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今日は満月かな・・・病み上がりで体調も微妙だったので部屋からは出ずに今日一日ぼんやり過ごしてしまった。

屋敷の夜空には綺麗な満月と星空が広がっている。確か最初に落とし穴から落ちた時も満月だったような?

時系列が同じだとしたらあれから1ヶ月経ったという事になるのか、早いな。今思い返しても怒涛の1ヶ月だった。

『ゆき。』

『秋道さん・・・。』

廊下に座っていた私の隣に秋道さんも座った。心なしかちょっと距離が近いような。そんなにマジマジ見た事無かったけど月明かりに照らさせる秋道さんの横顔は思いの外整っていて綺麗だった。床に無意識に置いてある手はゴツゴツしていてとても男らしい。そういえば熱で魘されているとき誰かに手を握ってもらった気がしたんだけど、あれって秋道さんだったりして・・・なんて、まさか、気のせいだよね。

『時継様から大体の話は聞いた。正気か?何故わざわざ時継様と出掛けたいなどと言うのだ。ゆきは・・・時継様の事が好きなのか?』

真っ直ぐにこちらを見て近づいて質問してくる秋道さんにドキドキしているのか、質問内容が図星過ぎてドキドキしているのか急展開過ぎてよく分からなくなった。

『な、なんですか突然・・・時継様はご結婚されるんですよ?そ、そんな事、あるわけないじゃないですか。結婚しちゃったらますます二人で出掛ける事も出来ないだろうし、この世界に来ていろいろお世話になったから、今のうちに何か思い出を作りたいなって思っただけです。』
 
『そうか、それは信じていいんだな?』

も、もちろんです・・・そう言おうとした途端、向こうの夜空に高く伸びる青い光が見えた。

『あ!』

私は秋道さんの話を遮って席を立つ。なんかこないだより光の輝きが強くなっている気がする。

『ちょっと、すみません!』

『あ、おい、ゆき!どこへ行くのだ!』

走りながら空を見て思う。もしかしたら満月の日には青い光が現れるのかもしれない!?

お地蔵さんの前に辿り着くとこれまで見てきたような青い光がそこにはあった。前と違うのは光の強さと光が包んでいる範囲だった。前はお地蔵さんの前だけに円状に現れていた光の形が今はお地蔵さんも包みこんだ上でお地蔵さんを中心に二回りくらい円の大きさが大きくなっていた。

何これ・・・怖い・・・。

光が大きくなった中でお地蔵さんの目の前にだけ地面が小さくブラックホールのような穴を作っていた。前はそんなの目では確認出来なかったのに、あれはきっと私が落ちた落とし穴と同じものだろう。

『ゆき、どうしたというのだ!?』

秋道さんに声を掛けられた時に青い光の輝きが一層増して辺りが徐々に眩しいくらいになっていく。恐らく前と同じように私にしか見えてないのかもしれない。嫌な予感がした私は秋道さんの元へ行き彼を引っ張ってお地蔵さんから離そうとする。

『こちらに!』

『なっ、ど、どこへ行くのだ!?』

『いいからちょっと・・・とにかくここから離れましょう!』

そうして私達がその場所から離れているうちに眩しい光は消えてその瞬間に以前よりもとんでもなく大きな突風が吹いて私達は吹き飛ばされた。





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