364 / 374
『第三部 因果と果報』 救いの代償
29◀◀雨が止まない 2
しおりを挟む
そう言うと兄はとなりに立って、
「恭良とお揃いの髪型にしようかな」
と冗談を言いながら同じ鏡の中で笑っている。結局は、首元でひとつに──下部でていねいにまとめたように見えた。
兄が髪を束ねている姿に見惚れていると、不意に目が合い──瞬時驚いたように目を見開いて。また、悲しげに微笑んだ。
「でも、少しだけにしよう。混む前には送る」
恭良の弾んだ心を、兄は一言で抑えた。
はしゃいでしまうと迷惑をかけてしまうかもしれない、少しでも一緒に行けるならうれしい──色んな感情が入り交じる。
だが、『嫌われてしまったわけではなさそう』と感じられ、恭良は満足できた。
家を出てからしばらくポツポツと歩いたが、恭良が慣れない物を履いていたせいか──距離が離れてしまった。そう気づいた矢先、兄が振り向く。
恭良が急ごうとすると、
「迷子になったら大変だから」
と、駆けつけてくれたのか、すっと手が差し出された。
じっと見つめ、吸い込まれるように手が伸び、握る。ギュッと握り返され、兄と手を握ったのは何年ぶりだろうと、遠い昔のように思い返した。
見上げた兄は、ずい分大人になったように感じた。グッと離れてしまった感覚に襲われたが、しっかり握ってくれている手が心強かった。
手を繋いでいるお陰か、兄は恭良にペースを合わせて歩いてくれた。つい舞い上がり、歩いているだけで楽しくなる。すると、いつの間にか昼が近づいていたようで、
「何が食べたい?」
と兄が言った。
空腹ではなかったが、何かを兄と食べたかった。その一心で、恭良は目についた屋台を読み上げる。どれでもいいと二個も三個も口にしたせいか、兄は恭良を連れてそれらを買ってくれた。
そうして手にした複数の物を、
「半分しようか」
と、恭良がどれでも食べられるようにしてくれる。
昔から、こうだった。
この兄は、一番上の兄とは違い、恭良の望みを叶えてくれる。『あれがいい』と言えば欲しい物を与えてくれ、『これがしたい』と言えば家族を説得してくれた。
恭良にとっては、誰にも代えられない特別な存在で──食べながらそんな風に思っていたら、ぼんやりしてしまったようだ。
「ソースついてる」
ふいに、大きな手が顔に触れてきた。
唇の端に触れた、やさしい親指にドキリとして──流れるように親指をなめた姿に妙な色気を感じる。
ドキドキと脈打つ。こんな兄を彼氏に持つ彼女は、きっと心臓がいくつあっても足らない──想像の彼女にちょっとだけ同情をして、こんな彼氏なら独り占めしたいよねとも罪悪感が湧く。
──きっと、やきもちやきさんなのね。
だから兄は、彼女に妬かせないよう未然の対処をした。だからきっと、『恭良は何も悪くない』だったんだろう。
そういえば、兄の彼女と一度会ったことがあった。いや、あのときは『元彼女』と兄は言っていたが。
あの『元彼女』だって、兄を独り占めしたいくらい──大好きだったんだろう。
兄を独り占めしたい気持ちは、恭良もよくわかる。ただ、『彼女になりたいのか』はわからない。でも、独り占めできるのが、彼女の特権だとするなら──。
「そろそろ混んできそうだね」
淡々とした兄の言葉が、恭良の心に痛みをもたらす。
『もう送る』ということだ。
『もう帰れ』ということだ。
兄はやさしい。
『元彼女』が家に来てしまうくらいに──今は、どんな人が彼女なんだろう。
きゅっと握られた手に、知らない兄の彼女を思う。
うらやましく思う──こんな兄を、独り占めできるのだ。
祭りに来てから兄は、たくさん笑ってくれた。今だって、恭良が見上げて、気づけば微笑みを返してくれる。
今度は、いつ会えるだろう。
──大好きな人なんだろうな。
思わずぎゅっと握っていた手を、同じように握り返されてドキッとする。
ただ、兄は周囲を警戒するように見ていて──恭良も見渡せば、いつの間にか人の賑わいが凄くなっていた。
「遅かったか」
後悔の含んだ兄の声。
屋台で色々買ったのは昼前だったはず。けれど、恭良は食べるのがはやい方ではない。恐らく食べている間に昼時を迎え、混雑する時間に近づいたのだ。押し寄せてくる人の波を、逆流することになる。
道の端と人の隙間を歩いていたが、人の波が膨らんできた。強く手を握っているのに、離れてしまいそうになる。
すると兄は立ち止まり、壁とのわずかな空間に恭良を入れた。
恭良はすっぽりと入った壁と兄との間で、兄の服をつかむ。──兄が何度も人と衝突していると伝わってくる。人の波に流され離れないよう、踏み留まっていると、伝わってくる。
守られている──安心感がじんわりと心に広がってきた。そんなとき、すっと兄が屈んだ。
顔が近づいてきて、首元で止まる。
頬が触れ合う距離だ。唇が耳たぶに触れそうだ。ドキンドキンと、不思議な音を心臓が鳴らし始める。
そうして、予想だにしていなかった囁きが聞こえた。
「好きだ」
このたった一言で、恭良は溶けた。
兄が家を出て行ってから寂しいと──兄のことばかりを考えるようになったと思っていたが、原因がはっきりとした。
ぶわっとあふれる感情のまま、兄の体にぎゅっとしがみつく。
「私も」
こんなに大好きな兄を離したくない、離れたくないとしがみつく。
そうして、兄は祭りに来る前とは正反対のことを言った。
「うちに来る?」
感情を意識をしてしまったからか、聞いたことのないような艶っぽい声だった。『行く』と答えたら、なぜかもう後戻りはできない気がしていた──のに。
「うん」
考える間もなく返事をしていた。
頭に何かが触れて、それは頬にふわりと触れて。いつの間にか閉じていた瞳を開く。
じっと見つめられていたのは、たとえようのない美しい瞳。視界を埋め尽くすほどの美しさに魅了され、沈む。
予感は、当たっていた。
恋人同士がする、愛情の確認をした。
人の波が去ってまた手を握ったころには、これまでとは違う感覚で。うれしさと恥ずかしさが入り交じって、うつむいて歩いた記憶が残っている。
来た道を戻り、ドキドキしながら呼び鈴を鳴らした玄関の前まで来て。
「どうぞ」
ていねいに部屋へと招いてもらった姿は、『兄』ではなくなっていた。
何年振りだったか。
ふたりで風呂場にいたのは。
懐かしいと話しながら、『今なら、まだ戻れるのだろうか』、『もう、手遅れだろうか』──そんな戸惑いの声が聞こえてきそうだったのは、恭良だけではないはずで。もしかしたら、本当にそんな会話をしたのかもしれない。
それでも、他愛のない話をいくつかして。
明確な終止符は打たれた。
「もう、『兄』と呼ぶのは止めて」
『お母様、あのね』
何度も言おうと思った言葉は言えなくて。
沙稀が傷を負ったまま出て行ったあとも、母は、恭良を責めなくて。
長兄は、目が合えば恭良を見なかったかのように、反らす。
そうだよね、と思う。これまで、散々忠告は受けてきたのに、従わなかったのだから。
喜べなかったプロポーズは、苦しさにまみれて。溺れて。
これは、これまで沙稀が味わってきた苦しさだったと、初めて知った。
そうして、決断をした。手放さなければと。
「お母様、あのね」
恭良は、母に初めて気持ちを吐露する。
「大好きだった」
きっと、これからもずっと変わらない。
「うれしかった」
一緒にいられることが、何よりも。
「幸せだった」
でも、
「これまで、どれだけ沙稀……兄、様が……苦しかったのか、やっと、やっとわかって……」
とても辛くて、たまらない。
「だから、もう、お別れしなきゃって……」
これ以上の我が儘を大好きな人に押しつけてはいけない。恭良は懸命に気持ちを吐露した。
ボロボロと感情が瞳からもあふれて、母が心配そうに恭良を覗き込む。
「沙稀とは話したの?」
首を横に振る。
「言えない」
思い出すのは、喫茶店で話したときの手のあたたかさ。あんなに幸せいっぱいに笑う沙稀を見ては、到底言えない。
何とか言い出したところで、やさしい沙稀のことだ。──恭良を責めることはしないだろう。
それに、沙稀を目の前にしては──別れたくなくなってしまう。
「私……産めない……」
「恭良とお揃いの髪型にしようかな」
と冗談を言いながら同じ鏡の中で笑っている。結局は、首元でひとつに──下部でていねいにまとめたように見えた。
兄が髪を束ねている姿に見惚れていると、不意に目が合い──瞬時驚いたように目を見開いて。また、悲しげに微笑んだ。
「でも、少しだけにしよう。混む前には送る」
恭良の弾んだ心を、兄は一言で抑えた。
はしゃいでしまうと迷惑をかけてしまうかもしれない、少しでも一緒に行けるならうれしい──色んな感情が入り交じる。
だが、『嫌われてしまったわけではなさそう』と感じられ、恭良は満足できた。
家を出てからしばらくポツポツと歩いたが、恭良が慣れない物を履いていたせいか──距離が離れてしまった。そう気づいた矢先、兄が振り向く。
恭良が急ごうとすると、
「迷子になったら大変だから」
と、駆けつけてくれたのか、すっと手が差し出された。
じっと見つめ、吸い込まれるように手が伸び、握る。ギュッと握り返され、兄と手を握ったのは何年ぶりだろうと、遠い昔のように思い返した。
見上げた兄は、ずい分大人になったように感じた。グッと離れてしまった感覚に襲われたが、しっかり握ってくれている手が心強かった。
手を繋いでいるお陰か、兄は恭良にペースを合わせて歩いてくれた。つい舞い上がり、歩いているだけで楽しくなる。すると、いつの間にか昼が近づいていたようで、
「何が食べたい?」
と兄が言った。
空腹ではなかったが、何かを兄と食べたかった。その一心で、恭良は目についた屋台を読み上げる。どれでもいいと二個も三個も口にしたせいか、兄は恭良を連れてそれらを買ってくれた。
そうして手にした複数の物を、
「半分しようか」
と、恭良がどれでも食べられるようにしてくれる。
昔から、こうだった。
この兄は、一番上の兄とは違い、恭良の望みを叶えてくれる。『あれがいい』と言えば欲しい物を与えてくれ、『これがしたい』と言えば家族を説得してくれた。
恭良にとっては、誰にも代えられない特別な存在で──食べながらそんな風に思っていたら、ぼんやりしてしまったようだ。
「ソースついてる」
ふいに、大きな手が顔に触れてきた。
唇の端に触れた、やさしい親指にドキリとして──流れるように親指をなめた姿に妙な色気を感じる。
ドキドキと脈打つ。こんな兄を彼氏に持つ彼女は、きっと心臓がいくつあっても足らない──想像の彼女にちょっとだけ同情をして、こんな彼氏なら独り占めしたいよねとも罪悪感が湧く。
──きっと、やきもちやきさんなのね。
だから兄は、彼女に妬かせないよう未然の対処をした。だからきっと、『恭良は何も悪くない』だったんだろう。
そういえば、兄の彼女と一度会ったことがあった。いや、あのときは『元彼女』と兄は言っていたが。
あの『元彼女』だって、兄を独り占めしたいくらい──大好きだったんだろう。
兄を独り占めしたい気持ちは、恭良もよくわかる。ただ、『彼女になりたいのか』はわからない。でも、独り占めできるのが、彼女の特権だとするなら──。
「そろそろ混んできそうだね」
淡々とした兄の言葉が、恭良の心に痛みをもたらす。
『もう送る』ということだ。
『もう帰れ』ということだ。
兄はやさしい。
『元彼女』が家に来てしまうくらいに──今は、どんな人が彼女なんだろう。
きゅっと握られた手に、知らない兄の彼女を思う。
うらやましく思う──こんな兄を、独り占めできるのだ。
祭りに来てから兄は、たくさん笑ってくれた。今だって、恭良が見上げて、気づけば微笑みを返してくれる。
今度は、いつ会えるだろう。
──大好きな人なんだろうな。
思わずぎゅっと握っていた手を、同じように握り返されてドキッとする。
ただ、兄は周囲を警戒するように見ていて──恭良も見渡せば、いつの間にか人の賑わいが凄くなっていた。
「遅かったか」
後悔の含んだ兄の声。
屋台で色々買ったのは昼前だったはず。けれど、恭良は食べるのがはやい方ではない。恐らく食べている間に昼時を迎え、混雑する時間に近づいたのだ。押し寄せてくる人の波を、逆流することになる。
道の端と人の隙間を歩いていたが、人の波が膨らんできた。強く手を握っているのに、離れてしまいそうになる。
すると兄は立ち止まり、壁とのわずかな空間に恭良を入れた。
恭良はすっぽりと入った壁と兄との間で、兄の服をつかむ。──兄が何度も人と衝突していると伝わってくる。人の波に流され離れないよう、踏み留まっていると、伝わってくる。
守られている──安心感がじんわりと心に広がってきた。そんなとき、すっと兄が屈んだ。
顔が近づいてきて、首元で止まる。
頬が触れ合う距離だ。唇が耳たぶに触れそうだ。ドキンドキンと、不思議な音を心臓が鳴らし始める。
そうして、予想だにしていなかった囁きが聞こえた。
「好きだ」
このたった一言で、恭良は溶けた。
兄が家を出て行ってから寂しいと──兄のことばかりを考えるようになったと思っていたが、原因がはっきりとした。
ぶわっとあふれる感情のまま、兄の体にぎゅっとしがみつく。
「私も」
こんなに大好きな兄を離したくない、離れたくないとしがみつく。
そうして、兄は祭りに来る前とは正反対のことを言った。
「うちに来る?」
感情を意識をしてしまったからか、聞いたことのないような艶っぽい声だった。『行く』と答えたら、なぜかもう後戻りはできない気がしていた──のに。
「うん」
考える間もなく返事をしていた。
頭に何かが触れて、それは頬にふわりと触れて。いつの間にか閉じていた瞳を開く。
じっと見つめられていたのは、たとえようのない美しい瞳。視界を埋め尽くすほどの美しさに魅了され、沈む。
予感は、当たっていた。
恋人同士がする、愛情の確認をした。
人の波が去ってまた手を握ったころには、これまでとは違う感覚で。うれしさと恥ずかしさが入り交じって、うつむいて歩いた記憶が残っている。
来た道を戻り、ドキドキしながら呼び鈴を鳴らした玄関の前まで来て。
「どうぞ」
ていねいに部屋へと招いてもらった姿は、『兄』ではなくなっていた。
何年振りだったか。
ふたりで風呂場にいたのは。
懐かしいと話しながら、『今なら、まだ戻れるのだろうか』、『もう、手遅れだろうか』──そんな戸惑いの声が聞こえてきそうだったのは、恭良だけではないはずで。もしかしたら、本当にそんな会話をしたのかもしれない。
それでも、他愛のない話をいくつかして。
明確な終止符は打たれた。
「もう、『兄』と呼ぶのは止めて」
『お母様、あのね』
何度も言おうと思った言葉は言えなくて。
沙稀が傷を負ったまま出て行ったあとも、母は、恭良を責めなくて。
長兄は、目が合えば恭良を見なかったかのように、反らす。
そうだよね、と思う。これまで、散々忠告は受けてきたのに、従わなかったのだから。
喜べなかったプロポーズは、苦しさにまみれて。溺れて。
これは、これまで沙稀が味わってきた苦しさだったと、初めて知った。
そうして、決断をした。手放さなければと。
「お母様、あのね」
恭良は、母に初めて気持ちを吐露する。
「大好きだった」
きっと、これからもずっと変わらない。
「うれしかった」
一緒にいられることが、何よりも。
「幸せだった」
でも、
「これまで、どれだけ沙稀……兄、様が……苦しかったのか、やっと、やっとわかって……」
とても辛くて、たまらない。
「だから、もう、お別れしなきゃって……」
これ以上の我が儘を大好きな人に押しつけてはいけない。恭良は懸命に気持ちを吐露した。
ボロボロと感情が瞳からもあふれて、母が心配そうに恭良を覗き込む。
「沙稀とは話したの?」
首を横に振る。
「言えない」
思い出すのは、喫茶店で話したときの手のあたたかさ。あんなに幸せいっぱいに笑う沙稀を見ては、到底言えない。
何とか言い出したところで、やさしい沙稀のことだ。──恭良を責めることはしないだろう。
それに、沙稀を目の前にしては──別れたくなくなってしまう。
「私……産めない……」
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
【完結】え、別れましょう?
須木 水夏
恋愛
「実は他に好きな人が出来て」
「は?え?別れましょう?」
何言ってんだこいつ、とアリエットは目を瞬かせながらも。まあこちらも好きな訳では無いし都合がいいわ、と長年の婚約者(腐れ縁)だったディオルにお別れを申し出た。
ところがその出来事の裏側にはある双子が絡んでいて…?
だる絡みをしてくる美しい双子の兄妹(?)と、のんびりかつ冷静なアリエットのお話。
※毎度ですが空想であり、架空のお話です。史実に全く関係ありません。
ヨーロッパの雰囲気出してますが、別物です。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
娼館で元夫と再会しました
無味無臭(不定期更新)
恋愛
公爵家に嫁いですぐ、寡黙な夫と厳格な義父母との関係に悩みホームシックにもなった私は、ついに耐えきれず離縁状を机に置いて嫁ぎ先から逃げ出した。
しかし実家に帰っても、そこに私の居場所はない。
連れ戻されてしまうと危惧した私は、自らの体を売って生計を立てることにした。
「シーク様…」
どうして貴方がここに?
元夫と娼館で再会してしまうなんて、なんという不運なの!
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢は逃げることにした
葉柚
恋愛
皇太子の子を妊娠した悪役令嬢のレイチェルは幸せいっぱいに暮らしていました。
でも、妊娠を切っ掛けに前世の記憶がよみがえり、悪役令嬢だということに気づいたレイチェルは皇太子の前から逃げ出すことにしました。
本編完結済みです。時々番外編を追加します。
宮廷外交官の天才令嬢、王子に愛想をつかれて婚約破棄されたあげく、実家まで追放されてケダモノ男爵に読み書きを教えることになりました
悠木真帆
恋愛
子爵令嬢のシャルティナ・ルーリックは宮廷外交官として日々忙しくはたらく毎日。
クールな見た目と頭の回転の速さからついたあだ名は氷の令嬢。
婚約者である王子カイル・ドルトラードを長らくほったらかしてしまうほど仕事に没頭していた。
そんなある日の夜会でシャルティナは王子から婚約破棄を宣言されてしまう。
そしてそのとなりには見知らぬ令嬢が⋯⋯
王子の婚約者ではなくなった途端、シャルティナは宮廷外交官の立場まで失い、見かねた父の強引な勧めで冒険者あがりの男爵のところへ行くことになる。
シャルティナは宮廷外交官の実績を活かして辣腕を振るおうと張り切るが、男爵から命じられた任務は男爵に文字の読み書きを教えることだった⋯⋯
【完結】側妃は愛されるのをやめました
なか
恋愛
「君ではなく、彼女を正妃とする」
私は、貴方のためにこの国へと貢献してきた自負がある。
なのに……彼は。
「だが僕は、ラテシアを見捨てはしない。これから君には側妃になってもらうよ」
私のため。
そんな建前で……側妃へと下げる宣言をするのだ。
このような侮辱、恥を受けてなお……正妃を求めて抗議するか?
否。
そのような恥を晒す気は無い。
「承知いたしました。セリム陛下……私は側妃を受け入れます」
側妃を受けいれた私は、呼吸を挟まずに言葉を続ける。
今しがた決めた、たった一つの決意を込めて。
「ですが陛下。私はもう貴方を支える気はありません」
これから私は、『捨てられた妃』という汚名でなく、彼を『捨てた妃』となるために。
華々しく、私の人生を謳歌しよう。
全ては、廃妃となるために。
◇◇◇
設定はゆるめです。
読んでくださると嬉しいです!
忌むべき番
藍田ひびき
恋愛
「メルヴィ・ハハリ。お前との婚姻は無効とし、国外追放に処す。その忌まわしい姿を、二度と俺に見せるな」
メルヴィはザブァヒワ皇国の皇太子ヴァルラムの番だと告げられ、強引に彼の後宮へ入れられた。しかしヴァルラムは他の妃のもとへ通うばかり。さらに、真の番が見つかったからとメルヴィへ追放を言い渡す。
彼は知らなかった。それこそがメルヴィの望みだということを――。
※ 8/4 誤字修正しました。
※ なろうにも投稿しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる