完璧な計画

しづ未

文字の大きさ
上 下
10 / 20
ライバル

4

しおりを挟む
「あっ……ん……やぁ……んぅっ」
「どう、気持ちいい?」
「んっ、んっ、うあ……」

 下半身は全部脱がされ、脚を広げた状態で後ろから明日見に固定されたまま性器を扱かれている。凄く屈辱的な体勢だ。いつもより敏感になっていて少し触られるだけで体が反応してしまう。

「んんっ……この体勢やめろよぉ……!」
「え~?双樹くんの恥ずかしいところが見えやすくて良いじゃん」
「ふざけるな……あっ、あっ」

 一刻も早くやめてほしいが、そのままでも辛いので我慢して抜いてもらうしかない。ぐちゅぐちゅとした音のせいで更に変な気分になってくる。

「前より感度良くて凄いビクビクしてんじゃん……かわいー」
「はぁっ、はっ、耳元でしゃべるなっ……!」
「双樹くんこっち向いて」

 さっきから明日見が耳や首筋に吸い付いてくる。もう痛いのか気持ちいいのかもよく分からなくなってきた……。片方の手が上半身に伸び、乳首を摘まれる。その瞬間、ビリビリした感覚が全身に流れた。明日見の方を振り向くとまたキスをされた。

「あっ……だめっ、んっ、イく、あぁッ~~……!」

 全身を責められて、耐えきれずに精を吐き出した。明日見にイかされたのはムカつくが、おかげでさっきより熱が治まってきた。

「はぁ……はぁ……」
「目トロンとしてる、可愛い」
「お前……当たってんだよ……」
「ごめんね、双樹くんのエロい姿見てたらもう耐えきれないわ」

 今度は明日見と向き合う形でベッドに押し倒された。涼しい顔をしているが、明日見の股間を見れば興奮しているのが分かった。おいちょっと待て、まさか挿れる気じゃないだろうな!?

「ちょ、今パーティー中だぞ!こんなとこで始める気か!?」
「このままじゃ俺が辛いもん。勃ってる状態で戻れって言うの?大丈夫、早めに済ませるから」
「へ、おい、やめ、うわーーっ!!」

 明日見は指を口で湿らせると俺の尻に突っ込んできた。早めに済ませるって言ってもいきなり過ぎるし早く指を動かさないで欲しい。せっかく楽になってきたのにまた体が熱くなってしまう。

「媚薬のおかげかなー?中柔らかくなるの早いね」
「うっ、ん……そんな感想いらな、ぅあっ、あっ、んっ」

 俺の尻の具合を実況するんじゃない!奥をぐちゅぐちゅと掻き回されて体が反応する。三本入るようになった所で指が引き抜かれた。

「あーちんこ痛え、もう挿れて良いよね?」
「だから……うあっ!!もう挿れてるってえ……!」

 明日見は返事を待たずに腰を打ち付けてきた。一気に奥まで入り、腰が浮き上がってしまう。

「あっ、あっ、あっ、ンッ……!もっとゆっくりぃ……!」
「ふっ、ん……気持ちいいよ双樹くん、やっぱ俺ら相性バッチリだね」
「うるひゃ……んんっ……」

 必死に快感を逃そうとシーツを掴んでいたが明日見に離され、指を絡め取られた。両手をがっちり恋人つなぎにされてしまった。

「向こうでパーティーしてんのに二人で抜け出してセックスしてるなんて、俺ら悪い子だね」
「おれはっ、そんなつもりじゃ、あっ、あっ、んあっ」

 すると部屋の外から足音が聞こえてきた。外が盛り上がっているのか、人通りが増えたようだ。驚いて体が縮こまる。

「まずいぞ、部屋の鍵掛けたか!?」
「どうだっけ……まあ別に良いんじゃない?」
「良い訳ないだろ!!誰かにこんなとこ見られたら……うぁッ!?」

 明日見は俺の言う事を気にせずまた腰を動かし始めた。必死に口を閉じたが声を抑えきれない。

「んっ、んんっ……!やめっ、あっ……」
「さっきの奴は、双樹くんの恥ずかしい姿を撮ろうとしてたみたいだけどっ……今見られたって俺たちが愛し合ってるようにしか見えないでしょ?あは、そう見られるなら願ったり叶ったりだよ!」

 腹が立つほどニコニコしている男にゾッとした。わざとではなくとも俺と平塚の計画どちらも利用して、思えばこいつが一番喜ぶ結果に収まってしまっているじゃないか。ムカつくな……明日見を睨みつけたがすぐに快感の波が押し寄せて耐え切れなくなった。

「あっ、あっ、んんっ、やっ、もうイっちゃ……」
「締め付けやば……俺も、イきそ……」
「んあ゛ッ…………!」

 勢いよく突き上げられ、明日見の手を強く握りしめた。腹の中に熱が広がり、同時に俺も達した。

 体の力が抜けて明日見の肩に頭を下ろす。明日見は俺の顎を持ち上げ、今度は軽いキスをした。今日は散々だ、媚薬を盛られた挙句にまた明日見とセックスする羽目になった。せっかく用意したスーツもグチャグチャだし……。

「もう体は大丈夫?」
「……お前が盛らなければもっと早く治まった」
「だって双樹くんが可愛かったから」
「~~っ!さっさと片付けて戻るぞ!」



 ◇

 何事も無かったかのように会場に戻った俺たちは笑顔で平常を装った。双葉には随分心配をかけてしまったが、犯人を突き止めることが出来たから問題ないと言った。パーティーはもう終わりかけでさっきよりも人数は減っていた。

「やあ、さっきは大丈夫だった?」
「……!平塚……」

 誰かと思えば平塚が声をかけてきた。まだ帰ってなかったのか、こいつはなかなかに図太い奴のようだ。

「ああおかげさまで。誰かさんのせいで大変だったよ」

 平塚の貼り付けたような笑顔が引きつった。煽っといて煽り耐性ないのかよ。

「あっそ。僕は諦めないからな、絶対君を引きずり降ろしてやる。あと……その首元のわざと?見せつけるのも大概にしてよ、僕はもう帰るから。それじゃ」

 俺を睨みつけて平塚は帰っていった。上等じゃないか、そっちがやる気ならこっちだって迎え撃ってやるさ。それにしても、首元のって何だ?…………あ。



「明日見~~~!!お前、お前っ!」
「ちょっと痛っ、叩かないでよ。何、どうしたの?」
「見える所に痕付けやがったな!わざとか!?」
「あ、バレた?えへ、虫除けだから」

 また明日見に遊ばれてしまった……!クソ、なぜ毎回こうなるんだ!ふと平塚の話していた事を思い出した。

「お前、平塚の事も抱いたんだろ?誰にでもこんな事してんのか?だから信者みたいな奴ばっか寄ってくるんだよ!」
「いやいや、そもそもキスだって双樹くんとしかした事ないよ。……もしかして、嫉妬してくれた?」
「誰がするかっ!!」
「痛いって!暴力反対!」


 会場のど真ん中に居る事も忘れて明日見と言い争いをしてしまった。そのせいで更にヘイトを買う事になったのはまた別の話である。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

キサラギムツキ
BL
長い間アプローチし続け恋人同士になれたのはよかったが…………… 攻め視点から最後受け視点。 残酷な描写があります。気になる方はお気をつけください。

初恋はおしまい

佐治尚実
BL
高校生の朝好にとって卒業までの二年間は奇跡に満ちていた。クラスで目立たず、一人の時間を大事にする日々。そんな朝好に、クラスの頂点に君臨する修司の視線が絡んでくるのが不思議でならなかった。人気者の彼の一方的で執拗な気配に朝好の気持ちは高ぶり、ついには卒業式の日に修司を呼び止める所までいく。それも修司に無神経な言葉をぶつけられてショックを受ける。彼への思いを知った朝好は成人式で修司との再会を望んだ。 高校時代の初恋をこじらせた二人が、成人式で再会する話です。珍しく攻めがツンツンしています。 ※以前投稿した『初恋はおしまい』を大幅に加筆修正して再投稿しました。現在非公開の『初恋はおしまい』にお気に入りや♡をくださりありがとうございました!こちらを読んでいただけると幸いです。 今作は個人サイト、各投稿サイトにて掲載しています。

【完結】I adore you

ひつじのめい
BL
幼馴染みの蒼はルックスはモテる要素しかないのに、性格まで良くて羨ましく思いながらも夏樹は蒼の事を1番の友達だと思っていた。 そんな時、夏樹に彼女が出来た事が引き金となり2人の関係に変化が訪れる。 ※小説家になろうさんでも公開しているものを修正しています。

フローブルー

とぎクロム
BL
——好きだなんて、一生、言えないままだと思ってたから…。 高二の夏。ある出来事をきっかけに、フェロモン発達障害と診断された雨笠 紺(あまがさ こん)は、自分には一生、パートナーも、子供も望めないのだと絶望するも、その後も前向きであろうと、日々を重ね、無事大学を出て、就職を果たす。ところが、そんな新社会人になった紺の前に、高校の同級生、日浦 竜慈(ひうら りゅうじ)が現れ、紺に自分の息子、青磁(せいじ)を預け(押し付け)ていく。——これは、始まり。ひとりと、ひとりの人間が、ゆっくりと、激しく、家族になっていくための…。

罰ゲームで告白したら、一生添い遂げることになった話

雷尾
BL
タイトルの通りです。 高校生たちの罰ゲーム告白から始まるお話。 受け:藤岡 賢治(ふじおかけんじ)野球部員。結構ガタイが良い 攻め:東 海斗(あずまかいと)校内一の引くほどの美形

どうせ全部、知ってるくせに。

楽川楽
BL
【腹黒美形×単純平凡】 親友と、飲み会の悪ふざけでキスをした。単なる罰ゲームだったのに、どうしてもあのキスが忘れられない…。 飲み会のノリでしたキスで、親友を意識し始めてしまった単純な受けが、まんまと腹黒攻めに捕まるお話。 ※fujossyさんの属性コンテスト『ノンケ受け』部門にて優秀賞をいただいた作品です。

別れようと彼氏に言ったら泣いて懇願された挙げ句めっちゃ尽くされた

翡翠飾
BL
「い、いやだ、いや……。捨てないでっ、お願いぃ……。な、何でも!何でもするっ!金なら出すしっ、えっと、あ、ぱ、パシリになるから!」 そう言って涙を流しながら足元にすがり付くαである彼氏、霜月慧弥。ノリで告白されノリで了承したこの付き合いに、βである榊原伊織は頃合いかと別れを切り出したが、慧弥は何故か未練があるらしい。 チャライケメンα(尽くし体質)×物静かβ(尽くされ体質)の話。

『これで最後だから』と、抱きしめた腕の中で泣いていた

和泉奏
BL
「…俺も、愛しています」と返した従者の表情は、泣きそうなのに綺麗で。 皇太子×従者

処理中です...