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漂流した教室編
サブクエスト:魔王様の怠惰な半生
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カイヅカ・シンジは実に怠惰な人生を送っていた。人間、誰しもどこかで怠惰な部分があり怠けたくなる気持ちはある。そもそも生物は無駄なエネルギーの消費を抑える様に出来ているので、人間とてそこから逃れることは出来ない。
そうした生物としての宿痾を勘定に入れても、シンジの怠け癖は突出したものであった。
「シンジ! また宿題をやっていないのか!」
宿題をサボり、それが学校を通じて父親にバレたことは片手に収まる回数ではなかった。それ以外にも叱られたことは多岐に渡るものの、肝心の本人はダンマリを決め込んで説教が過ぎるのを待つばかりでまるで身にしていない。
他山の石どころか自分の石すら管理できぬ有様、見るに堪えない。
(ああーまた怒られたで……)
そのくせ怠け者故、面と向かって反抗する気概はなく影で逆恨みつらみを重ねるばかり。
(今日は薬飲むのやめだで、カップ麺も今日はダメだって言われてないで)
他人を信用せず、あらゆる苦しみから逃げ続けた。警告や指導が永続的なものであると理解出来ず、知っていて破るのではなく分かってなくて破るという様を繰り返した。
当然、そんな生態ゆえに勉強も運動も不出来で馬鹿にされることとなる。こればかりは自業自得というやつだ。しかし、そんなのにも関わらずシンジはいっちょ前に自尊心を傷つけられた。怠け者でありながら、他人の評価に左右されないという領域に達することが出来なかったのだ。それどころか、何の努力もなく自分は賞賛されて当然だと思っていた。
これが家庭で甘やかされた人間なら人格形成に納得も出来るが、前述のとおり親から説教を受ける程度には普通の家庭なのだ。いくら指導を繰り返しても暖簾に腕を通すが如く手ごたえを得られず、いつしか父親は現実から逃げる様に仕事へ没頭した。母親は腹を痛めて産んだ長男ということもあり、甘いところもあったが父親とバランスが取れていたのだがすっかりそれが瓦解した。
数字で表れる結果に縋ることが出来ないというのは、流石のシンジも早々に気づいた。そこで心を入れ替えることが出来ればよかったが、どういうわけか奴は『心の高潔さ』という目に見えないものを自身の誇りにした。
(オラは勉強や運動は出来ない……それでも心はイケメンなんだで……)
一体どこに根拠があるというのか。もはやそれ以外、自尊心を保つ方法はなかっただろう。もちろん、その不明瞭なものが評価される者もいれば、酷評される者もいる。シンジは後者だ。そもそも人格を評価される人間は、勤勉さや面倒見の良さなど少なからず第三者視点に何かを残している場合が多い。彼にはそれが一切ない。
「お前くっせーんだよ! 不潔だ不潔!」
それどころか、悪評にはこと欠かなかった。怠け癖に風呂嫌いが合体したことにより、彼は常に悪臭を漂わせていた。風邪をひくなりして風呂に入れない時期があれば、入浴をしないことで肌がべたついたり頭髪にかゆみを生じるなど不快感を経験したこともあるだろうが、奴は面倒が先行してしまった結果この有様だ。
(きっとオラに嫉妬しているんだで……)
しかしそんな客観評価もどこ吹く風。馬鹿特有の相手は嫉妬している理論で無視してしまう。長年の怠惰で勉学も運動も出来ずおまけに不潔な奴へ嫉妬する人間などいない、という事実に気づかない。
だが、そうして夢想に耽る時もいずれ終わりが来る。受験だ。明白に学科試験で点数を競うことになる受験では、心の高潔さという不確かな要素は排除される。客観視できる的確なものだけが評価の対象となった時、幻想は打ち砕かれる。
「あーあ、誰もオラの事を認めない、生きにくいでぇー」
ここで現実を見て反省すればよかったものを、シンジのねじ曲がった性根は簡単に矯正出来ない。周りの大人も何度指摘しようがまるで聞く気がない、それどころか癇癪を起してうやむやにしようする状態では何ともしようがない。怒られているうちが華とはよく言ったもので、シンジは自ら口酸っぱく指導してくれる人間に見捨てられていったのだ。
その結果、彼の性格は歪むところをしらなかった。高校に入ってからというもの、それは加速する。ハルカを始め、女子が諸用で話しかけるだけで上ずった声を出し、ヘラヘラと好意を確認した。
「へぇ、それはオラに惚れてるってことで?」
「……はぁ?」
すっかり呆れたと言わんばかりに距離を取られる。彼女達は大人なので、積極的な排除に手間をかけるよりもスルーすることで労力を最小限に抑え、関わらない道を選んだ。が、この馬鹿にはそうした遠まわしの拒絶など通じるはずもなかった。
(きっと惚れてるんだで……恥ずかしがっているんだで……)
その理屈では男女問わず惚れていて恥ずかしいから距離を取っているというとんでも理論になることをシンジは気づかない。
かといって自分では声をかけることはしなかった。これは単純にがつがつしないのがかっこいいという誤った考えによるものだが、もしここで自ら話しかけていれば現実を知って未来が変わったかもしれない。否、何度もその機会があったのに改まらなかったということは、そういうことだろうか。
シンジは趣味を持たないほど怠け者で、自分以外に好きになれるものなどなかった。だが、だらだらする中で友とするものの一つくらいはあった。図書館で借りられるライトノベルや、インターネット上に違法アップロードされているアニメだ。特に、現実世界で事故などに遭った主人公が異世界へ転生して貰ったチート能力で無双するという類型の話を好んでいた。
その構成上、ストレスなく見られることから人気を博しているテーマでシンジも例外なくハマった。この物語で自分を慰める者には、社会で上手くいかない葛藤を主人公に感情移入することでスカッと晴らしてまた社会に向き合おうという者も多くいるが、シンジは物語の表面だけを受け取って『異世界に転生すれば無双出来る!』と勘違いしてしまった。
「オラも異世界に行けば女子にモテモテだで……」
アニメになるほどウケたその手のライトノベルはジャンルを纏めるレッテル張りが不適切と言われる程度には、前世で得ていた能力が転生先で活かせたり、その世界の技術を習得したり与えられたしょっぱいスキルを工夫で輝かせたりと主人公の努力が垣間見える。
だが小学校で国語を投げ捨てたシンジにそんな深くまで話を理解する脳はなかった。異世界に転生すればチート能力が引っ付いてきて、大活躍して女子にモテモテという結果しか見えていなかった。
それからというもの、シンジは現実に見切りをつけて異世界転生を夢見た。ギターを買っただけで武道館ライブを妄想する数倍はアホな始末であったが、本気であった。誰が言ったが夢は叶う、事実は小説より奇なり。そのチャンスがまさかまさか巡ってきたのだ。
『お前を異世界に連れていってやる』
その何者かは、教室で居眠りしているシンジにそう告げた。そしてクラスメイトと共に、正真正銘の異世界にやってきた。
これで全てが思い通りになる。そう思ったシンジだったが、元の世界で現実から逃げ続けた彼が異世界での現実に立ち向かえるはずもなかった。
第一に立ちふさがったのは異世界の環境。高緯度地域なのか僅かに肌寒く、それでいて電気が当然の様にないため空調は使えない。母親がいないので食事も自分で用意せねばならず、早速この世界における現実に打ちのめされた。
魔王レベル99というチート能力を授かったものの、この生活苦には足しにもならなかった。正確には魔法を使うなりなんなりすれば切り抜けられただろうが、目の前の困難で頭がいっぱいになり何もできなかった。今まで苦労から逃げてきた結果、せっかくのチャンスにも何もできない。一方でクラスメイト達は助けにきたリュウガやフィルセと協力して夜を越す準備を着々と進めていた。
現実に打ちのめされる中、一つのチャンスが巡ってきた。男子たちが魔物を突っついて刺激してしまい、襲撃に遭ったのだ。相手は巨大なだけのリス。レベルも低い。
「ひえええええッ!」
だがシンジは腰が抜けて動けなかった。いくら魔物の中でも貧弱といえ、そのサイズは大型犬に迫るものがある。普段戦わない魔物が必死に相手を撃退しようと尻尾を逆立て、牙を剥く。その形相に気圧されてしまったのだ。
普段から犬に脅える様な人間が、はいと拳銃を渡されて何人戦えるだろうか。いつも臆病だがいざという時に勇気を奮える人間というのは一握り。特になにもない時から身の危険でもない困難から逃げていては、こういう土壇場での力は養われない。
安全になってから精一杯イキって見せても反感を買うばかり。自分の力を知らないだけで調子に乗って……と怒りを覚えたがリュウガによって魔王の加護は晒された上で信用できないという反応を貰っている。能力と実績を知った上で馬鹿にされているということがシンジには受け入れられなかった。
「疲れたで……」
街への行軍も真っ先にリタイア。チート能力があればモテモテ大活躍という幻想は脆くも打ち砕かれることとなった。街にも加護が怪しいということで入れず、テント暮らしを余儀なくされる。その上で連れ回され、シンジのストレスはマックスに達していた。尤も、何も知らずに異世界などに飛ばされた上碌な能力も与えられていないクラスメイト達の方がよほどストレスフルだろうが。
その後も可能な限り活躍を試みるが、生来よりの愚かさと己の都合がいい様に情報を捉える習性から悪化の一途を辿った。一体何をすればハッキリと村を魔物から守ってくれていると明記されている女神像を粉砕する暴挙に出るのか。目の前の魔物を倒しても脅威は去るわけではない上、そこまで考えていないし倒せるわけでもないという愚行の見本市であった。
そこまでの愚かさを晒しながらも、きっと女子たちは自分を見直してベタ惚れだと信じて疑わないのがシンジという愚物であった。彼はよせばいいのにフィルセにもしつこく言い寄っており、別にお互いその気はないのにリュウガと彼女が恋人同士に違いないと勘違いした上でリュウガのいない隙を狙った。
「なぁ、オラのこと好きなんやろ」
「おがくずの次くらいにはね」
無表情無感情でこんな返しをされれば、これは誰が聞いても脈無しと思うだろう。なにせおがくずである。まぁ火種にはなるだろうが魔法のあるこの世界では役立たずもいいところだ。
(よっしゃ、惚れてるで……)
が、この勘違い。遠まわしな拒絶など意味を成さず、ぐいぐい寄ってくる。
「なぁ今度デートせん?」
「……はぁ? なんでそうなるのよ」
全く話の前後が繋がらない様子にフィルセは呆れていたが、それを察することが出来るほどシンジは賢くない。そもそも前提に『異世界転生したオデは現地の女子にモテモテ』という間違いにもほどがある考えを持っているので当然話など出来るはずもない。
「私、暇じゃないのよ。あなたと違って」
「またまたぁ、そんなこと言って。今度の休みにでも……」
「せっかくの休日をあなたと過ごすくらいなら午前に掘った穴を午後に埋める方がマシね」
理論上最も苦痛を伴うとされる空役刑を持ち出してどの程度嫌っているか伝えたものの、これでも遠まわしだったらしく通じない。結構、ストレートな拒絶に部類される表現ではあるはずだ。
「じゃあオラと穴掘ろう」
「……」
これにはフィルセも頭を抱えた。そして、ハッキリ言うことにした。
「私ね、あなたのこと嫌いよ。遠慮した言い方じゃ伝わらないからしっかり伝えさせてもらうけど。とても嫌い。仕事もしないくせにミスした相手に怒るところとか、根性ないところとか、そもそも怠け者なところとか。嫌いなところはいくらでも言ってあげる」
ここまでぼろくそに言われ、シンジは黙っているしかなかった。その姿勢も見透かされているのだが。
「聞いてる? 耳が痛くなると黙り込んで過ぎるのを待つばかりで、まるで反省がないところも嫌いね」
「わぁあああああああッ!」
「困り果てると癇癪起こすところもね。才能がないならないなりにリュウガくらい勤勉になってみなさい」
いつもの手段は悉く通じず、バッサリ切られてしまう。
それで今度は教会にやってきたプリーストのモニカに目を付けたというわけだ。
「なぁ、オラのこと好きなんだろ?」
「会ったばかりの人をどうとも言えません」
聞き方にバリエーションがないのはどうにもならないが、モニカは初対面で村人に混じって処刑に参加していたことに言及しないだけかなり優しい。しかしそんな彼女の優しさが裏目に出てしまう。
「ならオラとデートしようや」
「神に仕える身にその様なこと……」
これはこれは、禁断の恋ですなとシンジは勝手ににやける。別にこの世界の聖職者が独身でないといけないというルールはないのだが、神に仕えるからと独身を選んでいる人が多い程度の話である。
「あなた、私と家庭を持つことを前提に、真剣にお付き合いする気はありますか?」
「もちろん!」
「ならば私と同様に神に仕える者として修練を積みましょう」
しかしモニカの優しさとは厳しさでもある。本を持って魔法の練習を迫る。
「え、修練……」
「ええ。そう身構えず。回復魔法を覚えたいというリュウガさんが毎日この程度ですから……まぁまずはその半分ですかね。あの人と違って仕事をしていないのでこのくらいは余裕でこなしてくれるでしょう」
「ひええええッ!」
当然、小学生の頃から音読さえ逃げ回っていたシンジにそんなこと出来るはずもなく逃げ出してしまう。女性にモテたいという欲求でさえ、僅かな苦役に負けてしまうのだ。
元気に穀を潰しているシンジを見かね、リュウガが薪を割る仕事に連れてきたことがあった。
「こんなことしか出来ないけど……」
「いやいや、マンパワーは正義だぜ」
加護を受けていないクラスメイトは軽作業を手伝っていたが、目の前に信じられない役立たずがいるのも相まってリュウガはそれだけでも助かっていた。人手は全てを解決する。
しかしシンジの使えなさときたらいない方がマシであった。
「いいか、刃物使っている奴の近くに寄らない! 必要がある時は声をかける! 斧を使う時は、持つ方の手に手袋をしない! この三つだけまず覚えろ!」
リュウガも最初に教わった、木こりというより刃物を扱う者としての鉄則。これは全員に伝えており、高等教育を受けるレベルになれば簡単に覚えられるレベルだ。
「おいシンジ! 言ったこと早速忘れてんじゃねぇ!」
だが、シンジは違った。もう覚える気がないのではないかというレベルで、何度も繰り返し同じ指摘を受ける。すぐ刃物を持った相手の傍に、フラフラと何の用もなく近づくのだ。
「だから斧持つ手は手袋外せ! すっぽ抜けたらあぶねぇだろうが!」
その規則がなぜあるのかまで説明しても、右から左ではまるで意味を成さない。さすがに他人の命が掛かっているのでリュウガも真剣だ。とはいえ彼は教えてもらった人にここまで厳しく言われたことはないのだが、もし他人に教えることがあれば命に関わるから殴ってでも沁み込ませろとは言われていたりする。
その木こりの爺さんも『いやまさかこれを殴って教えないといけない奴なんていねぇだろ』と笑っていた。
「てめぇいい加減にしろ!」
が、そんな爺さんの予想は異世界からの来客に破られることとなった。五回ほど各注意を守らなかったので、さすがのリュウガも安全の都合手を挙げざるを得なかった。顔面にグーが飛ぶ。
「何度言ったら覚えるんだ! 命に関わるって言ってるだろうが! おめぇが死ぬんなら勝手にすりゃいいが、他人を巻き込むんじゃねぇ!」
ここまで懇切丁寧に言われても、シンジには『気に入らないから怒鳴られている』程度にしか伝わっていない。そうやって忠告を聞き流してきたシンジはもう、だれがどう手を尽くしても手遅れの状態になっていた。
そんなことを、シンジは何もない虚無空間で思い返していた。
「あいつらが……あいつらがいけないんだ……!」
猛烈な逆恨みと共に。そして悪いことに、今の彼にはその負の感情をエネルギーとして不可能を可能にする力があった。自業自得の憎しみを喰らい、魔王の加護は虚無空間を現実に繋げる魔力を練り上げていた。理論上は、神の御業でもないと不可能なほど膨大な魔力を要する行為。
しかし魔王レベル99という圧倒的な加護がそれを可能にする。魔力の問題をクリアしても、その術式の錬成には膨大な時間を要する。しかしここは時間などいくらでもある虚無空間。複雑な術式の制御は魔王のスキルが全てやってくれる。
さぁ、復讐の時が来た。意気揚々と、シンジは虚無空間から脱出を果たす。まずは何に付けても女達の口から話題に出るリュウガ・アークライド。奴への逆襲を遂げねばならない。
そうした生物としての宿痾を勘定に入れても、シンジの怠け癖は突出したものであった。
「シンジ! また宿題をやっていないのか!」
宿題をサボり、それが学校を通じて父親にバレたことは片手に収まる回数ではなかった。それ以外にも叱られたことは多岐に渡るものの、肝心の本人はダンマリを決め込んで説教が過ぎるのを待つばかりでまるで身にしていない。
他山の石どころか自分の石すら管理できぬ有様、見るに堪えない。
(ああーまた怒られたで……)
そのくせ怠け者故、面と向かって反抗する気概はなく影で逆恨みつらみを重ねるばかり。
(今日は薬飲むのやめだで、カップ麺も今日はダメだって言われてないで)
他人を信用せず、あらゆる苦しみから逃げ続けた。警告や指導が永続的なものであると理解出来ず、知っていて破るのではなく分かってなくて破るという様を繰り返した。
当然、そんな生態ゆえに勉強も運動も不出来で馬鹿にされることとなる。こればかりは自業自得というやつだ。しかし、そんなのにも関わらずシンジはいっちょ前に自尊心を傷つけられた。怠け者でありながら、他人の評価に左右されないという領域に達することが出来なかったのだ。それどころか、何の努力もなく自分は賞賛されて当然だと思っていた。
これが家庭で甘やかされた人間なら人格形成に納得も出来るが、前述のとおり親から説教を受ける程度には普通の家庭なのだ。いくら指導を繰り返しても暖簾に腕を通すが如く手ごたえを得られず、いつしか父親は現実から逃げる様に仕事へ没頭した。母親は腹を痛めて産んだ長男ということもあり、甘いところもあったが父親とバランスが取れていたのだがすっかりそれが瓦解した。
数字で表れる結果に縋ることが出来ないというのは、流石のシンジも早々に気づいた。そこで心を入れ替えることが出来ればよかったが、どういうわけか奴は『心の高潔さ』という目に見えないものを自身の誇りにした。
(オラは勉強や運動は出来ない……それでも心はイケメンなんだで……)
一体どこに根拠があるというのか。もはやそれ以外、自尊心を保つ方法はなかっただろう。もちろん、その不明瞭なものが評価される者もいれば、酷評される者もいる。シンジは後者だ。そもそも人格を評価される人間は、勤勉さや面倒見の良さなど少なからず第三者視点に何かを残している場合が多い。彼にはそれが一切ない。
「お前くっせーんだよ! 不潔だ不潔!」
それどころか、悪評にはこと欠かなかった。怠け癖に風呂嫌いが合体したことにより、彼は常に悪臭を漂わせていた。風邪をひくなりして風呂に入れない時期があれば、入浴をしないことで肌がべたついたり頭髪にかゆみを生じるなど不快感を経験したこともあるだろうが、奴は面倒が先行してしまった結果この有様だ。
(きっとオラに嫉妬しているんだで……)
しかしそんな客観評価もどこ吹く風。馬鹿特有の相手は嫉妬している理論で無視してしまう。長年の怠惰で勉学も運動も出来ずおまけに不潔な奴へ嫉妬する人間などいない、という事実に気づかない。
だが、そうして夢想に耽る時もいずれ終わりが来る。受験だ。明白に学科試験で点数を競うことになる受験では、心の高潔さという不確かな要素は排除される。客観視できる的確なものだけが評価の対象となった時、幻想は打ち砕かれる。
「あーあ、誰もオラの事を認めない、生きにくいでぇー」
ここで現実を見て反省すればよかったものを、シンジのねじ曲がった性根は簡単に矯正出来ない。周りの大人も何度指摘しようがまるで聞く気がない、それどころか癇癪を起してうやむやにしようする状態では何ともしようがない。怒られているうちが華とはよく言ったもので、シンジは自ら口酸っぱく指導してくれる人間に見捨てられていったのだ。
その結果、彼の性格は歪むところをしらなかった。高校に入ってからというもの、それは加速する。ハルカを始め、女子が諸用で話しかけるだけで上ずった声を出し、ヘラヘラと好意を確認した。
「へぇ、それはオラに惚れてるってことで?」
「……はぁ?」
すっかり呆れたと言わんばかりに距離を取られる。彼女達は大人なので、積極的な排除に手間をかけるよりもスルーすることで労力を最小限に抑え、関わらない道を選んだ。が、この馬鹿にはそうした遠まわしの拒絶など通じるはずもなかった。
(きっと惚れてるんだで……恥ずかしがっているんだで……)
その理屈では男女問わず惚れていて恥ずかしいから距離を取っているというとんでも理論になることをシンジは気づかない。
かといって自分では声をかけることはしなかった。これは単純にがつがつしないのがかっこいいという誤った考えによるものだが、もしここで自ら話しかけていれば現実を知って未来が変わったかもしれない。否、何度もその機会があったのに改まらなかったということは、そういうことだろうか。
シンジは趣味を持たないほど怠け者で、自分以外に好きになれるものなどなかった。だが、だらだらする中で友とするものの一つくらいはあった。図書館で借りられるライトノベルや、インターネット上に違法アップロードされているアニメだ。特に、現実世界で事故などに遭った主人公が異世界へ転生して貰ったチート能力で無双するという類型の話を好んでいた。
その構成上、ストレスなく見られることから人気を博しているテーマでシンジも例外なくハマった。この物語で自分を慰める者には、社会で上手くいかない葛藤を主人公に感情移入することでスカッと晴らしてまた社会に向き合おうという者も多くいるが、シンジは物語の表面だけを受け取って『異世界に転生すれば無双出来る!』と勘違いしてしまった。
「オラも異世界に行けば女子にモテモテだで……」
アニメになるほどウケたその手のライトノベルはジャンルを纏めるレッテル張りが不適切と言われる程度には、前世で得ていた能力が転生先で活かせたり、その世界の技術を習得したり与えられたしょっぱいスキルを工夫で輝かせたりと主人公の努力が垣間見える。
だが小学校で国語を投げ捨てたシンジにそんな深くまで話を理解する脳はなかった。異世界に転生すればチート能力が引っ付いてきて、大活躍して女子にモテモテという結果しか見えていなかった。
それからというもの、シンジは現実に見切りをつけて異世界転生を夢見た。ギターを買っただけで武道館ライブを妄想する数倍はアホな始末であったが、本気であった。誰が言ったが夢は叶う、事実は小説より奇なり。そのチャンスがまさかまさか巡ってきたのだ。
『お前を異世界に連れていってやる』
その何者かは、教室で居眠りしているシンジにそう告げた。そしてクラスメイトと共に、正真正銘の異世界にやってきた。
これで全てが思い通りになる。そう思ったシンジだったが、元の世界で現実から逃げ続けた彼が異世界での現実に立ち向かえるはずもなかった。
第一に立ちふさがったのは異世界の環境。高緯度地域なのか僅かに肌寒く、それでいて電気が当然の様にないため空調は使えない。母親がいないので食事も自分で用意せねばならず、早速この世界における現実に打ちのめされた。
魔王レベル99というチート能力を授かったものの、この生活苦には足しにもならなかった。正確には魔法を使うなりなんなりすれば切り抜けられただろうが、目の前の困難で頭がいっぱいになり何もできなかった。今まで苦労から逃げてきた結果、せっかくのチャンスにも何もできない。一方でクラスメイト達は助けにきたリュウガやフィルセと協力して夜を越す準備を着々と進めていた。
現実に打ちのめされる中、一つのチャンスが巡ってきた。男子たちが魔物を突っついて刺激してしまい、襲撃に遭ったのだ。相手は巨大なだけのリス。レベルも低い。
「ひえええええッ!」
だがシンジは腰が抜けて動けなかった。いくら魔物の中でも貧弱といえ、そのサイズは大型犬に迫るものがある。普段戦わない魔物が必死に相手を撃退しようと尻尾を逆立て、牙を剥く。その形相に気圧されてしまったのだ。
普段から犬に脅える様な人間が、はいと拳銃を渡されて何人戦えるだろうか。いつも臆病だがいざという時に勇気を奮える人間というのは一握り。特になにもない時から身の危険でもない困難から逃げていては、こういう土壇場での力は養われない。
安全になってから精一杯イキって見せても反感を買うばかり。自分の力を知らないだけで調子に乗って……と怒りを覚えたがリュウガによって魔王の加護は晒された上で信用できないという反応を貰っている。能力と実績を知った上で馬鹿にされているということがシンジには受け入れられなかった。
「疲れたで……」
街への行軍も真っ先にリタイア。チート能力があればモテモテ大活躍という幻想は脆くも打ち砕かれることとなった。街にも加護が怪しいということで入れず、テント暮らしを余儀なくされる。その上で連れ回され、シンジのストレスはマックスに達していた。尤も、何も知らずに異世界などに飛ばされた上碌な能力も与えられていないクラスメイト達の方がよほどストレスフルだろうが。
その後も可能な限り活躍を試みるが、生来よりの愚かさと己の都合がいい様に情報を捉える習性から悪化の一途を辿った。一体何をすればハッキリと村を魔物から守ってくれていると明記されている女神像を粉砕する暴挙に出るのか。目の前の魔物を倒しても脅威は去るわけではない上、そこまで考えていないし倒せるわけでもないという愚行の見本市であった。
そこまでの愚かさを晒しながらも、きっと女子たちは自分を見直してベタ惚れだと信じて疑わないのがシンジという愚物であった。彼はよせばいいのにフィルセにもしつこく言い寄っており、別にお互いその気はないのにリュウガと彼女が恋人同士に違いないと勘違いした上でリュウガのいない隙を狙った。
「なぁ、オラのこと好きなんやろ」
「おがくずの次くらいにはね」
無表情無感情でこんな返しをされれば、これは誰が聞いても脈無しと思うだろう。なにせおがくずである。まぁ火種にはなるだろうが魔法のあるこの世界では役立たずもいいところだ。
(よっしゃ、惚れてるで……)
が、この勘違い。遠まわしな拒絶など意味を成さず、ぐいぐい寄ってくる。
「なぁ今度デートせん?」
「……はぁ? なんでそうなるのよ」
全く話の前後が繋がらない様子にフィルセは呆れていたが、それを察することが出来るほどシンジは賢くない。そもそも前提に『異世界転生したオデは現地の女子にモテモテ』という間違いにもほどがある考えを持っているので当然話など出来るはずもない。
「私、暇じゃないのよ。あなたと違って」
「またまたぁ、そんなこと言って。今度の休みにでも……」
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理論上最も苦痛を伴うとされる空役刑を持ち出してどの程度嫌っているか伝えたものの、これでも遠まわしだったらしく通じない。結構、ストレートな拒絶に部類される表現ではあるはずだ。
「じゃあオラと穴掘ろう」
「……」
これにはフィルセも頭を抱えた。そして、ハッキリ言うことにした。
「私ね、あなたのこと嫌いよ。遠慮した言い方じゃ伝わらないからしっかり伝えさせてもらうけど。とても嫌い。仕事もしないくせにミスした相手に怒るところとか、根性ないところとか、そもそも怠け者なところとか。嫌いなところはいくらでも言ってあげる」
ここまでぼろくそに言われ、シンジは黙っているしかなかった。その姿勢も見透かされているのだが。
「聞いてる? 耳が痛くなると黙り込んで過ぎるのを待つばかりで、まるで反省がないところも嫌いね」
「わぁあああああああッ!」
「困り果てると癇癪起こすところもね。才能がないならないなりにリュウガくらい勤勉になってみなさい」
いつもの手段は悉く通じず、バッサリ切られてしまう。
それで今度は教会にやってきたプリーストのモニカに目を付けたというわけだ。
「なぁ、オラのこと好きなんだろ?」
「会ったばかりの人をどうとも言えません」
聞き方にバリエーションがないのはどうにもならないが、モニカは初対面で村人に混じって処刑に参加していたことに言及しないだけかなり優しい。しかしそんな彼女の優しさが裏目に出てしまう。
「ならオラとデートしようや」
「神に仕える身にその様なこと……」
これはこれは、禁断の恋ですなとシンジは勝手ににやける。別にこの世界の聖職者が独身でないといけないというルールはないのだが、神に仕えるからと独身を選んでいる人が多い程度の話である。
「あなた、私と家庭を持つことを前提に、真剣にお付き合いする気はありますか?」
「もちろん!」
「ならば私と同様に神に仕える者として修練を積みましょう」
しかしモニカの優しさとは厳しさでもある。本を持って魔法の練習を迫る。
「え、修練……」
「ええ。そう身構えず。回復魔法を覚えたいというリュウガさんが毎日この程度ですから……まぁまずはその半分ですかね。あの人と違って仕事をしていないのでこのくらいは余裕でこなしてくれるでしょう」
「ひええええッ!」
当然、小学生の頃から音読さえ逃げ回っていたシンジにそんなこと出来るはずもなく逃げ出してしまう。女性にモテたいという欲求でさえ、僅かな苦役に負けてしまうのだ。
元気に穀を潰しているシンジを見かね、リュウガが薪を割る仕事に連れてきたことがあった。
「こんなことしか出来ないけど……」
「いやいや、マンパワーは正義だぜ」
加護を受けていないクラスメイトは軽作業を手伝っていたが、目の前に信じられない役立たずがいるのも相まってリュウガはそれだけでも助かっていた。人手は全てを解決する。
しかしシンジの使えなさときたらいない方がマシであった。
「いいか、刃物使っている奴の近くに寄らない! 必要がある時は声をかける! 斧を使う時は、持つ方の手に手袋をしない! この三つだけまず覚えろ!」
リュウガも最初に教わった、木こりというより刃物を扱う者としての鉄則。これは全員に伝えており、高等教育を受けるレベルになれば簡単に覚えられるレベルだ。
「おいシンジ! 言ったこと早速忘れてんじゃねぇ!」
だが、シンジは違った。もう覚える気がないのではないかというレベルで、何度も繰り返し同じ指摘を受ける。すぐ刃物を持った相手の傍に、フラフラと何の用もなく近づくのだ。
「だから斧持つ手は手袋外せ! すっぽ抜けたらあぶねぇだろうが!」
その規則がなぜあるのかまで説明しても、右から左ではまるで意味を成さない。さすがに他人の命が掛かっているのでリュウガも真剣だ。とはいえ彼は教えてもらった人にここまで厳しく言われたことはないのだが、もし他人に教えることがあれば命に関わるから殴ってでも沁み込ませろとは言われていたりする。
その木こりの爺さんも『いやまさかこれを殴って教えないといけない奴なんていねぇだろ』と笑っていた。
「てめぇいい加減にしろ!」
が、そんな爺さんの予想は異世界からの来客に破られることとなった。五回ほど各注意を守らなかったので、さすがのリュウガも安全の都合手を挙げざるを得なかった。顔面にグーが飛ぶ。
「何度言ったら覚えるんだ! 命に関わるって言ってるだろうが! おめぇが死ぬんなら勝手にすりゃいいが、他人を巻き込むんじゃねぇ!」
ここまで懇切丁寧に言われても、シンジには『気に入らないから怒鳴られている』程度にしか伝わっていない。そうやって忠告を聞き流してきたシンジはもう、だれがどう手を尽くしても手遅れの状態になっていた。
そんなことを、シンジは何もない虚無空間で思い返していた。
「あいつらが……あいつらがいけないんだ……!」
猛烈な逆恨みと共に。そして悪いことに、今の彼にはその負の感情をエネルギーとして不可能を可能にする力があった。自業自得の憎しみを喰らい、魔王の加護は虚無空間を現実に繋げる魔力を練り上げていた。理論上は、神の御業でもないと不可能なほど膨大な魔力を要する行為。
しかし魔王レベル99という圧倒的な加護がそれを可能にする。魔力の問題をクリアしても、その術式の錬成には膨大な時間を要する。しかしここは時間などいくらでもある虚無空間。複雑な術式の制御は魔王のスキルが全てやってくれる。
さぁ、復讐の時が来た。意気揚々と、シンジは虚無空間から脱出を果たす。まずは何に付けても女達の口から話題に出るリュウガ・アークライド。奴への逆襲を遂げねばならない。
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ディルは居場所を失っただけでなく、性格が狂暴だから追放されたことを記す貼り紙を勇者パーティーに公開されて苦境に立たされるが、とある底辺パーティーに拾われる。
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