49 / 88
49世継ぎの王子と公爵家令嬢
しおりを挟む
ルイス王子の問いには答えず、ルーはロイに振り向いた。
「ロイ、エマは不在の間は君に世話を任せていると言っていた。
自宅に持ち帰ったのか?」
ルイス王子を無視していることが気まずくて、ロイは
「…いや」
とだけ否定した。
「では賊が持ち去ったか…
エマの道具も本も全て持ち去られている。
それに、この荒らされ様…何を探していた?
どこぞの令嬢や貴族の度を過ぎた単なる嫌がらせではないのか?
賊を差し向けた者はエマのことを分かってて襲わせた…」
「お前たち、何の話しをしている。何がないっ!」
話の見えないやり取りにジークヴァルトが声を荒げるが、ルーはそれを無視し、
「あなた方が警戒していた人物は誰です?」
と、質問で返す。
ここまでくれば不敬も極まってくる。
「貴様っ!」
「ジークヴァルト、落ち着け。
君はエマのことになると冷静さを失くすようだ」
ルイス王子の制止の言葉に、ルーは一瞬目を驚かせたがすぐにへえと口角を上げた。
「貴方はエマが私の家に泊まったことを気にされていたようですが、私とエマのことに貴方は関係ないと思いますが。
でもこれだけは教えてあげましょう。
私はエマに(敬)愛を捧げていて、彼女もそれを知ってくれています」
ジークヴァルトがエマに想いがあると見抜くと効果的な言葉で抉ってくるルー。
案の定言葉を失くすジークヴァルト。
その肩を宥めるように軽くたたき、代わりにルーの前に出たのはルイス王子だ。
「今回の事態になったことは我々が守れなかった落ち度だ。それは認める。
友人を思う君の怒りは当然だと思う。
首謀者は必ず捕まえる。
だから君たちの知っていることを教えてくれないか」
ここまで見守っていたロイはそろそろ止め時かと、一つため息をついた。
もし、これ以上ルーが不敬な態度を取れば本当に身を危うくする。
「ルー、きちんとお話しすべきだ。
君のことも。
王子様、宰相補佐様、ルーは女性なのです」
異性であると言ったところで大した種明かしにはならないが、少なくとも敵意を剝きだす相手が女性だと知れば幾分気は削がれるだろうとロイは考えたが、ルイス王子とジークヴァルトの反応は意外に大きく、「ええっ!」と声を上げ驚いた。
だが、さらにルーは髪を束ねる紐を解き、長く美しい銀の髪をさらりと後ろに流すと、
「シュタルラント国王子ルイス殿下、ならびに宰相補佐ホランヴェルス様。
私、オースト国宰相、グローシュ公爵が長女ルシエンヌ・デ・グローシュと申します。
私事で家をで、三年前より貴国にてお世話になっております」
と自己紹介し、まるでドレスで正装していると錯覚してしまうほど、完璧で美しい淑女の最敬礼をした。
長い髪を背に流し、顔を上げたルーは不思議なことにもう美しいひとりの令嬢にしか見えなかった。
ルイス王子、ジークヴァルトそしてロイが驚きのあまり立ち尽くすのもそっちのけで、淡々とルーは続ける。
「数々の非礼、お詫び申し上げます。
エマを振り回すあなた方に私は友人として黙ってはいられなかった。
その思いをどうぞお汲み取りいただき、ご容赦頂ければ幸いでございます」
「オースト国のグローシュ家…
先王の第二王子、現国王の同母弟フェルナンド・デ・グローシュ殿のご息女…
噂では病気療養中でここ何年間社交界に姿を現していないと聞いていたが…君が…」
驚きのままルーを凝視し口だけ動かすルイス王子。
だが、この前代未聞の公爵令嬢に興味が湧かないはずはない。
「男装して薬草屋とは。
たった一人で公爵家を出たのかい?」
「はい。15歳の時に」
「15?!では、今はエマと同じ18歳か。何故?薬草屋になりたかったの?」
「…薬草の知識を深めたいと思いまして」
「大した意思の強さだ。お父上の公爵殿はご存知で?」
「無事でいることは手紙で伝えてあります」
「適齢期の令嬢、それも公爵令嬢が社交界を何年も離れるとは。
君はーー自分の務めを…放棄しているということかな?」
「……いえ、公爵家に生まれたからにはその務めは承知しています。
志したことはほぼ叶いましたので、後は公爵家のために生きるつもりです」
「なるほど。君はエマに愛を捧げていると言ったね。
それは友としての親愛?」
「いえ、敬愛です」
「……そう、敬愛」
その意味を理解したルイス王子はジークヴァルトを見た。
ジークヴァルトもルイス王子に同意し頷く。
「ーーーエマを狙った首謀者は、ホージ侯爵だ。
僕と侯爵の養女との縁談が皇太后の命令で持ち上がっていてね。
だが、その令嬢の資質とホージ侯爵に問題があって調べている途中だった。
奴らがこの家中執拗に探していたものとは多分、『魔女のレシピ』だと思う」
「『魔女のレシピ』?それなどのような?」
「分からない。誰にも読めない文字で書かれていてね。薬草調合の秘伝書だと思われる。
それを持って森に暮らしていた娘を侯爵が見つけてきて、皇太后が稀有な『魔女』だと認めて僕の妃にと命じ、侯爵家の養女となったのさ。
ちなみにその娘は師匠からなにも継いでいない。その前に師匠が亡くなったらしい。
だから正しくは『魔女になるはずだった娘』ってことになる。
だから奴らは魔女の証明となり得るその本をエマも持っていると疑ったのだろう」
「では今回のことは、婚約者がいるのにエマに会いに来ていた貴方のせいで起こったことなのですね。
確かに、侯爵やその令嬢からすればエマは邪魔でしょうね。彼女が『魔女』の可能性があると分かれば、貴方の婚約者になり得るのですから尚更。
『魔女のレシピ』やその他の証拠となりそうなものを全て隠滅しようとしたということですか?」
「君の言うとおりだ。言い訳のしようがない。
だが、僕は皇太后の思惑で結婚するつもりはない」
「そうですか。それで?何故エマがそのレシピを持っている『魔女』だと疑われることになったのです?」
二人の会話はもうエマが『魔女』だと前提での話し方だった。
だが、当の二人もジークヴァルトもロイも敢えてそれをお互い確認しない。
ルイス王子とジークヴァルトは、ルーがエマへの愛が「敬愛」だと言った時点で、彼女がエマから秘密を明かされていると分かった。そして、それに驚かないロイも。
ルーたちも、ルイス王子らがエマが『魔女』だと気づいていることは話しぶりからすぐに分かった。
お互いあえて確認しないのはーーールイス王子とジークヴァルトに、エマが秘密を明かしていないから。
エマ本人が秘密にしていることをルーたちの口から明らかにはしないし、ルイス王子たちも尋ねない。
「ホージ侯爵がエマを疑うことになった理由は我が国の内状に関わるので言えない。
それを知ることができるのはーーー例えば君が我が国の王族になった時だけだ。
それで?ないと言っていたものは何?」
「……もこもこ草です」
「そこは聞き流すんだね……
で?もこもこ草って何?」
「決まった呼び名もなく辺境地でひっそりと自生していたあの植物のためにエマが名付けたのです。葉の見た目がもこもこしているので。
私が薬草屋仲間からの噂で知り、ある酒場で一株だけ手に入れました。
エマによると副作用が強いため今のところ常習性はないそうですが……どうかしましたか?」
額に手を当てたルイス王子の大きなため息がルーの話を遮った。
「それって、いま出回っている毒草だよね。
君、酒場でって。なんて危ないことをしているんだっ」
「あなた方も私が女だとは気づかなかった」
「……わかった、今はその話は置いておこう」
無性にいろいろ言いたくなったルイス王子だったが、いまはそれを言っている場合ではない。
とりあえず、お互いの知っている情報を共有した。
するとそこへ階下からスーラが上がってきた。幾分気分が落ち着いたのかと皆が安心したが、スーラは目に入ったロイにいきなり縋り付いた。
「ロイ、ロイ、どうしようっ。
私、あいつらに言ってしまったんだよ。
うちの人を押さえつけて首にナイフあてるもんだからっ!
エマの居場所を言ってしまったんだよ!
実家の村へ行った、って。
昨日、もしあの子がここにいれば殺されてたっ!
あいつらエマを追いかけるかも知れない!
どうかあの子を助けてやってください!!」
最後はルイス王子とジークヴァルトに向かって、スーラは頭を下げていた。
貴族の二人ならなんとか出来るのではないかと、何も知らないスーラは懇願する。
追ってきたロジもスーラの背中を撫ぜながら一緒に頭を下げている。
ジークヴァルトは怒りに震え、エマを狙った者たちへの殺意に満ちた。
事態は一刻の猶予もない。すぐに行動しなければならない。
共に行くと言うルーを「信じて任せて欲しい」とルイス王子が説得し、スーラ夫婦にエマを無事に連れ戻すこと、そして「迷惑をかけてすまなかった」とルイス王子とジークヴァルトは頭を下げた。
店の外は今だに住民が取り囲んでいる。
ジークヴァルトは警備隊長に店の原状回復を厳命し、ルイス王子は「早く髪を結いなさい」とルーに振り返った。
そして、二人は馬へ飛び乗った。
「ロイ、エマは不在の間は君に世話を任せていると言っていた。
自宅に持ち帰ったのか?」
ルイス王子を無視していることが気まずくて、ロイは
「…いや」
とだけ否定した。
「では賊が持ち去ったか…
エマの道具も本も全て持ち去られている。
それに、この荒らされ様…何を探していた?
どこぞの令嬢や貴族の度を過ぎた単なる嫌がらせではないのか?
賊を差し向けた者はエマのことを分かってて襲わせた…」
「お前たち、何の話しをしている。何がないっ!」
話の見えないやり取りにジークヴァルトが声を荒げるが、ルーはそれを無視し、
「あなた方が警戒していた人物は誰です?」
と、質問で返す。
ここまでくれば不敬も極まってくる。
「貴様っ!」
「ジークヴァルト、落ち着け。
君はエマのことになると冷静さを失くすようだ」
ルイス王子の制止の言葉に、ルーは一瞬目を驚かせたがすぐにへえと口角を上げた。
「貴方はエマが私の家に泊まったことを気にされていたようですが、私とエマのことに貴方は関係ないと思いますが。
でもこれだけは教えてあげましょう。
私はエマに(敬)愛を捧げていて、彼女もそれを知ってくれています」
ジークヴァルトがエマに想いがあると見抜くと効果的な言葉で抉ってくるルー。
案の定言葉を失くすジークヴァルト。
その肩を宥めるように軽くたたき、代わりにルーの前に出たのはルイス王子だ。
「今回の事態になったことは我々が守れなかった落ち度だ。それは認める。
友人を思う君の怒りは当然だと思う。
首謀者は必ず捕まえる。
だから君たちの知っていることを教えてくれないか」
ここまで見守っていたロイはそろそろ止め時かと、一つため息をついた。
もし、これ以上ルーが不敬な態度を取れば本当に身を危うくする。
「ルー、きちんとお話しすべきだ。
君のことも。
王子様、宰相補佐様、ルーは女性なのです」
異性であると言ったところで大した種明かしにはならないが、少なくとも敵意を剝きだす相手が女性だと知れば幾分気は削がれるだろうとロイは考えたが、ルイス王子とジークヴァルトの反応は意外に大きく、「ええっ!」と声を上げ驚いた。
だが、さらにルーは髪を束ねる紐を解き、長く美しい銀の髪をさらりと後ろに流すと、
「シュタルラント国王子ルイス殿下、ならびに宰相補佐ホランヴェルス様。
私、オースト国宰相、グローシュ公爵が長女ルシエンヌ・デ・グローシュと申します。
私事で家をで、三年前より貴国にてお世話になっております」
と自己紹介し、まるでドレスで正装していると錯覚してしまうほど、完璧で美しい淑女の最敬礼をした。
長い髪を背に流し、顔を上げたルーは不思議なことにもう美しいひとりの令嬢にしか見えなかった。
ルイス王子、ジークヴァルトそしてロイが驚きのあまり立ち尽くすのもそっちのけで、淡々とルーは続ける。
「数々の非礼、お詫び申し上げます。
エマを振り回すあなた方に私は友人として黙ってはいられなかった。
その思いをどうぞお汲み取りいただき、ご容赦頂ければ幸いでございます」
「オースト国のグローシュ家…
先王の第二王子、現国王の同母弟フェルナンド・デ・グローシュ殿のご息女…
噂では病気療養中でここ何年間社交界に姿を現していないと聞いていたが…君が…」
驚きのままルーを凝視し口だけ動かすルイス王子。
だが、この前代未聞の公爵令嬢に興味が湧かないはずはない。
「男装して薬草屋とは。
たった一人で公爵家を出たのかい?」
「はい。15歳の時に」
「15?!では、今はエマと同じ18歳か。何故?薬草屋になりたかったの?」
「…薬草の知識を深めたいと思いまして」
「大した意思の強さだ。お父上の公爵殿はご存知で?」
「無事でいることは手紙で伝えてあります」
「適齢期の令嬢、それも公爵令嬢が社交界を何年も離れるとは。
君はーー自分の務めを…放棄しているということかな?」
「……いえ、公爵家に生まれたからにはその務めは承知しています。
志したことはほぼ叶いましたので、後は公爵家のために生きるつもりです」
「なるほど。君はエマに愛を捧げていると言ったね。
それは友としての親愛?」
「いえ、敬愛です」
「……そう、敬愛」
その意味を理解したルイス王子はジークヴァルトを見た。
ジークヴァルトもルイス王子に同意し頷く。
「ーーーエマを狙った首謀者は、ホージ侯爵だ。
僕と侯爵の養女との縁談が皇太后の命令で持ち上がっていてね。
だが、その令嬢の資質とホージ侯爵に問題があって調べている途中だった。
奴らがこの家中執拗に探していたものとは多分、『魔女のレシピ』だと思う」
「『魔女のレシピ』?それなどのような?」
「分からない。誰にも読めない文字で書かれていてね。薬草調合の秘伝書だと思われる。
それを持って森に暮らしていた娘を侯爵が見つけてきて、皇太后が稀有な『魔女』だと認めて僕の妃にと命じ、侯爵家の養女となったのさ。
ちなみにその娘は師匠からなにも継いでいない。その前に師匠が亡くなったらしい。
だから正しくは『魔女になるはずだった娘』ってことになる。
だから奴らは魔女の証明となり得るその本をエマも持っていると疑ったのだろう」
「では今回のことは、婚約者がいるのにエマに会いに来ていた貴方のせいで起こったことなのですね。
確かに、侯爵やその令嬢からすればエマは邪魔でしょうね。彼女が『魔女』の可能性があると分かれば、貴方の婚約者になり得るのですから尚更。
『魔女のレシピ』やその他の証拠となりそうなものを全て隠滅しようとしたということですか?」
「君の言うとおりだ。言い訳のしようがない。
だが、僕は皇太后の思惑で結婚するつもりはない」
「そうですか。それで?何故エマがそのレシピを持っている『魔女』だと疑われることになったのです?」
二人の会話はもうエマが『魔女』だと前提での話し方だった。
だが、当の二人もジークヴァルトもロイも敢えてそれをお互い確認しない。
ルイス王子とジークヴァルトは、ルーがエマへの愛が「敬愛」だと言った時点で、彼女がエマから秘密を明かされていると分かった。そして、それに驚かないロイも。
ルーたちも、ルイス王子らがエマが『魔女』だと気づいていることは話しぶりからすぐに分かった。
お互いあえて確認しないのはーーールイス王子とジークヴァルトに、エマが秘密を明かしていないから。
エマ本人が秘密にしていることをルーたちの口から明らかにはしないし、ルイス王子たちも尋ねない。
「ホージ侯爵がエマを疑うことになった理由は我が国の内状に関わるので言えない。
それを知ることができるのはーーー例えば君が我が国の王族になった時だけだ。
それで?ないと言っていたものは何?」
「……もこもこ草です」
「そこは聞き流すんだね……
で?もこもこ草って何?」
「決まった呼び名もなく辺境地でひっそりと自生していたあの植物のためにエマが名付けたのです。葉の見た目がもこもこしているので。
私が薬草屋仲間からの噂で知り、ある酒場で一株だけ手に入れました。
エマによると副作用が強いため今のところ常習性はないそうですが……どうかしましたか?」
額に手を当てたルイス王子の大きなため息がルーの話を遮った。
「それって、いま出回っている毒草だよね。
君、酒場でって。なんて危ないことをしているんだっ」
「あなた方も私が女だとは気づかなかった」
「……わかった、今はその話は置いておこう」
無性にいろいろ言いたくなったルイス王子だったが、いまはそれを言っている場合ではない。
とりあえず、お互いの知っている情報を共有した。
するとそこへ階下からスーラが上がってきた。幾分気分が落ち着いたのかと皆が安心したが、スーラは目に入ったロイにいきなり縋り付いた。
「ロイ、ロイ、どうしようっ。
私、あいつらに言ってしまったんだよ。
うちの人を押さえつけて首にナイフあてるもんだからっ!
エマの居場所を言ってしまったんだよ!
実家の村へ行った、って。
昨日、もしあの子がここにいれば殺されてたっ!
あいつらエマを追いかけるかも知れない!
どうかあの子を助けてやってください!!」
最後はルイス王子とジークヴァルトに向かって、スーラは頭を下げていた。
貴族の二人ならなんとか出来るのではないかと、何も知らないスーラは懇願する。
追ってきたロジもスーラの背中を撫ぜながら一緒に頭を下げている。
ジークヴァルトは怒りに震え、エマを狙った者たちへの殺意に満ちた。
事態は一刻の猶予もない。すぐに行動しなければならない。
共に行くと言うルーを「信じて任せて欲しい」とルイス王子が説得し、スーラ夫婦にエマを無事に連れ戻すこと、そして「迷惑をかけてすまなかった」とルイス王子とジークヴァルトは頭を下げた。
店の外は今だに住民が取り囲んでいる。
ジークヴァルトは警備隊長に店の原状回復を厳命し、ルイス王子は「早く髪を結いなさい」とルーに振り返った。
そして、二人は馬へ飛び乗った。
2
お気に入りに追加
515
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
【書籍化確定、完結】私だけが知らない
綾雅(要らない悪役令嬢1/7発売)
ファンタジー
書籍化確定です。詳細はしばらくお待ちください(o´-ω-)o)ペコッ
目が覚めたら何も覚えていなかった。父と兄を名乗る二人は泣きながら謝る。痩せ細った体、痣が残る肌、誰もが過保護に私を気遣う。けれど、誰もが何が起きたのかを語らなかった。
優しい家族、ぬるま湯のような生活、穏やかに過ぎていく日常……その陰で、人々は己の犯した罪を隠しつつ微笑む。私を守るため、そう言いながら真実から遠ざけた。
やがて、すべてを知った私は――ひとつの決断をする。
記憶喪失から始まる物語。冤罪で殺されかけた私は蘇り、陥れようとした者は断罪される。優しい嘘に隠された真実が徐々に明らかになっていく。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2024/12/26……書籍化確定、公表
2023/12/20……小説家になろう 日間、ファンタジー 27位
2023/12/19……番外編完結
2023/12/11……本編完結(番外編、12/12)
2023/08/27……エブリスタ ファンタジートレンド 1位
2023/08/26……カテゴリー変更「恋愛」⇒「ファンタジー」
2023/08/25……アルファポリス HOT女性向け 13位
2023/08/22……小説家になろう 異世界恋愛、日間 22位
2023/08/21……カクヨム 恋愛週間 17位
2023/08/16……カクヨム 恋愛日間 12位
2023/08/14……連載開始
断る――――前にもそう言ったはずだ
鈴宮(すずみや)
恋愛
「寝室を分けませんか?」
結婚して三年。王太子エルネストと妃モニカの間にはまだ子供が居ない。
周囲からは『そろそろ側妃を』という声が上がっているものの、彼はモニカと寝室を分けることを拒んでいる。
けれど、エルネストはいつだって、モニカにだけ冷たかった。
他の人々に向けられる優しい言葉、笑顔が彼女に向けられることない。
(わたくし以外の女性が妃ならば、エルネスト様はもっと幸せだろうに……)
そんな時、侍女のコゼットが『エルネストから想いを寄せられている』ことをモニカに打ち明ける。
ようやく側妃を娶る気になったのか――――エルネストがコゼットと過ごせるよう、私室で休むことにしたモニカ。
そんな彼女の元に、護衛騎士であるヴィクトルがやってきて――――?
私を幽閉した王子がこちらを気にしているのはなぜですか?
水谷繭
恋愛
婚約者である王太子リュシアンから日々疎まれながら過ごしてきたジスレーヌ。ある日のお茶会で、リュシアンが何者かに毒を盛られ倒れてしまう。
日ごろからジスレーヌをよく思っていなかった令嬢たちは、揃ってジスレーヌが毒を入れるところを見たと証言。令嬢たちの嘘を信じたリュシアンは、ジスレーヌを「裁きの家」というお屋敷に幽閉するよう指示する。
そこは二十年前に魔女と呼ばれた女が幽閉されて死んだ、いわくつきの屋敷だった。何とか幽閉期間を耐えようと怯えながら過ごすジスレーヌ。
一方、ジスレーヌを閉じ込めた張本人の王子はジスレーヌを気にしているようで……。
◇小説家になろうにも掲載中です!
◆表紙はGilry Drop様からお借りした画像を加工して使用しています
踏み台令嬢はへこたれない
三屋城衣智子
恋愛
「婚約破棄してくれ!」
公爵令嬢のメルティアーラは婚約者からの何度目かの申し出を受けていたーー。
春、学院に入学しいつしかついたあだ名は踏み台令嬢。……幸せを運んでいますのに、その名付けはあんまりでは……。
そう思いつつも学院生活を満喫していたら、噂を聞きつけた第三王子がチラチラこっちを見ている。しかもうっかり婚約者になってしまったわ……?!?
これは無自覚に他人の踏み台になって引っ張り上げる主人公が、たまにしょげては踏ん張りながらやっぱり周りを幸せにしたりやっと自分も幸せになったりするかもしれない物語。
「わたくし、甘い砂を吐くのには慣れておりますの」
ーー踏み台令嬢は今日も誰かを幸せにする。
なろうでも投稿しています。
【1/21取り下げ予定】悲しみは続いても、また明日会えるから
gacchi
恋愛
愛人が身ごもったからと伯爵家を追い出されたお母様と私マリエル。お母様が幼馴染の辺境伯と再婚することになり、同じ年の弟ギルバードができた。それなりに仲良く暮らしていたけれど、倒れたお母様のために薬草を取りに行き、魔狼に襲われて死んでしまった。目を開けたら、なぜか五歳の侯爵令嬢リディアーヌになっていた。あの時、ギルバードは無事だったのだろうか。心配しながら連絡することもできず、時は流れ十五歳になったリディアーヌは学園に入学することに。そこには変わってしまったギルバードがいた。電子書籍化のため1/21取り下げ予定です。
【完結】婚約者が好きなのです
maruko
恋愛
リリーベルの婚約者は誰にでも優しいオーラン・ドートル侯爵令息様。
でもそんな優しい婚約者がたった一人に対してだけ何故か冷たい。
冷たくされてるのはアリー・メーキリー侯爵令嬢。
彼の幼馴染だ。
そんなある日。偶然アリー様がこらえきれない涙を流すのを見てしまった。見つめる先には婚約者の姿。
私はどうすればいいのだろうか。
全34話(番外編含む)
※他サイトにも投稿しております
※1話〜4話までは文字数多めです
注)感想欄は全話読んでから閲覧ください(汗)
薬術の魔女の結婚事情【リメイク】
しの
恋愛
『身分を問わず、魔力の相性が良い相手と婚姻すべし』
少子高齢化の進む魔術社会でそんな法律が出来る。それは『相性結婚』と俗世では呼称された。
これは法律に巻き込まれた、薬術が得意な少女の物語——
—— —— —— ——
×以下 中身のあらすじ×
××
王家を中心に複数の貴族家で構成されたこの国は、魔獣の襲来などはあるものの隣国と比べ平和が続いていた。
特出した育児制度も無く労働力は魔術や魔道具で補えるので子を増やす必要が少なく、独り身を好む者が増え緩やかに出生率が下がり少子高齢化が進んでいた。
それを危惧した政府は『相性結婚』なる制度を作り上げる。
また、強い魔力を血筋に取り込むような婚姻を繰り返す事により、魔力の質が低下する懸念があった。その為、強い血のかけあわせよりも相性という概念での組み合わせの方が、より質の高い魔力を持つ子供の出生に繋がると考えられたのだ。
しかし、魔力の相性がいいと性格の相性が良くない事が多く、出生率は対して上がらずに離婚率をあげる結果となり、法律の撤廃が行われようとしている間際であった。
薬作りが得意な少女、通称『薬術の魔女』は、エリート学校『魔術アカデミー』の薬学コース生。
第四学年になった秋に、15歳になると検討が始まる『相性結婚』の通知が届き、宮廷で魔術師をしているらしい男と婚約する事になった。
顔合わせで会ったその日に、向こうは「鞍替えしても良い」「制度は虫よけ程度にしか使うつもりがない」と言い、あまり乗り気じゃない上に、なんだかただの宮廷魔術師でもなさそうだ。
他にも途中で転入してきた3人もなんだか変なやつばっかりで。
こんな感じだし、制度はそろそろ撤廃されそうだし。アカデミーを卒業したら制度の通りに結婚するのだろうか。
これは、薬術の魔女と呼ばれる薬以外にほとんど興味のない(無自覚)少女と、何でもできるが周囲から認められず性格が歪んでしまった魔術師の男が制度によって出会い、互いの関係が変化するまでのお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる