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五十四話
しおりを挟む「———ッ」
ベットに倒れ込んだまま、唇を噛む。
私の魔力が枯渇したと言うことは、アティスにかけていた身体強化の魔法が切れたと言うこと。
はるか昔の聖女の日記から見つけた、出どころもよく分からない魔法だったけど、とても強力な魔法だった。
でも逆にいえば、その超強力な魔法を帝国最強と言ってもいいほどの実力を持つアティスに使っても古代の化け物は倒せなかった。
正確に状況を把握しているわけじゃないけど、互角程度だったと思う。一度きりしか使えない魔法で、強化しても互角程度だった。
つまり、その強化が無くなった今は……戦いにもならない。
「全然、魔力が、回復しない……?」
あぁ、そうだった。
確か、魔力が一度枯渇すると魔力の回復速度が著しく低下するんだった。
魔力枯渇なんて、今までになったことがないから分からなかった。
魔力は回復しない。
身体は魔力枯渇の影響なのか全身が鉛のように重たい。
もう一度アティスに強化魔法を使うことはできない。
数時間はまともに戦えない。
いったい、どうすれば……
「んっ!」
まるで自分の腕ではないかのように、私の命令を聞いてくれない腕をどうにか顔に上まで持ってくる。
「まだ、消えてない」
私の頭の中で一つの考えが浮かんだ。
出来るかどうか分からない。それができたところでアティスが敵に勝てる可能性は限りなく低いと思う。
だけど、やる価値はあります!
手の甲には薄い透明な紋様がいまだに残っている。
残っているなら、私はまだアティスに干渉できると言うこと。私とアティスを繋ぐパスはまだ消えてない。
一度しか使えない魔法のはず。その理由までは解読を終えることができなかった。
でも、恐らく私はアティスに使った強化魔法を再現できる。
王国を守る結界よりも再現することは簡単でしょう。
ですが、問題は三つ。
一度しか使えない理由が分からないこと。もしかすると、再現できても魔法が発動しない可能性もあること。
私の魔力がまだ一割も回復しきっていないこと。この程度の魔力では3秒も持てばいい方でしょう。異常なほどの魔力回復スピード。一時的でも、これを失ってしまった今の私は、そこそこ魔力量が多く、魔法操作にたけているだけの魔術師に成り下がってしまった。
最後の一つは、アティスがもう……
「いえ、最後のは使えばわかることです。
集中、集中……」
少しでも長く魔法を維持するために、身体から魔力を捻り出す。
魔力を操作し、魔法を再現する。
手の甲の紋様に光が灯る。
「うっ!……」
成功した。
魔法が成功したことで、アティスの状況が少し把握できる。
まだ、負けてない。
出来るだけ長く、魔法の維持をしないと!
「うっ、ぐっ!——ッ」
魔法の再現が成功した直後から来る激痛。身体が内側から壊れていくような感覚。
少しでも、少しでも長く———
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