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・・・う・・・うーん・・・。

目が覚めると小屋の引き戸から少し光りが差しているのが見えた。

小屋にひとりぼっちになって迎えた夜は風の音なのか動物が通った音なのか耳を澄ますと定期的にガサガサっと音が聴こえてきて怖くて全然眠れなかった。

朝方になって鳥の囀りが聞こえてきたときに体力の限界を迎えてウトウトし、そのまま眠りについた。

・・・痛みは昨日よりだいぶマシになったな。大丈夫、たぶん骨は折れてない。その分昨日床に転がって壁にぶつけた箇所が所々目立つ青あざになっていたけど。

さて、これからどうしようか・・・部屋に落ちているお金の入った小袋を見つめる。まあいくら分なのかは分からないけど他の街に辿りつける事ができたらそれなりに生活出来るくらいは入ってるんだろう。

もしお侍さんが言っていたように本当に千代が指示してこのような事になったのなら許せない事ではある。でもまあ・・・屋敷にいても時継様を見て苦しい事は変わらないし・・・違う場所に行くのもありなのかなあ・・・。

木の床で寝たからか頭が重い感じがしてはっきりしない。もうそろそろ外に出ようか、そう思ったときだった。

ザッ、ザッと誰かがこちらに近づいて来る音が聞こえた。

げっ、もしかして昨日のお侍さんが戻ってきたんだろうか。また私を違う場所に連れて行くつもりなんじゃ。もう怪我は嫌だ、殴られて飛ばされるのは懲り懲りだよ・・・こんな事なら昨日の内に無理矢理にでも森に出ればよかった。

小屋の中を見回してもどこにも隠れられそうな場所が無い。ど、どうしよう・・・焦りながらも私は小屋の一番隅っこに駆け込んだ。

ガラッ。

引き戸が開いてお侍さんのシルエットが見える。

『・・・え・・・秋道さん・・・?』

『・・・ゆき!?こんな所にいたのか!探したぞ、大丈夫か!?』

秋道さんは私を見つけると素早く私の方に来てくれた。

『一体何があったのだ?屋敷のみんなも昨日から心配しているぞ!』

『秋道さん・・・どうしてここに?』

『何を言っておる、これだ!』

そう言って昨日最後に道端に置いたシロツメクサの編んだ残骸を見せてくれた。

『そっか・・・よかった、届いたんだ・・・秋道さんが見つけてくれたんですね。』

私はそれを受け取ると蔦の部分を編み込んで秋道さんの腕につけてあげた。

『昨日作ったからちょっと萎れちゃったんですけど、こんなに遠くまで探しに来てくれて嬉しかったので・・・また秋道さんにあげます・・・。』

あー・・・ヤバイ。なんか頭がグラグラする。そう思った瞬間に身体の力が抜けて意識も遠くなり秋道さんの胸の中に思いっきりダイブしてしまった。

『ゆき!?おい、ゆき!大丈夫か、しっかりしろ!!』

秋道さんの呼びかけは聞こえるものの身体は反応させられなかった。なんだか秋道さんには迷惑かけてばっかりだな・・・そう思いながら意識が飛んだ。



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