【完結】ブラック企業で働く私が落ちた落とし穴の先はイケメン御曹司が住むお屋敷へと繋がっていました。

望月ナナコ

文字の大きさ
上 下
48 / 89

47 【千代視点】

しおりを挟む
予定がだいぶ狂ったがゆきと話し合ったところで何も解決しないことがわかった。それどころかゆきは思っていたよりもだいぶ図々しい、怪しいどこかかなりの危険人物だ。

頭を下げて油断させようとしているのかもしれないがわらわはその手にはのらん!怒りと共にゆきにはどこから来たか分からない存在として若干の恐怖心を感じ始めていた。しかし、時継様の為にもここでやすやすと引き下がるわけにもいかなかった。

『ここには・・・秋道と来たようだな。』

祝言まで後わずか、ゆきが屋敷からいなくなった事にしていれば・・・立場上時継様はわらわと一緒になるしかなくなるだろう。もう時間が無い。時継様の目を覚ますのは後にして、とにかく無事に祝言を挙げられるように動こうではないか。

『そうだな・・・そなたでは話にならない故、少し秋道と二人で話をしよう。外で待っていなさい。』

一人の力ではやれる事に限界がある。

しかし、秋道を味方につければ展開は変わるのかもしれない。少し待つと秋道が不安そうな顔をして現れた。

『千代様、ご無事でしたか。』

『ああ、身体はなんともない。心はボロボロだがな。』

秋道は気まずそうな顔をしてうつむいた。

『わらわは昨日知ったばかりだが・・・秋道、そなたならうすうす知っていたのではないか?時継様とゆきの関係について。』

『・・・千代様』

『別にそれは構わん。ゆきは・・・一体何者なんだろうか。問い詰めても未だに他の世界から来たとしか言わんのだ。』

バツが悪いような顔をして話始めようとする秋道の話を遮った。やはり何かしらは知っていたのであろう。

『正直・・・何故そなたがその得体の知れないゆきに惹かれたのかは到底理解出来ない。だが、このままではわらわにとって最悪の結末になりかねない。どうだ、ここは協力しあわないか?』

秋道はわらわがゆきへの想いに気付いていた事にたいそう驚いていた。

ゆきが目につく存在であったからこそゆきに向けられる視線の変化に気が付く事が出来たのかもしれない。

最初はわらわと同じ敵意の目だったはずなのにある日を境に秋道のゆきに対する視線はがらっと変わった。

『ゆき本人はそなたの気持ちなどまるで気付いていないんであろうな・・・あれは今時継様の事で頭がいっぱいなようだから、好きなら好きではっきり言わないと何も伝わらないぞ。ゆきとゆっくり二人で触れ合う場など現状そうそう作れまい。だが、今この場を利用すれば作る事が出来る。まあ・・・そなたに霧島家を捨てる覚悟があればの話だがな。』

『・・・私は手荒な真似などはしたくありません。』

『手荒な真似などしなくてもよい。ただ、一芝居うつだけじゃ。』

『一芝居?千代様、一体私にどうしろというのですか?』

しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】転生したぐうたら令嬢は王太子妃になんかになりたくない

金峯蓮華
恋愛
子供の頃から休みなく忙しくしていた貴子は公認会計士として独立するために会社を辞めた日に事故に遭い、死の間際に生まれ変わったらぐうたらしたい!と願った。気がついたら中世ヨーロッパのような世界の子供、ヴィヴィアンヌになっていた。何もしないお姫様のようなぐうたらライフを満喫していたが、突然、王太子に求婚された。王太子妃になんかなったらぐうたらできないじゃない!!ヴィヴィアンヌピンチ! 小説家になろうにも書いてます。

捨てられた王妃は情熱王子に攫われて

きぬがやあきら
恋愛
厳しい外交、敵対勢力の鎮圧――あなたと共に歩む未来の為に手を取り頑張って来て、やっと王位継承をしたと思ったら、祝賀の夜に他の女の元へ通うフィリップを目撃するエミリア。 貴方と共に国の繁栄を願って来たのに。即位が叶ったらポイなのですか?  猛烈な抗議と共に実家へ帰ると啖呵を切った直後、エミリアは隣国ヴァルデリアの王子に攫われてしまう。ヴァルデリア王子の、エドワードは影のある容姿に似合わず、強い情熱を秘めていた。私を愛しているって、本当ですか? でも、もうわたくしは誰の愛も信じたくないのです。  疑心暗鬼のエミリアに、エドワードは誠心誠意向に向き合い、愛を得ようと少しずつ寄り添う。一方でエミリアの失踪により国政が立ち行かなくなるヴォルティア王国。フィリップは自分の功績がエミリアの内助であると思い知り―― ざまあ系の物語です。

【完結】べつに平凡な令嬢……のはずなのに、なにかと殿下に可愛がれているんです

朝日みらい
恋愛
アシェリー・へーボンハスは平凡な公爵令嬢である。 取り立てて人目を惹く容姿でもないし……令嬢らしくちゃんと着飾っている、普通の令嬢の内の1人である。 フィリップ・デーニッツ王太子殿下に密かに憧れているが、会ったのは宴会の席であいさつした程度で、 王太子妃候補になれるほど家格は高くない。 本人も素敵な王太子殿下との恋を夢見るだけで、自分の立場はキチンと理解しているつもり。 だから、まさか王太子殿下に嫁ぐなんて夢にも思わず、王妃教育も怠けている。 そんなアシェリーが、宮廷内の貴重な蔵書をたくさん読めると、軽い気持ちで『次期王太子妃の婚約選考会』に参加してみたら、なんと王太子殿下に見初められ…。 王妃候補として王宮に住み始めたアシュリーの、まさかのアツアツの日々が始まる?!

人質王女の恋

小ろく
恋愛
先の戦争で傷を負った王女ミシェルは顔に大きな痣が残ってしまい、ベールで隠し人目から隠れて過ごしていた。 数年後、隣国の裏切りで亡国の危機が訪れる。 それを救ったのは、今まで国交のなかった強大国ヒューブレイン。 両国の国交正常化まで、ミシェルを人質としてヒューブレインで預かることになる。 聡明で清楚なミシェルに、国王アスランは惹かれていく。ミシェルも誠実で美しいアスランに惹かれていくが、顔の痣がアスランへの想いを止める。 傷を持つ王女と一途な国王の恋の話。

【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。

朝日みらい
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。 宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。 彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。 加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。 果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?

彼の愛した花嫁

恋愛
かつて自分から逃げた彼女を捕まえた俺は… 今度こそ離さないと誓った 陽葵(人)×絃(金色の九尾) 強引ですが完結させました 話がおかしい場面があると思いますが ご了承下さい

婚約破棄とか言って早々に私の荷物をまとめて実家に送りつけているけど、その中にあなたが明日国王に謁見する時に必要な書類も混じっているのですが

マリー
恋愛
寝食を忘れるほど研究にのめり込む婚約者に惹かれてかいがいしく食事の準備や仕事の手伝いをしていたのに、ある日帰ったら「母親みたいに世話を焼いてくるお前にはうんざりだ!荷物をまとめておいてやったから明日の朝一番で出て行け!」ですって? まあ、癇癪を起こすのはいいですけれど(よくはない)あなたがまとめてうちの実家に郵送したっていうその荷物の中、送っちゃいけないもの入ってましたよ? ※またも小説の練習で書いてみました。よろしくお願いします。 ※すみません、婚約破棄タグを使っていましたが、書いてるうちに内容にそぐわないことに気づいたのでちょっと変えました。果たして婚約破棄するのかしないのか?を楽しんでいただく話になりそうです。正当派の婚約破棄ものにはならないと思います。期待して読んでくださった方申し訳ございません。

【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される

風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。 しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。 そんな時、隣国から王太子がやって来た。 王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。 すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。 アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。 そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。 アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。 そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。

処理中です...