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60tage(1)
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「ごめんねぇ。私も、もう年だから」
「仕方ないですよ。バイトなら、他の場所を探せます」
こんな、腰も曲がったおばあちゃんに心配されるようじゃ、俺もまだまだだ。
「司ちゃん、いい子だったのにねぇ。残念だわぁ」
そう言っておばあちゃんは、エプロンのポケットを探り始めた。
「はい、これ。少ないけど使ってやって」
「いや、でも……」
「いいから」
そう言われてしまっては、断りづらい。
「……ありがとうございます」
一年バイトとして通った食堂が今日、閉店になった。七十才をこえたおばあちゃんが独りで切り盛りしていたお店だから、仕方がないことかもしれない。
「今月の給料、十万か……」
高校生が半月で稼いだお小遣いと思えば、多い方だと思う。だけど、これだけじゃ駄目なんだ。
俺はボロアパートのドアを開けた。
殺風景な部屋には、机が一つ、タンスが一つあるだけだ。
ポストに入っていた手紙を並べる。どれも、滞納金を払えと催促するものばかりだ。
今日貰った十万円をはたけば、どうにかならないわけでもない。しかし、問題は別の場所にあった。
中学校に入学した頃から使っている自転車を走らせ、病院に向かう。狭い駐輪場に自転車を止め、ひとつの病室に入る。
「あら、司(つかさ)じゃない」
「……おはよ」
母は、数年前からがんに侵されていた。
「これ、今月の給料。治療費の足しにして」
そう言って、おばあちゃんからもらった袋を、そのまま渡す。
「え?でもまだ給料日じゃ……」
「店が閉店になった」
「そう……」
父さんがどこにいるかわからない今、これが唯一の収入源だった。
「これ渡しに来ただけだから。俺、帰るね。さっさと次のバイト探さないと」
「あなた、来年受験でしょ?そんなことしている暇あるの?」
「……大学には行かないから」
それだけ言い残して、俺は病室を後にした。
本当は、大学まで行きたかったし、どこかに拾ってもらえるほどの学力は持っているつもりだ。
これは、仕方がないことなんだ。そう思い込むことにした。
* * *
それから数日後のことだった。
高校生を雇ってくれるバイトは中々見つからず、心もとない蓄えが、少しずつ、確実に減っていった。
「母さんの治療費と、電気代と水道代……。ガスは諦めるしかないかな」
母の治療費が、あまりにも大きかった。元々、家は別に貧乏ではなかったが、父さんが帰ってこなくなり、母さんが病気になって、蓄えが一気に消えた。幸い、俺の学校はバイトを禁止していないので始めてみたけれど、高校生を雇ってくれる場所は中々見つからないし、やっと見つけたあの場所も、閉店となってしまった。
ポストを覗くと、滞納金のお知らせ以外にも、別の手紙が来ていることに気付いた。
「『六十日間のサバイバル!限定二十名、賞金は合計二千万円』……?」
内容は、詳しく書いていなかった。
あまりにも胡散臭いと思い、そのときは気に留めなかった。
「結城君(ゆうき)いますか?」
それは、ある日の授業中のことだった。
「ちょっとこっちに来てくれる?」
養護教諭に呼び出された。
高校に入ってから、検診で引っかかっても病院に行っていないので、しびれを切らした先生が直々に叱りに来たのかと思ったら、全く違う話だった。
「今すぐ、病院に来てほしいって。お母さんが──」
目の前が、真っ暗になった。
規則正しく動く、機械の音がする。
母は取り敢えず、一命をとりとめた。だが、状況が悪いのには違いなかった。
「司、大丈夫?」
遠くで暮らす祖母が気を使って聞いてきた。
「うん……」
生返事しか返せない。
「あんた、これから生活どうしてくつもり?」
「ん……」
つい先ほどの、医師の話が脳を巡る。
「お母さんの病気は、手術をすれば治る可能性がないとは言えませんが……。その、治療費が高くて……」
今でもギリギリだっていうのに、これ以上高くなっては、どうしようもできない。
「おばあちゃんの家にくる?あんた独りで養うよりはいいはずだよ」
「……大丈夫」
「大丈夫」なわけがなかった。
思考が追い付かないまま、家にたどり着いた。
二年間、ずっと独りで過ごしているはずなのに、なぜか今日は感じたことのない寂寥感があった。
すぐ目につくのは、何通もの滞納金の知らせ。払う気がないなら、ガスや電気を止めると脅される。払う気がないわけじゃないなんて、ただの言い訳だ。
──いっそのこと、全部無視してやろうかな。
そう思って、机に出したままの手紙を、かき集めた。
カサ……と小さな音がして、一通の手紙が落ちた。腰を屈めてそれを手にとると、それは昨日の、胡散臭いと投げ捨てた手紙だった。
「……『賞金は合計二千万円。半分は最初に振り込まれます。もし、生き残ることができたら、残りの千万円をお支払します』、か」
選択肢はもう、これしか──。
* * *
「あら、司?」
「おはよ」
一週間後、俺は母さんの病室にいた。
「今日、木曜日でしょ?学校はどうしたの?」
「まあ、ちょっとね」
俺は適当に誤魔化すが、母さんは強く言わない。普段一緒にいない息子に、強く言うことはできないだろう。
無言で、通帳が入った小さな袋を、机に置いた。何が入っているのか、どこから持ってきたのかは言わなかったし、聞かれなかった。
「──あ、あのさ」
何か話していないと、泣きそうになってしまって、口を開いた。
「お金の心配はしなくていいから、手術受けてよ」
「え?」
母さんは、驚いたというよりかは、怪訝そうな顔をしている。
「どういうこと?あなた、もしかして変なのに手を出してない?」
そう言われるのも当然だ。
「……大丈夫。出してない」
限りなく嘘に近かった。
手紙に書いてあった電話番号をかけ、あの「サバイバル」とやらに申し込んだ。するとすぐにお金は振り込まれていたし、詳しい日時とかも三日後くらいには、知らせが届いていた。
だから多分、詐欺ではないと思う。
でも、「サバイバルに生き残れたら」残りの賞金を払うと書いてあったから、命の危険があるのは明白だった。
そう説明することもできなくて、それ以上のことは何も言えなかった。
「結城さん。検査の時間ですよ」
このタイミングで、看護師さんが母さんを呼びに来た。
「もうちょっと話したかったけど、行かなきゃね」
「うん。じゃあ、俺も帰る」
母は車椅子に乗って、手を振った。
「またね」
ある意味それは、一番残酷な言葉かもしれない。
「うん……」
誰もいなくなった病室に、寂しさだけが残る。
もう、二度と話せないかもしれない、会えないかもしれないから。そう思って、ここに来た。
まさか、これだけしか話せないなんて。もう少し時間があると思っていた。
「泣かないって決めてたんだけどなぁ……」
小さな箱で独り、肩を震わせて泣いた。
* * *
参加者が、ある一つの部屋に、続々と集まってくる。年齢も性別も、皆バラバラだ。ざっと二十人くらいだ。
周りを見ると、俺と同年代の奴はほとんどおらず、二十代から四十代──働き盛りの人が多くいるような印象だ。
「よう!兄ちゃん、まさかお前も参加者か?」
不意に、三十代くらいの男の人に話しかけられた。
「一応、そうですが……」
そうでなければ、ここにはいないだろう。
「学校は?」
「……何も言わずに出てきました」
それを聞いた彼は、驚いたように言う。
「お前、これを遊びか何かと勘違いしてないか?」
「それは……。大丈夫だと思います」
彼は「ふーん」と気のない返事をして、手を振った。
「ま、参加者がこれだけの人数だ。何するのかは知らねぇけど、これから宜しくな」
そう残して、彼はどこかに去っていった。名前くらい、聞いておけばよかったのかもしれない。
「皆さん、静粛に!」
初老の男性の声が、部屋に響く。
「時刻となりました。それでは、開会とさせていただきます」
彼はわざとらしくお辞儀をする。
「さて、皆さんには先に伝えた通り、『サバイバル』に参加していただきます。お金につられてここにいる方もいらっしゃるようですが、これは朗報ですよ!ここで『生き残れば』、賞金は倍になります!」
その司会ぶりは、下手な役者のようだ。
お金につられて、か。それは的を得た発言だと思うし、実際俺もそうだった。
「これで、皆さんに伝えるべき内容は全てです。それでは、健闘を祈ります」
そう言って彼は、どこかへ消えて行った。
「ちょっと!何すんの!?」
部屋の隅の方で、女性が金切声をあげた。
「通信機器は全て、こちらで預からせていただきます」
そう言って、主宰側の男性は、携帯電話を押収する。参加者からは、非難の声が次々とあがっていた。
まあ、携帯とかスマホとかを買うお金なんてないから、俺には関係のない話なんだけど。
「皆さん、準備はできましたか?それでは、こちらにお集まりください」
さっきの初老の男性がそう言うと、参加者の中にある疑問が渦巻いた。
「これから、何をするの?」
誰も、その詳しい内容を知らなかった。
「まあまあ……」
主宰側の人間は、はぐらかすのが上手い。参加者を上手く丸めこんで、別の場所に連れて行った。
「うわ……。すっげぇ……」
連れて来られたのは、小さな島だった。小高い山もある。この組織が買い取ったにしては、大きすぎる島だ。
「何?こんなところなの?」
「虫がいっぱい出そう……」
島は植物に覆われており、そんな文句を言う人も中にはいた。俺は、別に嫌いじゃない。今時、こんな場所に巡り会うことも、よくある話なんかじゃなかった。
──ここに俺達は、六十日もの間、閉じ込められることになった。
──それがもたらしたものは、
──ひとつを除いて、何もなかった。
【次回】一人目の犠牲者
お楽しみに~
「仕方ないですよ。バイトなら、他の場所を探せます」
こんな、腰も曲がったおばあちゃんに心配されるようじゃ、俺もまだまだだ。
「司ちゃん、いい子だったのにねぇ。残念だわぁ」
そう言っておばあちゃんは、エプロンのポケットを探り始めた。
「はい、これ。少ないけど使ってやって」
「いや、でも……」
「いいから」
そう言われてしまっては、断りづらい。
「……ありがとうございます」
一年バイトとして通った食堂が今日、閉店になった。七十才をこえたおばあちゃんが独りで切り盛りしていたお店だから、仕方がないことかもしれない。
「今月の給料、十万か……」
高校生が半月で稼いだお小遣いと思えば、多い方だと思う。だけど、これだけじゃ駄目なんだ。
俺はボロアパートのドアを開けた。
殺風景な部屋には、机が一つ、タンスが一つあるだけだ。
ポストに入っていた手紙を並べる。どれも、滞納金を払えと催促するものばかりだ。
今日貰った十万円をはたけば、どうにかならないわけでもない。しかし、問題は別の場所にあった。
中学校に入学した頃から使っている自転車を走らせ、病院に向かう。狭い駐輪場に自転車を止め、ひとつの病室に入る。
「あら、司(つかさ)じゃない」
「……おはよ」
母は、数年前からがんに侵されていた。
「これ、今月の給料。治療費の足しにして」
そう言って、おばあちゃんからもらった袋を、そのまま渡す。
「え?でもまだ給料日じゃ……」
「店が閉店になった」
「そう……」
父さんがどこにいるかわからない今、これが唯一の収入源だった。
「これ渡しに来ただけだから。俺、帰るね。さっさと次のバイト探さないと」
「あなた、来年受験でしょ?そんなことしている暇あるの?」
「……大学には行かないから」
それだけ言い残して、俺は病室を後にした。
本当は、大学まで行きたかったし、どこかに拾ってもらえるほどの学力は持っているつもりだ。
これは、仕方がないことなんだ。そう思い込むことにした。
* * *
それから数日後のことだった。
高校生を雇ってくれるバイトは中々見つからず、心もとない蓄えが、少しずつ、確実に減っていった。
「母さんの治療費と、電気代と水道代……。ガスは諦めるしかないかな」
母の治療費が、あまりにも大きかった。元々、家は別に貧乏ではなかったが、父さんが帰ってこなくなり、母さんが病気になって、蓄えが一気に消えた。幸い、俺の学校はバイトを禁止していないので始めてみたけれど、高校生を雇ってくれる場所は中々見つからないし、やっと見つけたあの場所も、閉店となってしまった。
ポストを覗くと、滞納金のお知らせ以外にも、別の手紙が来ていることに気付いた。
「『六十日間のサバイバル!限定二十名、賞金は合計二千万円』……?」
内容は、詳しく書いていなかった。
あまりにも胡散臭いと思い、そのときは気に留めなかった。
「結城君(ゆうき)いますか?」
それは、ある日の授業中のことだった。
「ちょっとこっちに来てくれる?」
養護教諭に呼び出された。
高校に入ってから、検診で引っかかっても病院に行っていないので、しびれを切らした先生が直々に叱りに来たのかと思ったら、全く違う話だった。
「今すぐ、病院に来てほしいって。お母さんが──」
目の前が、真っ暗になった。
規則正しく動く、機械の音がする。
母は取り敢えず、一命をとりとめた。だが、状況が悪いのには違いなかった。
「司、大丈夫?」
遠くで暮らす祖母が気を使って聞いてきた。
「うん……」
生返事しか返せない。
「あんた、これから生活どうしてくつもり?」
「ん……」
つい先ほどの、医師の話が脳を巡る。
「お母さんの病気は、手術をすれば治る可能性がないとは言えませんが……。その、治療費が高くて……」
今でもギリギリだっていうのに、これ以上高くなっては、どうしようもできない。
「おばあちゃんの家にくる?あんた独りで養うよりはいいはずだよ」
「……大丈夫」
「大丈夫」なわけがなかった。
思考が追い付かないまま、家にたどり着いた。
二年間、ずっと独りで過ごしているはずなのに、なぜか今日は感じたことのない寂寥感があった。
すぐ目につくのは、何通もの滞納金の知らせ。払う気がないなら、ガスや電気を止めると脅される。払う気がないわけじゃないなんて、ただの言い訳だ。
──いっそのこと、全部無視してやろうかな。
そう思って、机に出したままの手紙を、かき集めた。
カサ……と小さな音がして、一通の手紙が落ちた。腰を屈めてそれを手にとると、それは昨日の、胡散臭いと投げ捨てた手紙だった。
「……『賞金は合計二千万円。半分は最初に振り込まれます。もし、生き残ることができたら、残りの千万円をお支払します』、か」
選択肢はもう、これしか──。
* * *
「あら、司?」
「おはよ」
一週間後、俺は母さんの病室にいた。
「今日、木曜日でしょ?学校はどうしたの?」
「まあ、ちょっとね」
俺は適当に誤魔化すが、母さんは強く言わない。普段一緒にいない息子に、強く言うことはできないだろう。
無言で、通帳が入った小さな袋を、机に置いた。何が入っているのか、どこから持ってきたのかは言わなかったし、聞かれなかった。
「──あ、あのさ」
何か話していないと、泣きそうになってしまって、口を開いた。
「お金の心配はしなくていいから、手術受けてよ」
「え?」
母さんは、驚いたというよりかは、怪訝そうな顔をしている。
「どういうこと?あなた、もしかして変なのに手を出してない?」
そう言われるのも当然だ。
「……大丈夫。出してない」
限りなく嘘に近かった。
手紙に書いてあった電話番号をかけ、あの「サバイバル」とやらに申し込んだ。するとすぐにお金は振り込まれていたし、詳しい日時とかも三日後くらいには、知らせが届いていた。
だから多分、詐欺ではないと思う。
でも、「サバイバルに生き残れたら」残りの賞金を払うと書いてあったから、命の危険があるのは明白だった。
そう説明することもできなくて、それ以上のことは何も言えなかった。
「結城さん。検査の時間ですよ」
このタイミングで、看護師さんが母さんを呼びに来た。
「もうちょっと話したかったけど、行かなきゃね」
「うん。じゃあ、俺も帰る」
母は車椅子に乗って、手を振った。
「またね」
ある意味それは、一番残酷な言葉かもしれない。
「うん……」
誰もいなくなった病室に、寂しさだけが残る。
もう、二度と話せないかもしれない、会えないかもしれないから。そう思って、ここに来た。
まさか、これだけしか話せないなんて。もう少し時間があると思っていた。
「泣かないって決めてたんだけどなぁ……」
小さな箱で独り、肩を震わせて泣いた。
* * *
参加者が、ある一つの部屋に、続々と集まってくる。年齢も性別も、皆バラバラだ。ざっと二十人くらいだ。
周りを見ると、俺と同年代の奴はほとんどおらず、二十代から四十代──働き盛りの人が多くいるような印象だ。
「よう!兄ちゃん、まさかお前も参加者か?」
不意に、三十代くらいの男の人に話しかけられた。
「一応、そうですが……」
そうでなければ、ここにはいないだろう。
「学校は?」
「……何も言わずに出てきました」
それを聞いた彼は、驚いたように言う。
「お前、これを遊びか何かと勘違いしてないか?」
「それは……。大丈夫だと思います」
彼は「ふーん」と気のない返事をして、手を振った。
「ま、参加者がこれだけの人数だ。何するのかは知らねぇけど、これから宜しくな」
そう残して、彼はどこかに去っていった。名前くらい、聞いておけばよかったのかもしれない。
「皆さん、静粛に!」
初老の男性の声が、部屋に響く。
「時刻となりました。それでは、開会とさせていただきます」
彼はわざとらしくお辞儀をする。
「さて、皆さんには先に伝えた通り、『サバイバル』に参加していただきます。お金につられてここにいる方もいらっしゃるようですが、これは朗報ですよ!ここで『生き残れば』、賞金は倍になります!」
その司会ぶりは、下手な役者のようだ。
お金につられて、か。それは的を得た発言だと思うし、実際俺もそうだった。
「これで、皆さんに伝えるべき内容は全てです。それでは、健闘を祈ります」
そう言って彼は、どこかへ消えて行った。
「ちょっと!何すんの!?」
部屋の隅の方で、女性が金切声をあげた。
「通信機器は全て、こちらで預からせていただきます」
そう言って、主宰側の男性は、携帯電話を押収する。参加者からは、非難の声が次々とあがっていた。
まあ、携帯とかスマホとかを買うお金なんてないから、俺には関係のない話なんだけど。
「皆さん、準備はできましたか?それでは、こちらにお集まりください」
さっきの初老の男性がそう言うと、参加者の中にある疑問が渦巻いた。
「これから、何をするの?」
誰も、その詳しい内容を知らなかった。
「まあまあ……」
主宰側の人間は、はぐらかすのが上手い。参加者を上手く丸めこんで、別の場所に連れて行った。
「うわ……。すっげぇ……」
連れて来られたのは、小さな島だった。小高い山もある。この組織が買い取ったにしては、大きすぎる島だ。
「何?こんなところなの?」
「虫がいっぱい出そう……」
島は植物に覆われており、そんな文句を言う人も中にはいた。俺は、別に嫌いじゃない。今時、こんな場所に巡り会うことも、よくある話なんかじゃなかった。
──ここに俺達は、六十日もの間、閉じ込められることになった。
──それがもたらしたものは、
──ひとつを除いて、何もなかった。
【次回】一人目の犠牲者
お楽しみに~
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