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「ススムちゃん、一緒に帰ろぉ?」
下駄箱で靴を履き替えていると、背後から声をかけられた。振り返ると、左右に小さく手を振っている夕鶴トマリの姿があった。ほのかに上がっている口角が、俺との下校を心待ちにしていることを伝えてくる。
ムチムチとした肉付きのよい体格とは裏腹に、トマリの仕草は控えめで愛らしいものが多い。彼女の一挙手一投足は、どれも心の機微をこと細かに教えてくれた。
特にトマリの持つ鞄からはみ出た荒縄は、必ずお前を拘束するという意思が見て取れる。
俺は返事もせず、下駄箱から駆け出した。
次の瞬間、腕を振って走る俺の脇下を茶色い線がすり抜ける。先端に錘をつけたそれは、俺の脇腹を支点にその身を折り、投擲された勢いそのままに俺の胴へと巻き付いた。
上半身が後から引っ張られ、走り続ける下半身に置いて行かれる。俺は仰向けにすっころび、背中を地面に強打した。
背中に広がる鈍い痛みに悶絶していると、自分の視界に影がかかる。縄を持ったトマリが、心配そうに俺を見下ろしていた。
「急に走ると危ないよ? ススムちゃん」
「危ないのはお前だ!」
俺の抗議を「んふふ」と笑って受け流し、トマリは俺を引き起こした。
「じゃあ、一緒に帰ろっかぁ」
「この状態で一緒に帰ると思うのか?」
「嫌かなぁ? そっかぁ……」
残念そうにつぶやき、トマリは眉を下げた。先ほどとは一転、彼女の落胆が伝わってくる。
だが騙されてはいけない。トマリは俺を縄で拘束するという、クレイジーな行動をとっている。このまま突っぱねなければ、いつものごとく禁欲に失敗するはめになるだろう。
「一緒にいっぱぁい、寄り道したかったのになぁ」
言葉とともに、トマリはカッターシャツの第一ボタンを外した。襟が広がり、彼女の首元があらわになる。
自然とトマリの首元に注目する。彼女の白い肌には汗がにじみ、鎖骨のくぼみが湿っていた。
「買い食いしたり、ゲームセンターに行ったり、あとはぁ……」
トマリが第二ボタンを外す。彼女の豊満な胸が作る、深い谷間の始まりが見えた。胸の付け根には薄らと血管が通っており、透明感のある白い肌をより強調していた。
気づけば、トマリは俺のすぐそばまで密着していた。きっと彼女の艶めかしい誘いは、俺以外に視認できないだろう。
同時にトマリから甘い香りが漂ってくることに気づいた。汗とシャンプーの混じった、ミルクに似た甘い香りだ。彼女の胸の谷間からはきっと、より濃い匂いがするのだろうと予測できた。
「ここから先は、帰り道で、ね?」
いたずらっぽく言葉を切ると、トマリは襟をさっと閉めた。ボタンをとめ、俺の返事を待つように目を細める。
「ま、まあ、幼馴染だし、一緒に帰るか」
射精しなければいいだけだ。
そう言い訳しながら、俺はトマリの誘いにのった。
「そうそう、幼馴染だからねぇ」
トマリは満足そうに「んふふ」と笑った。
下駄箱で靴を履き替えていると、背後から声をかけられた。振り返ると、左右に小さく手を振っている夕鶴トマリの姿があった。ほのかに上がっている口角が、俺との下校を心待ちにしていることを伝えてくる。
ムチムチとした肉付きのよい体格とは裏腹に、トマリの仕草は控えめで愛らしいものが多い。彼女の一挙手一投足は、どれも心の機微をこと細かに教えてくれた。
特にトマリの持つ鞄からはみ出た荒縄は、必ずお前を拘束するという意思が見て取れる。
俺は返事もせず、下駄箱から駆け出した。
次の瞬間、腕を振って走る俺の脇下を茶色い線がすり抜ける。先端に錘をつけたそれは、俺の脇腹を支点にその身を折り、投擲された勢いそのままに俺の胴へと巻き付いた。
上半身が後から引っ張られ、走り続ける下半身に置いて行かれる。俺は仰向けにすっころび、背中を地面に強打した。
背中に広がる鈍い痛みに悶絶していると、自分の視界に影がかかる。縄を持ったトマリが、心配そうに俺を見下ろしていた。
「急に走ると危ないよ? ススムちゃん」
「危ないのはお前だ!」
俺の抗議を「んふふ」と笑って受け流し、トマリは俺を引き起こした。
「じゃあ、一緒に帰ろっかぁ」
「この状態で一緒に帰ると思うのか?」
「嫌かなぁ? そっかぁ……」
残念そうにつぶやき、トマリは眉を下げた。先ほどとは一転、彼女の落胆が伝わってくる。
だが騙されてはいけない。トマリは俺を縄で拘束するという、クレイジーな行動をとっている。このまま突っぱねなければ、いつものごとく禁欲に失敗するはめになるだろう。
「一緒にいっぱぁい、寄り道したかったのになぁ」
言葉とともに、トマリはカッターシャツの第一ボタンを外した。襟が広がり、彼女の首元があらわになる。
自然とトマリの首元に注目する。彼女の白い肌には汗がにじみ、鎖骨のくぼみが湿っていた。
「買い食いしたり、ゲームセンターに行ったり、あとはぁ……」
トマリが第二ボタンを外す。彼女の豊満な胸が作る、深い谷間の始まりが見えた。胸の付け根には薄らと血管が通っており、透明感のある白い肌をより強調していた。
気づけば、トマリは俺のすぐそばまで密着していた。きっと彼女の艶めかしい誘いは、俺以外に視認できないだろう。
同時にトマリから甘い香りが漂ってくることに気づいた。汗とシャンプーの混じった、ミルクに似た甘い香りだ。彼女の胸の谷間からはきっと、より濃い匂いがするのだろうと予測できた。
「ここから先は、帰り道で、ね?」
いたずらっぽく言葉を切ると、トマリは襟をさっと閉めた。ボタンをとめ、俺の返事を待つように目を細める。
「ま、まあ、幼馴染だし、一緒に帰るか」
射精しなければいいだけだ。
そう言い訳しながら、俺はトマリの誘いにのった。
「そうそう、幼馴染だからねぇ」
トマリは満足そうに「んふふ」と笑った。
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