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果たして悪魔と契約したのはケイだったのか?
しおりを挟むそういうこと、と、ユレナは可愛い様子でテーブルについた肘に可愛い顔を乗せていった。
「ケイは両親を殺したの」
ユレナのカフェの三階の自室の壁に貼られた、大きな半紙。そこに書かれた大きな文字。
“望月ケイは父親と母親を殺した”
「でもこのことは誰も知らない。知らない状態に修正された」
ユレナは続ける。なんでもない風に。
誰によって?
「悪魔によって。正確には、悪魔と契約したケイの意思によって、
世界は修正されたのよ」
「それならあなたは異質だね」
「そう」
ユレナは微かに嬉しそうだった。
「私は知ってる。私は取り残されたの、修正から。この紙ね、」
ユレナは半紙を指差した。
「これが鍵なの。思い出す鍵。もちろん誰にも見せないわ。あんたには見せたけど、これが初めて」
信用されてるのかなんなのか。まあ私は何も思い出さなかったが。
「1人で持ってるのに疲れたのかしら、まあそれも後付けで、理由なんて大して無いわ」
あなたなんてライバルにならないし、とユレナは笑った。
「見づらい才能を持ってるんだもの。せっかくそこそこの顔を持ってたって、最高に可愛くて最高に人の目を引く私の敵じゃ無いもの」
もはや嫌味はない、本気でそう思っていることが素直に伝わってくる。感想もない。事実そうなのだから。
「私はケイを手に入れるわ」
壁の物騒な文字を、キラキラした大きな目で見つめながらユレナは呟く。
「なんでかわからない、この感情の出所もきっかけも心当たりは一つもない。けど、ずっと惹かれてる。惹かれてるのかも分からないかも、ただ欲しくて、どうしようもない執着を自分を見つめるたびありありと感じるの。これ以上欲しいものは絶対見つからないっていう自信があるわ、私がそう思うんだから、そうに決まってる」
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