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遠き日々
【25】秘めた想い(1)
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半年ほどが経った。紗如と関わらなければ、業務に圧迫されようとも充実した毎日だった。
『大臣』と声をかけられることがますます増え、すっかり『世良』よりも馴染みのある慣れ親しんだものになっていた。
それなのに、と、大臣はうんざりとする。
紗如から妊娠が伝えられ、これで奇妙な縁は切れたと安堵したのに──平穏は一ヶ月も持たなかった。
それどころか。
三週間に一度が二週間に一度になり、二週間に一度が一週間に一度になり、近頃では数日に一度は呼ばれている。
一ヶ月振りに紗如から内線で呼ばれたときは、『姫に呼ばれた』と認識し、立場をわきまえて向かった。
姫に何があったのかと落ち着かず、紫紺の絨毯の上で足踏みしていたら紗如が来て、手を取られた。
一瞬で『姫』と『大臣』の関係は崩れ去る。
すぐさま振り払い、
「誰が見ているか」
と注意をすれば、
「あら、誰もいないわよ」
と平然と言った。そう言われ、再び手を取られれば──振り払えば無礼な行為で──嫌がっている顔を隠さずについて行くのが精一杯の抵抗だ。
部屋に入れば、案の定、付き人は残らず追い払われていて。関係性がふりだしに戻ってしまいそうだった。
世良は悪態を隠さずにいるのに、紗如は嬉々として話しかけてくる。『唏劉』と心を抉る名で。
誰にも言えないのだろうと紗如を慮り妊娠の不安も不満も聞いたが、それが仇になったのか。
毒を少量ずつ盛られるかの如く、世良は紗如の前で自暴自棄になっていく。
そんなことが呼ばれる度に続き、いつしか紗如に呼ばれれば誰の目にも見つからないと開き直り、部屋に入るようになった。
あるとき、紗如の悩み相談は子どものことに及んだ。世良の中でプツンと何かが切れた。
世良としては、紗如の腹の子は『兄の子』。ずっと『唏劉』と呼ばれているのだ。甘んじて受けていたのだ。
だから、つい、言わなくていいことを言い、紗如を傷つけた。
「誰の子を産むのですか、貴女は」
「私は……」
紗如は言いかけた言葉を消す。
はぁ、と大きなため息が出る。折角、終止符が打てたと思っていたのに、と。
「唏劉なんか……嫌いよ」
言える言葉がなくなり、紗如は言ったに違いない。だが、世良はためらいなく返す。
「そうですか。それは奇遇です。私も貴女が嫌いです」
「えっ」
驚いたような紗如の声。
『当然でしょう』と言いたい思いを世良は必死に飲み込む。喧嘩をしたところで無意味だ。むしろ、妊娠中にはよくないだろう。
『誰もが言うことを何でも聞くわ』と、紗如は以前言っていた。『嫌い』と誰かが思っていても、言われたことはなかったのだろう。
実にいい機会だ。
無条件で誰もが好意を示すわけではないと伝えれば、紗如から呼びつけられることは二度とないだろうと告げる。
「私は忙しいのです。いい加減にして頂けないですか、不必要なことで私をこうして呼びつけるのは」
紗如が大臣を呼ぶときは、いつもふたりきりだ。
他言できない内容を話すからだと、理解はしている。だが、大臣にはよけいに嫌なことだ。未だに紗如は大臣を『大臣』とは呼ばない。
『世良』とも、呼ばないのだ。
それきり紗如とは会わず、数ヶ月後が経った。紗如の体調が大丈夫かと浮かぶ瞬間がある一方、お人好しになったもんだと流し続けたある日、紗如が無事に出産したと業務上、留妃姫から聞いた。
男児だと聞き、大臣の心に荒波が立つ。
──あのまま……本当に兄上の子を産んでいたなら。
紗如は娘を産んでいたかもしれない。そう思うと大臣はやるせなかった。
紗如は、あくまでも兄の子として産んだのだ。大臣にも、産まれた子を兄の子として見守っていこうという決意がある。
ただ、当然のように生まれた子は男児。
兄は身を挺して紗如を守った。異性としての好意があったのか、単に父のいない紗如の父代わり、もしくは、兄のような思いからだったのかは知る由がない。
兄の気持ちを知らない以上、男児が生まれた可能性も否定はできない。
それなのに、男児と聞いて、我が子と突きつけられているような気持ちが沸く。けれど、受け入れていいい術はない。
『唏劉』と呼ばれ続け、妊娠の報告は受けたものの、ハッキリと立場の一線を紗如は引いた。
だから大臣は紗如と反対側で、紗如の作った防波堤を守らなければならない。それが、無責任なことをした紗如への責任だ。
翌日、大臣は留妃姫に招かれた。地下へと降り、一室に入った留妃姫のあとに続けば、紗如が赤子をあやしている──ようだが、赤子のいるベッドが思いの外大きい。
留妃姫も紗如も赤子の性別に拘らず、ただ歓喜している。ふたりの喜ぶ光景を大臣は遠目で眺めた。
赤子の声が二重に聞こえる──と思ったとき、
「大臣」
と、留妃姫から呼ばれ我に返った。何やら、手招きをされている。
大臣は恐れ多いと身を縮めたが、
「見てあげて。瑠既と沙稀よ」
と、紗如が微笑んだ。
名を聞いた瞬間、大臣はあまりの衝撃に記憶が欠落する。目に焼きついたのは、信じがたいちいさなふたつの命。
──双子?
男児だとは聞いていたが、まさか双子だとは。兄の子の命は、取り留めていたのではという衝動に駆られる。
紗如が、もう一度子の名を言った。
先に生まれた兄が瑠既で、あとに生まれた弟が沙稀だと。静かに眠る、やわらかな頬を指で愛しそうに触れながら。
赤子というのは、何と不思議な存在だろう。寝顔だけで一切を浄化してくれるかのような、神秘さがある。
大臣は以前──まだ国王だったころ、妻がいた。結婚して七年経っても子宝に恵まれず、ふたりでおだやかに時間を重ねて日々を過ごしていた。
妻もまだまだ若い。焦ることはない。むしろ、ふたりで過ごす時間が多く、長く持てることは有意義なこと。相応しいときがくれば、授かるはずと絆を深め合った。
けれど、待ち望む気持ちがなかったわけではなく、いつでもそのときを迎えられるようにと心の準備はしてきた。
男児であれば、やがて鴻嫗城へ仕えるのだろう。
二男が産まれたら、自らと同じ重責を負わせなければならない。
女児であれば柵なく、自由に育てられるのだろうか。愛しい妻に、似るだろうか。
名は頭を悩ませるだろう。
妻は悪阻に苦しむだろうか。
それとも、今後の日々に胸を膨らませ、忙しく表情を変化させながら──これまで以上に幸せに笑うだろうか。
幻想だったかのような過去が脳内を駆け巡り、バラバラと消えていく。
愛した単調な日々を手離したのは己のせいだ。
鴻嫗城との決別を、国王として選択した己のせいだ。
紗如のせいにも、兄のせいにもするつもりはない。
はるか昔のような、幻だったかのような記憶。
つい一年ほど前までのこと。
大臣の瞳には熱いものが込み上げていた。
「やはり……私には恐れ多いです。失礼いたします」
『大臣』と声をかけられることがますます増え、すっかり『世良』よりも馴染みのある慣れ親しんだものになっていた。
それなのに、と、大臣はうんざりとする。
紗如から妊娠が伝えられ、これで奇妙な縁は切れたと安堵したのに──平穏は一ヶ月も持たなかった。
それどころか。
三週間に一度が二週間に一度になり、二週間に一度が一週間に一度になり、近頃では数日に一度は呼ばれている。
一ヶ月振りに紗如から内線で呼ばれたときは、『姫に呼ばれた』と認識し、立場をわきまえて向かった。
姫に何があったのかと落ち着かず、紫紺の絨毯の上で足踏みしていたら紗如が来て、手を取られた。
一瞬で『姫』と『大臣』の関係は崩れ去る。
すぐさま振り払い、
「誰が見ているか」
と注意をすれば、
「あら、誰もいないわよ」
と平然と言った。そう言われ、再び手を取られれば──振り払えば無礼な行為で──嫌がっている顔を隠さずについて行くのが精一杯の抵抗だ。
部屋に入れば、案の定、付き人は残らず追い払われていて。関係性がふりだしに戻ってしまいそうだった。
世良は悪態を隠さずにいるのに、紗如は嬉々として話しかけてくる。『唏劉』と心を抉る名で。
誰にも言えないのだろうと紗如を慮り妊娠の不安も不満も聞いたが、それが仇になったのか。
毒を少量ずつ盛られるかの如く、世良は紗如の前で自暴自棄になっていく。
そんなことが呼ばれる度に続き、いつしか紗如に呼ばれれば誰の目にも見つからないと開き直り、部屋に入るようになった。
あるとき、紗如の悩み相談は子どものことに及んだ。世良の中でプツンと何かが切れた。
世良としては、紗如の腹の子は『兄の子』。ずっと『唏劉』と呼ばれているのだ。甘んじて受けていたのだ。
だから、つい、言わなくていいことを言い、紗如を傷つけた。
「誰の子を産むのですか、貴女は」
「私は……」
紗如は言いかけた言葉を消す。
はぁ、と大きなため息が出る。折角、終止符が打てたと思っていたのに、と。
「唏劉なんか……嫌いよ」
言える言葉がなくなり、紗如は言ったに違いない。だが、世良はためらいなく返す。
「そうですか。それは奇遇です。私も貴女が嫌いです」
「えっ」
驚いたような紗如の声。
『当然でしょう』と言いたい思いを世良は必死に飲み込む。喧嘩をしたところで無意味だ。むしろ、妊娠中にはよくないだろう。
『誰もが言うことを何でも聞くわ』と、紗如は以前言っていた。『嫌い』と誰かが思っていても、言われたことはなかったのだろう。
実にいい機会だ。
無条件で誰もが好意を示すわけではないと伝えれば、紗如から呼びつけられることは二度とないだろうと告げる。
「私は忙しいのです。いい加減にして頂けないですか、不必要なことで私をこうして呼びつけるのは」
紗如が大臣を呼ぶときは、いつもふたりきりだ。
他言できない内容を話すからだと、理解はしている。だが、大臣にはよけいに嫌なことだ。未だに紗如は大臣を『大臣』とは呼ばない。
『世良』とも、呼ばないのだ。
それきり紗如とは会わず、数ヶ月後が経った。紗如の体調が大丈夫かと浮かぶ瞬間がある一方、お人好しになったもんだと流し続けたある日、紗如が無事に出産したと業務上、留妃姫から聞いた。
男児だと聞き、大臣の心に荒波が立つ。
──あのまま……本当に兄上の子を産んでいたなら。
紗如は娘を産んでいたかもしれない。そう思うと大臣はやるせなかった。
紗如は、あくまでも兄の子として産んだのだ。大臣にも、産まれた子を兄の子として見守っていこうという決意がある。
ただ、当然のように生まれた子は男児。
兄は身を挺して紗如を守った。異性としての好意があったのか、単に父のいない紗如の父代わり、もしくは、兄のような思いからだったのかは知る由がない。
兄の気持ちを知らない以上、男児が生まれた可能性も否定はできない。
それなのに、男児と聞いて、我が子と突きつけられているような気持ちが沸く。けれど、受け入れていいい術はない。
『唏劉』と呼ばれ続け、妊娠の報告は受けたものの、ハッキリと立場の一線を紗如は引いた。
だから大臣は紗如と反対側で、紗如の作った防波堤を守らなければならない。それが、無責任なことをした紗如への責任だ。
翌日、大臣は留妃姫に招かれた。地下へと降り、一室に入った留妃姫のあとに続けば、紗如が赤子をあやしている──ようだが、赤子のいるベッドが思いの外大きい。
留妃姫も紗如も赤子の性別に拘らず、ただ歓喜している。ふたりの喜ぶ光景を大臣は遠目で眺めた。
赤子の声が二重に聞こえる──と思ったとき、
「大臣」
と、留妃姫から呼ばれ我に返った。何やら、手招きをされている。
大臣は恐れ多いと身を縮めたが、
「見てあげて。瑠既と沙稀よ」
と、紗如が微笑んだ。
名を聞いた瞬間、大臣はあまりの衝撃に記憶が欠落する。目に焼きついたのは、信じがたいちいさなふたつの命。
──双子?
男児だとは聞いていたが、まさか双子だとは。兄の子の命は、取り留めていたのではという衝動に駆られる。
紗如が、もう一度子の名を言った。
先に生まれた兄が瑠既で、あとに生まれた弟が沙稀だと。静かに眠る、やわらかな頬を指で愛しそうに触れながら。
赤子というのは、何と不思議な存在だろう。寝顔だけで一切を浄化してくれるかのような、神秘さがある。
大臣は以前──まだ国王だったころ、妻がいた。結婚して七年経っても子宝に恵まれず、ふたりでおだやかに時間を重ねて日々を過ごしていた。
妻もまだまだ若い。焦ることはない。むしろ、ふたりで過ごす時間が多く、長く持てることは有意義なこと。相応しいときがくれば、授かるはずと絆を深め合った。
けれど、待ち望む気持ちがなかったわけではなく、いつでもそのときを迎えられるようにと心の準備はしてきた。
男児であれば、やがて鴻嫗城へ仕えるのだろう。
二男が産まれたら、自らと同じ重責を負わせなければならない。
女児であれば柵なく、自由に育てられるのだろうか。愛しい妻に、似るだろうか。
名は頭を悩ませるだろう。
妻は悪阻に苦しむだろうか。
それとも、今後の日々に胸を膨らませ、忙しく表情を変化させながら──これまで以上に幸せに笑うだろうか。
幻想だったかのような過去が脳内を駆け巡り、バラバラと消えていく。
愛した単調な日々を手離したのは己のせいだ。
鴻嫗城との決別を、国王として選択した己のせいだ。
紗如のせいにも、兄のせいにもするつもりはない。
はるか昔のような、幻だったかのような記憶。
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