19 / 89
18 【千代視点】
しおりを挟む
ああ・・・なんて事だ。
時継様が慌てて走っていく姿を見かけたのでわらわも慌ててその姿を追いかけたのだ。
私たちはもうすぐ祝言をあげる予定だ。その準備を進めるにあたりわらわは結婚前からこの屋敷に一人で移ってきた。
時継様とは幼馴染で小さい頃から一緒に遊んでいた。幼少の頃から容姿端麗、文武両道、隙一つ無い完璧なお方だった。だからこそ物心ついた時から時継様を好きになってしまうのは必然の事だったし、許嫁に決まった時はとても嬉しかった。完璧な時継様の妻として相応しい女性になれるようそれなりに努力してきたつもりだ。
ずっとずっと一途に貴方だけを見てきた。あと少しで時継様と正真正銘の夫婦になれる・・・そう思って一日一日を楽しみに過ごしていたのに。
それなのにあの日ゆきという女が牢屋に現れてからとにかくロクな事が無かった。
牢屋から出てくる際に時継様がゆきを抱っこして現れた姿が頭から離れない。わらわだってそんな事してもらった事がないのに!馴れ馴れしく時継様と話す姿を見て虫唾が走った。
別の空間から来たなどとぬかすどう考えても怪しい女を時継様は何故この屋敷に住まわす事にしたのだろうか?毎日、毎日考えてみてもどうしても答えは見つからなかった。
それでもわらわは時継様の許嫁。一時的に取り乱してしまった時もあったが二人が会話している姿を見てもなんとか毅然とした態度をとれるように我慢していた。
時継様の妻になる女なのだから、冷静に、冷静に、こんな事で乱されてはならないのだ・・・。
それなのに・・・。
それなのに、何故今わらわの目の前で二人は抱き合っておるのだ?一体、わらわがそなたに何をしたというのか。
握り拳にギュッと力を込めてそんな二人の姿をしばらく見ていた。どうして、どうしてこの女はそんなにわらわを苦しめるような事ばかりするのだ・・・。暗がりの中で二人はわらわの存在に気付いていないようだった。そこで深呼吸し無言で踵を返し屋敷へと戻り始めた。
・・・そうか。
そっちがその気なら、わらわにも考えがある。
大切な大切な時継様をお前のような得体の知れない女になど絶対渡してなるものか・・・今に見ておけ!!
どのようにしたら二人の仲が引き裂けるだろう?あの女を、消す事が出来るだろう?
殺さなくてもよい。どうせあの女には土地勘が無いのだ。どこか遠くにでも捨ててこれれば・・・わらわはその翌日からゆきを時継様の元から離れさせるため、動き始めた。
時継様が慌てて走っていく姿を見かけたのでわらわも慌ててその姿を追いかけたのだ。
私たちはもうすぐ祝言をあげる予定だ。その準備を進めるにあたりわらわは結婚前からこの屋敷に一人で移ってきた。
時継様とは幼馴染で小さい頃から一緒に遊んでいた。幼少の頃から容姿端麗、文武両道、隙一つ無い完璧なお方だった。だからこそ物心ついた時から時継様を好きになってしまうのは必然の事だったし、許嫁に決まった時はとても嬉しかった。完璧な時継様の妻として相応しい女性になれるようそれなりに努力してきたつもりだ。
ずっとずっと一途に貴方だけを見てきた。あと少しで時継様と正真正銘の夫婦になれる・・・そう思って一日一日を楽しみに過ごしていたのに。
それなのにあの日ゆきという女が牢屋に現れてからとにかくロクな事が無かった。
牢屋から出てくる際に時継様がゆきを抱っこして現れた姿が頭から離れない。わらわだってそんな事してもらった事がないのに!馴れ馴れしく時継様と話す姿を見て虫唾が走った。
別の空間から来たなどとぬかすどう考えても怪しい女を時継様は何故この屋敷に住まわす事にしたのだろうか?毎日、毎日考えてみてもどうしても答えは見つからなかった。
それでもわらわは時継様の許嫁。一時的に取り乱してしまった時もあったが二人が会話している姿を見てもなんとか毅然とした態度をとれるように我慢していた。
時継様の妻になる女なのだから、冷静に、冷静に、こんな事で乱されてはならないのだ・・・。
それなのに・・・。
それなのに、何故今わらわの目の前で二人は抱き合っておるのだ?一体、わらわがそなたに何をしたというのか。
握り拳にギュッと力を込めてそんな二人の姿をしばらく見ていた。どうして、どうしてこの女はそんなにわらわを苦しめるような事ばかりするのだ・・・。暗がりの中で二人はわらわの存在に気付いていないようだった。そこで深呼吸し無言で踵を返し屋敷へと戻り始めた。
・・・そうか。
そっちがその気なら、わらわにも考えがある。
大切な大切な時継様をお前のような得体の知れない女になど絶対渡してなるものか・・・今に見ておけ!!
どのようにしたら二人の仲が引き裂けるだろう?あの女を、消す事が出来るだろう?
殺さなくてもよい。どうせあの女には土地勘が無いのだ。どこか遠くにでも捨ててこれれば・・・わらわはその翌日からゆきを時継様の元から離れさせるため、動き始めた。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
異世界で王城生活~陛下の隣で~
遥
恋愛
女子大生の友梨香はキャンピングカーで一人旅の途中にトラックと衝突して、谷底へ転落し死亡した。けれど、気が付けば異世界に車ごと飛ばされ王城に落ちていた。神様の計らいでキャンピングカーの内部は電気も食料も永久に賄えるられる事になった。
グランティア王国の人達は異世界人の友梨香を客人として迎え入れてくれて。なぜか保護者となった国陛下シリウスはやたらと構ってくる。一度死んだ命だもん、これからは楽しく生きさせて頂きます!
※キャンピングカー、魔石効果などなどご都合主義です。
※のんびり更新。他サイトにも投稿しております。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
後宮の胡蝶 ~皇帝陛下の秘密の妃~
菱沼あゆ
キャラ文芸
突然の譲位により、若き皇帝となった苑楊は封印されているはずの宮殿で女官らしき娘、洋蘭と出会う。
洋蘭はこの宮殿の牢に住む老人の世話をしているのだと言う。
天女のごとき外見と豊富な知識を持つ洋蘭に心惹かれはじめる苑楊だったが。
洋蘭はまったく思い通りにならないうえに、なにかが怪しい女だった――。
中華後宮ラブコメディ。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
婚約破棄された検品令嬢ですが、冷酷辺境伯の子を身籠りました。 でも本当はお優しい方で毎日幸せです
青空あかな
恋愛
旧題:「荷物検査など誰でもできる」と婚約破棄された検品令嬢ですが、極悪非道な辺境伯の子を身籠りました。でも本当はお優しい方で毎日心が癒されています
チェック男爵家長女のキュリティは、貴重な闇魔法の解呪師として王宮で荷物検査の仕事をしていた。
しかし、ある日突然婚約破棄されてしまう。
婚約者である伯爵家嫡男から、キュリティの義妹が好きになったと言われたのだ。
さらには、婚約者の権力によって検査係の仕事まで義妹に奪われる。
失意の中、キュリティは辺境へ向かうと、極悪非道と噂される辺境伯が魔法実験を行っていた。
目立たず通り過ぎようとしたが、魔法事故が起きて辺境伯の子を身ごもってしまう。
二人は形式上の夫婦となるが、辺境伯は存外優しい人でキュリティは温かい日々に心を癒されていく。
一方、義妹は仕事でミスばかり。
闇魔法を解呪することはおろか見破ることさえできない。
挙句の果てには、闇魔法に呪われた荷物を王宮内に入れてしまう――。
※おかげさまでHOTランキング1位になりました! ありがとうございます!
※ノベマ!様で短編版を掲載中でございます。
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる