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ライバル
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「大変だよお兄ちゃーん!!」
「どうした妹よ!!」
可愛い双子の妹である双葉が鬼気迫る表情で駆け寄ってきた。いつもは誰もが癒される可憐な笑顔の双葉がこんなに焦るとは、一体どんな厄介ごとが舞い込んできたというのだ!?
「どんなことがあっても絶対に双葉のことを守るぞ!」
「家に殺害予告が届いたんだよ、お兄ちゃん宛に!」
「……え?」
俺は椿双樹、由緒正しき椿家の長男で将来この家を継ぐ者である。俺は生まれてから今までずっと妹のために生きてきたと言っても過言ではない。双葉は昔から厄介ごとに巻き込まれてしまうので、俺が守ってやらねばという思いでいた。
しかし、おかしいことに最近はなんだか厄介ごとが俺に舞い込んできているのだ。先日、双葉が財閥の息子であり女にだらしないと噂の明日見麟太郎との縁談を持ちかけられ、破談させるために俺が代わりにお見合いに行ったら何故か俺が明日見と結婚することになってしまった。それからのこと、俺は何かとめんどくさい事に巻き込まれて胃が痛くなる状況が続いている。今では胃薬を欠かさず持ち歩くようになってしまった。
で、今度は何だ?殺害予告!?めんどくさいどころではない、ついに命の危機に晒されてしまった。
「何故俺に!?一体誰からだ!?」
「分かんない……これ、麟太郎さんに相談した方がいいんじゃない?」
「明日見の手を借りるのは癪だから嫌だ!」
今日は丁度明日見家でグループのパーティーがある。
俺が明日見と婚約し明日見家との繋がりが強まった事を知っている者も居るだろう。それについてはきっと快く思われていないと予想できる。仮に俺が逆の立場でもそう思うだろう。俺はそういう奴らの中に殺害予告を送ってきた者が居るのではないかと踏んでいる。でなければ思い当たる節が無い。……もしそうだったら結局明日見のせいではないか!どれだけあいつに巻き込まれなければいけないんだ。
「……俺は完璧な計画を考えたぞ!双葉、協力してくれるか?」
「もしかして、犯人分かったの!?」
「いや、しかし大体の目星はついた。今日のパーティーで犯人を炙り出してやる……!」
計画の内容を双葉に伝え、俺たちはパーティーに行く準備を始めた。いつも椿家は立場上あまり目立たないようにしていたのだが、今回は遠くからでも俺だと認識できるように目立つ色のスーツを着た。反対に双葉には隠密活動をしてもらうために地味な服装だ。しかし、服装を変えたところで可愛いさは隠しきれていない……双葉にも変な男が近寄らないように注意してもらわねば。
「よしそろそろ行くか、準備はいいか双葉?」
「もちろん!……あれ、なんだか外騒がしくない?」
「確かに、一体どうし……え」
外に出ると大きな高級車が停まっていた。見た瞬間に誰が降りてくるか分かってしまい、つい「うわ」と口にしてしまった。予想通り、相変わらずの胡散臭い笑顔をした明日見が降りてきた。
「やあ双樹くん、迎えに来たよ!はは、明らかに嫌そうな顔しないでくれる?」
「ハッだって嫌なのは事実だからな。今回は双葉も一緒に行くんだ」
「そうなんだ!じゃあ二人共乗っていきなよ」
「いや俺たちは……」
「えっ!こんなおっきな車乗れるれるチャンス無いよ!乗ろうよ~!」
「うぐ……今回だけだぞ……」
仕方ない、双葉が楽しそうならそれが一番なのだから。結局俺たちは明日見家の車に乗り込んだ。
「今日は二人共いつもとは違う格好だね、どうしたの?」
「今日は特別用事があるんだよ。お前には関係無い」
「は……?うちのパーティーなのに俺以外の用事あんの?」
うっかり口走ってしまわないようにこれ以上は何も答えずにそっぽを向いた。双葉にも言っておいて良かった、さっきから必死に口を結んでいる。
「えっ何!?何で二人共何も言わないの!?」
「「……」」
「ちょっと!」
「どうした妹よ!!」
可愛い双子の妹である双葉が鬼気迫る表情で駆け寄ってきた。いつもは誰もが癒される可憐な笑顔の双葉がこんなに焦るとは、一体どんな厄介ごとが舞い込んできたというのだ!?
「どんなことがあっても絶対に双葉のことを守るぞ!」
「家に殺害予告が届いたんだよ、お兄ちゃん宛に!」
「……え?」
俺は椿双樹、由緒正しき椿家の長男で将来この家を継ぐ者である。俺は生まれてから今までずっと妹のために生きてきたと言っても過言ではない。双葉は昔から厄介ごとに巻き込まれてしまうので、俺が守ってやらねばという思いでいた。
しかし、おかしいことに最近はなんだか厄介ごとが俺に舞い込んできているのだ。先日、双葉が財閥の息子であり女にだらしないと噂の明日見麟太郎との縁談を持ちかけられ、破談させるために俺が代わりにお見合いに行ったら何故か俺が明日見と結婚することになってしまった。それからのこと、俺は何かとめんどくさい事に巻き込まれて胃が痛くなる状況が続いている。今では胃薬を欠かさず持ち歩くようになってしまった。
で、今度は何だ?殺害予告!?めんどくさいどころではない、ついに命の危機に晒されてしまった。
「何故俺に!?一体誰からだ!?」
「分かんない……これ、麟太郎さんに相談した方がいいんじゃない?」
「明日見の手を借りるのは癪だから嫌だ!」
今日は丁度明日見家でグループのパーティーがある。
俺が明日見と婚約し明日見家との繋がりが強まった事を知っている者も居るだろう。それについてはきっと快く思われていないと予想できる。仮に俺が逆の立場でもそう思うだろう。俺はそういう奴らの中に殺害予告を送ってきた者が居るのではないかと踏んでいる。でなければ思い当たる節が無い。……もしそうだったら結局明日見のせいではないか!どれだけあいつに巻き込まれなければいけないんだ。
「……俺は完璧な計画を考えたぞ!双葉、協力してくれるか?」
「もしかして、犯人分かったの!?」
「いや、しかし大体の目星はついた。今日のパーティーで犯人を炙り出してやる……!」
計画の内容を双葉に伝え、俺たちはパーティーに行く準備を始めた。いつも椿家は立場上あまり目立たないようにしていたのだが、今回は遠くからでも俺だと認識できるように目立つ色のスーツを着た。反対に双葉には隠密活動をしてもらうために地味な服装だ。しかし、服装を変えたところで可愛いさは隠しきれていない……双葉にも変な男が近寄らないように注意してもらわねば。
「よしそろそろ行くか、準備はいいか双葉?」
「もちろん!……あれ、なんだか外騒がしくない?」
「確かに、一体どうし……え」
外に出ると大きな高級車が停まっていた。見た瞬間に誰が降りてくるか分かってしまい、つい「うわ」と口にしてしまった。予想通り、相変わらずの胡散臭い笑顔をした明日見が降りてきた。
「やあ双樹くん、迎えに来たよ!はは、明らかに嫌そうな顔しないでくれる?」
「ハッだって嫌なのは事実だからな。今回は双葉も一緒に行くんだ」
「そうなんだ!じゃあ二人共乗っていきなよ」
「いや俺たちは……」
「えっ!こんなおっきな車乗れるれるチャンス無いよ!乗ろうよ~!」
「うぐ……今回だけだぞ……」
仕方ない、双葉が楽しそうならそれが一番なのだから。結局俺たちは明日見家の車に乗り込んだ。
「今日は二人共いつもとは違う格好だね、どうしたの?」
「今日は特別用事があるんだよ。お前には関係無い」
「は……?うちのパーティーなのに俺以外の用事あんの?」
うっかり口走ってしまわないようにこれ以上は何も答えずにそっぽを向いた。双葉にも言っておいて良かった、さっきから必死に口を結んでいる。
「えっ何!?何で二人共何も言わないの!?」
「「……」」
「ちょっと!」
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