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第39話 圧倒的な力の差
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アスカが意識を手放してからしばらくの時間が経過した。
アスカの言葉で協力するということの重要性に気がついたツカサ達は見事な連携で徐々に刃翼竜を追い詰めていた。だがそれと同時に、ツカサ達もかなりの体力を消耗していた。特に精霊の力を使っているツカサ3人の中で1番消耗していた。
「ハァ……ハァ……」
「流石に、タフ過ぎだろ……」
炎で氷を溶かし、そこを攻撃し傷を与えていく。傷には刃翼竜が止血をするために氷を張っているが、確実に攻撃は確かに通っている。討伐までもう少しといったところだ。
「……次が最後だ。これ以上の消耗は俺自身が行動すること自体に影響が出る」
「了解。次で決める」
次が最後の攻撃。これを外すか或いは討伐しきれなければ撤退を余儀なくされる。
しかしその場合、刃翼竜はツカサ達が刃翼竜を討伐すると信じて先に行ったギルドマスター達が乗った馬車を襲うだろ。
「これが最後の攻撃であり、俺の最大の技だ!」
ツカサは、まるでロープのような太さの炎をそれぞれ3本ずつ両指に繋げる。そしてその炎を結界のように張り巡らせる。刃翼竜が邪魔くさいとその炎の結界を突破しようとするが、結界に触れた瞬間に体に纏っていた氷が瞬時に熔け、突破しようと進めたその足を止める。
「『フレイム・ウィップ』だ。それに触れれば並の魔獣なら丸焦げになるぞ」
その結界──フレイム・ウィップの炎は約1500℃で、触れるもの全てを燃やし尽くす。
一件相手の動きを制限するこの技はほぼ無敵に見えるが欠点はある。それは、張り巡らされると言っても直接対象のものに狙って当てられる訳ではない。それに、この結界はかなりの隙間がある。人間や小型の魔獣であれば抜け出せるだろうが、今回はサイズが大きい刃翼竜だ。相性は良い。
「でも、それからどうするんだ? このままじゃあ近づいても近づいた瞬間に殺られる」
「それに、刃翼竜の動きが制限されるあの中に入ると回避などの時に触れてしまう可能性があります」
「落ち着け。俺だってそれくらいわかっている。だから、ここで教えておこう……」
結界と繋がっている指を思いっきり開ける。するとその手を開けた動作に連動して、炎の結界もその範囲を広げていく。そして──
「俺の『フレイム・ウィップ』はバリエーションが豊富だ」
開けていた手を手のひらの上にある物を握り潰すようにグッと握る。
すると、先程まで広がっていた炎の結界が結界の中心にいた刃翼竜に向かって一気に収縮する。そして、結界自体から抜け出せなかった刃翼竜はその収縮する幾つもの炎のロープに当たってしまう。
「グギャァアアッッ!!」
縮まる炎のロープの全てに当たってしまい、纏っている氷ごと約1500℃の炎に身を焼かれる。
その熱さと威力は先程までの攻撃とは桁違いだが、それと同時に消耗の大きい技なので、これは最後の技としてツカサが残していた。
「今のうちだ……行け!」
「わかってる!」
かなりの消耗をしたツカサは膝をつき、疲労で意識が飛ばないように耐える。そして、ツカサの大技をまともに受け、纏っていた氷ごと体を焼かれた刃翼竜はそこら中に火傷を負っており、表情から苦しんでいることがわかる。
「グルルル……」
この時、刃翼竜は思った。
火傷はしたがまだ戦えない訳では無い。所詮たかが人間。先程の女のように氷柱で体を貫けばいとも容易く死に至る。焦ることは無い、と。
しかし、刃翼竜はこちらに迫ってくるユノスとアリサ、そして膝をつくツカサの背後に突如として現れたそれを見てピタッと動きを止める。それを好都合と思った2人は一気攻めようとする。だが、その直後に背後から聞こえた大きな地鳴りが気になり、ついそちらを見てしまった。
「今のは!?」
「爆破音……いえ、地鳴り……でしょうか……?」
2人は地鳴りしか聞いていないが、2人とは向かい合った位置にいる刃翼竜は見た。地鳴りが起きた原因とその地鳴りの正体を。
「グルァアッッ!!」
その正体を見てしまった刃翼竜は一刻も早くこの人間2人を仕留め、この場を離れる必要があると思いユノスを仕留めに氷を纏い強化した爪で突く。
2人は感じていなかったようだが、刃翼竜にはその地鳴りと同時にとてつもない強者の気配を感じた。その気配はあまりにも強く、同時に恐怖を引き立たせるもので、今の刃翼竜にとっては脅威になりうるものだった。
「っ、ユノスさん!」
「しまっ──」
少し地鳴りに気を取られ過ぎてユノスは少し反応が遅れ、既に爪が体を貫く寸前だった。今から避けても腸を抉られおしまいだ。
己の一瞬の油断と好奇心を恨みながら、ユノスは目を閉じ自分が貫かれるのを受け入れた。
──しかし、痛みが来たのはユノスではなく、突如として飛んできた銃弾によって腕自体を吹っ飛ばされた刃翼竜であった。
「ギィヤァアアッ!!」
「……は?」
突然聞こえた刃翼竜の悲鳴でユノスは目を開け、そこに広がっていた光景を見る。
何故突然攻撃を止めたのか。何故突然刃翼竜の腕が吹っ飛んだのだろうか。一体誰が刃翼竜のでを吹っ飛ばしたのか。疑問は出るばかりである。
それと、ユノス達にとって今日1番の疑問であり、恐らく銃弾が飛んできたであろう自分の背後を振り返る。そこにいたのは──
「おぉー、中々の威力」
──氷柱に腹を貫かれ死んだはずのアスカであった。
この事実にここにいる誰もが驚いただろう。治るはずがない重傷を負ったアスカが仮に生きていたとしてもここまで元気になるだろうか。否、それは絶対にありえない。
それに、アスカはあの時に確実に死んでいた。アリサがアスカの心臓の鼓動がなくなり、体が冷たくなって意識も無くなっていた。もしも仮死状態だったとしても目覚める見込みなんてなかった。
そんな人間が今、傷を完治させた状態でユノス達の目の前にいた。
「ア、アスカさん……?」
「んー? 何?」
「……生きていたん、ですか?」
「あー、めんどくさいから後で説明するね!」
何か違和感があった。主に話し方。まるで中身まるごと誰か別の人に変わったような感じだった。
「それよりも……」
「グルルル……」
「まるで狂犬ね。それでも竜の端くれなのかしら」
「グルラァア!!」
刃翼竜は認めたくなかった。自分が1度殺したはずの人間に恐怖する自分を。
恐怖とは乗り越えるもの。そう覚悟を決めた刃翼竜は己の恐怖心を抑え、先程吹っ飛ばされて痺れていた腕が回復したことを確認すると、両手の爪でアスカを引き裂こうとする。
「…………」
「おいバカ、なぜ避けない!?」
アスカは誰もが避けるであろう刃翼竜の攻撃を回避するつもりはなかった。それどころか、焦ったり足が竦んだりしておらず、妙に落ち着いている。
しかし避けないのならば刃翼竜にとって好都合。このまま爪で引っ掻きもう二度と起き上がらないようにしてやろうと自身の士気を高める。
そしてその爪はアスカの腹を再び切り裂き、刃翼竜は今度こそ終わったと確信した。
「ア、アスカさん……!」
「………」
──確かに切り裂いた。この切り裂く時に出た砂埃が晴れる頃にはやつの死体が転がっているだろう。そう思っていた。
しかし、砂埃が晴れたところにはアスカの死体どころか血液さえなかった。
「………?」
「ここだよ」
「グル!?」
刃翼竜が切り裂いたと思ったアスカは、無傷で刃翼竜の大きな爪に足を引っ掛けぶら下がっていた。そしてやはり、その表情には落ち着きと余裕が見られた。
「じゃあさっきの微妙な手応えは何かって? 正解は……」
「グルァア!!」
「おっと」
刃翼竜の爪にぶら下がるアスカが目障りで、刃翼竜は自分の爪に向かって攻撃する。しかし、その攻撃も軽々とトリッキーな技で回避される。
「正解は貴方の手を見ればわかるわ。さっきの攻撃を含めてね」
「グゥゥ……」
攻撃の手応えの正体は刃翼竜自身の手だ。刃翼竜はヒリヒリとする自身の手を見てみると、そこには先程の攻撃が自身の手に当たったということを証明付ける爪痕があった。
最初の両爪での引っ掻き攻撃も同様で、手が重なる時に自分の爪で自分の手を引っ掻いたのだ。そこから勿論血は流れだしている。
「そうか、奴の攻撃を奴自身に当てると氷を貫通するのか!」
「グギャァアアッッ!!」
自分がまんまと弄ばれたことに激怒した刃翼竜はアスカに向かって1度アスカ自身がやられる原因ともなった地面に上に乗った生き物を凍らせて拘束する氷を張る。
その攻撃もアスカは避けなかった。逆にアスカの表情には笑いがあった。
「グルルルゥゥ……」
そのニヤついた顔を消してやると言わんばかりに刃翼竜の最大の大技である氷と氷柱のブレスをチャージする。
それでもなお、アスカは焦ったり恐怖したりはしない。
「……刃翼竜、貴方に1つアドバイスよ」
アスカはどんな攻撃が来ようとも手放さなかったスナイパーライフルM24を刃翼竜に向けて構える。スコープなんて除く必要は無い。この距離ならば外すなんてことは絶対にない。
アスカは刃翼竜に向けたスナイパーライフルをブレスチャージのために開けてある口を狙う。
その瞬間、刃翼竜は己の失態を悟った。
何故こう来ることが予想できなかったのか。それは1度アスカをこの連携で死に追いやったからだ。この攻撃は強いと過信しすがたからだ。
だから、自身の弱点であるチャージ中に開く口を攻撃されるという可能性はないだろうと決めつけてしまった。
「最大の攻撃は最大の弱点よ。よ~く、覚えておいてね」
そう言ってアスカは引き金を引き、急いでチャージを中断し口を閉じようとしたが撃ち込まれた銃弾の方が圧倒的に速く、銃弾は刃翼竜の口の中に入っていった。
それから間もなく銃弾は脳まで到達し、その銃弾は刃翼竜の脳内で爆発を起こす。そして刃翼竜の目にあった光が消失し、辺りの気温が元に戻るのと同時に刃翼竜は力なく倒れた。
アスカの言葉で協力するということの重要性に気がついたツカサ達は見事な連携で徐々に刃翼竜を追い詰めていた。だがそれと同時に、ツカサ達もかなりの体力を消耗していた。特に精霊の力を使っているツカサ3人の中で1番消耗していた。
「ハァ……ハァ……」
「流石に、タフ過ぎだろ……」
炎で氷を溶かし、そこを攻撃し傷を与えていく。傷には刃翼竜が止血をするために氷を張っているが、確実に攻撃は確かに通っている。討伐までもう少しといったところだ。
「……次が最後だ。これ以上の消耗は俺自身が行動すること自体に影響が出る」
「了解。次で決める」
次が最後の攻撃。これを外すか或いは討伐しきれなければ撤退を余儀なくされる。
しかしその場合、刃翼竜はツカサ達が刃翼竜を討伐すると信じて先に行ったギルドマスター達が乗った馬車を襲うだろ。
「これが最後の攻撃であり、俺の最大の技だ!」
ツカサは、まるでロープのような太さの炎をそれぞれ3本ずつ両指に繋げる。そしてその炎を結界のように張り巡らせる。刃翼竜が邪魔くさいとその炎の結界を突破しようとするが、結界に触れた瞬間に体に纏っていた氷が瞬時に熔け、突破しようと進めたその足を止める。
「『フレイム・ウィップ』だ。それに触れれば並の魔獣なら丸焦げになるぞ」
その結界──フレイム・ウィップの炎は約1500℃で、触れるもの全てを燃やし尽くす。
一件相手の動きを制限するこの技はほぼ無敵に見えるが欠点はある。それは、張り巡らされると言っても直接対象のものに狙って当てられる訳ではない。それに、この結界はかなりの隙間がある。人間や小型の魔獣であれば抜け出せるだろうが、今回はサイズが大きい刃翼竜だ。相性は良い。
「でも、それからどうするんだ? このままじゃあ近づいても近づいた瞬間に殺られる」
「それに、刃翼竜の動きが制限されるあの中に入ると回避などの時に触れてしまう可能性があります」
「落ち着け。俺だってそれくらいわかっている。だから、ここで教えておこう……」
結界と繋がっている指を思いっきり開ける。するとその手を開けた動作に連動して、炎の結界もその範囲を広げていく。そして──
「俺の『フレイム・ウィップ』はバリエーションが豊富だ」
開けていた手を手のひらの上にある物を握り潰すようにグッと握る。
すると、先程まで広がっていた炎の結界が結界の中心にいた刃翼竜に向かって一気に収縮する。そして、結界自体から抜け出せなかった刃翼竜はその収縮する幾つもの炎のロープに当たってしまう。
「グギャァアアッッ!!」
縮まる炎のロープの全てに当たってしまい、纏っている氷ごと約1500℃の炎に身を焼かれる。
その熱さと威力は先程までの攻撃とは桁違いだが、それと同時に消耗の大きい技なので、これは最後の技としてツカサが残していた。
「今のうちだ……行け!」
「わかってる!」
かなりの消耗をしたツカサは膝をつき、疲労で意識が飛ばないように耐える。そして、ツカサの大技をまともに受け、纏っていた氷ごと体を焼かれた刃翼竜はそこら中に火傷を負っており、表情から苦しんでいることがわかる。
「グルルル……」
この時、刃翼竜は思った。
火傷はしたがまだ戦えない訳では無い。所詮たかが人間。先程の女のように氷柱で体を貫けばいとも容易く死に至る。焦ることは無い、と。
しかし、刃翼竜はこちらに迫ってくるユノスとアリサ、そして膝をつくツカサの背後に突如として現れたそれを見てピタッと動きを止める。それを好都合と思った2人は一気攻めようとする。だが、その直後に背後から聞こえた大きな地鳴りが気になり、ついそちらを見てしまった。
「今のは!?」
「爆破音……いえ、地鳴り……でしょうか……?」
2人は地鳴りしか聞いていないが、2人とは向かい合った位置にいる刃翼竜は見た。地鳴りが起きた原因とその地鳴りの正体を。
「グルァアッッ!!」
その正体を見てしまった刃翼竜は一刻も早くこの人間2人を仕留め、この場を離れる必要があると思いユノスを仕留めに氷を纏い強化した爪で突く。
2人は感じていなかったようだが、刃翼竜にはその地鳴りと同時にとてつもない強者の気配を感じた。その気配はあまりにも強く、同時に恐怖を引き立たせるもので、今の刃翼竜にとっては脅威になりうるものだった。
「っ、ユノスさん!」
「しまっ──」
少し地鳴りに気を取られ過ぎてユノスは少し反応が遅れ、既に爪が体を貫く寸前だった。今から避けても腸を抉られおしまいだ。
己の一瞬の油断と好奇心を恨みながら、ユノスは目を閉じ自分が貫かれるのを受け入れた。
──しかし、痛みが来たのはユノスではなく、突如として飛んできた銃弾によって腕自体を吹っ飛ばされた刃翼竜であった。
「ギィヤァアアッ!!」
「……は?」
突然聞こえた刃翼竜の悲鳴でユノスは目を開け、そこに広がっていた光景を見る。
何故突然攻撃を止めたのか。何故突然刃翼竜の腕が吹っ飛んだのだろうか。一体誰が刃翼竜のでを吹っ飛ばしたのか。疑問は出るばかりである。
それと、ユノス達にとって今日1番の疑問であり、恐らく銃弾が飛んできたであろう自分の背後を振り返る。そこにいたのは──
「おぉー、中々の威力」
──氷柱に腹を貫かれ死んだはずのアスカであった。
この事実にここにいる誰もが驚いただろう。治るはずがない重傷を負ったアスカが仮に生きていたとしてもここまで元気になるだろうか。否、それは絶対にありえない。
それに、アスカはあの時に確実に死んでいた。アリサがアスカの心臓の鼓動がなくなり、体が冷たくなって意識も無くなっていた。もしも仮死状態だったとしても目覚める見込みなんてなかった。
そんな人間が今、傷を完治させた状態でユノス達の目の前にいた。
「ア、アスカさん……?」
「んー? 何?」
「……生きていたん、ですか?」
「あー、めんどくさいから後で説明するね!」
何か違和感があった。主に話し方。まるで中身まるごと誰か別の人に変わったような感じだった。
「それよりも……」
「グルルル……」
「まるで狂犬ね。それでも竜の端くれなのかしら」
「グルラァア!!」
刃翼竜は認めたくなかった。自分が1度殺したはずの人間に恐怖する自分を。
恐怖とは乗り越えるもの。そう覚悟を決めた刃翼竜は己の恐怖心を抑え、先程吹っ飛ばされて痺れていた腕が回復したことを確認すると、両手の爪でアスカを引き裂こうとする。
「…………」
「おいバカ、なぜ避けない!?」
アスカは誰もが避けるであろう刃翼竜の攻撃を回避するつもりはなかった。それどころか、焦ったり足が竦んだりしておらず、妙に落ち着いている。
しかし避けないのならば刃翼竜にとって好都合。このまま爪で引っ掻きもう二度と起き上がらないようにしてやろうと自身の士気を高める。
そしてその爪はアスカの腹を再び切り裂き、刃翼竜は今度こそ終わったと確信した。
「ア、アスカさん……!」
「………」
──確かに切り裂いた。この切り裂く時に出た砂埃が晴れる頃にはやつの死体が転がっているだろう。そう思っていた。
しかし、砂埃が晴れたところにはアスカの死体どころか血液さえなかった。
「………?」
「ここだよ」
「グル!?」
刃翼竜が切り裂いたと思ったアスカは、無傷で刃翼竜の大きな爪に足を引っ掛けぶら下がっていた。そしてやはり、その表情には落ち着きと余裕が見られた。
「じゃあさっきの微妙な手応えは何かって? 正解は……」
「グルァア!!」
「おっと」
刃翼竜の爪にぶら下がるアスカが目障りで、刃翼竜は自分の爪に向かって攻撃する。しかし、その攻撃も軽々とトリッキーな技で回避される。
「正解は貴方の手を見ればわかるわ。さっきの攻撃を含めてね」
「グゥゥ……」
攻撃の手応えの正体は刃翼竜自身の手だ。刃翼竜はヒリヒリとする自身の手を見てみると、そこには先程の攻撃が自身の手に当たったということを証明付ける爪痕があった。
最初の両爪での引っ掻き攻撃も同様で、手が重なる時に自分の爪で自分の手を引っ掻いたのだ。そこから勿論血は流れだしている。
「そうか、奴の攻撃を奴自身に当てると氷を貫通するのか!」
「グギャァアアッッ!!」
自分がまんまと弄ばれたことに激怒した刃翼竜はアスカに向かって1度アスカ自身がやられる原因ともなった地面に上に乗った生き物を凍らせて拘束する氷を張る。
その攻撃もアスカは避けなかった。逆にアスカの表情には笑いがあった。
「グルルルゥゥ……」
そのニヤついた顔を消してやると言わんばかりに刃翼竜の最大の大技である氷と氷柱のブレスをチャージする。
それでもなお、アスカは焦ったり恐怖したりはしない。
「……刃翼竜、貴方に1つアドバイスよ」
アスカはどんな攻撃が来ようとも手放さなかったスナイパーライフルM24を刃翼竜に向けて構える。スコープなんて除く必要は無い。この距離ならば外すなんてことは絶対にない。
アスカは刃翼竜に向けたスナイパーライフルをブレスチャージのために開けてある口を狙う。
その瞬間、刃翼竜は己の失態を悟った。
何故こう来ることが予想できなかったのか。それは1度アスカをこの連携で死に追いやったからだ。この攻撃は強いと過信しすがたからだ。
だから、自身の弱点であるチャージ中に開く口を攻撃されるという可能性はないだろうと決めつけてしまった。
「最大の攻撃は最大の弱点よ。よ~く、覚えておいてね」
そう言ってアスカは引き金を引き、急いでチャージを中断し口を閉じようとしたが撃ち込まれた銃弾の方が圧倒的に速く、銃弾は刃翼竜の口の中に入っていった。
それから間もなく銃弾は脳まで到達し、その銃弾は刃翼竜の脳内で爆発を起こす。そして刃翼竜の目にあった光が消失し、辺りの気温が元に戻るのと同時に刃翼竜は力なく倒れた。
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