無くしてるのよ? 進学も出来ず、学歴すら持ってないまま歳だけ取って放り出されるだけなのが見えているのよ? 強化も無しに戦い続けて……明日死ぬかもしれないのに、こうして失うだけの将来が見えているのにまだ我慢しろと?」
「いつだって遅すぎることはない……弟や妹、あなたの両親も感謝してるはずよ!」
 なんとかデリンジャーをエイルに戻すべく説得を続けるマルアーク。同時に周囲の人が魔法を仕掛けられて人質に取られていないか調べる。デリンジャーと何らかのリンクがあり、ここにいる市民は野次馬ではなく人質なのだとハッキリ理解出来る。
「ごめん、貴女を倒して連れ帰って洗脳を解いてあげる……」
 マルアークは戦闘態勢に入り、ステッキでデリンジャーへ殴りかかる。これが一番手加減をしやすい。そして攻撃に魔法解除も乗せる。人質に仕込んだ魔法もこれで解除できる。
「言っておくけど、私を攻撃するとランダムに人質へダメージが行くよ?」
デリンジャーが警告を発するが、その程度は予想済みなので無意味。何故か銃を持っていてリーチが有利なデリンジャーは防御姿勢を取った。ステッキの一撃が彼女の腕に当たる。
「グワアアアアア!」
 が、何故か無関係の市民が腕を抑えて苦悶する。確かに魔法は解除したはず。高位の魔法少女である自分が、人質の魔法を解けなかったというのか。
「ど、どうして……」
「井の中の蛙、これに極まれり、ね……。あんた程度の使い手でどうにか出来ない魔法ってのがこの世にはいくらでもあんのよ」
「闇の魔法に手を出したのね……」
 このままではどうしようもない。が、実際何もしなければこの魔法は危険などない。マルアークは攻撃を止め、対策を練る。
「あ、言っておくけどこっちから能動的に人質絞められるからそのつもりで」
 しかしデリンジャーはそのくらい予想しており、指を鳴らすと市民が苦しみ始める。
「や、やめて! あなたはそんなことをする様な……」
「違うわ。今までいい子にしてただけ。あんたらレギオンの魔法少女を倒す為ならどんなことでもするわ」
 どうやら元エイル、デリンジャーはマルアークの組織、レギオンに敵対しているらしい。
「私達を倒す……ならこの人達は関係ないじゃない!」
「ほらほら、言うこと聞かないと死人が出るよ?」
 憤るマルアークだが、市民は苦しみ続ける。やめさせるためには言うことを聞くしかない。
「くっ……どうすればこの人達を解放してくれる? 変身アイテムを渡せばいいの?」
 マルアークが要求を呑む姿勢を見せたので、デリンジャーは市民を苦しめるのをやめた。
「それでよし。ごめんねみんな。こいつが馬鹿なせいで苦しませちゃって」
 とことんマルアークを貶すデリンジャー。そして最初の指示は意外なものだった。
「全力でこの一撃を防御してみて。出来るもんなら避けてもいいよ?」
「どういうつもりだ?」
 不可解な要求を怪しむマルアーク。一方的に嬲らせるとかではないため目的が分からない。倒す為に人質を取ったのではないのか。
「避けたり防いだら人質を殺すのか?」
「そんなことしないって。むしろ手を抜いたらそれやるから」
 言われるままに防御姿勢を取り、攻撃に備えるマルアーク。その時、デリンジャーの姿がかき消えた。その後、一瞬だけ自分の目の前に姿を現したと思ったら彼女は地面に叩きつけられていた。
「かはっ……!?」
 打ち付けられた地面にはクレーターが出来上がり、酸素が身体から押し出されてしばらく呼吸が出来なくなる。ようやく起き上がれてもなお、何が自分に起きたのか理解することが出来なかった。
「な……」
 マルアークの強さは市民も周知の上であり、どよめきが起きる。
「ああ、うん。自棄になって人質見捨てられても面倒だから実力差見せてやったの。いっておくけど、私、組織じゃ最弱だし後方担当だけどね」
 これが闇に身を委ねたエイル、デリンジャーの力。何とか立ち上がり、マルアークは勝機を探る。
「こ、この程度……究極の力を使えば……」
 見せつけてもなお理解しない彼女に対し、デリンジャーは苛立ちながら言う。
「説明しないとわからない? 私、武器使ってないしなんなら変身もしてないの。それに見てみなさい。身体に傷ついてないどころか服すら破損させずにダメージを与える。こんな複雑な魔力コントロールをこの速度でする相手に勝てると思っているの? 手加減の為に手間かけられるってことがどういうことか、わかるしょ?」
 確かに、マルアークの状況は説明された通りだった。とすれば、本当に勝ち目などないではないか。人質の解放のためには、大人しく言うことを聞くしかない。
「……くっ、私をどうしたい? 人質と交換だ」
「そうねぇ、んじゃ、ショーでも見せてもらおうかな」
 デリンジャーはマルアークが抵抗しなくなったのを見計らい、ある怪物を呼んだ。大人の男を超える背丈をした、巨大なナメクジの様な化け物。今まで戦ってきた怪物が子供向け番組のデザインに見えるほど冒涜的で現実味のある存在だった。
「こいつが粘液ぶっかけるから、必死こいて避けてみなさい。あ、みなさん。カメラの準備はいい? お好きに撮影どうぞ。あとで私が撮ったのをネットに上げるけど、好きなアングルで撮れるまたとない機会だよ」
 デリンジャーの要求を聞き、マルアークはあることに気づいた。最近、消えた魔法少女のいかがわしい動画がネットに出回っている件だ。
「まさか……あの動画はあなたが?」
「見たの? むっつりさんねぇ」
「……見ていない、聞いただけだ」
「そうなの。まぁいいわ。ああやってレギオンの魔法少女になると悲惨って知らせれば、私みたいに騙されて使い潰される子も減るでしょうからね。それに、おかずが増えてみんな幸せよ」
 にやにやと笑みを浮かべるデリンジャー。この分では、あのナメクジが出す粘液もどうせろくなものではあるまい。
「んじゃ、なるべくいい感じに避けてね。じゃないと見世物にならないから。スタート」
 デリンジャーの掛け声でナメクジが粘液を吐き出す。それを避けたマルアークだが、地面で弾けた雫が衣装に付着してしまう。すると、衣服だけが焼ける様な音を立てて溶けたではないか。
「な……」
「ああ、安心して。別に肉体は溶けないから。魔装だけ溶かすの、これ」
 魔装を溶かす、則ちマルアークを剥いて愉しむのが目的の様だ。それを市民に撮影させ、鑑賞させてショーにする。悪趣味極まりない作戦はかつてのエイルとは思えない性格のもの。本当に彼女は闇へ落ちてしまったのか。
「この……、変態! 本当にどうしちゃったっていうの?」
 浴びせかけられる粘液を避け、マルアークは困惑する。しかし飛んで来るのは粘液だけではない。赤い稲妻をデリンジャーが合間に放ってくる。
「くぁっ!」
 それをもろに受けてしまうマルアーク。全身に耐えられる程度ではあるが痛みが走り、身体が一瞬動かなくなる。その隙を狙って粘液が放たれるが、彼女は転倒しながら辛うじて回避する。
「く、う……」
「無様ねぇ、そっちの方が見世物として上等だからいいんだけど」
 目的は悪戯にマルアークを貶めることだけ。粘液と稲妻が飛び交う中、必死に彼女は回避を続けた。満足したら隙が生まれるかもしれない。耐えれば仲間が救援に来てくれるかもしれない。そんな一縷の望みに賭けて。
「うぁ、く……!」
 マルアークの身体を幾度も電流が打ち据える。大したダメージではないが、大きく動きを止められてしまう。その時、的確に粘液が飛んできた。
「しま……うぷっ」
 粘液の直撃を受けるマルアーク。何とか腕で顔を覆うのでやっと。衣服は音を立てて溶かされ、彼女の裸身が晒される。くすみのない白い肌、膨らみかけの乳房にその先端は鮮やかな桃色で誰にも触れさせていないことが分かる。恥部は毛髪一つなく、毒牙さえも受け入れてしまいそうだ。
「くっ……」
 腕と脚を覆う布地は端が破れていると無事だが、それが余計に劣情を煽る。文句のない美少女の肢体に、市民も現状を忘れてカメラを向けた。
「少しは持ったかな?」
 様子を見つつ、デリンジャーは電流をマルアークにぶつける。先ほどと同じ威力のはずが、全身に激痛が走り、彼女は身体をのけぞらせて悶え、悲鳴を上げる。
「うあぁああっ!」
「ははは、自分がどんだけ高性能な魔装に頼っていたか分かった?」
 ダメージに目が眩み、マルアークは座り込む。こんなはずはない。魔法少女の能力は魔装だけではない、強力な魔装を使うには相応の実力が必要なはずだ。必死に自分へ言い聞かせ、マルアークは自尊心を保つ。
「はぁ、はぁ……うぅ……」
「んじゃ、もっと私達を愉しませてね」
 苦悶するマルアークにデリンジャーは不敵な笑みを浮かべ、ずるずるとナメクジを近づける。彼女はこれから自分を襲う恥辱を予想し、震え上がる。
「ま、まさか……全部脱がせ……」
「そんな小学生男子くらいしか喜ばないことしないって」
 ナメクジはズロンとおぞましい性器をマルアークの前に出し、それを反り立たせる。ひどい匂いとグロテスクな外見にマルアークは目を背けるが、デリンジャーに頭を掴まれて無理矢理正視させられる。
「ああっ」
「んじゃ、まずは口でしてもらおうか。しっかり濡らさないと痛いよ?」
「ん、んぅ!」
 デリンジャーに無理矢理口を開かれ、ナメクジのイチモツを口へ突っ込まれる。エグイ味と口いっぱいに頬張るほどのサイズで呼吸が苦しくなるが、デリンジャーが引くことを許さない。
「んぶっ、ん、んんっ!」
「歯を立てないで、舌使ってしゃぶりなさい。頭動かして扱くのよ」
 頭を掴んで揺さぶられ、息もできないことが相まって意識が遠のいてくらくらする。戦いで体温の上がった口内はとても気持ちがいいのか、ナメクジはうめき声をあげて口の中で肉棒を膨らませていた。
 デリンジャーが激しく動かすこともあって、ナメクジは忽ち射精へ至る。生臭くどろどろした精液が口を通り越し、胃の中へ直接注がれる。窒息しないために、マルアークは何とか飲み込むしかない。あまりの量に唇から溢れ、胸元を涎と混じって汚すほどであった。
「んくっ、んくっ……」
「あら、美味しそうに喉鳴らして飲んじゃって。クソビッチねぇ」
 口をイチモツから解放されたマルアークは屈辱と口に広がる苦痛そのもので、目に涙を溜めていた。飲み込まずに済んだ分をなんとか吐き出して息を整える。
「おぇっ……げほっ、げほっ」
 びちゃびちゃと白濁液が地面に落ちる。だが、凌辱はこれで終わっていなかった。ナメクジはマルアークを倒し、股の間に顔を埋める。
「あぁっ! や、やめ……」
 そして舌を伸ばし、容赦なく秘部を啜り、いやらしい音を立てて愛撫する。
「ひゃぁあああっ!」
「ふふっ、随分可愛い声で鳴くじゃないか」
 舌は割れ目をなぞり、肉芽を撫で、尻穴を刺激する。初めて感じる不愉快さとむず痒さにマルアークは身をよじって抵抗するが、身体が跳ねて言うことを聞かない。
「もしかして感じてる? かなり一人で弄ってる? それともヤリまくってんの?」
「ふざけ……そんなこと……うぁあっ!」
 マルアークはナメクジの頭を抑えて防ごうとするが、ぬるぬるしており力が入らない。身体が火照り始め、視界がチカチカする。舌が蜜壺へ侵入し、更なる責めを行った。マルアークは涎と涙を流しながらその責めを受け入れるしかなかった。舌が膣の入り口付近を搔き回すと同時に、クリを擦られる。
「うぁ、なんか、来る……っ!」
 下腹部から熱が胸へ上がってきて、それが一気に爆ぜ身体が激しく跳ねる。甘い痺れに全身が襲われ、思考一つ自由に出来ない時間が続く。
「ぁぁぁぁああっ! なに、これ……」
「あれ? もしかしてイくの初めて? 初めてイかされるのがこんなナメクジなんてみじめねぇ……」
 これが絶頂。マルアークは性知識に疎く、自分が何をされたのか理解出来なかった。ナメクジが頭を離すと、ねばぁと唾液や粘液が糸を引く。
「く……どうせ変な成分が入ってんでしょ?」
「うーん残念。たしかにこの子とするのって気持ちいいけど、媚薬的なのは無いのよねぇこれが」
 デリンジャーは残酷な情報を突き付けた。魔物のせいにも出来ない。そこにあるのは、醜悪な怪物の手で初めての絶頂に至ったという事実だけ。そもそもそんな成分があるのなら、陰部を加えた時に反応しているはずだ。
「んじゃ、そろそろロストバージンでもしましょうか」
「な……」
 彼女の言葉にマルアークは絶句した。こんな大衆の面前でかつての仲間を辱めるというのか。そこまで闇の世界へとエイルであった彼女は堕ちてしまったのか。マルアークが快感の余韻から覚めるよりも先に、ナメクジが彼女へ覆いかぶさる。そして、おぞましい性器を見せつける。
 男性器など久しく見ていない。それも生殖が可能な雄のモノを見るのは初めてであった。ナメクジのそれが人間と同じかは分からないが、押し返そうと触れる度にふにゃふにゃと変形する本体とは違う。一本の棒が揺らぐことなく屹立している。
「っ……この、このっ!」
 何とか立ち上がろうとするが、ナメクジの粘液が全身にまとわりつき、滑って腕は身体を支えられない。魔法の行使も試みたが、まるで何も起きない。
 ナメクジはしっかりと性器をマルアークに見せつけると、ゆっくりとそれを彼女のナカへ挿入していった。ナメクジ側がしっかり濡れていることと、先ほど嘗め回された際にマルアークの蜜壺の濡れそぼったため初めてにしては抵抗が無かった。
「いや、いやぁあああっ!」
 一度引っ掛かる様な感覚があったが、ナメクジはお構いなしにそれを突き破った。言い訳しようのない破瓜である。しかし痛みよりも優先的に熱く、硬い棒がぬらりと膣壁をなぞった快感が背中から脳へ突き抜ける。
「ふふ……処女喪失の相手も正真正銘の下等生物……。そして市民の皆様の前できゃんきゃん鳴いて……。あなたにピッタリの初夜だと思わない?」
「う、うぅぅぅ……」
 初めては陽大に捧げる。そう決めていたのに。純潔を奪われたマルアークは両目から大粒の涙をボロボロ流す。しかしナメクジはそんな彼女を容赦なく肉棒でかき回した。
「あ、うぁっ……ああ!」
「なーに被害者ぶって泣いてんのよ」
 ぴちゃぴちゃぐちゅぐちゅと周囲に響く淫猥な水音に、デリンジャーの愚痴はかき消された。悔しくて悲しいはずなのに、マルアークの胸には先ほど以上の熱が込み上げていた。
「う、ぐぅぅぅっ! なに、これ……どうせ、変な魔法で……」
「すぐ人のせいにしないの。たしかにしっかり濡らしてるから初めてでもそんなに痛くないかもしれないけど、媚薬みたいなものは一切ありませーん」
 不慣れなマルアークに合わせる様に、ナメクジはゆっくりと腰を動かす。しかし、ナメクジの性器はナカでびくびくと脈打っており、限界が近いことを悟らせる。抵抗しようとすれば却って突き立てられた肉棒を擦り上げてしまう。それ以前に、マルアークは感じたことのない場所から与えられる快楽と処女喪失のショックを処理しきれず、この場を打開する方法を考えられずにいた。脳はじわじわ温まって痺れていき、汚された悲しみが塗りつぶされていく。
(無理矢理犯されて感じるなんて……私はそんなに、はしたなくっ……!)
 実際、快楽を感じるのは神経が刺激されているだけなのだが、そこまで分けて考える余裕も無くなっていた。仲間の裏切りと与えられた恥辱。これを整理するだけでマルアークはせい一杯になっていた。そこにナメクジへの不快感と性行為の快感まで加われば、まともな判断は出来ない。
「くあ、んくぅぅっ!」
「そうそう、その子、一つだけ特別なことがあるの」
 何とか嬌声を押し殺す彼女にデリンジャーが告げる。きっとこのナメクジには女を気持ちよくさせる仕掛けがあるに違いない。自分は気持ちよくなんてなっていない。ナメクジの仕掛けのせいだ。そう信じたいマルアークは藁をも掴む気持ちで耳を傾けた。
「雌なら何でも孕ませられるの」
 しかし、デリンジャーの口から飛び出したのはにわかに信じがたい、残酷な情報だった。
(孕っ……え? これ、射精されたら……私、ナメクジの赤ちゃん……)
 既に限界だったマルアークの思考は、一撃で破壊された。
「いや、嫌だ……やめてやめてえぇぇ! うあ、あっ、あんっ、やだ……やだぁっ!」
 彼女は駄々っ子の様に泣き叫ぶしかなかった。力無い拳でナメクジを叩いても、体表に纏う粘液が飛ぶだけ。ナメクジは達しようとしているのか、肉棒をマルアークの膣内で先を膨らませる。そして、トドメを刺さんばかりに腰を打ち付ける速度を速める。
「んあ、あぁあ……ん、く……ひゃ、ああぁ!」
 身体が勝手に快感を受け入れ、腰が浮く。嫌がっているのに甘い声を抑えきれない。それもそのはず。ナメクジはマルアークの秘部を啜った際に彼女の膣をしっかり粘液で湿らせ、適切な肉棒のサイズも図って勃起させているのだ。これも種付けする雌が苦痛で抵抗しない為の進化、だとでもいうのか。
「あひっ…気持ち悪い……のにっ……なんで……えぇ……?」
 加えてイチモツもしっかり濡れそぼり、抵抗なくナカを搔き回す。ローションを用いた丁寧なセックスでもしているかの様な凌辱。心が嫌悪を感じても、身体は神経の反応として快楽を覚える。催淫成分を作れなくとも獲物を虜にするこの方法は、乾燥から身を守る為に絶えず粘液を分泌するナメクジという種とあまりに相性が良かった。
「あ、ぁぁ、みな……いで……やだ、やだぁ……」
 人質になった市民にも犯されている様子は見られていた。男はマルアークの白く清い素肌がナメクジの粘液で汚される様に欲情し、勃起を隠し切れないでいた。
「また、あれが……うぅ……あぁ!」
 羞恥と屈辱に苛まれる暇もなく、再び絶頂が彼女を襲おうとしていた。歯を食いしばって何とか耐えようとするも、ナカを丹念に硬いモノでぐりぐりとかき回されて我慢が効かない。下手に力を入れたせいで、ナメクジの性器を強く咥え込んでしまった。
「あ、ぁあああっ……!」
 マルアークは救いを求める様に天へ手を伸ばし、イき果てた。それと同時にナメクジがびゅるびゅると骨身に伝わるほどの音を立てて射精する。たぱたぱと熱い液が子宮口を叩く様な感触が襲い、敏感になった肌を収まり切らない子種汁が伝ってむず痒さを与える。
「ふふっ、一緒にイって、ラブラブね」
「あ、……あぁ」
 射精は酷く長く、永遠の様に思われた。どくどくと夥しい精液を注がれること数十秒超、ようやく止まったかと思われたがナメクジの肉棒は怒張を保ったままで抜かれる気配はない。
 マルアークはナメクジに犯されて絶頂したこと、精液をナマでナカに射精されて孕むかもしれないこと、初めてを陽大に捧げられなかったこと、みんなの前でセックスしてしまったことと沢山のことを処理できず、放心した。
 ただ、溢れ出る涙は恥辱だけを理解出来たことを意味していた。しかし、この程度の屈辱は序の口であると、まだマルアークは知らない。
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