226 / 375
還
【43】過去から現世へ、現世から未来へ(2)
しおりを挟む
『30497Er.』
焼き印──琉菜磬の正式名称。
更に別の方向からも仮説を立て──忒畝が浮かべたのは、竜称。竜称は、『龍声』と聖水を呼び、赤子のころから面倒をみて、かわいがっていた。
──もしかしたら、本当に……。
『龍声』の両親を知っているわけではない。だが、それは『琉菜磬』の両親も同じこと。
つまり、可能性はゼロではない。
この結論に忒畝の心はやわらかくなった。聖水に幸せになってほしいと、心から思えるほどに。
「ほら、たまには部屋から出よう? 僕も一緒に行くから」
手を差し出せば、聖水は無邪気な笑顔を浮かべて忒畝の手を取った。
こうして聖水が自立していき、忒畝は胸を撫でおろしたものだ。
そういえば、この年は寒さの厳しい冬だった。
鐙鷃城の宮城研究施設開設の手続きは完了していなくて、少なくとももう一度は会える──と思っていたのに、一通の輸送便がその望みを絶った。
誄と交わした最後の会話を思い出し、けれど、都合のいいように信じていたくて、不安に押しつぶされそうになりながらも手続きを完了させた。
信じていたかったからこそ、どんなに苦しくても連絡はしなかった。名目は、いくらでもあったのに。
苦しい冬を越え、季節は春に姿を変えて、あたたかな日差しが降り注ぐようになる。日々の平穏を取り戻したとき、忒畝の足は図書室の前で止めた。
窓から、森の中をぼんやりと眺める。
──この奥には塚があったはず。
それは、過去に見た四戦獣を封印した塚。
──人には縁がある。縁は不思議なものだ。巡り合わせだ。必要なタイミングで繋がっていく。そして、消えていく。
何かに導かれているように、忒畝は漠然と過去と現在と未来を見る。
──人は多くを悩む。生まれて来た意味を探そうとする。
幼いころ使命だと走り、今頃虚しい。まるで燃え尽き症候群のようで、忒畝はちいさく笑う。
無意識で『生きている意味』を模索している。もう疾うにカウントダウンが始まっているというのに、遅い思春期のようで忒畝にはおかしかった。
苦しかった。突然ブツンと繋がりが切れてから。
もう来ないと、突きつけられたときから。
けれど、溺れてしがみついているよりも、この平凡な日常が愛おしい。何よりも大切なものだ。
忒畝は再び歩き出した。ゆっくりと、踏み締めるように。
思い出がどんどん押し寄せる。
吉報が舞い込んだのは、それから間もなくしてからだ。
悠穂が忒畝の部屋に来るなり、母子手帳を広げた。忒畝は一瞬、視界が真っ白になったが、それは本当に一瞬で。次の瞬間には喜びがあふれていた。
「おめでとう!」
忒畝は思わず悠穂を抱きしめる。
「お兄ちゃん?」
「うれしい。おめでとう」
感情的になって抱きしめたが、悠穂ももうひとりの女性だと忒畝は我に返る。いきなり両手を離すのもおかしいと、徐々に力を離した。
すると、悠穂の頬からほろりと雫が落ちる。
「お兄ちゃん……ありがとう」
悠穂はほろりほろりと大きな雫を落とす。泣きじゃくる悠穂を見ているのに、忒畝はうれしい。
「よかった。やっぱり、悠穂は幸せになったんだね」
「うん」
悠穂がちいさく返事をした。
「これから、もっと幸せを重ねてね」
「ん……」
悠穂がまたちいさく返す。
ふと、悠穂が顔を上げ、忒畝の顔をじっと見た。
悠穂の表情がひどく歪む。
悠穂は声を出せないまま、力強くうなづいた。
そういえば、悠穂を落ち着かせてから、うれしさを我慢できずに鷹へと言った。
「そうそう。産まれたら絶対に三番目に抱かせてね」
「三番目?」
「一番に、と言いたいところだけど……やっぱり一番、二番は両親でしょう? だから、三番目」
忒畝は喜びのままに言葉を口にしたが、鷹はどこかぼんやりとしていた。あのときはフワフワとしていて、鷹の反応を考えている隙間がなかった。ただ、
「絶対だよ!」
と、喜びのままに釘をさして、鷹はもちろんだと返事をした。
あの日、忒畝は自室に戻ってから、じんわりと安堵が込み上げた。
尊敬し、憧れた両親の血が繋がっていくと実感できて、うれしかった。果たせないことを、妹が果たしてくれたのだと、感謝した。
幸せな気持ちに包まれ、よかったと瞳を閉じたとき、頬を何かが滑っていくのを忒畝は感じる。
時間が、止まったようだった。
違和感だ。
落ちた雫は、うれしさからこぼれたものではないという、違和感。
感情と体の反応の差。それを忒畝が考えようとする間に、雫は止まらないものに変わっていた。
不思議な感覚だった。
大きな喜びが、いつの間にか絶望を浮かばせている。
気つけば忒畝は、声を上げて泣いていた。
その夜、ひとりで眠った忒畝に、強烈な孤独が襲う。悠穂が身籠り、心から喜んだのは、本当だ。
しかし、夜になって『自身が果たせないこと』が忒畝を苛んだ。
誰かに、無性に傍にいてほしくなった。想いを寄せた人を恋しく想う。──それが、余計に忒畝を責めた。
家族を築きたいと、互いに寄り添える伴侶がほしいと──たとえ血の繋がりがなくても子どもを育てたいと、切に来世へ願った。次こそは、望むような幸せがほしいと。
強烈な想いは、理解しがたい。いや、誄は黎馨だと、認識したからだと理由付ける。過去生からの繋がりを繋げていたいだけだと。過去生からの感情移入だろうと。どこか客観的に捉える一面を持っていた。
琉菜磬が黎馨を求めているだけであって──誄への想いは、黎馨を想う気持ちに飲み込まれたときに似ていて。その感覚が、忒畝に己の想いを拒否したい気持ちを呼んだ。
黎馨と重なっているだけだと。非現実的なものだと。
──来世の幸せを願うなら、現世で断ち切るべきだ。
彼女との関係は現世、断ち切らなくてはいけない。来世に幸せを願うのであれば、続けるわけにはいかないと自戒した。
誄の吉報を耳にしたが、目にするのを避けた。一目見てしまえば、かんたんに見入ってしまいそうで、顔を忘れればいいと見ないようにした。
幸せそうだと嫌になるほど耳にして、心の奥底から醜い言葉がいくつも湧いて出た。湧き出る言葉の数々に自己嫌悪して、耳も塞ぎたくてたまらなかった。
悠穂が予定日より少し遅れて女の子を出産したのは、その年の十二月十七日、早朝だった。標準体重を上回る、大きくて元気な子。
「おめでとう」
「ありがとう! ねぇ、お兄ちゃんも悠水を抱いてあげて」
「悠水って……名付けたの?」
「かわいいでしょ?」
忒畝は驚いたが、悠穂は幸せそうに笑っている。忒畝は首肯し、悠水を抱き上げた。すると、
「『水が流れるくらいに、ゆったりとした時間の中で幸せになってほしい』って、悠穂がめちゃくちゃハイセンスな名前を考えたんすよ~」
鷹が忒畝に幸せの絶頂を切り取って言う。ただ、その断片は、忒畝には聞いたことがある一部で──いや、過去に聞いた想いだった。
今度こそ、その叶えばいいと忒畝は願う。
「そうなんだ。いい名前だね。きっと、この子も……幸せになるね」
「うん!」
悠穂の声が力強く弾む。
忒畝には、過去から現世への願いが届いたような瞬間だった。
月日は振り返ればいつもあっという間で、心に大きな波があっても、おだやかに日々を過ごすことができるくらいになっていた──と思っていた。
年月も経ち、普通に会話くらいできると想像して輸送便を送ったが──波がなくなったわけでもなかったのだ。
最期の最期にと、こうして行動してしまうくらいに。
──ただこれは、現世、断ち切るためだ。
言い訳だとしても、忒畝は前を向こうとする。
悔いを、残さないために。
焼き印──琉菜磬の正式名称。
更に別の方向からも仮説を立て──忒畝が浮かべたのは、竜称。竜称は、『龍声』と聖水を呼び、赤子のころから面倒をみて、かわいがっていた。
──もしかしたら、本当に……。
『龍声』の両親を知っているわけではない。だが、それは『琉菜磬』の両親も同じこと。
つまり、可能性はゼロではない。
この結論に忒畝の心はやわらかくなった。聖水に幸せになってほしいと、心から思えるほどに。
「ほら、たまには部屋から出よう? 僕も一緒に行くから」
手を差し出せば、聖水は無邪気な笑顔を浮かべて忒畝の手を取った。
こうして聖水が自立していき、忒畝は胸を撫でおろしたものだ。
そういえば、この年は寒さの厳しい冬だった。
鐙鷃城の宮城研究施設開設の手続きは完了していなくて、少なくとももう一度は会える──と思っていたのに、一通の輸送便がその望みを絶った。
誄と交わした最後の会話を思い出し、けれど、都合のいいように信じていたくて、不安に押しつぶされそうになりながらも手続きを完了させた。
信じていたかったからこそ、どんなに苦しくても連絡はしなかった。名目は、いくらでもあったのに。
苦しい冬を越え、季節は春に姿を変えて、あたたかな日差しが降り注ぐようになる。日々の平穏を取り戻したとき、忒畝の足は図書室の前で止めた。
窓から、森の中をぼんやりと眺める。
──この奥には塚があったはず。
それは、過去に見た四戦獣を封印した塚。
──人には縁がある。縁は不思議なものだ。巡り合わせだ。必要なタイミングで繋がっていく。そして、消えていく。
何かに導かれているように、忒畝は漠然と過去と現在と未来を見る。
──人は多くを悩む。生まれて来た意味を探そうとする。
幼いころ使命だと走り、今頃虚しい。まるで燃え尽き症候群のようで、忒畝はちいさく笑う。
無意識で『生きている意味』を模索している。もう疾うにカウントダウンが始まっているというのに、遅い思春期のようで忒畝にはおかしかった。
苦しかった。突然ブツンと繋がりが切れてから。
もう来ないと、突きつけられたときから。
けれど、溺れてしがみついているよりも、この平凡な日常が愛おしい。何よりも大切なものだ。
忒畝は再び歩き出した。ゆっくりと、踏み締めるように。
思い出がどんどん押し寄せる。
吉報が舞い込んだのは、それから間もなくしてからだ。
悠穂が忒畝の部屋に来るなり、母子手帳を広げた。忒畝は一瞬、視界が真っ白になったが、それは本当に一瞬で。次の瞬間には喜びがあふれていた。
「おめでとう!」
忒畝は思わず悠穂を抱きしめる。
「お兄ちゃん?」
「うれしい。おめでとう」
感情的になって抱きしめたが、悠穂ももうひとりの女性だと忒畝は我に返る。いきなり両手を離すのもおかしいと、徐々に力を離した。
すると、悠穂の頬からほろりと雫が落ちる。
「お兄ちゃん……ありがとう」
悠穂はほろりほろりと大きな雫を落とす。泣きじゃくる悠穂を見ているのに、忒畝はうれしい。
「よかった。やっぱり、悠穂は幸せになったんだね」
「うん」
悠穂がちいさく返事をした。
「これから、もっと幸せを重ねてね」
「ん……」
悠穂がまたちいさく返す。
ふと、悠穂が顔を上げ、忒畝の顔をじっと見た。
悠穂の表情がひどく歪む。
悠穂は声を出せないまま、力強くうなづいた。
そういえば、悠穂を落ち着かせてから、うれしさを我慢できずに鷹へと言った。
「そうそう。産まれたら絶対に三番目に抱かせてね」
「三番目?」
「一番に、と言いたいところだけど……やっぱり一番、二番は両親でしょう? だから、三番目」
忒畝は喜びのままに言葉を口にしたが、鷹はどこかぼんやりとしていた。あのときはフワフワとしていて、鷹の反応を考えている隙間がなかった。ただ、
「絶対だよ!」
と、喜びのままに釘をさして、鷹はもちろんだと返事をした。
あの日、忒畝は自室に戻ってから、じんわりと安堵が込み上げた。
尊敬し、憧れた両親の血が繋がっていくと実感できて、うれしかった。果たせないことを、妹が果たしてくれたのだと、感謝した。
幸せな気持ちに包まれ、よかったと瞳を閉じたとき、頬を何かが滑っていくのを忒畝は感じる。
時間が、止まったようだった。
違和感だ。
落ちた雫は、うれしさからこぼれたものではないという、違和感。
感情と体の反応の差。それを忒畝が考えようとする間に、雫は止まらないものに変わっていた。
不思議な感覚だった。
大きな喜びが、いつの間にか絶望を浮かばせている。
気つけば忒畝は、声を上げて泣いていた。
その夜、ひとりで眠った忒畝に、強烈な孤独が襲う。悠穂が身籠り、心から喜んだのは、本当だ。
しかし、夜になって『自身が果たせないこと』が忒畝を苛んだ。
誰かに、無性に傍にいてほしくなった。想いを寄せた人を恋しく想う。──それが、余計に忒畝を責めた。
家族を築きたいと、互いに寄り添える伴侶がほしいと──たとえ血の繋がりがなくても子どもを育てたいと、切に来世へ願った。次こそは、望むような幸せがほしいと。
強烈な想いは、理解しがたい。いや、誄は黎馨だと、認識したからだと理由付ける。過去生からの繋がりを繋げていたいだけだと。過去生からの感情移入だろうと。どこか客観的に捉える一面を持っていた。
琉菜磬が黎馨を求めているだけであって──誄への想いは、黎馨を想う気持ちに飲み込まれたときに似ていて。その感覚が、忒畝に己の想いを拒否したい気持ちを呼んだ。
黎馨と重なっているだけだと。非現実的なものだと。
──来世の幸せを願うなら、現世で断ち切るべきだ。
彼女との関係は現世、断ち切らなくてはいけない。来世に幸せを願うのであれば、続けるわけにはいかないと自戒した。
誄の吉報を耳にしたが、目にするのを避けた。一目見てしまえば、かんたんに見入ってしまいそうで、顔を忘れればいいと見ないようにした。
幸せそうだと嫌になるほど耳にして、心の奥底から醜い言葉がいくつも湧いて出た。湧き出る言葉の数々に自己嫌悪して、耳も塞ぎたくてたまらなかった。
悠穂が予定日より少し遅れて女の子を出産したのは、その年の十二月十七日、早朝だった。標準体重を上回る、大きくて元気な子。
「おめでとう」
「ありがとう! ねぇ、お兄ちゃんも悠水を抱いてあげて」
「悠水って……名付けたの?」
「かわいいでしょ?」
忒畝は驚いたが、悠穂は幸せそうに笑っている。忒畝は首肯し、悠水を抱き上げた。すると、
「『水が流れるくらいに、ゆったりとした時間の中で幸せになってほしい』って、悠穂がめちゃくちゃハイセンスな名前を考えたんすよ~」
鷹が忒畝に幸せの絶頂を切り取って言う。ただ、その断片は、忒畝には聞いたことがある一部で──いや、過去に聞いた想いだった。
今度こそ、その叶えばいいと忒畝は願う。
「そうなんだ。いい名前だね。きっと、この子も……幸せになるね」
「うん!」
悠穂の声が力強く弾む。
忒畝には、過去から現世への願いが届いたような瞬間だった。
月日は振り返ればいつもあっという間で、心に大きな波があっても、おだやかに日々を過ごすことができるくらいになっていた──と思っていた。
年月も経ち、普通に会話くらいできると想像して輸送便を送ったが──波がなくなったわけでもなかったのだ。
最期の最期にと、こうして行動してしまうくらいに。
──ただこれは、現世、断ち切るためだ。
言い訳だとしても、忒畝は前を向こうとする。
悔いを、残さないために。
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
仲の良かったはずの婚約者に一年無視され続け、婚約解消を決意しましたが
ゆらゆらぎ
恋愛
エルヴィラ・ランヴァルドは第二王子アランの幼い頃からの婚約者である。仲睦まじいと評判だったふたりは、今では社交界でも有名な冷えきった仲となっていた。
定例であるはずの茶会もなく、婚約者の義務であるはずのファーストダンスも踊らない
そんな日々が一年と続いたエルヴィラは遂に解消を決意するが──
完結 「愛が重い」と言われたので尽くすのを全部止めたところ
音爽(ネソウ)
恋愛
アルミロ・ルファーノ伯爵令息は身体が弱くいつも臥せっていた。財があっても自由がないと嘆く。
だが、そんな彼を幼少期から知る婚約者ニーナ・ガーナインは献身的につくした。
相思相愛で結ばれたはずが健気に尽くす彼女を疎ましく感じる相手。
どんな無茶な要望にも応えていたはずが裏切られることになる。
お飾り公爵夫人の憂鬱
初瀬 叶
恋愛
空は澄み渡った雲1つない快晴。まるで今の私の心のようだわ。空を見上げた私はそう思った。
私の名前はステラ。ステラ・オーネット。夫の名前はディーン・オーネット……いえ、夫だった?と言った方が良いのかしら?だって、その夫だった人はたった今、私の足元に埋葬されようとしているのだから。
やっと!やっと私は自由よ!叫び出したい気分をグッと堪え、私は沈痛な面持ちで、黒い棺を見つめた。
そう自由……自由になるはずだったのに……
※ 中世ヨーロッパ風ですが、私の頭の中の架空の異世界のお話です
※相変わらずのゆるふわ設定です。細かい事は気にしないよ!という読者の方向けかもしれません
※直接的な描写はありませんが、性的な表現が出てくる可能性があります
元侯爵令嬢は冷遇を満喫する
cyaru
恋愛
第三王子の不貞による婚約解消で王様に拝み倒され、渋々嫁いだ侯爵令嬢のエレイン。
しかし教会で結婚式を挙げた後、夫の口から開口一番に出た言葉は
「王命だから君を娶っただけだ。愛してもらえるとは思わないでくれ」
夫となったパトリックの側には長年の恋人であるリリシア。
自分もだけど、向こうだってわたくしの事は見たくも無いはず!っと早々の別居宣言。
お互いで交わす契約書にほっとするパトリックとエレイン。ほくそ笑む愛人リリシア。
本宅からは屋根すら見えない別邸に引きこもりお1人様生活を満喫する予定が・・。
※専門用語は出来るだけ注釈をつけますが、作者が専門用語だと思ってない専門用語がある場合があります
※作者都合のご都合主義です。
※リアルで似たようなものが出てくると思いますが気のせいです。
※架空のお話です。現実世界の話ではありません。
※爵位や言葉使いなど現実世界、他の作者さんの作品とは異なります(似てるモノ、同じものもあります)
※誤字脱字結構多い作者です(ごめんなさい)コメント欄より教えて頂けると非常に助かります。
彼女にも愛する人がいた
まるまる⭐️
恋愛
既に冷たくなった王妃を見つけたのは、彼女に食事を運んで来た侍女だった。
「宮廷医の見立てでは、王妃様の死因は餓死。然も彼が言うには、王妃様は亡くなってから既に2、3日は経過しているだろうとの事でした」
そう宰相から報告を受けた俺は、自分の耳を疑った。
餓死だと? この王宮で?
彼女は俺の従兄妹で隣国ジルハイムの王女だ。
俺の背中を嫌な汗が流れた。
では、亡くなってから今日まで、彼女がいない事に誰も気付きもしなかったと言うのか…?
そんな馬鹿な…。信じられなかった。
だがそんな俺を他所に宰相は更に告げる。
「亡くなった王妃様は陛下の子を懐妊されておりました」と…。
彼女がこの国へ嫁いで来て2年。漸く子が出来た事をこんな形で知るなんて…。
俺はその報告に愕然とした。
【完結】気付けばいつも傍に貴方がいる
kana
恋愛
ベルティアーナ・ウォール公爵令嬢はレフタルド王国のラシード第一王子の婚約者候補だった。
いつも令嬢を隣に侍らす王子から『声も聞きたくない、顔も見たくない』と拒絶されるが、これ幸いと大喜びで婚約者候補を辞退した。
実はこれは二回目人生だ。
回帰前のベルティアーナは第一王子の婚約者で、大人しく控えめ。常に貼り付けた笑みを浮かべて人の言いなりだった。
彼女は王太子になった第一王子の妃になってからも、弟のウィルダー以外の誰からも気にかけてもらえることなく公務と執務をするだけの都合のいいお飾りの妃だった。
そして白い結婚のまま約一年後に自ら命を絶った。
その理由と原因を知った人物が自分の命と引き換えにやり直しを望んだ結果、ベルティアーナの置かれていた環境が変わりることで彼女の性格までいい意味で変わることに⋯⋯
そんな彼女は家族全員で海を隔てた他国に移住する。
※ 投稿する前に確認していますが誤字脱字の多い作者ですがよろしくお願いいたします。
※ 設定ゆるゆるです。
夫の色のドレスを着るのをやめた結果、夫が我慢をやめてしまいました
氷雨そら
恋愛
夫の色のドレスは私には似合わない。
ある夜会、夫と一緒にいたのは夫の愛人だという噂が流れている令嬢だった。彼女は夫の瞳の色のドレスを私とは違い完璧に着こなしていた。噂が事実なのだと確信した私は、もう夫の色のドレスは着ないことに決めた。
小説家になろう様にも掲載中です
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる