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プロローグ

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    20✕✕年。いくつものビルが建ち並ぶ都心部。その中で一際目立つのは、地上100階の黒い外観の超高層ビル。1000はあるであろう部屋の窓からいくつも漏れる明かりが、更に他のビルを圧倒する存在感を出している。

    そんな高層ビルの最上階のある一室。高級家具と骨董品で彩られた部屋の真ん中にある特注サイズのテーブル。そこでいくつものパソコンを操作し、山積みになった資料を眺めるのは、キャリアウーマン風の20代の女。
    スーツ、ヒール、腕時計、その他アクセサリー全て 高級ブランドで纏い、長い髪を後ろで一本でまとめ、時々フレームをくいっと上げる黒縁眼鏡が更に品の良さを物語る。


    パソコンのキーボードを叩く音だけが響く部屋に、ドアを叩く音が鳴る。

 「どうぞ」

    女はパソコンの画面を見つめたまま、訪問人を招き入れる。部屋に入ってきたのは、女の秘書の男だ。全身黒ずくめの格好で黒サングラスの秘書は、手帳を捲りながら女の側まで歩き寄る。

 「社長。例の件、全ての準備が揃いました。」

   秘書の報告に、女はキーボードを叩く手を止め、眼鏡を外して一息つく。

 「そう、わかったわ。黒崎、あとのことは私がやるから、今日は上がっていいわ。」

   黒崎という秘書は、女に一礼すると、部屋をあとにする。その間も、女はキーボードを叩き続ける。


   それから2時間程経った。天井から床まである巨大な窓の外からの光しかない真っ暗な部屋に女はいる。スーツ姿から白のワンピースに服装を変え、束ねていた髪もほどいている。

   女はキングサイズのベッドに寝転び、仰向けになり、1枚の写真を見つめる。

   豪華な屋敷の玄関で並んでピースサインをする双子の小さな女の子2人。お揃いのピンクのワンピースでピースサインをする反対の手をお互い握り、2人の仲の良さがわかる。


  「もうすぐ夢が叶うよ・・・お姉ちゃん」


   女は写真を胸に当て、ゆっくり目を瞑った・・・。
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