[完結]空クジラ観測所

夏伐

文字の大きさ
上 下
2 / 4

2

しおりを挟む
大昔、空に生き物が現れた頃。
同時に『死なず』も生まれるようになった。

ただその頃に誕生した人がいるというだけでまだ知られてはいなかったが。

ただ繁栄した人間はその頃を境にして急速に数を減らしていった。

理由は分からないけれど、石油の採掘場や発電所などエネルギーを生んでいた所が次々と空クジラに襲撃された。お互いに連絡することが出来ず技術の進歩は止まった。

それから残ったエネルギーを奪い合い人間同士で争ったらしい。

どんどん数が減っていった人間を見ながら『死なず』は自分たちが人間とは違う生き物であると認識していった。

病気にもならず、傷もすぐに再生する。

私たちは集まった。
その時皆を集めたのがシーさんだった。

シーさんが管理していた塔にあった他の塔の情報を見て、それぞれが別の塔との連絡係になった。
いつしか塔を管理していた人間が死んでしまい、私たちが住むようになったのだ。
当時は国も瓦解しはじめるほど人口が減り塔の人間たちにはとても感謝された。

一か月に一度の物品の交換はその時の名残であった。

「はぁ、お客か」

今の自分が人間とまともにやり取りできるのかとても不安だ。






――翌日。

やはり客はこなかった。

いつも通りシーさんと話をした。


だがその翌日、平原に異変があった。



「――は」

驚いて望遠鏡を離すと肉眼ではやはり見えない。
今日はやけにそわそわする。
急いでヤギの乳や卵、野菜なんかを準備する。

普段はそこまで凝った料理なんかしないけれど。
いつもだったら卵焼きにする所、オムライスにしてしまった。

何故かわくわくして眠れなかった。


次の日から私は空の他に草原も眺めることになった。
気にしないようにしていたがどうしても気になってしまう。
数時間おきに何度も確認してしまった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

「おまえを愛することはない!」と言ってやったのに、なぜ無視するんだ!

七辻ゆゆ
ファンタジー
俺を見ない、俺の言葉を聞かない、そして触れられない。すり抜ける……なぜだ? 俺はいったい、どうなっているんだ。 真実の愛を取り戻したいだけなのに。

【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?

アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。 泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。 16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。 マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。 あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に… もう…我慢しなくても良いですよね? この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。 前作の登場人物達も多数登場する予定です。 マーテルリアのイラストを変更致しました。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

愛しいあなたが、婚約破棄を望むなら、私は喜んで受け入れます。不幸せになっても、恨まないでくださいね?

珠宮さくら
ファンタジー
妖精王の孫娘のクリティアは、美しいモノをこよなく愛する妖精。両親の死で心が一度壊れかけてしまい暴走しかけたことが、きっかけで先祖返りして加護の力が、他の妖精よりとても強くなっている。彼女の困ったところは、婚約者となる者に加護を与えすぎてしまうことだ。 そんなこと知らない婚約者のアキントスは、それまで尽くしていたクリティアを捨てて、家柄のいいアンテリナと婚約したいと一方的に破棄をする。 愛している者の望みが破棄を望むならと喜んで別れて、自国へと帰り妖精らしく暮らすことになる。 アキントスは、すっかり加護を失くして、昔の冴えない男へと戻り、何もかもが上手くいかなくなり、不幸へとまっしぐらに突き進んでいく。 ※全5話。予約投稿済。

【完結】世界一無知のリュールジスは秘密が多い

三ツ三
ファンタジー
突如地底深くより出現した結晶異物体。 無差別に人々を襲い続ける存在。 「アンダーズ」 人類はアンダーズの圧倒的な戦力により大陸の半分以上を受け渡すことを余儀なくされた。 物言わぬ結晶体に人類が今もなお抵抗出来ているのは人間の体内にある「魔力」を利用することで稼働する。 対アンダーズ砕鋼器具「ブレイカー」 腰部に装着することで内に秘められている「魔力」を具現化する事が可能となった人類の切り札。 「魔力」を持ち「ブレイカー」を扱う事が出来る限られた者達。 「リベリィ」 彼等がアンダーズを倒す事が出来る唯一の希望であった。 そんな世界で「リュールジス」は一人旅を続けていた。 「探し物・・・」 混沌とした各地を身一つで歩き続けたが、一通の手紙が足を止めさせ彼の旅を終わらせたのだった。

どうも、死んだはずの悪役令嬢です。

西藤島 みや
ファンタジー
ある夏の夜。公爵令嬢のアシュレイは王宮殿の舞踏会で、婚約者のルディ皇子にいつも通り罵声を浴びせられていた。 皇子の罵声のせいで、男にだらしなく浪費家と思われて王宮殿の使用人どころか通っている学園でも遠巻きにされているアシュレイ。 アシュレイの誕生日だというのに、エスコートすら放棄して、皇子づきのメイドのミュシャに気を遣うよう求めてくる皇子と取り巻き達に、呆れるばかり。 「幼馴染みだかなんだかしらないけれど、もう限界だわ。あの人達に罰があたればいいのに」 こっそり呟いた瞬間、 《願いを聞き届けてあげるよ!》 何故か全くの別人になってしまっていたアシュレイ。目の前で、アシュレイが倒れて意識不明になるのを見ることになる。 「よくも、義妹にこんなことを!皇子、婚約はなかったことにしてもらいます!」 義父と義兄はアシュレイが状況を理解する前に、アシュレイの体を持ち去ってしまう。 今までミュシャを崇めてアシュレイを冷遇してきた取り巻き達は、次々と不幸に巻き込まれてゆき…ついには、ミュシャや皇子まで… ひたすら一人づつざまあされていくのを、呆然と見守ることになってしまった公爵令嬢と、怒り心頭の義父と義兄の物語。 はたしてアシュレイは元に戻れるのか? 剣と魔法と妖精の住む世界の、まあまあよくあるざまあメインの物語です。 ざまあが書きたかった。それだけです。

お爺様の贈り物

豆狸
ファンタジー
お爺様、素晴らしい贈り物を本当にありがとうございました。

もう、終わった話ですし

志位斗 茂家波
ファンタジー
一国が滅びた。 その知らせを聞いても、私には関係の無い事。 だってね、もう分っていたことなのよね‥‥‥ ‥‥‥たまにやりたくなる、ありきたりな婚約破棄ざまぁ(?)もの 少々物足りないような気がするので、気が向いたらオマケ書こうかな?

処理中です...