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21侯爵家のマリアンヌ
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コンコンコンと控えめなノックの音にルイス王子が応じると、侍従が執務室の扉を開けた。
「失礼致します。ただいまホージ侯爵家ご令嬢マリアンヌ様がお越しになりお目通りを願っておられますが、如何いたしましょう」
「はぁ~……昼時を狙ってきたか」
ルイス王子が心底疲れたようなため息を吐き、「マリアンヌ嬢と昼食をとる。案内しておいてくれ」と力なく命じると、侍従は「畏まりました」と一礼して退出していった。
そして、行くぞと言うように顎をクイッとしゃくり、「ジークヴァルト、『魔女』殿がいらっしゃった」と当然のように言うと、今度はジークヴァルトが諦めたように「……畏まりました」と無機質に言って従った。
✳︎
ルイス王子とジークヴァルトは、午後からの執務の予定などを話しながら宮殿の廊下を移動していた。
「まあ!ルイス王子様!ルイス様!」
廊下の先から小振りの花束を両手に持った女性が、ルイス王子の姿を見つけ嬉しそうに駆けてくる。
「ルイス様、待ちきれなくてお迎えに来てしまいましたわ」
頬を染め嬉しそうにルイス王子を満面の笑みで見上げる。
ルイス王子は先ほどとは別人のように「やあ、よく来たねマリアンヌ嬢」と爽やかに応えた。
「あの、ルイス様、このお花私が摘んできましたの。とてもいい香りがしますのよ。
お仕事されるルイス様の気休めになればと思いまして。
どうぞ執務のお部屋に飾ってくださいませ」
それは、華やかで真っ赤な花弁のロゼアンという甘い芳香が特徴の花。
仮にも魔女を名乗るのなら、集中力を要する執務室にふさわしい芳香かどうかくらい分からないのかとマリアンヌの浅はかさにルイスは呆れたが、相手に本心を悟らせないことは『王子』として重要である。
顔面では「ありがとう」とにこやかに礼を言う。だが、自分では受け取らず控える侍従に受け取らせた。
そもそも、彼女がルイス王子の婚約者となった出来事は五年ほど前に遡る。
ルイス王子の祖母である皇太后の命令で『魔女探し』がはじまったことがきっかけだ。
皇太后の命じるままに深い森の中を捜すと、小屋に住み着いていた14歳の若い娘マリアンヌが発見された。
彼女に事情を聞けば、魔女の修行を始めた矢先に師匠が亡くなってしまった。だが、自分は魔女の弟子だと。
魔女探しを命じられたホージ侯爵が小屋の中を探すと、床下に丁寧に隠されてあった一冊の本を発見した。それはこの世界にはない文字で書かれたものだった。
ホージ侯爵が本と共にマリアンヌを魔女として王都へ連れ帰ると、皇太后はこの本を『魔女の秘伝』と名付け、薬草を使った薬の処方が書かれているのだろうと決めつけた。
そして、皇太后の決定によりマリアンヌは『魔女』と認められ、ホージ侯爵家を後見としてその養女にし、すぐにルイス王子の婚約者と発表したのだった。
いまの王家において皇太后の言うことは絶対。
ルイス王子にとって、マリアンヌと結婚する以外の選択肢はない。
もう一人『魔女』が存在しない限りは。
ルイス王子は自分を見上げるマリアンヌを改めて見る。
嬉しそうに見上げる瞳はくっきりとした二重の濃褐色。はっきりとした顔立ちで腰まで延ばされた癖の強い髪は瞳と同じ濃い茶色。容姿は醜いというわけではない。
問題は服装だ。今日のドレスは、薔薇色に同色のレースがふんだんに使われ、胸元が大きく開いたたいへん大胆なデザインだ。その胸元を飾るのは、大ぶりの真っ赤なルビーをあしらった夜会用の首飾り。
たしかに大人びて見えるマリアンヌに似合っていたが、似合う似合わないの問題ではない。
貴族とは伝統と格式を重んじる。
女性なら尚更、あらゆる場面に適したドレスの色や形、宝飾品に使われる宝石の種類、色、デザインから髪に飾る花の意味にまで気を配る必要がある。
ましてやここは王族の住む宮殿だ。仮にも王子の婚約者、後々王妃となるなら貴族の手本とならなければならない。
だが、このマリアンヌにはそんな意識と気構えが抜け落ちていた。
だが、皇太后のお墨付きを持つ彼女に誰が歯向かうというのか。むしろ、皇太后の威をかりて堅く古臭い約束ごとなど華やかに変えてやろうと思っているほどだった。
ルイス王子は穏やかに微笑みながら内心大きく長いため息を吐くという荒技も習得していた。
そんな王子の考えなど知るはずもなく、見つめ合ったマリアンヌ嬢はますます熱くなる頬を手で覆っていた。
✳︎
昨日エマと食事をした同じ部屋でルイス王子、マリアンヌ、そしてジークヴァルトがともに昼食をとる。
食事中は特に弾む会話もなく、静かだった。だからこそ、マリアンヌの些細なマナーの乱れが目について仕方がなかった。
カトラリーと皿が擦れる音、ナフキンの使い方、料理の切り方、食べる所作まで。侯爵家でもマナーを仕込まれていて、普通なら十分作法にかなったものだが、今は宮殿、さらに、相手は王子と公爵家嫡男だ。よほど食べ慣れていないと小さな綻びがあちこち出てくる。
ジークヴァルトも時々手を止めてそれと気づかれないようにマリアンヌを観察しているのは、ルイス王子と同意だろう。
ルイス王子には昨日突然宮殿に連れて来られたエマのことがまざまざと思い出され、マリアンヌにひどくイラついた。
皇太后は、年の釣り合う『魔女』つまりこの娘が自分の伴侶だという。
ルイス王子は、以前から自分の中で今にも弾け飛びそうなリミッターに気づいていたが、今回も気力を振り絞りなんとか見ないふりをしてやり過ごした。
ようやく食事が終わり、飲み物が出された。ルイス王子は温かい紅茶を一口飲むと、ついつい小さくため息をついてしまった。
「ルイス様?お疲れですか?」
「ああ、少しね」
「まあ。ジークヴァルト様、ルイス様のお仕事の量が多すぎるのでは?」
マリアンヌは、可愛くぷっと頬を膨らませてジークヴァルトを、めっ!と見る。
ジークヴァルトは、王子の婚約者の機嫌をあえて損ねることもないと、「そうですね。気をつけます。マリアンヌ嬢はお優しいのですね」と心にもないことを平気で言う。
マリアンヌは赤みのさす頬に手を添えて「ジークヴァルト様はお口がお上手ね」などと上機嫌だ。
この国トップの男たちと気安く会話している自分に酔っているかのようなマリアンヌに、ルイス王子は嘲笑が漏れそうになった。
ルイス王子は、早々に席を立つつもりだったが、ふと思い立ちマリアンヌに聞いてみた。
「ところで、マリアンヌ嬢。きみは、側室候補のご令嬢三人の趣味を知っているかい?」
マリアンヌは、「趣味?」と思い出すふうに可愛く小首を傾げてから、ふっと鼻先でわらった。
「はい、存じております。ミーナ様が花の品種改良、カトリーヌ様が織物、ジーナ様が琴ですよね。それが何か?」
「君は彼女らの作品をどう思う?」
「皆様ずいぶん熱心だなと。まあご趣味を持つことはお暇がなくてよろしいんじゃないでしょうか」
マリアンヌが三人の令嬢たちそう評価するのを聞いて、ルイス王子は小さくつぶやく。
無知だな。
「え…?」
マリアンヌが聞き返す間も無く、ルイス王子は「執務に戻る」と席を立った。
「失礼致します。ただいまホージ侯爵家ご令嬢マリアンヌ様がお越しになりお目通りを願っておられますが、如何いたしましょう」
「はぁ~……昼時を狙ってきたか」
ルイス王子が心底疲れたようなため息を吐き、「マリアンヌ嬢と昼食をとる。案内しておいてくれ」と力なく命じると、侍従は「畏まりました」と一礼して退出していった。
そして、行くぞと言うように顎をクイッとしゃくり、「ジークヴァルト、『魔女』殿がいらっしゃった」と当然のように言うと、今度はジークヴァルトが諦めたように「……畏まりました」と無機質に言って従った。
✳︎
ルイス王子とジークヴァルトは、午後からの執務の予定などを話しながら宮殿の廊下を移動していた。
「まあ!ルイス王子様!ルイス様!」
廊下の先から小振りの花束を両手に持った女性が、ルイス王子の姿を見つけ嬉しそうに駆けてくる。
「ルイス様、待ちきれなくてお迎えに来てしまいましたわ」
頬を染め嬉しそうにルイス王子を満面の笑みで見上げる。
ルイス王子は先ほどとは別人のように「やあ、よく来たねマリアンヌ嬢」と爽やかに応えた。
「あの、ルイス様、このお花私が摘んできましたの。とてもいい香りがしますのよ。
お仕事されるルイス様の気休めになればと思いまして。
どうぞ執務のお部屋に飾ってくださいませ」
それは、華やかで真っ赤な花弁のロゼアンという甘い芳香が特徴の花。
仮にも魔女を名乗るのなら、集中力を要する執務室にふさわしい芳香かどうかくらい分からないのかとマリアンヌの浅はかさにルイスは呆れたが、相手に本心を悟らせないことは『王子』として重要である。
顔面では「ありがとう」とにこやかに礼を言う。だが、自分では受け取らず控える侍従に受け取らせた。
そもそも、彼女がルイス王子の婚約者となった出来事は五年ほど前に遡る。
ルイス王子の祖母である皇太后の命令で『魔女探し』がはじまったことがきっかけだ。
皇太后の命じるままに深い森の中を捜すと、小屋に住み着いていた14歳の若い娘マリアンヌが発見された。
彼女に事情を聞けば、魔女の修行を始めた矢先に師匠が亡くなってしまった。だが、自分は魔女の弟子だと。
魔女探しを命じられたホージ侯爵が小屋の中を探すと、床下に丁寧に隠されてあった一冊の本を発見した。それはこの世界にはない文字で書かれたものだった。
ホージ侯爵が本と共にマリアンヌを魔女として王都へ連れ帰ると、皇太后はこの本を『魔女の秘伝』と名付け、薬草を使った薬の処方が書かれているのだろうと決めつけた。
そして、皇太后の決定によりマリアンヌは『魔女』と認められ、ホージ侯爵家を後見としてその養女にし、すぐにルイス王子の婚約者と発表したのだった。
いまの王家において皇太后の言うことは絶対。
ルイス王子にとって、マリアンヌと結婚する以外の選択肢はない。
もう一人『魔女』が存在しない限りは。
ルイス王子は自分を見上げるマリアンヌを改めて見る。
嬉しそうに見上げる瞳はくっきりとした二重の濃褐色。はっきりとした顔立ちで腰まで延ばされた癖の強い髪は瞳と同じ濃い茶色。容姿は醜いというわけではない。
問題は服装だ。今日のドレスは、薔薇色に同色のレースがふんだんに使われ、胸元が大きく開いたたいへん大胆なデザインだ。その胸元を飾るのは、大ぶりの真っ赤なルビーをあしらった夜会用の首飾り。
たしかに大人びて見えるマリアンヌに似合っていたが、似合う似合わないの問題ではない。
貴族とは伝統と格式を重んじる。
女性なら尚更、あらゆる場面に適したドレスの色や形、宝飾品に使われる宝石の種類、色、デザインから髪に飾る花の意味にまで気を配る必要がある。
ましてやここは王族の住む宮殿だ。仮にも王子の婚約者、後々王妃となるなら貴族の手本とならなければならない。
だが、このマリアンヌにはそんな意識と気構えが抜け落ちていた。
だが、皇太后のお墨付きを持つ彼女に誰が歯向かうというのか。むしろ、皇太后の威をかりて堅く古臭い約束ごとなど華やかに変えてやろうと思っているほどだった。
ルイス王子は穏やかに微笑みながら内心大きく長いため息を吐くという荒技も習得していた。
そんな王子の考えなど知るはずもなく、見つめ合ったマリアンヌ嬢はますます熱くなる頬を手で覆っていた。
✳︎
昨日エマと食事をした同じ部屋でルイス王子、マリアンヌ、そしてジークヴァルトがともに昼食をとる。
食事中は特に弾む会話もなく、静かだった。だからこそ、マリアンヌの些細なマナーの乱れが目について仕方がなかった。
カトラリーと皿が擦れる音、ナフキンの使い方、料理の切り方、食べる所作まで。侯爵家でもマナーを仕込まれていて、普通なら十分作法にかなったものだが、今は宮殿、さらに、相手は王子と公爵家嫡男だ。よほど食べ慣れていないと小さな綻びがあちこち出てくる。
ジークヴァルトも時々手を止めてそれと気づかれないようにマリアンヌを観察しているのは、ルイス王子と同意だろう。
ルイス王子には昨日突然宮殿に連れて来られたエマのことがまざまざと思い出され、マリアンヌにひどくイラついた。
皇太后は、年の釣り合う『魔女』つまりこの娘が自分の伴侶だという。
ルイス王子は、以前から自分の中で今にも弾け飛びそうなリミッターに気づいていたが、今回も気力を振り絞りなんとか見ないふりをしてやり過ごした。
ようやく食事が終わり、飲み物が出された。ルイス王子は温かい紅茶を一口飲むと、ついつい小さくため息をついてしまった。
「ルイス様?お疲れですか?」
「ああ、少しね」
「まあ。ジークヴァルト様、ルイス様のお仕事の量が多すぎるのでは?」
マリアンヌは、可愛くぷっと頬を膨らませてジークヴァルトを、めっ!と見る。
ジークヴァルトは、王子の婚約者の機嫌をあえて損ねることもないと、「そうですね。気をつけます。マリアンヌ嬢はお優しいのですね」と心にもないことを平気で言う。
マリアンヌは赤みのさす頬に手を添えて「ジークヴァルト様はお口がお上手ね」などと上機嫌だ。
この国トップの男たちと気安く会話している自分に酔っているかのようなマリアンヌに、ルイス王子は嘲笑が漏れそうになった。
ルイス王子は、早々に席を立つつもりだったが、ふと思い立ちマリアンヌに聞いてみた。
「ところで、マリアンヌ嬢。きみは、側室候補のご令嬢三人の趣味を知っているかい?」
マリアンヌは、「趣味?」と思い出すふうに可愛く小首を傾げてから、ふっと鼻先でわらった。
「はい、存じております。ミーナ様が花の品種改良、カトリーヌ様が織物、ジーナ様が琴ですよね。それが何か?」
「君は彼女らの作品をどう思う?」
「皆様ずいぶん熱心だなと。まあご趣味を持つことはお暇がなくてよろしいんじゃないでしょうか」
マリアンヌが三人の令嬢たちそう評価するのを聞いて、ルイス王子は小さくつぶやく。
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「え…?」
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