短編集 そうでないひとの短編集

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彼女が死んでしまうとは思いもよらなかった。
今この瞬間、99%の人が、隣で笑う友人の死をかけらも予感していないように、本当に一片の不安も持ち合わせていなかった。

しかし事実として、彼女は死んだ。
だから、私は後悔した。
訪れた美術と農耕、食の祭典で、彼女は知り合いのいる展示に行きたいと言っていた。
私はもちろんと了承して、そしてなんの悪気もなく、そんなことは忘れてしまい、自由に広大な白とガラスの建物の中を彼女を引くように歩き回った。
16時を回った頃、エレベエタアの横の地図を見て、はたと思い出した。
彼女が行きたいと言っていた展示!17時までだった。
すまない、行こうと彼女を振り返って謝った。
行く先々で話し込んでしまった。何も悪い顔をせず、待っていてくれた彼女が浮かんで益々悲しくなった。
いえいえ、全然、と彼女は笑った。友人の展示は16時半までだし、駆け込むのもわるいわね、とか言うので、手を引いて階段に向かった。エレベエタアは17階のあたりにいてもどかしかったからだ。3階の展示など、直ぐだと考えた。
着いた先、農耕とその関連文化の展示の一つに彼女の友人はいたらしく、彼女は手を振ったので、私も共に行き友人に軽く、わたしが彼女を足止めしてしまったことを謝り、2.3展示についての感想を述べた。
彼女は友人と話し込んでいるようだった。しかし、ときおりわたしを気にする風だったので、久々にあったようだし、二人で食事でも行ってきたらどうかと述べた。私は別の人間の展示の引き取り作業に呼ばれたと嘘をついた。彼女がそれなら、と悪くない顔をしたのを確認して、友人にもう一度礼を言い、彼女に急な予定変更について申し訳ない、食事を楽しんでと言葉を残して別れた。

さて、どうしようかと一階の目立たぬ角のベンチに腰掛けて電子端末を眺めた。近くのカッフェでもと探したが、西日がガラスの多い建物の中に明るくぬるく差し込むのに眠気を催して端末を閉じた。深く座り直し、壁にもたれて搬出をし始める人々の慌しくも幸福な忙しさを眺めてうとうとしていた。

サイレンに意識を弾かれ、覚醒した。
入り口の方だった、向かうと、外の門を伺う人々がエントランスのあたりに屯していた。
どうしたんです、なにがありましたか、と1人の
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