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0004 びっしり

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 お化け屋敷と有名な廃墟に入った。
 木造で台風が来たら吹き飛んでしまいそうなくらいにボロボロだ。
 懐中電灯を照らすと何もいない、が何かが蠢く気配を感じる。

 壁、床、扉、天井。
 一体、どこから。いや、そこかしこに。

 床の隙間で何か蠢いた気がした。
 懐中電灯で照らしながら覗いた。

「何もいない……」

 誰かが呟き一瞬、懐中電灯の光が弱まった。光が戻ったその瞬間に、いた。
 悲鳴をあげたのは誰だったろう。覚えていない。反射的に建物の外に飛び出て町まで逃げ帰った。

 見間違いでなければ、隙間なくびっしりとダンゴムシが蠢いていた。
 あの気配は全部ダンゴムシなんだろうか。

 だとしたら壁に床に扉に天井に、きっと柱の中にもいるんだろう。あれ以来、ほんとうに黒いものがダメになった。暗いところも。
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