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第16話 爆脚の女
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レンがリーダーの男と戦い始めたと同時に、ソニアの方もその仲間3人との戦闘に入っていた。
襲撃者達が振るう剣は全て同じ。つまり、リーチも同じいうことだ。それさえ見切ればソニアにとってそう苦戦を強いられるということは決してない。
「いい加減に、当たりやがれ!」
「3人でかかって来てその程度? もっと期待していたのになー」
「ふざけやがって!」
襲撃者達は本気で向かって来るが、ソニアにとっては少しスピードとパワーが上がっただけでそこまで問題はなかった。
最初は剣のリーチを見切っていただけであったが、時間が経つにつれて3人の動き自体を見切ったので最低限の動きで回避することができた。襲撃者達の作戦である『体力を奪う』はソニアによって利用されたのだ。
「「「ハァ……ハァ……」」」
「レン君の方、何だか騒がしいわねー」
「余裕持ってんじゃあねぇ!」
「そろそろ終わらせよ」
十分に体力を奪われた襲撃者達は残る力全てを振り絞って斬り掛かる。しかし、その攻撃をソニアは剣を持っている腕に左足のサマーソルトキックを食らわせることで剣自体をその手から離す。
そしてすかさず左足を着地させ、着地せた左足を軸にして事前に魔力を纏わせていた右足の回し蹴りを襲撃者の1人の腹に食らわせ、爆発させる。
「ぐぅおあっ!?」
「な、何だ!?」
「回し蹴りに爆発……まさかこの女は──」
「余所見するほど余裕なのかしら?」
「ぐあああ!!」
あっという間に3人の内2人に爆発蹴りを当て、気絶させる。その圧倒的力の差を見せつけられた最後の1人は震えながら腰を抜かす。
「お、お前は、『爆脚』!? 何故、Aランクの冒険者がここに……!?」
「暇つぶし、と言うやつね。それにしても爆脚ねー、そんな呼ばれ方もしてたっけ。あんまり好きじゃないけど」
ソニアの正体──それは、冒険者ギルド内にて多くの成果を上げ、『爆脚の女』と呼ばれているAランク冒険者であった。
Aランクの冒険者とはそれなりというレベルではない程の魔獣の討伐とクエストクリアをしている。しかも、ソニアはどちらかと言うとSランク寄りのAランク。いくら相手の人数が多かろうと、経験の量が圧倒的に勝っているソニアに勝てるということは基本的にない。
「安心して、下手に動かなければ戦闘不能にはなってもらうけど殺しはしないわ」
「ひっ、わ、わかった、何もしない! 何もしませんから!」
もう完全に戦意を喪失している襲撃者の1人を気絶させようと右足に魔力を纏わせながら近づいて行くソニア。そして、その足で最後の1人を吹き飛ばそうとした瞬間──
「かかったなアホがァ!」
急に戦意を取り戻した襲撃者の1人がソニアの体に抱きつく。急に抱きつかれたソニアは勢いのまま押し倒される。
「今だ! やれ!」
ソニアが後ろを見てみると、そこには再起不能にしたはずの1人が死闘を繰り広げ、何とか帰還した戦士のような姿で立っていた。
先程までの下心丸出しの意志とは別に、“絶対に仕留める’’という意思を感じる目であった。
「かなりギリギリだったが、俺達の勝ちのようだな」
「本当にそうかしら?」
ソニアにはまだこれからどうするかという作戦が何通りもあった。ギリギリ引き付けてこの抱きついている男諸共ダウンさせるという作戦や、抱きついている男の子感を蹴り、拘束から抜け出してもう一度爆発キックを食らわせるなどなど。
しかし、その何通りもの作戦は襲撃者の1人がしたとある行動が原因で脳内から消えることになる。
ムニュ
「ひゃん」
「「…………」」
そのとある行動とは、ソニアの胸を揉んでしまったことであった。
急に揉まれたことでついつい声を出してしまったソニアはこの何とも言えない空間に対し、羞恥心が湧き出てきた。何故自分はこんな時に声を出してしまったのか。何故自分は今こういうことになっているのか。
──そもそも、何故今日の自分はこういう不運なことしか起こらないのか。
そう考えた瞬間、ソニアにあった羞恥心は猛烈に湧き上がる怒りの感情によって塗りつぶされ──
「あ、あ、貴方達を……」
──そして爆発する。
「貴方達を強盗罪とセクハラで訴えます!!」
「ングハッ!」
抱きつかれていたことで動かせなかった腕を怒りのパワーで無理やり抜き、瞬時に魔力を纏わせ思いっきりぶん殴る。その魔力は通常の倍以上の爆発を起こし、抱きついていた男を吹き飛ばす。
通常ならばその爆発の衝撃でソニア自身も気絶していておかしくないが、そんなことは関係ないと言わんばかりの気力で意識を保つ。
「理由は勿論、わかっているわよね?」
「ま、待ってくださいよ! 揉んだのは俺ではない!」
「貴方達が私達の物を力づくで奪おうとし、更には私にセクハラ行為をしたからよ」
「ダメだ、聞こえてねぇー!」
死の予感がした襲撃者の1人は回れ右をして全力で逃げようと走るが、その瞬間にスナイパーライフルの銃弾が両足に命中する。そして、痛みに耐えられるずに膝をつく。
逃げないとやられる。そうわかっているのに逃げられないということは何よりも恐怖を感じることだ。
「覚悟の準備をしていなさい! 村に帰ったら訴える! 裁判も起こすわ! 貴方達全員問答無用で連れて行く! 私以外の人達に今まで自分がしてきたことに対しての慰謝料の準備もしておくのよ!」
膝をついた襲撃者の1人に向かってジャンプし、魔力を纏った両足で襲撃者の男の顔や胴体を中心的に連続で蹴りを入れる。勿論、命中する度に爆発は起き、それのダメージも加えられる。
「貴方達は犯罪者よ! 刑務所にぶち込まれる楽しみにしていなさい! いいですねッ!」
「ぐぅばぎゃああーー!!」
何故か最後だけ敬語を使った台詞を言った後の蹴りは先程までの連打の時よりも勢いをつけてのものだった。そしてその蹴りを受けた瞬間、連打の時よりも遥かに大きい爆破を起こし、約5メートルくらい吹き飛ばした。
「……ふぅ、スッキリした! グッドタイミングよアスカちゃん」
襲撃者3人をぶっ飛ばしたことで爽やかな気分と表情をしていた。
「そういえば、レン君の方がやけに静かになったわね」
少し心配になったソニアはレンと襲撃者達のリーダーが戦っている場所に向かう。
ソニアが向かった先で見た光景は、レンがリーダーの男に銃を突きつけられているところであった。
急いで助けようとしたが、このパッと見絶体絶命の展開の中、レンの目には『諦め』という感情は全く感じられず、逆に『闘志』があった。リーダーの男はレンの目を見ていないのでそういったことに関しては全くわからない。
ここは何もせずにいるべきだと、ソニアは直感的にそう思った。
「何? 頭の回転がいいと? それは違いますよ」
その瞬間、ソニアにはレンが左足首をグッと伸ばしたところを見た。そして、足首を伸ばした瞬間に何か糸のようなものが光の反射で見えた。
「あれは……トラップワイヤー?」
糸のようなもの──それはトラップワイヤーであった。レンはトラップワイヤーを自身の足と銃につけ、今それを引っ張ったのだ。すると、引っ張られたトラップワイヤーは銃を同時に引っ張る。
幸運なことに、トラップワイヤーはリーダーの男の足の間を通って後ろから肩にかけて繋がっていた。そのため、引っ張られた銃が偶然リーダーの男の顎に命中したのだ。
「やるじゃない」
その戦闘技術に、ソニアは感心していた。
「僕も頭の回転がいいんですよ。銃も動きたくなるぐらいに」
そのトラップワイヤーを使って両方の銃を手に掴み、形勢を逆転させる。
助けは必要ないと思ったソニアは、結末を見届けることなく距離を取るために移動したアスカと合流することにした。1度スナイパーライフルによる射撃が来ていることから無事であることは間違いないだろう。
***
ソニアの予想通り、アスカは無事に追っ手を戦闘不能にし木の影からスコープ越しにソニアとレンの様子を見ていた。
「2発だけ撃ったけど……なんか出番少なくね?」
本来それがスナイパーというものだ。スナイパーとは誰にも悟られずに誰にも見つかることのない所から相手を仕留めるという者のことだ。
しかし、アスカの場合は見た瞬間に仕留められるというものだ。『ジ・エンドオブサバイバル』にても、至近距離で遭遇しても相手側から攻撃しようとした瞬間には相手はもう死んでいた。死因はスナイパーライフルによるものかコンバットナイフかのどちらか。
アスカの場合、悟られずに誰も見つかることの無いと言うかは、悟られずに見つかって殺られる前に仕留めるという異質なタイプのスナイパーなのだ。
「まあいいや。それで、なんで俺達に定めて襲って来たんだ?」
アスカは念のために買って持ってきていた縄で拘束した襲撃者の1人に質問する。周りから見ればスナイパーライフルを構えて尋問しているというパッと見やばい図だ。
「別に拷問とかする気は無いけど、答えなかったらこの魔獣がいっぱいいるところで放置されるよ? そんな拘束されたままじゃあ魔獣になんて勝てないよ?」
「す、好きにしやがれこの雌豚が!!」
「ふーん、じゃあいいや」
脅しのために構えていたスナイパーライフルを消し、その場を去ろうとソニアとレンがいる方へと歩き始める。因みに今消したスナイパーライフルは転移者が共通でできる。そしてその消した物は右スワイプした時に確認できる『持ち物』という場所に収納される。言わばゲームで言うアイテムボックスというものだ。
「え、ちょ、本当に置いていくのか!? そんなにあっさりと!?」
「だったらもう少し立場を弁えたらどう?」
「わ、わかった! わかったから! 話すから置いてくな!」
ハァ、とため息をつき襲撃者の1人の方に足の向きを変える。そして拘束している縄の尾を握って再びソニアとレンがいる方に向かって歩きだす。
「ま、まて、ここで話すんじゃないのか?」
「面倒だから移動しながらでお願い」
「おい待てそれ持ってくってことはあだだだだ!!」
アスカは一々聞いている時間ももったいないのでどうせなら2人の前で話してもらおうという理由で襲撃者の1人を引きづって行った。
襲撃者達が振るう剣は全て同じ。つまり、リーチも同じいうことだ。それさえ見切ればソニアにとってそう苦戦を強いられるということは決してない。
「いい加減に、当たりやがれ!」
「3人でかかって来てその程度? もっと期待していたのになー」
「ふざけやがって!」
襲撃者達は本気で向かって来るが、ソニアにとっては少しスピードとパワーが上がっただけでそこまで問題はなかった。
最初は剣のリーチを見切っていただけであったが、時間が経つにつれて3人の動き自体を見切ったので最低限の動きで回避することができた。襲撃者達の作戦である『体力を奪う』はソニアによって利用されたのだ。
「「「ハァ……ハァ……」」」
「レン君の方、何だか騒がしいわねー」
「余裕持ってんじゃあねぇ!」
「そろそろ終わらせよ」
十分に体力を奪われた襲撃者達は残る力全てを振り絞って斬り掛かる。しかし、その攻撃をソニアは剣を持っている腕に左足のサマーソルトキックを食らわせることで剣自体をその手から離す。
そしてすかさず左足を着地させ、着地せた左足を軸にして事前に魔力を纏わせていた右足の回し蹴りを襲撃者の1人の腹に食らわせ、爆発させる。
「ぐぅおあっ!?」
「な、何だ!?」
「回し蹴りに爆発……まさかこの女は──」
「余所見するほど余裕なのかしら?」
「ぐあああ!!」
あっという間に3人の内2人に爆発蹴りを当て、気絶させる。その圧倒的力の差を見せつけられた最後の1人は震えながら腰を抜かす。
「お、お前は、『爆脚』!? 何故、Aランクの冒険者がここに……!?」
「暇つぶし、と言うやつね。それにしても爆脚ねー、そんな呼ばれ方もしてたっけ。あんまり好きじゃないけど」
ソニアの正体──それは、冒険者ギルド内にて多くの成果を上げ、『爆脚の女』と呼ばれているAランク冒険者であった。
Aランクの冒険者とはそれなりというレベルではない程の魔獣の討伐とクエストクリアをしている。しかも、ソニアはどちらかと言うとSランク寄りのAランク。いくら相手の人数が多かろうと、経験の量が圧倒的に勝っているソニアに勝てるということは基本的にない。
「安心して、下手に動かなければ戦闘不能にはなってもらうけど殺しはしないわ」
「ひっ、わ、わかった、何もしない! 何もしませんから!」
もう完全に戦意を喪失している襲撃者の1人を気絶させようと右足に魔力を纏わせながら近づいて行くソニア。そして、その足で最後の1人を吹き飛ばそうとした瞬間──
「かかったなアホがァ!」
急に戦意を取り戻した襲撃者の1人がソニアの体に抱きつく。急に抱きつかれたソニアは勢いのまま押し倒される。
「今だ! やれ!」
ソニアが後ろを見てみると、そこには再起不能にしたはずの1人が死闘を繰り広げ、何とか帰還した戦士のような姿で立っていた。
先程までの下心丸出しの意志とは別に、“絶対に仕留める’’という意思を感じる目であった。
「かなりギリギリだったが、俺達の勝ちのようだな」
「本当にそうかしら?」
ソニアにはまだこれからどうするかという作戦が何通りもあった。ギリギリ引き付けてこの抱きついている男諸共ダウンさせるという作戦や、抱きついている男の子感を蹴り、拘束から抜け出してもう一度爆発キックを食らわせるなどなど。
しかし、その何通りもの作戦は襲撃者の1人がしたとある行動が原因で脳内から消えることになる。
ムニュ
「ひゃん」
「「…………」」
そのとある行動とは、ソニアの胸を揉んでしまったことであった。
急に揉まれたことでついつい声を出してしまったソニアはこの何とも言えない空間に対し、羞恥心が湧き出てきた。何故自分はこんな時に声を出してしまったのか。何故自分は今こういうことになっているのか。
──そもそも、何故今日の自分はこういう不運なことしか起こらないのか。
そう考えた瞬間、ソニアにあった羞恥心は猛烈に湧き上がる怒りの感情によって塗りつぶされ──
「あ、あ、貴方達を……」
──そして爆発する。
「貴方達を強盗罪とセクハラで訴えます!!」
「ングハッ!」
抱きつかれていたことで動かせなかった腕を怒りのパワーで無理やり抜き、瞬時に魔力を纏わせ思いっきりぶん殴る。その魔力は通常の倍以上の爆発を起こし、抱きついていた男を吹き飛ばす。
通常ならばその爆発の衝撃でソニア自身も気絶していておかしくないが、そんなことは関係ないと言わんばかりの気力で意識を保つ。
「理由は勿論、わかっているわよね?」
「ま、待ってくださいよ! 揉んだのは俺ではない!」
「貴方達が私達の物を力づくで奪おうとし、更には私にセクハラ行為をしたからよ」
「ダメだ、聞こえてねぇー!」
死の予感がした襲撃者の1人は回れ右をして全力で逃げようと走るが、その瞬間にスナイパーライフルの銃弾が両足に命中する。そして、痛みに耐えられるずに膝をつく。
逃げないとやられる。そうわかっているのに逃げられないということは何よりも恐怖を感じることだ。
「覚悟の準備をしていなさい! 村に帰ったら訴える! 裁判も起こすわ! 貴方達全員問答無用で連れて行く! 私以外の人達に今まで自分がしてきたことに対しての慰謝料の準備もしておくのよ!」
膝をついた襲撃者の1人に向かってジャンプし、魔力を纏った両足で襲撃者の男の顔や胴体を中心的に連続で蹴りを入れる。勿論、命中する度に爆発は起き、それのダメージも加えられる。
「貴方達は犯罪者よ! 刑務所にぶち込まれる楽しみにしていなさい! いいですねッ!」
「ぐぅばぎゃああーー!!」
何故か最後だけ敬語を使った台詞を言った後の蹴りは先程までの連打の時よりも勢いをつけてのものだった。そしてその蹴りを受けた瞬間、連打の時よりも遥かに大きい爆破を起こし、約5メートルくらい吹き飛ばした。
「……ふぅ、スッキリした! グッドタイミングよアスカちゃん」
襲撃者3人をぶっ飛ばしたことで爽やかな気分と表情をしていた。
「そういえば、レン君の方がやけに静かになったわね」
少し心配になったソニアはレンと襲撃者達のリーダーが戦っている場所に向かう。
ソニアが向かった先で見た光景は、レンがリーダーの男に銃を突きつけられているところであった。
急いで助けようとしたが、このパッと見絶体絶命の展開の中、レンの目には『諦め』という感情は全く感じられず、逆に『闘志』があった。リーダーの男はレンの目を見ていないのでそういったことに関しては全くわからない。
ここは何もせずにいるべきだと、ソニアは直感的にそう思った。
「何? 頭の回転がいいと? それは違いますよ」
その瞬間、ソニアにはレンが左足首をグッと伸ばしたところを見た。そして、足首を伸ばした瞬間に何か糸のようなものが光の反射で見えた。
「あれは……トラップワイヤー?」
糸のようなもの──それはトラップワイヤーであった。レンはトラップワイヤーを自身の足と銃につけ、今それを引っ張ったのだ。すると、引っ張られたトラップワイヤーは銃を同時に引っ張る。
幸運なことに、トラップワイヤーはリーダーの男の足の間を通って後ろから肩にかけて繋がっていた。そのため、引っ張られた銃が偶然リーダーの男の顎に命中したのだ。
「やるじゃない」
その戦闘技術に、ソニアは感心していた。
「僕も頭の回転がいいんですよ。銃も動きたくなるぐらいに」
そのトラップワイヤーを使って両方の銃を手に掴み、形勢を逆転させる。
助けは必要ないと思ったソニアは、結末を見届けることなく距離を取るために移動したアスカと合流することにした。1度スナイパーライフルによる射撃が来ていることから無事であることは間違いないだろう。
***
ソニアの予想通り、アスカは無事に追っ手を戦闘不能にし木の影からスコープ越しにソニアとレンの様子を見ていた。
「2発だけ撃ったけど……なんか出番少なくね?」
本来それがスナイパーというものだ。スナイパーとは誰にも悟られずに誰にも見つかることのない所から相手を仕留めるという者のことだ。
しかし、アスカの場合は見た瞬間に仕留められるというものだ。『ジ・エンドオブサバイバル』にても、至近距離で遭遇しても相手側から攻撃しようとした瞬間には相手はもう死んでいた。死因はスナイパーライフルによるものかコンバットナイフかのどちらか。
アスカの場合、悟られずに誰も見つかることの無いと言うかは、悟られずに見つかって殺られる前に仕留めるという異質なタイプのスナイパーなのだ。
「まあいいや。それで、なんで俺達に定めて襲って来たんだ?」
アスカは念のために買って持ってきていた縄で拘束した襲撃者の1人に質問する。周りから見ればスナイパーライフルを構えて尋問しているというパッと見やばい図だ。
「別に拷問とかする気は無いけど、答えなかったらこの魔獣がいっぱいいるところで放置されるよ? そんな拘束されたままじゃあ魔獣になんて勝てないよ?」
「す、好きにしやがれこの雌豚が!!」
「ふーん、じゃあいいや」
脅しのために構えていたスナイパーライフルを消し、その場を去ろうとソニアとレンがいる方へと歩き始める。因みに今消したスナイパーライフルは転移者が共通でできる。そしてその消した物は右スワイプした時に確認できる『持ち物』という場所に収納される。言わばゲームで言うアイテムボックスというものだ。
「え、ちょ、本当に置いていくのか!? そんなにあっさりと!?」
「だったらもう少し立場を弁えたらどう?」
「わ、わかった! わかったから! 話すから置いてくな!」
ハァ、とため息をつき襲撃者の1人の方に足の向きを変える。そして拘束している縄の尾を握って再びソニアとレンがいる方に向かって歩きだす。
「ま、まて、ここで話すんじゃないのか?」
「面倒だから移動しながらでお願い」
「おい待てそれ持ってくってことはあだだだだ!!」
アスカは一々聞いている時間ももったいないのでどうせなら2人の前で話してもらおうという理由で襲撃者の1人を引きづって行った。
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