3 / 89
2
しおりを挟む
『あの、あ、ありがとうございます・・・。』
この時代に湿布やテーピングは無いのかお医者さんには葉っぱをすり潰したようなものを足首に塗られ包帯でぐるぐる巻きに固定された。心なしが足がスースーするので効き目はありそうな気がする。
『あとは医者からもらったこれを飲むとよい。』
時継様から白い紙に包まれた白い粉薬とお水を渡された。
『痛み止めだ。さ、早く飲みなさい。』
・・・・・。
時継様が悪い人でない事はすぐに理解出来たけどだからって正体不明の白い粉を飲むのは正直気が進まなかった。
『飲まなきゃ・・・ダメですかね?』
恐る恐る聞いてみる。
『お主、時継様の言う事が聞けぬというのか!』
近くで一部始終を見ていたお侍さん1号にまた怒られた。
『秋道(あきみち)、大きい声を出すな!怖がっているではないか!ここはいいから、一旦下がれ!』
『し、しかし!・・・はっ。』
お侍さん1号は秋道さんというらしい。
時継様の有無を言わさない怖い視線を受けて秋道さんは何か物を言いたそうに私をガン見して部屋から出て行った。
あの人絶対私の事嫌いだよな・・・。
『どうして飲みたくない?毒だと疑っておるのか?それは困ったな・・・。』
そう言うと時継様は少し考えこんでからうなづいた。
『では、こうしよう。』
ごっくん。
『え。』
出していた白い粉薬を私の目の前でお水と一緒に一気に飲み干した。
『どうだ、なんともないぞ。これは毒ではない。安心して飲むのだ。』
そう言うと新しい包みを私に差し出してくれた。
この人、本当に心配してくれてるんだな。
なんだかとても申し訳ない気持ちになってしまった私は水が入った入れ物からコップっぽいものに水を注ぎ薬をしっかり飲み込んだ。
に、苦い。
あんまり飲んだ事ないけど漢方チックな激まずな味がした。でもまあまずいほうがよく効くと言うし。
『よし、よく飲んだな。』
そんな私を時継様は終始穏やかな顔で見守ってくれた。
『今日は疲れただろう。話は明日聞く。ご飯や着替えなどはすぐに持ってこさせよう。今日はこの部屋でゆっくり休みなさい。しかし・・・。』
『・・・しかし?』
『面白いものを着ておるな。』
面白い?
今自分が来ているのは完全な寝巻きの一部でよくあるグレーのパーカーとスウェットのズボンだった。
ズボンはまあ袴と似ているし、パーカーの事かな?確かに時代劇にパーカーは合わないわな・・・。
手当をしてもらった今でも自分自身がどんな境遇に立たされているのか全くもって想像つかなかった。
この数時間で分かった事は目の前にいる時継様がこの空間では一番偉くて、私に対しても一番優しい人物であるということだけだった。
この時代に湿布やテーピングは無いのかお医者さんには葉っぱをすり潰したようなものを足首に塗られ包帯でぐるぐる巻きに固定された。心なしが足がスースーするので効き目はありそうな気がする。
『あとは医者からもらったこれを飲むとよい。』
時継様から白い紙に包まれた白い粉薬とお水を渡された。
『痛み止めだ。さ、早く飲みなさい。』
・・・・・。
時継様が悪い人でない事はすぐに理解出来たけどだからって正体不明の白い粉を飲むのは正直気が進まなかった。
『飲まなきゃ・・・ダメですかね?』
恐る恐る聞いてみる。
『お主、時継様の言う事が聞けぬというのか!』
近くで一部始終を見ていたお侍さん1号にまた怒られた。
『秋道(あきみち)、大きい声を出すな!怖がっているではないか!ここはいいから、一旦下がれ!』
『し、しかし!・・・はっ。』
お侍さん1号は秋道さんというらしい。
時継様の有無を言わさない怖い視線を受けて秋道さんは何か物を言いたそうに私をガン見して部屋から出て行った。
あの人絶対私の事嫌いだよな・・・。
『どうして飲みたくない?毒だと疑っておるのか?それは困ったな・・・。』
そう言うと時継様は少し考えこんでからうなづいた。
『では、こうしよう。』
ごっくん。
『え。』
出していた白い粉薬を私の目の前でお水と一緒に一気に飲み干した。
『どうだ、なんともないぞ。これは毒ではない。安心して飲むのだ。』
そう言うと新しい包みを私に差し出してくれた。
この人、本当に心配してくれてるんだな。
なんだかとても申し訳ない気持ちになってしまった私は水が入った入れ物からコップっぽいものに水を注ぎ薬をしっかり飲み込んだ。
に、苦い。
あんまり飲んだ事ないけど漢方チックな激まずな味がした。でもまあまずいほうがよく効くと言うし。
『よし、よく飲んだな。』
そんな私を時継様は終始穏やかな顔で見守ってくれた。
『今日は疲れただろう。話は明日聞く。ご飯や着替えなどはすぐに持ってこさせよう。今日はこの部屋でゆっくり休みなさい。しかし・・・。』
『・・・しかし?』
『面白いものを着ておるな。』
面白い?
今自分が来ているのは完全な寝巻きの一部でよくあるグレーのパーカーとスウェットのズボンだった。
ズボンはまあ袴と似ているし、パーカーの事かな?確かに時代劇にパーカーは合わないわな・・・。
手当をしてもらった今でも自分自身がどんな境遇に立たされているのか全くもって想像つかなかった。
この数時間で分かった事は目の前にいる時継様がこの空間では一番偉くて、私に対しても一番優しい人物であるということだけだった。
0
お気に入りに追加
22
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【完結】神から貰ったスキルが強すぎなので、異世界で楽しく生活します!
桜もふ
恋愛
神の『ある行動』のせいで死んだらしい。私の人生を奪った神様に便利なスキルを貰い、転生した異世界で使えるチートの魔法が強すぎて楽しくて便利なの。でもね、ここは異世界。地球のように安全で自由な世界ではない、魔物やモンスターが襲って来る危険な世界……。
「生きたければ魔物やモンスターを倒せ!!」倒さなければ自分が死ぬ世界だからだ。
異世界で過ごす中で仲間ができ、時には可愛がられながら魔物を倒し、食料確保をし、この世界での生活を楽しく生き抜いて行こうと思います。
初めはファンタジー要素が多いが、中盤あたりから恋愛に入ります!!
骸骨と呼ばれ、生贄になった王妃のカタの付け方
ウサギテイマーTK
恋愛
骸骨娘と揶揄され、家で酷い扱いを受けていたマリーヌは、国王の正妃として嫁いだ。だが結婚後、国王に愛されることなく、ここでも幽閉に近い扱いを受ける。側妃はマリーヌの義姉で、公式行事も側妃が請け負っている。マリーヌに与えられた最後の役割は、海の神への生贄だった。
注意:地震や津波の描写があります。ご注意を。やや残酷な描写もあります。
猫に転生したらご主人様に溺愛されるようになりました
あべ鈴峰
恋愛
気がつけば 異世界転生。
どんな風に生まれ変わったのかと期待したのに なぜか猫に転生。 人間でなかったのは残念だが、それでも構わないと気持ちを切り替えて猫ライフを満喫しようとした。しかし、転生先は森の中、食べ物も満足に食べてず、寂しさと飢えでなげやりに なって居るところに 物音が。
強い祝福が原因だった
棗
恋愛
大魔法使いと呼ばれる父と前公爵夫人である母の不貞により生まれた令嬢エイレーネー。
父を憎む義父や義父に同調する使用人達から冷遇されながらも、エイレーネーにしか姿が見えないうさぎのイヴのお陰で孤独にはならずに済んでいた。
大魔法使いを王国に留めておきたい王家の思惑により、王弟を父に持つソレイユ公爵家の公子ラウルと婚約関係にある。しかし、彼が愛情に満ち、優しく笑い合うのは義父の娘ガブリエルで。
愛される未来がないのなら、全てを捨てて実父の許へ行くと決意した。
※「殿下が好きなのは私だった」と同じ世界観となりますが此方の話を読まなくても大丈夫です。
※なろうさんにも公開しています。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【完結】傷物令嬢は近衛騎士団長に同情されて……溺愛されすぎです。
早稲 アカ
恋愛
王太子殿下との婚約から洩れてしまった伯爵令嬢のセーリーヌ。
宮廷の大広間で突然現れた賊に襲われた彼女は、殿下をかばって大けがを負ってしまう。
彼女に同情した近衛騎士団長のアドニス侯爵は熱心にお見舞いをしてくれるのだが、その熱意がセーリーヌの折れそうな心まで癒していく。
加えて、セーリーヌを振ったはずの王太子殿下が、親密な二人に絡んできて、ややこしい展開になり……。
果たして、セーリーヌとアドニス侯爵の関係はどうなるのでしょう?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる