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38 【時継視点】
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自分を落ち着かせるために呼吸を整える。
『ゆきに・・・伝えなければいけない事があるのだ。混乱させてしまうかもしれないが落ち着いて聞いて欲しい。』
大丈夫、真っ直ぐに今自分の中にあるこの想いを伝えよう。
『私と、家族になってほしい。』
いきなりすぎる話なのは承知の上だった。だがこの気持ちを伝えないと自分の中で次には進めないと感じた。
『思い返せば初めて会った時から本当は惹かれ始めていたのかもしれぬ。最初は可愛いなと思う程度だったが、日に日に自然とゆきの姿を目で追うようになっていった。だが、私は許嫁がいる身。自分の立場もあるゆえ今までは気持ちを押し殺すしかなかったのだ。祝言まであとわずか、最近はこのままでいいのかと自問自答する日々だった。』
その時一瞬千代の顔が頭をよぎった。この気持ちを伝えるという事は結末はどうであれ彼女を傷つけてしまう事に変わりはない。
『私は・・・私はゆきの事が好きだ。許されぬ事とはいえ、好きになってしまった。これから歩んでいく道、隣には必ずゆきにいて欲しいと思っている。だから・・・だから、私と家族になって欲しい。』
『時継様・・・。』
心臓の音が身体中を駆け巡りあらためてゆきへの想いの大きさを知らされた。頼む、どうか届いてくれ・・・そう念じながらゆきの事を見つめた。
『わ、私も・・・時継様の事がずっと好きでした。』
そうしてゆきは静かに目をそらすと顔を真っ赤にしていた。
『そ、それは・・・誠か?』
ゆきがコクリと頷いた瞬間、初めて想いが通じたと実感し気付いたら彼女を抱きしめていた。抱きしめ返してくれるゆきが嬉しい現実を後押しする。そしてそれと共に真摯に向き合わなければいけない千代との事を考えた。
『千代は私のために今まで色々と尽くしてくれたしその想いも十分に感じてきた。早急に、話し合いを持たねばならぬと思っている。』
『・・・はい。』
千代は祝言の日をとても楽しみにしていた。
『急な事で屋敷の人間も混乱するかもしれぬし、一時的に嫌な想いをさせる事ももしかしたらあるかもしれん。だが必ずちゃんとけじめをつける・・・私を信じてしばし時間をくれ。』
その祝言まであと1か月を切り時間が無いことを考えると千代にはすぐにでもこのこと伝えねばなるまい。到底すんなりとは納得出来ないだろう。
千代・・・本当にすまない。
報われた想いとは裏腹に裏切りにも似た事をしてしまった事実。
夕日に照らされる一本道を歩いていく中でゆきと千代、2人の事ばかり考えていた。
『ゆきに・・・伝えなければいけない事があるのだ。混乱させてしまうかもしれないが落ち着いて聞いて欲しい。』
大丈夫、真っ直ぐに今自分の中にあるこの想いを伝えよう。
『私と、家族になってほしい。』
いきなりすぎる話なのは承知の上だった。だがこの気持ちを伝えないと自分の中で次には進めないと感じた。
『思い返せば初めて会った時から本当は惹かれ始めていたのかもしれぬ。最初は可愛いなと思う程度だったが、日に日に自然とゆきの姿を目で追うようになっていった。だが、私は許嫁がいる身。自分の立場もあるゆえ今までは気持ちを押し殺すしかなかったのだ。祝言まであとわずか、最近はこのままでいいのかと自問自答する日々だった。』
その時一瞬千代の顔が頭をよぎった。この気持ちを伝えるという事は結末はどうであれ彼女を傷つけてしまう事に変わりはない。
『私は・・・私はゆきの事が好きだ。許されぬ事とはいえ、好きになってしまった。これから歩んでいく道、隣には必ずゆきにいて欲しいと思っている。だから・・・だから、私と家族になって欲しい。』
『時継様・・・。』
心臓の音が身体中を駆け巡りあらためてゆきへの想いの大きさを知らされた。頼む、どうか届いてくれ・・・そう念じながらゆきの事を見つめた。
『わ、私も・・・時継様の事がずっと好きでした。』
そうしてゆきは静かに目をそらすと顔を真っ赤にしていた。
『そ、それは・・・誠か?』
ゆきがコクリと頷いた瞬間、初めて想いが通じたと実感し気付いたら彼女を抱きしめていた。抱きしめ返してくれるゆきが嬉しい現実を後押しする。そしてそれと共に真摯に向き合わなければいけない千代との事を考えた。
『千代は私のために今まで色々と尽くしてくれたしその想いも十分に感じてきた。早急に、話し合いを持たねばならぬと思っている。』
『・・・はい。』
千代は祝言の日をとても楽しみにしていた。
『急な事で屋敷の人間も混乱するかもしれぬし、一時的に嫌な想いをさせる事ももしかしたらあるかもしれん。だが必ずちゃんとけじめをつける・・・私を信じてしばし時間をくれ。』
その祝言まであと1か月を切り時間が無いことを考えると千代にはすぐにでもこのこと伝えねばなるまい。到底すんなりとは納得出来ないだろう。
千代・・・本当にすまない。
報われた想いとは裏腹に裏切りにも似た事をしてしまった事実。
夕日に照らされる一本道を歩いていく中でゆきと千代、2人の事ばかり考えていた。
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