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青い光が輝きを放ったあとどこからか地響きが聞こえた。黒い竜巻はみるみる大きくなり、激しい音を鳴らしながら屋敷全体を飲み込み始める。
自分の見ている世界が一瞬で壊れ、暗闇に飲み込まれていく。まるでゲームやアニメの世界みたいだった。
・・・嘘でしょ・・・時継様は・・・!?
後ろを振り返ると時継様がこちらへ走ってこようとする姿が見えた。私の方へ手を伸ばしてくれている。
『ゆき!』
『時継様!』
私も走り寄りもう少しで手が触れるという所まできたけど寸前で二人共黒い竜巻に飲み込まれ引き離された。
・・・ああ・・・もしかして私が落とし穴に落ちて元の世界に戻らなかったから落とし穴が暴走したんだろうか?あの時勇気を出して自ら落とし穴にもう一度落ちていたら・・・この世界は時継様は、みんなは無事に毎日を過ごせたんだろうか?そうだとしたらこの結末は全て私が引き起こした事になる。なんて酷いことをしてしまったんだろう・・・取り返しのつかない事実を目の当たりにして頭の中は混乱し続けていた。そしてそんな事を考えながら竜巻の衝撃でいつの間にか失神してしまっていた。
・・・・・ここは?
次に目が覚めた時は辺り一面が真っ暗な場所だった。
真っ暗って事は落とし穴の中に閉じ込められたのだろうか?何も見えない中でゆっくりと地面をはって前に進んだけどどんなに進んでも壁に当たる事はなく、ひたすら真っ暗な世界だけが続いているようだった。
・・・どうしよう・・・みんなはどこにいってしまったんだろう?別の世界?私がいた世界?はたまたこの暗闇の世界のどこかにいるんだろうか?
しばらく途方に暮れていると前から人の歩く音が聞こえてきた。
『・・・誰か、誰かいるんですか!?』
そして真っ暗闇のはずの中にいきなり小さな光が灯り見覚えのある顔が現れた。
『千代・・・。』
『・・・また会ったわね。気分はどう?』
『一体どういう事なの?何が起こったっていうの?』
『何がって言われても・・・なかなか説明が難しいんだけど。っていうか目覚めたら真っ暗闇で私もびっくりしたし。まあたぶん落とし穴の件といいやっぱり時空間とかが歪んじゃってるんじゃないかな、わかんないけど。』
『時空間?何それ?』
『自分がさ、生まれた頃の記憶ってある?』
『え、記憶?・・・そりゃああるけど。』
『へぇ・・・あるんだ、いいね。私はね、実を言うと今はあんまり覚えてないんだよね、今回の千代の人生は。』
『・・・今回の?』
『そう、日が経つにつれて少しずつ忘れていっちゃって。たぶんまたもう一回になるのかな?それすらも予測でしかないし、次は色々覚えているのかな?覚えてたら次はちゃんと責務を全うするね!』
やっぱり千代が言っている事は何一つピンとこなくて理解出来なかった。
『でもさ、私にも夢があって。いつかはさ、誰かの敵役とかじゃなくて自分が主人公になって幸せな人生を歩みたいなって思ってる。誰かを幸せにするためじゃなくて、自分自身が幸せになるために生きたいなって!だから、その時がいつか来るまではちゃんと自分の役目は果たすつもり。今回は上手くいかなかったけど、次は必ずね!・・・あと一つ、目的達成のためとはいえ痛い想いや辛い目にあわせてしまった事は悪かったと思ってる。本当にごめんなさい・・・ってもう時間みたい、行かないと。じゃあ、とにかくお互い頑張ろうね!』
『え・・・あ、ちょっと待ってよ!』
そう言い残すと千代はすぐに消えてしまい、私もそのまままた気を失ってその場に倒れた。
自分の見ている世界が一瞬で壊れ、暗闇に飲み込まれていく。まるでゲームやアニメの世界みたいだった。
・・・嘘でしょ・・・時継様は・・・!?
後ろを振り返ると時継様がこちらへ走ってこようとする姿が見えた。私の方へ手を伸ばしてくれている。
『ゆき!』
『時継様!』
私も走り寄りもう少しで手が触れるという所まできたけど寸前で二人共黒い竜巻に飲み込まれ引き離された。
・・・ああ・・・もしかして私が落とし穴に落ちて元の世界に戻らなかったから落とし穴が暴走したんだろうか?あの時勇気を出して自ら落とし穴にもう一度落ちていたら・・・この世界は時継様は、みんなは無事に毎日を過ごせたんだろうか?そうだとしたらこの結末は全て私が引き起こした事になる。なんて酷いことをしてしまったんだろう・・・取り返しのつかない事実を目の当たりにして頭の中は混乱し続けていた。そしてそんな事を考えながら竜巻の衝撃でいつの間にか失神してしまっていた。
・・・・・ここは?
次に目が覚めた時は辺り一面が真っ暗な場所だった。
真っ暗って事は落とし穴の中に閉じ込められたのだろうか?何も見えない中でゆっくりと地面をはって前に進んだけどどんなに進んでも壁に当たる事はなく、ひたすら真っ暗な世界だけが続いているようだった。
・・・どうしよう・・・みんなはどこにいってしまったんだろう?別の世界?私がいた世界?はたまたこの暗闇の世界のどこかにいるんだろうか?
しばらく途方に暮れていると前から人の歩く音が聞こえてきた。
『・・・誰か、誰かいるんですか!?』
そして真っ暗闇のはずの中にいきなり小さな光が灯り見覚えのある顔が現れた。
『千代・・・。』
『・・・また会ったわね。気分はどう?』
『一体どういう事なの?何が起こったっていうの?』
『何がって言われても・・・なかなか説明が難しいんだけど。っていうか目覚めたら真っ暗闇で私もびっくりしたし。まあたぶん落とし穴の件といいやっぱり時空間とかが歪んじゃってるんじゃないかな、わかんないけど。』
『時空間?何それ?』
『自分がさ、生まれた頃の記憶ってある?』
『え、記憶?・・・そりゃああるけど。』
『へぇ・・・あるんだ、いいね。私はね、実を言うと今はあんまり覚えてないんだよね、今回の千代の人生は。』
『・・・今回の?』
『そう、日が経つにつれて少しずつ忘れていっちゃって。たぶんまたもう一回になるのかな?それすらも予測でしかないし、次は色々覚えているのかな?覚えてたら次はちゃんと責務を全うするね!』
やっぱり千代が言っている事は何一つピンとこなくて理解出来なかった。
『でもさ、私にも夢があって。いつかはさ、誰かの敵役とかじゃなくて自分が主人公になって幸せな人生を歩みたいなって思ってる。誰かを幸せにするためじゃなくて、自分自身が幸せになるために生きたいなって!だから、その時がいつか来るまではちゃんと自分の役目は果たすつもり。今回は上手くいかなかったけど、次は必ずね!・・・あと一つ、目的達成のためとはいえ痛い想いや辛い目にあわせてしまった事は悪かったと思ってる。本当にごめんなさい・・・ってもう時間みたい、行かないと。じゃあ、とにかくお互い頑張ろうね!』
『え・・・あ、ちょっと待ってよ!』
そう言い残すと千代はすぐに消えてしまい、私もそのまままた気を失ってその場に倒れた。
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