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八話
しおりを挟む「貴様は王女への不敬罪で犯罪奴隷落ちとする」
「な、何を言っているんですか! ありえないでしょう! あの状況で不敬罪が適応されるわけがない!」
陛下が処分を伝えるとヴィルは騒いだ。
この国にいる奴隷の種類は三つ。親に売られた人間と借金で奴隷になった人間、そして犯罪を犯して奴隷になった人間。
親に売られた人間は奴隷と言われているが、一日の最大労働時間は八時間、毎日食事は三食、最低週休二日、性的行為の強要禁止などのことが法律で定められている。
また、もらえる賃金は普通の4分の1程度だがそれを貯めて自分を買った時と同じ金額を主人に支払うことができれば奴隷から解放される。
借金奴隷は税金を払えなかったり、借りたお金を返す意思がない時にされてしまう奴隷だ。
この奴隷は普通に働くのと同じ賃金がもらえて、借金を返済すれば解放となる。
犯罪奴隷。これは犯罪を犯した者の中でも罰金や強制労働などでは償えないほどの罪を犯した人間がなるもの。
犯罪奴隷が働く環境は悲惨だ。一日の労働時間に限りはなく、一日一食しか保証されず解放制度もない。毎年多くの犯罪奴隷が過酷な労働によって命を落とすと言う。だが、そんな事を気にする者はいない。元々死刑になるような人間しか犯罪奴隷にはならないのだから。
「そんな事ありえないでしょう!」
「うるさい! もう決まった事だ!」
「ふざけるな! このクソ野郎!」
ヴィルが声を荒げる。
「連れて行け」
だが、その瞬間部屋に入ってきた騎士二人にヴィルが連行されていく。
「おい! こんなのおかしいだろ!」
「この度は本当に申し訳ありませんでした」
「もういい、ラグル。処分は言い渡した。領地のことなどは追って連絡する」
「分かりました。それでは陛下、失礼します」
ラグルが頭を下げてから部屋を出る。
「はぁ……八つ当たりだな……
セラを棄て、孤児院で生活させてしまったことへの怒り。都合のいいことだが、大切な娘を馬鹿にされた怒り。どちらもぶつけてしまった。あの状況では不敬罪の適応は難しいと言うのにな……」
「別に良かったのでは? たとえあの場でセラ様を平民だと思っていてもあの行為は許されるものではありません。あんな者が貴族にいては国民に示しがつきませんよ。私は、今回の処分間違っていたとは思いません」
「そうか……」
レグダスの言葉を聞き、陛下は小さく言葉を返した。
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