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「どうも、ロミスケです。今回はこちらのゲームをやっていきたいと思います」
画面の前で一人で喋ってるなんてよく考えたらヤバい奴だよな。でも学生時代はそれが凄くキラキラして楽しそうなものに見えていた。それは今だって変わっていないし、だからこそ今日も画面の前で一人で喋っている。
いわゆるゲーム実況というものは、ここ数年で一般的なものになった。俺はそのゲーム実況を高校生の頃からかれこれ十年以上やっている。いくら一般的になったと言っても十年以上実況やってるってヤバいなと自分でも思う。そのくせ今までずっと鳴かず飛ばずの底辺実況者である。再生数も1000再生いったらかなり良い方だ。昔はみんな俺と同じように活動していたが、人気が出てどんどん遠くに行ってしまった人や芽が出ずに活動をやめていった人など様々だ。人気も出ないのに続けている俺みたいな奴はあまり居ない。でもこれはあくまでも趣味でやってるし、普通に働いているので仕事にしようだなんて思っていない。ただ自分がゲームをしている様子を垂れ流すだけの動画を作るのは結構楽しいのだ。そんな動画にも物好きな視聴者がコメントをくれるし、なかなか気分が良い。
「次は何やろっかな……今話題のインディーズゲームでもやるか」
ツイッターを見ながら次に実況するゲームを物色していた。発売して間もない面白いゲームはすぐ話題になるしみんなこぞって実況する。知名度を上げたい実況者や配信者が多いだろうが、俺はもうそんなことも気にせずただやりたいゲームをやるスタイルだ。でも他の人の実況を見ると自分もやってみたくなってしまう。
「あ、このゲーム……シャルも実況してるんだ」
シャルという実況者が居る。奴は登録者数が200万人を超えている超人気実況者の一人である。ゲームプレイも上手くトークも面白い、しかもイケメンで人気も高いアイドル実況者だ。人気実況者の多くはグループで実況をやっていたり盛んにコラボしている人が多いが、シャルはコラボもせず一人でこの人気だ。シャルが実況したことでブームになったゲームもあり、影響力がとにかく凄い。実際シャルの動画は見ていて楽しいし、俺も視聴者の一人である。
「5年くらいでこんなに人気になるって、もはや才能だな……」
いくら趣味でやってると言ってもこんなに凄い人を見ると俺って何やってんだろうという気分になる。俺もイケメンだったら顔出しして人気出たのかなーとか、時々意味も無いことを考えたりする。いや、俺はゲームの上手さも普通だし、あんなにプレイしながら喋り続けるの無理だし、比べる事じゃないよな。ベッドに転がり今日更新されていたシャルの動画を開いた。
「……ふふ」
ストーリーもののゲームなのにハイテンションな実況だ。ちょっと落ち込んでいる時でもシャルの動画は笑わせてくれる。こういうところが実況の良いところだと思う。俺は自分がやりたい事をやってるだけだし、深く考えるのはやめよう。今日はもう寝る事にした。
◇
仕事帰りに行きつけのゲームショップに寄った。何かめぼしいタイトルがあったら実況でやろうと思ったのだ。社会人になるとゲームするのにも気力が要るし、あんまり激しいやつばっかりは出来なくなってしまった。あ、これ最近発売したやつだ、ちょっと気になってたんだよな。と、パッケージに手を伸ばした瞬間、同じように取ろうとした人の手が当たってしまった。
「あっすみませ……え」
視線を上げると黒いマスクをした同年代くらいの男が居た。毛先を赤く染めていて派手なパーカーを着たいかにもチャラそうな風貌だ。ヤバい、陽キャと目が合ってしまった、ここは譲らないとキレられるかもしれない。先にどうぞという言葉を発する前に、男の顔を見た瞬間違うことを口走っていた。
「シャル……?」
「え?」
しまったと反射的に口を手で隠したが時すでに遅しだ。男は目を丸くしていた。いきなり知らない人にシャル?って聞かれて人違いだったら完全に俺変な人じゃん!どうしようと思ってその場から立ち去ろうとした時、男が口を開いた。
「もしかして、俺のファンですか?」
「え……ほんとにシャル……!?」
聞き覚えのある声で男が話しかけてきた。なんと、男は本当にシャルだったのだ。シャルはマスクをずらしニコリと笑顔を浮かべた。間近で見ると凄いイケメンなのを実感した。シャルが手を差し出してきたから思わず握手してしまったが、なんだこのスマートな対応は?これも人気実況者の為せる技なのか?
「わ~嬉しいなあ、男性のファン初めて見た!あ、ここで会った事は言いふらさないで貰えるとありがたいな」
「あ……はい、ファンっていうかその、いや動画は見てるけど、えっと……」
シャルを前に情けなくどもってしまう。言うべきか言わないべきか迷ったけど、俺の小さいプライドがつい口を動かしていた。
「俺も、実況してて、その、全然伸びてないですけど……」
「えっまさかの実況者仲間!?」
手をぎゅっと握られた。シャルがキラキラした目で顔を近づけてきた。
「俺実況者の友達全然居なくて!良かったら繋がりませんか!?」
「え……!?」
こんな展開、誰が予想しただろう。
画面の前で一人で喋ってるなんてよく考えたらヤバい奴だよな。でも学生時代はそれが凄くキラキラして楽しそうなものに見えていた。それは今だって変わっていないし、だからこそ今日も画面の前で一人で喋っている。
いわゆるゲーム実況というものは、ここ数年で一般的なものになった。俺はそのゲーム実況を高校生の頃からかれこれ十年以上やっている。いくら一般的になったと言っても十年以上実況やってるってヤバいなと自分でも思う。そのくせ今までずっと鳴かず飛ばずの底辺実況者である。再生数も1000再生いったらかなり良い方だ。昔はみんな俺と同じように活動していたが、人気が出てどんどん遠くに行ってしまった人や芽が出ずに活動をやめていった人など様々だ。人気も出ないのに続けている俺みたいな奴はあまり居ない。でもこれはあくまでも趣味でやってるし、普通に働いているので仕事にしようだなんて思っていない。ただ自分がゲームをしている様子を垂れ流すだけの動画を作るのは結構楽しいのだ。そんな動画にも物好きな視聴者がコメントをくれるし、なかなか気分が良い。
「次は何やろっかな……今話題のインディーズゲームでもやるか」
ツイッターを見ながら次に実況するゲームを物色していた。発売して間もない面白いゲームはすぐ話題になるしみんなこぞって実況する。知名度を上げたい実況者や配信者が多いだろうが、俺はもうそんなことも気にせずただやりたいゲームをやるスタイルだ。でも他の人の実況を見ると自分もやってみたくなってしまう。
「あ、このゲーム……シャルも実況してるんだ」
シャルという実況者が居る。奴は登録者数が200万人を超えている超人気実況者の一人である。ゲームプレイも上手くトークも面白い、しかもイケメンで人気も高いアイドル実況者だ。人気実況者の多くはグループで実況をやっていたり盛んにコラボしている人が多いが、シャルはコラボもせず一人でこの人気だ。シャルが実況したことでブームになったゲームもあり、影響力がとにかく凄い。実際シャルの動画は見ていて楽しいし、俺も視聴者の一人である。
「5年くらいでこんなに人気になるって、もはや才能だな……」
いくら趣味でやってると言ってもこんなに凄い人を見ると俺って何やってんだろうという気分になる。俺もイケメンだったら顔出しして人気出たのかなーとか、時々意味も無いことを考えたりする。いや、俺はゲームの上手さも普通だし、あんなにプレイしながら喋り続けるの無理だし、比べる事じゃないよな。ベッドに転がり今日更新されていたシャルの動画を開いた。
「……ふふ」
ストーリーもののゲームなのにハイテンションな実況だ。ちょっと落ち込んでいる時でもシャルの動画は笑わせてくれる。こういうところが実況の良いところだと思う。俺は自分がやりたい事をやってるだけだし、深く考えるのはやめよう。今日はもう寝る事にした。
◇
仕事帰りに行きつけのゲームショップに寄った。何かめぼしいタイトルがあったら実況でやろうと思ったのだ。社会人になるとゲームするのにも気力が要るし、あんまり激しいやつばっかりは出来なくなってしまった。あ、これ最近発売したやつだ、ちょっと気になってたんだよな。と、パッケージに手を伸ばした瞬間、同じように取ろうとした人の手が当たってしまった。
「あっすみませ……え」
視線を上げると黒いマスクをした同年代くらいの男が居た。毛先を赤く染めていて派手なパーカーを着たいかにもチャラそうな風貌だ。ヤバい、陽キャと目が合ってしまった、ここは譲らないとキレられるかもしれない。先にどうぞという言葉を発する前に、男の顔を見た瞬間違うことを口走っていた。
「シャル……?」
「え?」
しまったと反射的に口を手で隠したが時すでに遅しだ。男は目を丸くしていた。いきなり知らない人にシャル?って聞かれて人違いだったら完全に俺変な人じゃん!どうしようと思ってその場から立ち去ろうとした時、男が口を開いた。
「もしかして、俺のファンですか?」
「え……ほんとにシャル……!?」
聞き覚えのある声で男が話しかけてきた。なんと、男は本当にシャルだったのだ。シャルはマスクをずらしニコリと笑顔を浮かべた。間近で見ると凄いイケメンなのを実感した。シャルが手を差し出してきたから思わず握手してしまったが、なんだこのスマートな対応は?これも人気実況者の為せる技なのか?
「わ~嬉しいなあ、男性のファン初めて見た!あ、ここで会った事は言いふらさないで貰えるとありがたいな」
「あ……はい、ファンっていうかその、いや動画は見てるけど、えっと……」
シャルを前に情けなくどもってしまう。言うべきか言わないべきか迷ったけど、俺の小さいプライドがつい口を動かしていた。
「俺も、実況してて、その、全然伸びてないですけど……」
「えっまさかの実況者仲間!?」
手をぎゅっと握られた。シャルがキラキラした目で顔を近づけてきた。
「俺実況者の友達全然居なくて!良かったら繋がりませんか!?」
「え……!?」
こんな展開、誰が予想しただろう。
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