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78泥酔
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ウィスキーグラスに琥珀色のアルコールを注ぐとジークヴァルトはグッとあおった。
自室に戻ってからずっと、夕食も取らずそんな無茶な酒の飲み方をしていた。
ジェームズが食事を届けにきたが何も答えずにいると、「エマ様も自室に入ったきりです。何があったかは存じませんが、こういう時は男から折れるべきです」と、それだけ言って出ていった。
仄暗い卓上ランプの灯りの前で小花柄の小さな財布をもてあそぶ。
下町のボロ小屋でホージ侯爵の手下に襲われたエマを助けた部下から預かった彼女の財布だ。
返しそびれたのではなく、エマの物を持っていたくて胸ポケットに忍ばせ持ち歩いている。
ーーー愛もないのにこんなことやめて下さい。
こんなの、暴力です。
エマからの強烈な拒否。
ジークヴァルトは何が起こったのかの分からず、頭が真っ白になってしまった。
(確かに、あんな奪うような口づけをしたのは俺が悪かった。
トリスタン・デ・グローシュと一緒だったと言われて頭に血がのぼった。
怖がられても仕方がない。
だが、あの拒絶はあんまりだ。
どうして急に。
もしかして…皇太后様がエマに何か仰ったのか?)
皇太后との話を終え応接室に戻って来た時からエマの様子が変だと気づいていた。
離宮からの帰りの馬車では向かいに座るエマの手をすぐにでも取りたかったが諦めた。
膝の上の手はキッチリと重ねられ、エマの視線はずっと車窓に向けられていて何か深く考え事をしているように思えたからだ。
いろいろな事実を聞かされたのだから心の整理が必要なのだろうと思い、あえて話しかけることはしなかった。
ジークヴァルトも『界渡り』の話には確かに驚かされたが、『魔女』という存在の不思議が解明できたという程度のもので、むしろエマが過去のことを語りたがらなかった原因が分かったことの方が大きかった。
この国に来る以前は別の世界にいたなどと言えるはずがない。
なるほど、エマの態度が頑なだったわけだと納得した。
それよりも車中ではエマとの未来を想像し柄にもなくそわそわと心が浮き立っていた。
皇太后がジークヴァルトにエマを任せてもいいと認めたことで二人の結婚に何の障害もなくなったからだ。
(そういえば父上は「義務」と偉そうに言っていたが、口元がニヤついていた。
要は、好きならさっさと結婚の承諾をとっておけ。そんなことも出来ない体たらくめ、外堀を埋めてやったぞ、と内心揶揄していたのだろう。
しゃくだったのでいたって平然と頷いてみせたが…)
とにかく、エマをよそにしてジークヴァルトの脳内ではせっかくなら景色のいい所へ旅行へ行ってプロポーズしよう。とか、婚約指輪を誂えるならあの老舗で。とか、婚約式の段取りから子供が生まれた時のために屋敷の改装や旅行用の別荘のことまで考えが及んでいた。
ジークヴァルトはべたりと手で顔を覆い、アルコールでやけた熱いため息を深くつく。
思い返してみても自分が恥ずかしいばかりだ。
(とにかく、皇太后様がいまさらエマに俺を否定するようなことを仰るとは考えられない。
やはり、あんな強引なことをしたからだろうか…。
だが、愛がない?暴力?!
全く気持ちが通じてはいなかったと言うことか?
……最初から何かがかけ違っていたのか?)
エマの心を手に入れたくて慎重に手順を踏んだ。
強かな女だと誤解していた謝罪をした。彼女は赦してくれた。
名前を呼んで欲しいと言えば、ジークヴァルト様と言ってくれた。
手に触れ、頬に触れ、そして、口づけた。
初めて読書棟で口づけた時、嫌ではなかったと確かに首を振った。
(なら、俺の気持ちも通じたと思うのが当然ではないのか?!
何が間違っていたんだ?
俺は何を間違ってしまったんだっ!?)
ジークヴァルトはどこに落ち度があったのか全く分からなかった。
常に女性から好意を向けられてきたジークヴァルトは、エマに対して一度も自分の気持ちを言葉にしていないことに、気づいていない。
そして、父親との会話を立ち聞かれたという重大なミス。
だが、それをジークヴァルトに教えてくれる者はいない。
(俺は何をぐだぐだと考えているっ!)
髪を掻き上げ天をあおいだ。
(……そうだ、そもそも先に好意を持ったのはエマのほうだ。
初めて会った謁見の時、彼女の瞳には俺に対する好意が確かにあった。
……彼女を護ってきたのは俺だ。これから先も。
いまさら他の男の入る余地などあるものかっ。
そんなことは許さないっ。
俺たちの結婚は皇太后様が認めている。
もう何も障害はない…
拒絶などさせるものかっ。)
ジークヴァルトは酩酊した脳内で最悪の答えを捻り出してしまった。
そして、残ったグラスの酒を飲み干すとゆらりと立ち上がりエマの部屋へと向かった。
✳︎
寝室への扉を開けた先にはベッドの前でナイトドレスを着ただけの女が驚きに目を見張り立っていた。
無遠慮な足音を立てて歩み寄ると祈るように胸元を押さえ自分を守るように身構えた。
まるで言葉の通じない獰猛な獣を前にしているような態度だった。
ジークヴァルトは無いに等しい防御に失笑すると、『いつも通り』目の前の女をベッドへと押し倒した。
ジークヴァルトは社交界では醜聞を避けてきた。ましてや王宮の侍女や自邸のメイドに手を出すなどもってのほかだ。
つまりそれは、娼館の女しか知らないということ。
『いつも通り』ならジークヴァルトがベッドに押し倒すと娼婦はうっとりと微笑み腕を彼の首に回す。
なのに目の前の女は首を激しく振り、彼女にとっての渾身の力で腕を振り上げ抵抗した。
ジークヴァルトはうるさい腕を軽々とベッドに縫いつけ、抵抗されたイラつきで頭にあったことをそのまま女に投げつけた。
「奴に乗り換えるつもりか?
奴は何と言っても王位継承権を持った公爵家の嫡男だからなっ!」
女は「えッ?!」と驚く。
「最初にそう言う目で俺をみてきただろ?
なのに俺がその気になったら嫌がるのかっ!」
見開かれた女の目に涙の膜が張る。
そして、ジークヴァルトへ抵抗をやめ全てを諦めたように感情を無くした目をして女は視線をそらした。
ジークヴァルトは抵抗を諦め己の下で乱れる女を据わった目で見下ろすと、突然ぎょっとして顔を引いた。
そして、ベッドから飛び退くと二歩三歩と後ろにたたらを踏んだ。
ベッドサイドの小さなランプに照らされていたのはエマだった。
榛色の瞳からは涙が流れ、長い髪がシーツに乱れていた。
エマがベッドからゆっくりと起き上がり、胸元をかき合わせるように座った。
乱れた前髪の間からこちらを見つめる瞳に怒りや動揺、恐怖や拒絶はなかった。
ただ静かに涙が流れ、それがジークヴァルトの背筋を凍らせた。
「エ、マ……」
ジークヴァルトはあまりの動揺でどうしていいか分からなくなってしまった。
謝罪の一言すら喉に張り付いて出てこない。
酒に呑まれ泥酔した挙句になんてことをしてしまったのか。
何を口走ってしまったのか。
己のあまりの愚かさに舌を打つと、その音が追い討ちをかけるようにエマの肩を大きく揺らした。
違う、そうじゃないと慌てるが過ごしすぎた酒のせいで頭がぐらぐらとする。
ジークヴァルトはたまらず、ドアを乱暴に閉めその場から逃げ去った。
自室に戻ってからずっと、夕食も取らずそんな無茶な酒の飲み方をしていた。
ジェームズが食事を届けにきたが何も答えずにいると、「エマ様も自室に入ったきりです。何があったかは存じませんが、こういう時は男から折れるべきです」と、それだけ言って出ていった。
仄暗い卓上ランプの灯りの前で小花柄の小さな財布をもてあそぶ。
下町のボロ小屋でホージ侯爵の手下に襲われたエマを助けた部下から預かった彼女の財布だ。
返しそびれたのではなく、エマの物を持っていたくて胸ポケットに忍ばせ持ち歩いている。
ーーー愛もないのにこんなことやめて下さい。
こんなの、暴力です。
エマからの強烈な拒否。
ジークヴァルトは何が起こったのかの分からず、頭が真っ白になってしまった。
(確かに、あんな奪うような口づけをしたのは俺が悪かった。
トリスタン・デ・グローシュと一緒だったと言われて頭に血がのぼった。
怖がられても仕方がない。
だが、あの拒絶はあんまりだ。
どうして急に。
もしかして…皇太后様がエマに何か仰ったのか?)
皇太后との話を終え応接室に戻って来た時からエマの様子が変だと気づいていた。
離宮からの帰りの馬車では向かいに座るエマの手をすぐにでも取りたかったが諦めた。
膝の上の手はキッチリと重ねられ、エマの視線はずっと車窓に向けられていて何か深く考え事をしているように思えたからだ。
いろいろな事実を聞かされたのだから心の整理が必要なのだろうと思い、あえて話しかけることはしなかった。
ジークヴァルトも『界渡り』の話には確かに驚かされたが、『魔女』という存在の不思議が解明できたという程度のもので、むしろエマが過去のことを語りたがらなかった原因が分かったことの方が大きかった。
この国に来る以前は別の世界にいたなどと言えるはずがない。
なるほど、エマの態度が頑なだったわけだと納得した。
それよりも車中ではエマとの未来を想像し柄にもなくそわそわと心が浮き立っていた。
皇太后がジークヴァルトにエマを任せてもいいと認めたことで二人の結婚に何の障害もなくなったからだ。
(そういえば父上は「義務」と偉そうに言っていたが、口元がニヤついていた。
要は、好きならさっさと結婚の承諾をとっておけ。そんなことも出来ない体たらくめ、外堀を埋めてやったぞ、と内心揶揄していたのだろう。
しゃくだったのでいたって平然と頷いてみせたが…)
とにかく、エマをよそにしてジークヴァルトの脳内ではせっかくなら景色のいい所へ旅行へ行ってプロポーズしよう。とか、婚約指輪を誂えるならあの老舗で。とか、婚約式の段取りから子供が生まれた時のために屋敷の改装や旅行用の別荘のことまで考えが及んでいた。
ジークヴァルトはべたりと手で顔を覆い、アルコールでやけた熱いため息を深くつく。
思い返してみても自分が恥ずかしいばかりだ。
(とにかく、皇太后様がいまさらエマに俺を否定するようなことを仰るとは考えられない。
やはり、あんな強引なことをしたからだろうか…。
だが、愛がない?暴力?!
全く気持ちが通じてはいなかったと言うことか?
……最初から何かがかけ違っていたのか?)
エマの心を手に入れたくて慎重に手順を踏んだ。
強かな女だと誤解していた謝罪をした。彼女は赦してくれた。
名前を呼んで欲しいと言えば、ジークヴァルト様と言ってくれた。
手に触れ、頬に触れ、そして、口づけた。
初めて読書棟で口づけた時、嫌ではなかったと確かに首を振った。
(なら、俺の気持ちも通じたと思うのが当然ではないのか?!
何が間違っていたんだ?
俺は何を間違ってしまったんだっ!?)
ジークヴァルトはどこに落ち度があったのか全く分からなかった。
常に女性から好意を向けられてきたジークヴァルトは、エマに対して一度も自分の気持ちを言葉にしていないことに、気づいていない。
そして、父親との会話を立ち聞かれたという重大なミス。
だが、それをジークヴァルトに教えてくれる者はいない。
(俺は何をぐだぐだと考えているっ!)
髪を掻き上げ天をあおいだ。
(……そうだ、そもそも先に好意を持ったのはエマのほうだ。
初めて会った謁見の時、彼女の瞳には俺に対する好意が確かにあった。
……彼女を護ってきたのは俺だ。これから先も。
いまさら他の男の入る余地などあるものかっ。
そんなことは許さないっ。
俺たちの結婚は皇太后様が認めている。
もう何も障害はない…
拒絶などさせるものかっ。)
ジークヴァルトは酩酊した脳内で最悪の答えを捻り出してしまった。
そして、残ったグラスの酒を飲み干すとゆらりと立ち上がりエマの部屋へと向かった。
✳︎
寝室への扉を開けた先にはベッドの前でナイトドレスを着ただけの女が驚きに目を見張り立っていた。
無遠慮な足音を立てて歩み寄ると祈るように胸元を押さえ自分を守るように身構えた。
まるで言葉の通じない獰猛な獣を前にしているような態度だった。
ジークヴァルトは無いに等しい防御に失笑すると、『いつも通り』目の前の女をベッドへと押し倒した。
ジークヴァルトは社交界では醜聞を避けてきた。ましてや王宮の侍女や自邸のメイドに手を出すなどもってのほかだ。
つまりそれは、娼館の女しか知らないということ。
『いつも通り』ならジークヴァルトがベッドに押し倒すと娼婦はうっとりと微笑み腕を彼の首に回す。
なのに目の前の女は首を激しく振り、彼女にとっての渾身の力で腕を振り上げ抵抗した。
ジークヴァルトはうるさい腕を軽々とベッドに縫いつけ、抵抗されたイラつきで頭にあったことをそのまま女に投げつけた。
「奴に乗り換えるつもりか?
奴は何と言っても王位継承権を持った公爵家の嫡男だからなっ!」
女は「えッ?!」と驚く。
「最初にそう言う目で俺をみてきただろ?
なのに俺がその気になったら嫌がるのかっ!」
見開かれた女の目に涙の膜が張る。
そして、ジークヴァルトへ抵抗をやめ全てを諦めたように感情を無くした目をして女は視線をそらした。
ジークヴァルトは抵抗を諦め己の下で乱れる女を据わった目で見下ろすと、突然ぎょっとして顔を引いた。
そして、ベッドから飛び退くと二歩三歩と後ろにたたらを踏んだ。
ベッドサイドの小さなランプに照らされていたのはエマだった。
榛色の瞳からは涙が流れ、長い髪がシーツに乱れていた。
エマがベッドからゆっくりと起き上がり、胸元をかき合わせるように座った。
乱れた前髪の間からこちらを見つめる瞳に怒りや動揺、恐怖や拒絶はなかった。
ただ静かに涙が流れ、それがジークヴァルトの背筋を凍らせた。
「エ、マ……」
ジークヴァルトはあまりの動揺でどうしていいか分からなくなってしまった。
謝罪の一言すら喉に張り付いて出てこない。
酒に呑まれ泥酔した挙句になんてことをしてしまったのか。
何を口走ってしまったのか。
己のあまりの愚かさに舌を打つと、その音が追い討ちをかけるようにエマの肩を大きく揺らした。
違う、そうじゃないと慌てるが過ごしすぎた酒のせいで頭がぐらぐらとする。
ジークヴァルトはたまらず、ドアを乱暴に閉めその場から逃げ去った。
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