1 / 7
【本屋】幻の本屋
しおりを挟む
人見知りな僕は高校を卒業してから職を転々とし、今はフードデリバリーの仕事で生計を立てている。昔から人と関わっているとどうしても敏感に色々感じ取ってしまい一人で勝手に疲弊してしまう。そんな僕にとって今の仕事は本当に天職だ。自転車を使っての配達は毎日黙々と身体を動かせるから体力維持に役立っているし、人との関わりは必要最低限、たまに配達がキャンセルになればその商品を食べられたりもする。ただその反面、不安になる事もあった。この先もずっとこのままの生活でいいのかなって・・・。
年を重ねるたびに遠くに感じるものがあった。それが『夢』だ。夢・・・僕の夢って一体何だったっけ?高校卒業してすぐはまだあれが欲しいとか、ここに行ってみたいとかあったけど最近の僕はただこの世界を漂って生きてるだけだった。
ある日配達を終えて休憩しているとふと目に入ってくる建物があった。こんな所に本屋なんてあったっけ?何回も通った事があるはずの通りには古びた本屋が建っていた。僕は導かれるかのようにその本屋に入った。沢山の本が置かれている中で奥に進むとレジがあったがそこには誰もいなかった。僕は何の気無しにその場にあった本に触れる。あれ・・・これは・・・。
遠い昔に見た記憶のある文章がそこにはあった。
『僕の夢』
僕の夢は小説家になる事です。
・・・ああ、そうか、忘れていた。そういえば昔から本を読むのが好きでいつかはこの本を書いている側の人になりたいって思ってたんだ。見ている人をわくわくしたり、感動したり、あっと驚かせたりも出来る。誰かに夢や希望を与えられるなんて、何て素敵な職業なんだろうって思ってた。
でも、なんであの頃の卒業文集がこんな所に?
そう思ってふと周りを見るとそこにはあったはずの本屋の姿は無く、ただの空き地が広がっていた。さっきまで持っていたはずの本も手元から姿を消していた。
・・・・・。
僕はそれから急いで家に帰り押し入れの中から使って無かったペンとノートを探し出した。
今の僕には一体どんな物語が書けるんだろうか?
そう考えるだけで何年振りか胸がとても高鳴った。そして僕はそのまま夢中でペンを走らせた。
三ヶ月後・・・。
あの日から僕は日中フードデリバリーの仕事をして夜に執筆活動をするようになった。今の時代はネットに小説を投稿出来る。僕はひっそりと毎日投稿に勤しんでいた。少しずつではあるが見てくれる人も増え、その人達とサイトを通して交流したりするようになった。子供のお小遣い程度ではあるけれど自分が書いた物語で収入を得る事も出来ている。
あの日現れた幻の本屋で僕は夢を思い出した。これからも誰かに楽しんでもらえるような作品を書いていこうと思う。
年を重ねるたびに遠くに感じるものがあった。それが『夢』だ。夢・・・僕の夢って一体何だったっけ?高校卒業してすぐはまだあれが欲しいとか、ここに行ってみたいとかあったけど最近の僕はただこの世界を漂って生きてるだけだった。
ある日配達を終えて休憩しているとふと目に入ってくる建物があった。こんな所に本屋なんてあったっけ?何回も通った事があるはずの通りには古びた本屋が建っていた。僕は導かれるかのようにその本屋に入った。沢山の本が置かれている中で奥に進むとレジがあったがそこには誰もいなかった。僕は何の気無しにその場にあった本に触れる。あれ・・・これは・・・。
遠い昔に見た記憶のある文章がそこにはあった。
『僕の夢』
僕の夢は小説家になる事です。
・・・ああ、そうか、忘れていた。そういえば昔から本を読むのが好きでいつかはこの本を書いている側の人になりたいって思ってたんだ。見ている人をわくわくしたり、感動したり、あっと驚かせたりも出来る。誰かに夢や希望を与えられるなんて、何て素敵な職業なんだろうって思ってた。
でも、なんであの頃の卒業文集がこんな所に?
そう思ってふと周りを見るとそこにはあったはずの本屋の姿は無く、ただの空き地が広がっていた。さっきまで持っていたはずの本も手元から姿を消していた。
・・・・・。
僕はそれから急いで家に帰り押し入れの中から使って無かったペンとノートを探し出した。
今の僕には一体どんな物語が書けるんだろうか?
そう考えるだけで何年振りか胸がとても高鳴った。そして僕はそのまま夢中でペンを走らせた。
三ヶ月後・・・。
あの日から僕は日中フードデリバリーの仕事をして夜に執筆活動をするようになった。今の時代はネットに小説を投稿出来る。僕はひっそりと毎日投稿に勤しんでいた。少しずつではあるが見てくれる人も増え、その人達とサイトを通して交流したりするようになった。子供のお小遣い程度ではあるけれど自分が書いた物語で収入を得る事も出来ている。
あの日現れた幻の本屋で僕は夢を思い出した。これからも誰かに楽しんでもらえるような作品を書いていこうと思う。
0
お気に入りに追加
0
あなたにおすすめの小説
ちょっと大人な体験談はこちらです
神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない
ちょっと大人な体験談です。
日常に突然訪れる刺激的な体験。
少し非日常を覗いてみませんか?
あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ?
※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに
Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。
※不定期更新です。
※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。
サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由
フルーツパフェ
大衆娯楽
クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。
トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。
いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。
考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。
赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。
言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。
たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。
小さなことから〜露出〜えみ〜
サイコロ
恋愛
私の露出…
毎日更新していこうと思います
よろしくおねがいします
感想等お待ちしております
取り入れて欲しい内容なども
書いてくださいね
よりみなさんにお近く
考えやすく
【Vtuberさん向け】1人用フリー台本置き場《ネタ系/5分以内》
小熊井つん
大衆娯楽
Vtuberさん向けフリー台本置き場です
◆使用報告等不要ですのでどなたでもご自由にどうぞ
◆コメントで利用報告していただけた場合は聞きに行きます!
◆クレジット表記は任意です
※クレジット表記しない場合はフリー台本であることを明記してください
【ご利用にあたっての注意事項】
⭕️OK
・収益化済みのチャンネルまたは配信での使用
※ファンボックスや有料会員限定配信等『金銭の支払いをしないと視聴できないコンテンツ』での使用は不可
✖️禁止事項
・二次配布
・自作発言
・大幅なセリフ改変
・こちらの台本を使用したボイスデータの販売
【ショートショート】おやすみ
樹(いつき)@作品使用時は作者名明記必須
恋愛
◆こちらは声劇用台本になりますが普通に読んで頂いても癒される作品になっています。
声劇用だと1分半ほど、黙読だと1分ほどで読みきれる作品です。
⚠動画・音声投稿サイトにご使用になる場合⚠
・使用許可は不要ですが、自作発言や転載はもちろん禁止です。著作権は放棄しておりません。必ず作者名の樹(いつき)を記載して下さい。(何度注意しても作者名の記載が無い場合には台本使用を禁止します)
・語尾変更や方言などの多少のアレンジはokですが、大幅なアレンジや台本の世界観をぶち壊すようなアレンジやエフェクトなどはご遠慮願います。
その他の詳細は【作品を使用する際の注意点】をご覧下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる