13 / 28
12
しおりを挟む
ボクはその日父さんと母さんの墓参りに来ていた。墓石の前で両手を合わせる。
「父さん・・・母さん・・・殺されるって・・・一体どんな感じだったの?今まで沢山の人を殺めてきて・・・自分達がまさか大切に育ててきたつもりの優秀な自分の娘に殺されちゃうなんて・・・どんな気持ちだった?」
ボクは知っていても特には何も言わなかった。だって、ボクの人生には何の迷惑もかかって無かったからね。
父さんは敵対する会社の重要人物を陰で次々と殺してしまう殺人鬼だった。
母さんはモテる父さんが大好き過ぎて寄ってくる女性に嫉妬心を爆発させてすぐに刺し殺しちゃうような殺人鬼だった。
でも父さんはそうやって自分と同じように邪魔な人を殺す事で排除するっていう同じ思想を持っている母さんが好きだったんだと思う。類は友を呼ぶというか。だから夫婦仲はかなり良かったよ。
でもさ、皮肉だよね。
おじいちゃんもおばあちゃんも自分達がトップに立つために邪魔で殺したのに、自分達も存在が邪魔だって理由で姉さんに殺されちゃった訳だから。
「父さん・・・母さん・・・汚れた姉さんにはさ、そっちに行ってもらおうと思ってるんだ。弔い合戦してあげるよ。大丈夫、二人の子供だもん。きっと上手く出来るよ。その前に一つ卒業したい事があるんだけどね・・・上手いこと卒業出来ればいいなあ・・・ま、とにかく、見守っててよ!」
たぶんその時ボクは心からの満面の笑みでとても幸せそうに墓地を歩いていたと思う。
不思議だよね。
なんだかそういえば、ボクって赤ちゃんの時以来涙は出ても悲しいとかあんまり本気で思ったことないのかも。
人間として必要だったものが生まれつき備わってなかったのか、それとも父さんや母さんに育てられていく過程の中で知らず知らずの内に消えていったのかは今はもう確かめようがない。
手始めにとりあえず姉さんと仲良く談笑していた馬鹿な男を睡眠薬で眠らせてロープでグルグル巻きに拘束し、身動きが取れないようにした。そしてそれから会社裏の雑木林にあらかじめ掘っておいた穴に放り投げて土をかけ、生き埋めにしてみた。
苦しそうにモゴモゴ動く姿が芋虫みたいで本当に気持ち悪かったな。ボク、虫は苦手なんだよね。人を上手く埋めるためにどのくらいの広さや深さが必要かはその時に学んだんだ。
・・・これでよし、次は姉さんの番だね!この時間だと今頃はまだ会社で事務作業してるんじゃないかな?
ボクは姉さんが好きなコーヒーを淹れて颯爽と姉さんの元へと向かった。
「姉さん!」
「あら、サトル、どうしたの?」
「疲れてるんじゃないかと思ってコーヒー淹れてきたよ!一緒に飲もう!」
「・・・そうね、今丁度仕事もひと段落したところだったわ。わざわざありがとう。」
今でもはっきりと覚えているよ。
真っ赤な口紅を塗った姉さんの唇を通り抜けて、ボクが淹れた毒薬入りのコーヒーが姉さんの身体の中に入っていった瞬間を。
「父さん・・・母さん・・・殺されるって・・・一体どんな感じだったの?今まで沢山の人を殺めてきて・・・自分達がまさか大切に育ててきたつもりの優秀な自分の娘に殺されちゃうなんて・・・どんな気持ちだった?」
ボクは知っていても特には何も言わなかった。だって、ボクの人生には何の迷惑もかかって無かったからね。
父さんは敵対する会社の重要人物を陰で次々と殺してしまう殺人鬼だった。
母さんはモテる父さんが大好き過ぎて寄ってくる女性に嫉妬心を爆発させてすぐに刺し殺しちゃうような殺人鬼だった。
でも父さんはそうやって自分と同じように邪魔な人を殺す事で排除するっていう同じ思想を持っている母さんが好きだったんだと思う。類は友を呼ぶというか。だから夫婦仲はかなり良かったよ。
でもさ、皮肉だよね。
おじいちゃんもおばあちゃんも自分達がトップに立つために邪魔で殺したのに、自分達も存在が邪魔だって理由で姉さんに殺されちゃった訳だから。
「父さん・・・母さん・・・汚れた姉さんにはさ、そっちに行ってもらおうと思ってるんだ。弔い合戦してあげるよ。大丈夫、二人の子供だもん。きっと上手く出来るよ。その前に一つ卒業したい事があるんだけどね・・・上手いこと卒業出来ればいいなあ・・・ま、とにかく、見守っててよ!」
たぶんその時ボクは心からの満面の笑みでとても幸せそうに墓地を歩いていたと思う。
不思議だよね。
なんだかそういえば、ボクって赤ちゃんの時以来涙は出ても悲しいとかあんまり本気で思ったことないのかも。
人間として必要だったものが生まれつき備わってなかったのか、それとも父さんや母さんに育てられていく過程の中で知らず知らずの内に消えていったのかは今はもう確かめようがない。
手始めにとりあえず姉さんと仲良く談笑していた馬鹿な男を睡眠薬で眠らせてロープでグルグル巻きに拘束し、身動きが取れないようにした。そしてそれから会社裏の雑木林にあらかじめ掘っておいた穴に放り投げて土をかけ、生き埋めにしてみた。
苦しそうにモゴモゴ動く姿が芋虫みたいで本当に気持ち悪かったな。ボク、虫は苦手なんだよね。人を上手く埋めるためにどのくらいの広さや深さが必要かはその時に学んだんだ。
・・・これでよし、次は姉さんの番だね!この時間だと今頃はまだ会社で事務作業してるんじゃないかな?
ボクは姉さんが好きなコーヒーを淹れて颯爽と姉さんの元へと向かった。
「姉さん!」
「あら、サトル、どうしたの?」
「疲れてるんじゃないかと思ってコーヒー淹れてきたよ!一緒に飲もう!」
「・・・そうね、今丁度仕事もひと段落したところだったわ。わざわざありがとう。」
今でもはっきりと覚えているよ。
真っ赤な口紅を塗った姉さんの唇を通り抜けて、ボクが淹れた毒薬入りのコーヒーが姉さんの身体の中に入っていった瞬間を。
0
お気に入りに追加
2
あなたにおすすめの小説
近辺オカルト調査隊
麻耶麻弥
ホラー
ある夏の夜、幼なじみの健人、彩、凛は
ちょっとした肝試しのつもりで近辺で噂の幽霊屋敷に向かった。
そこでは、冒涜的、超自然的な生物が徘徊していた。
3人の運命は_______________
>この作品はクトゥルフ神話TRPGのシナリオを元に作ったものです。
この作品を見てクトゥルフ神話TRPGに興味を持った人はルールブックを買って友達と遊んでみてください。(布教)
小学生最後の夏休みに近所に住む2つ上のお姉さんとお風呂に入った話
矢木羽研
青春
「……もしよかったら先輩もご一緒に、どうですか?」
「あら、いいのかしら」
夕食を作りに来てくれた近所のお姉さんを冗談のつもりでお風呂に誘ったら……?
微笑ましくも甘酸っぱい、ひと夏の思い出。
※性的なシーンはありませんが裸体描写があるのでR15にしています。
※小説家になろうでも同内容で投稿しています。
※2022年8月の「第5回ほっこり・じんわり大賞」にエントリーしていました。
【R-18】クリしつけ
蛙鳴蝉噪
恋愛
男尊女卑な社会で女の子がクリトリスを使って淫らに教育されていく日常の一コマ。クリ責め。クリリード。なんでもありでアブノーマルな内容なので、精神ともに18歳以上でなんでも許せる方のみどうぞ。
【R18】僕の筆おろし日記(高校生の僕は親友の家で彼の母親と倫ならぬ禁断の行為を…初体験の相手は美しい人妻だった)
幻田恋人
恋愛
夏休みも終盤に入って、僕は親友の家で一緒に宿題をする事になった。
でも、その家には僕が以前から大人の女性として憧れていた親友の母親で、とても魅力的な人妻の小百合がいた。
親友のいない家の中で僕と小百合の二人だけの時間が始まる。
童貞の僕は小百合の美しさに圧倒され、次第に彼女との濃厚な大人の関係に陥っていく。
許されるはずのない、男子高校生の僕と親友の母親との倫を外れた禁断の愛欲の行為が親友の家で展開されていく…
僕はもう我慢の限界を超えてしまった… 早く小百合さんの中に…
【R18】スライム調教
不死じゃない不死鳥(ただのニワトリ)
ホラー
スライムに調教されちゃうお話です
「どうしよう、どうしよう」
Aは泣きながらシャワーを浴びていた。
スライムを入れられてしまったお腹。
中でスライムポコポコと動いているのが外からでも分かった。
「もし出そうとしたら、その子達は暴れて君の内臓をめちゃくちゃにするわよ。
だから変なことなんて考えないでね」
スライムをいれた店主の言葉が再びAの頭の中をよぎった。
彼女の言葉が本当ならば、もうスライムを出すことは不可能だった。
それに出そうにも店主によってお尻に栓を付けられてしまっているためそれも難しかった。
「こらから、どうなっちゃうんだろう」
主人公がスライムをお尻から入れられてしまうお話です。
汚い内容は一切書く気はありません。また人物はアルファベットで表記しており
性別もどちらでも捉えられるようにしています。お好きな設定でお読みください。
※続きを書くつもりはなかったのですが想像以上に閲覧数が多いため、少しだけ続きを書くことにしました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる