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ダンジョンで飯なんか食ってる場合か
朧が丘高校の思い出:グルメ編
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朧が丘高校は以前、突如として一つの教室が転移した。それは夢などではなく、現実に起きたことだ。
「へぇ、私たちがいなくなっていた間そんなことが……」
いなくなった時間はハルカ達がエンタールで過ごしていた時間と一致する。高校は授業への出席が滞ると留年になるが、幸い影響はなかった。その分長期休暇を補習に充てることとなったが、クラスのみんなと危機を乗り越えて補習というのもまたオツなものだ。まるでラノベのような体験だろう。学校にテロリストが入ってきたみたいな。
「向こうのごはん?」
最初はエンタールの話など信じられていなかったが、大勢が同じような話を口裏でも合わせたかのような精度で語るのでみんなしてそっちの方が気になってしまった。今回、料理部の生徒から聞かれたのは向こうでの食事のことである。
「やっぱ味が薄かったり調味料なかったり?」
「うーん。肉体労働が軸だったから案外そんなことは……」
ハルカはあの時のことを思い出すのであった。
@
「料理を教えてほしい?」
「うん、戻ったらまた作りたいし」
料理をしているフィルセにハルカはレシピを聞いた。ずっとここにいるわけではない上、戻ったらまたエンタールに来ることはできない。なので思い出として何か少しでも持っていきたいのだ。
「じゃあまずは材料からね」
フィルセが見せてくれたのは普段使っている食材。芋類、根菜、葉物と野菜は探せば似た物を見つけられそうだ。ただ完璧なものを用意するのは難しく、種芋などを持っていってもちゃんと生育できるかわからない上に問題が起きないとも限らない。
「スパイスはしっかりあるのね」
最初に作ったスパイスの煮物、カナディウス煮ができる程度にはスパイスもしっかりある。
「もしかしてそっちじゃ貴重だったりする?」
「うーん、今はともかく昔は黄金並みに価値があるって聞いたけど」
ハルカ達の世界では、わざわざ海を渡って手に入れるほどの貴重品だった時代もある。ただそれはヨーロッパでスパイスが生育できなかったという事情もあり、エンタール付近のカナディウスで育つ以上はこの気安さも納得。
それを考えるとスパイスの生態も大きく異なるのだろう。
「梅干し……ってのは塩漬けなんだっけ? それなら梅があれば作れそうね」
「そうそう、塩もしっかりあるのね」
塩に至ってはかなり広範囲に普及しているらしい。海があれば作れるという点もあるのだが、ハルカ達の世界ほど海の汚染とかを気にする必要がないのも理由だ。さらに輸送技術は発展していないが、塩はそもそも痛まないので運びやすい。
「甘味料もあるから料理の幅は広そう」
さすがに砂糖はないが、甘味を持つ作物が存在し汁を抽出すれば料理に使うくらい分としては十分な量になる。砂糖で大半が構成される飴のようなお菓子は貴重オブ貴重で、そもそも間食は山で採れる果物を軸にしているところがある。
「そういえばあんま聞いたことなかったけど、こっちの料理だと好評なのとかあるの?」
「あー、それね」
フィルセは今後の参考にするため、ハルカに料理の評判を聞く。このギルドは門番勢含めると好き嫌いとは無縁どころか食えればなんでもうまいみたいな人の巣窟なので、どの料理がどういう感想を持たれているのかわからないところはある。
「男子には丸焼きが人気」
「ああ……」
男子の人気を聞き、フィルセは少し諦めた。リュウガも台所には立つが、料理は焼くか炒めるかのどっちか。煮物は根菜から入れたり結構繊細なのだ。
「せめて香草は入れてほしいわ……」
しかもリュウガが肉を焼くと内臓も取らないので結構食べるのが大変なのだ。
「男子の中じゃ憧れみたいよ。丸焼き」
「あれが?」
「ほら、スーパー……お店にはスライスしか売ってないから」
ただ文化の違いによるものか、がっつり行けるからというより一種の憧憬を含んでいるところはある。しっかりがっつりした肉にかぶりつく機会というのは本当に少ないのがハルカの世界なのだ。
「女子チームは?」
「ミルク鍋かな。あれ豆乳鍋みたいでおいしいのよ」
ミルク鍋とは牛乳ベースのスープで具材を煮る料理である。スパイスで味を調えるのでまろやかでおいしい。牛乳やヤギの乳は保存運送技術が長けたハルカ達の世界でも日持ちしないので、酪農家はフィルセ達の世界でもこういう料理を考案して消費に励む。
「トウニュウ?」
「大豆からできたミルクみたいな?」
「ダイス……サイコロからミルク?」
エンタール側にも豆は存在するが、大豆と呼ぶことはないので話がすれ違ってしまう。
「豆の一種ね」
「あー……豆のミルク?」
ハルカもこういうやり取りには慣れてすぐに修正を入れるが、おかげでフィルセはますますわからなくなってしまう。サヤに入った豆が小さい豆粒に猫みたくお乳を与えている光景が浮かんでしまう。
「豆をこう砕いて絞ってね……」
「加工でミルクっぽくなっているのか」
「それを固めると豆腐になる」
豆腐まで話が行くともう意味不明だ。お味噌汁なんか豆を加工した味噌をとかして豆を加工したものを固めた豆腐とそれを揚げた油揚げを具にしているのである。グラタンコロッケバーガーを「全部小麦粉やんけ!」とはもう言えないレベルの代物が食卓に長らく並んでいるのだ。ハルカも今まで気にしなかったが、いざ冷静に考えるとすごいことである。
「豆一つでそこまで行けるのか……」
大豆がどれだけのものになるかを聞いたフィルセは息を飲む。スープのベース、食感の異なる具二つ。しかし大豆にはもっと別の使い道もあるそうだ。
「こっちに来て何か印象に残った料理ってない? 驚いた奴とか」
フィルセは聞いてみることにした。文字が次々に表示される謎の板や奇怪な建物に透明の袋と文化どころか文明が違う世界の住民であるハルカ。どちらの世界にもいろいろ料理はあるだろうが、文明の違いから驚愕するようなものもあるはずだ。
「そうね、例えば冷蔵技術はあまり……なのにアイスを作れるのは驚いたわ。しかもこっちじゃ一晩かかるものを一瞬よ」
「あー、魔法石アイス」
この世界の石には魔力を流すことで決まった魔法を決まった出力で放つ石、魔法石が存在する。魔法系の加護を持たなくても魔法が使えるので便利だが中には戦闘に使うには頼りないものもある。
そのうち、水分の凍結はできるが魔物に打撃を与えるに至らない氷の魔法石を使って果物を凍らせたりする魔法石アイスなる料理が存在する。凍るだけで甘味が強くなり、食感も変化するのであちこちで微妙な氷の魔法石が売り切れる事態になった。
「魔法石ってひょっとして料理に使える?」
「氷以外を?」
もちろん微妙な魔法石は氷に限らない。炎にも存在する。ハルカの世界では表面を炙るといった調理法があり、それを魔法石でやろうというのだ。
「こうやって炙って……」
「おいしそうだけど、氷ほどキャッチーではないかも」
魚を炙ってみると確かに香ばしくておいしそうだが、通好み過ぎて氷ほどの社会現象にはならなさそうだ。実際、モニカも言っていたが炎の魔法石は簡単な火打石みたいな使い方が主流になっている。
「雷と風は……」
「無理そうね」
普通の調理で扱うことがない電気と風に関しては別の使い道になりそうであった。
「というか、一番びっくりなのは川魚の調理なのよねー」
「そう?」
ハルカの世界では魚と言えば海で取れたもの。川魚は癖が強いらしい。
「やっぱ環境なのかな」
「処理を真似したらいい感じになるんじゃないかな」
こうした些細な日常の会話が、ハルカ達の糧となりエンタールから帰還しても思い出であり教えとなって彼女たちを支えているのであった。
「へぇ、私たちがいなくなっていた間そんなことが……」
いなくなった時間はハルカ達がエンタールで過ごしていた時間と一致する。高校は授業への出席が滞ると留年になるが、幸い影響はなかった。その分長期休暇を補習に充てることとなったが、クラスのみんなと危機を乗り越えて補習というのもまたオツなものだ。まるでラノベのような体験だろう。学校にテロリストが入ってきたみたいな。
「向こうのごはん?」
最初はエンタールの話など信じられていなかったが、大勢が同じような話を口裏でも合わせたかのような精度で語るのでみんなしてそっちの方が気になってしまった。今回、料理部の生徒から聞かれたのは向こうでの食事のことである。
「やっぱ味が薄かったり調味料なかったり?」
「うーん。肉体労働が軸だったから案外そんなことは……」
ハルカはあの時のことを思い出すのであった。
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「料理を教えてほしい?」
「うん、戻ったらまた作りたいし」
料理をしているフィルセにハルカはレシピを聞いた。ずっとここにいるわけではない上、戻ったらまたエンタールに来ることはできない。なので思い出として何か少しでも持っていきたいのだ。
「じゃあまずは材料からね」
フィルセが見せてくれたのは普段使っている食材。芋類、根菜、葉物と野菜は探せば似た物を見つけられそうだ。ただ完璧なものを用意するのは難しく、種芋などを持っていってもちゃんと生育できるかわからない上に問題が起きないとも限らない。
「スパイスはしっかりあるのね」
最初に作ったスパイスの煮物、カナディウス煮ができる程度にはスパイスもしっかりある。
「もしかしてそっちじゃ貴重だったりする?」
「うーん、今はともかく昔は黄金並みに価値があるって聞いたけど」
ハルカ達の世界では、わざわざ海を渡って手に入れるほどの貴重品だった時代もある。ただそれはヨーロッパでスパイスが生育できなかったという事情もあり、エンタール付近のカナディウスで育つ以上はこの気安さも納得。
それを考えるとスパイスの生態も大きく異なるのだろう。
「梅干し……ってのは塩漬けなんだっけ? それなら梅があれば作れそうね」
「そうそう、塩もしっかりあるのね」
塩に至ってはかなり広範囲に普及しているらしい。海があれば作れるという点もあるのだが、ハルカ達の世界ほど海の汚染とかを気にする必要がないのも理由だ。さらに輸送技術は発展していないが、塩はそもそも痛まないので運びやすい。
「甘味料もあるから料理の幅は広そう」
さすがに砂糖はないが、甘味を持つ作物が存在し汁を抽出すれば料理に使うくらい分としては十分な量になる。砂糖で大半が構成される飴のようなお菓子は貴重オブ貴重で、そもそも間食は山で採れる果物を軸にしているところがある。
「そういえばあんま聞いたことなかったけど、こっちの料理だと好評なのとかあるの?」
「あー、それね」
フィルセは今後の参考にするため、ハルカに料理の評判を聞く。このギルドは門番勢含めると好き嫌いとは無縁どころか食えればなんでもうまいみたいな人の巣窟なので、どの料理がどういう感想を持たれているのかわからないところはある。
「男子には丸焼きが人気」
「ああ……」
男子の人気を聞き、フィルセは少し諦めた。リュウガも台所には立つが、料理は焼くか炒めるかのどっちか。煮物は根菜から入れたり結構繊細なのだ。
「せめて香草は入れてほしいわ……」
しかもリュウガが肉を焼くと内臓も取らないので結構食べるのが大変なのだ。
「男子の中じゃ憧れみたいよ。丸焼き」
「あれが?」
「ほら、スーパー……お店にはスライスしか売ってないから」
ただ文化の違いによるものか、がっつり行けるからというより一種の憧憬を含んでいるところはある。しっかりがっつりした肉にかぶりつく機会というのは本当に少ないのがハルカの世界なのだ。
「女子チームは?」
「ミルク鍋かな。あれ豆乳鍋みたいでおいしいのよ」
ミルク鍋とは牛乳ベースのスープで具材を煮る料理である。スパイスで味を調えるのでまろやかでおいしい。牛乳やヤギの乳は保存運送技術が長けたハルカ達の世界でも日持ちしないので、酪農家はフィルセ達の世界でもこういう料理を考案して消費に励む。
「トウニュウ?」
「大豆からできたミルクみたいな?」
「ダイス……サイコロからミルク?」
エンタール側にも豆は存在するが、大豆と呼ぶことはないので話がすれ違ってしまう。
「豆の一種ね」
「あー……豆のミルク?」
ハルカもこういうやり取りには慣れてすぐに修正を入れるが、おかげでフィルセはますますわからなくなってしまう。サヤに入った豆が小さい豆粒に猫みたくお乳を与えている光景が浮かんでしまう。
「豆をこう砕いて絞ってね……」
「加工でミルクっぽくなっているのか」
「それを固めると豆腐になる」
豆腐まで話が行くともう意味不明だ。お味噌汁なんか豆を加工した味噌をとかして豆を加工したものを固めた豆腐とそれを揚げた油揚げを具にしているのである。グラタンコロッケバーガーを「全部小麦粉やんけ!」とはもう言えないレベルの代物が食卓に長らく並んでいるのだ。ハルカも今まで気にしなかったが、いざ冷静に考えるとすごいことである。
「豆一つでそこまで行けるのか……」
大豆がどれだけのものになるかを聞いたフィルセは息を飲む。スープのベース、食感の異なる具二つ。しかし大豆にはもっと別の使い道もあるそうだ。
「こっちに来て何か印象に残った料理ってない? 驚いた奴とか」
フィルセは聞いてみることにした。文字が次々に表示される謎の板や奇怪な建物に透明の袋と文化どころか文明が違う世界の住民であるハルカ。どちらの世界にもいろいろ料理はあるだろうが、文明の違いから驚愕するようなものもあるはずだ。
「そうね、例えば冷蔵技術はあまり……なのにアイスを作れるのは驚いたわ。しかもこっちじゃ一晩かかるものを一瞬よ」
「あー、魔法石アイス」
この世界の石には魔力を流すことで決まった魔法を決まった出力で放つ石、魔法石が存在する。魔法系の加護を持たなくても魔法が使えるので便利だが中には戦闘に使うには頼りないものもある。
そのうち、水分の凍結はできるが魔物に打撃を与えるに至らない氷の魔法石を使って果物を凍らせたりする魔法石アイスなる料理が存在する。凍るだけで甘味が強くなり、食感も変化するのであちこちで微妙な氷の魔法石が売り切れる事態になった。
「魔法石ってひょっとして料理に使える?」
「氷以外を?」
もちろん微妙な魔法石は氷に限らない。炎にも存在する。ハルカの世界では表面を炙るといった調理法があり、それを魔法石でやろうというのだ。
「こうやって炙って……」
「おいしそうだけど、氷ほどキャッチーではないかも」
魚を炙ってみると確かに香ばしくておいしそうだが、通好み過ぎて氷ほどの社会現象にはならなさそうだ。実際、モニカも言っていたが炎の魔法石は簡単な火打石みたいな使い方が主流になっている。
「雷と風は……」
「無理そうね」
普通の調理で扱うことがない電気と風に関しては別の使い道になりそうであった。
「というか、一番びっくりなのは川魚の調理なのよねー」
「そう?」
ハルカの世界では魚と言えば海で取れたもの。川魚は癖が強いらしい。
「やっぱ環境なのかな」
「処理を真似したらいい感じになるんじゃないかな」
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