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前言撤回。 結局、今日も無難な一日は過ごせないらしい。
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「………イ、レイ、起きて」
誰かが私の名を呼び、揺さ振っている。
「………ん」
呼びかけに誘われ、ゆっくりと目を開けた。
「劇終わった?」
目が覚めたときはもうすでに劇は終わったらしく観客の半分が会場を出ていた。
もちろん、壇上にも誰もいない。
「おねえちゃん、ぐあいわるいの?」
心配そうにウィルが私の顔を窺っている。
違う。私は具合が悪いのではなくただ単に眠いから寝ていたのだ。
心配される要素は一個もない。
「上演の最中驚いたんだから。誰かが寝息を立てていると思ったらレイ、寝てるんだもの」
「言っただろ私、絶対寝るって」
「まさか、本当に寝るなんて」
リーゼロッテは呆れながら言った。
「気づかなかった?劇の最後で拍手喝采が起こってたんだから」
「へぇ、気づかなかったわ」
それほど深い眠りに落ちていたんだろう。
「僕はずっと耳元で『起きろ』って囁いてたんだよ」
そういえば、耳元でごにょごにょ誰かが言っていたような気がするがあれはうさぎだったか。
「とにかく、外に出よう」
リーゼロッテに急かされ席を立つ。
廊下は観客でごった返しになっており、前がまったく見えずにいた。そのため廊下を進む速度がのろく、途中で止まったりもしている。
「人多すぎて気持ちわる」
人ごみまったく関係なく進むことができるうさぎが羨ましい。
「うわっ」
後ろから急かされるように押されぎゅうぎゅう詰め状態で苦しい。なんとか振り返るとリーゼロッテも苦しそうにしている。人ごみのせいでリーゼロッテの傍にいるであろうウィルの姿がまったく見えない。
あ~、最悪。悪い意味で眠気が覚めたわ。
私は一刻も早く、ここを出ようと無理やり人を掻き分けながら進んだ。
「はぁ、疲れた」
やっとの思いで劇場から出ることが出来た。人ごみから解放され、深呼吸する。
私は懐中時計を取り出し、時間を確認した。
2時40分。だいたい1時間半くらい経ったんだな。
今日はこのまま帰れそうだ。家から出るときは遭遇するはずの出会いたくない出会いや面倒事にうんざりしていた。しかし、今日はその面倒事には遭わなかった。
今日は珍しくも舞台を観劇するだけで終われるかもしれない。
「あ、リーゼロッテ」
扉から出てきたリーゼロッテを呼びかけた。リーゼロッテもやっと人ごみを抜けて安堵した表情を見せる。
「じゃあ、帰………ってウィルは?」
ウィルの姿が見当たらない。てっきりリーゼロッテと一緒に扉から出てくると思っていたのに。
「え?レイと一緒じゃなかったの?」
どうやら、リーゼロッテのほうも私と同じことを考えていたらしい。
「ウィルくん、ウィルくん」
周囲をきょろきょろ見渡したがどこにもいない。ウィルが扉から出てくるのをじっと待ったがいつまで立っても姿を現さなかった。
時間が経つにつれ、ごった返しになっていた雑踏が疎らになりつつあり見通しも良くなっていった。劇場の前に屯する人間はほとんどいなくなり皆、元来た道を帰っていくが私たちはいまだにその場で何回も行ったり来たりしていた。
「居た?」
「いや、いない」
ウィルの姿をいくら探してもどこにもいなかった。
「空から探したけどやっぱりいないよ」
見つけやすい空中から探しても確認が取れなかったらしい。
「ねぇ、あの鏡は?ウィルに持たせてないの?」
あの鏡とはもちろん、アルフォードのノアが宿ったあの鏡だ。ウィルがあの鏡を所持しているのなら現在いる場所の確認ができるはずだ。
「ウィルくんは持ってない。もし、割れたら危ないからってアルが言っていたから。それに舞台観劇が終わったらすぐ帰るつもりだったし」
持っていないのか。
まさか、ちょっと目を離しただけで迷子になるなんて思っていなかったんだろう。いや、互いがウィルが傍にいる思い込んでしまったせいだ。しかし、これだけ探してもいないとなると。
「まだ、中にいるんじゃない?」
劇場に入るとき猫の鳴き声がした。気のせいだろうと思っていたが、もし本当に猫がいるとしたら猫を追いかけて劇場の奥の入りこんで迷子になっているかもしれない。
「ウィルくん!」
リーゼロッテは私の言葉を聞いた途端、慌てて劇場内に駆けていった。
「はぁ」
私もしぶしぶ後に続く。
前言撤回。結局、今日も無難な一日は過ごせないらしい。
私たちは小走りで周囲を見回していた。さきほどの舞台の感想を言い合ってる客が屯っているエントランスホールや、階段付近、展示ギャラリー、小ホールなど思いつく場所を探している。
しかし、ウィルの姿はやっぱり見当たらない。
あと探していない場所といえば。
「私たちがさっきまでいたホールは?」
もしかしてあの大ホールに戻ったからもしれない。
「行って見よう」
私の思いつきにリーゼロッテは頷く。舞台の後片付けをせっせとしている作り手たちの何人かとすれ違いながらあの大ホールに戻った。
「たしかここだったよな」
「ええ」
全開になっていた扉をくぐり、足を踏み入れた。大ホールは後片付けのためかカーテンや緞帳がすべて吊り上げられてた。おかげでホール内は外の自然の光で明るく、より広々と感じる。
これなら探しやすい。
「う、ぐ……ふ………」
しんと静まりかえっているはずの場所でくぐもった声が耳に入った。
前列の真ん中から聞こえる。
「確かめよう」
リーゼロッテの耳にも聞こえたようだ。
前方に近づくと誰かがイスに座り、蹲っている。嗚咽の主はこいつらしい。イスの背もたれと蹲っているせいで少し近寄っただけでは判断がつかない。
「ウィルくん?」
リーゼロッテが後方から声をかけると蹲っていた身体が起き上がり、ゆっくりと振り返った。
燃えるようなオレンジ色の髪が最初に目に付いた。瞳の色は宝石のぺリドットを思われる緑色をしている。涙で潤んでいるせいかその瞳はより鮮やかに映った。
私たちがホール内に入ってきたことに気づかなかったらしく、流れる涙を止められず、乱暴に目元を擦り、目を吊り上がらせた。
「何?あんたら」
猫が毛を逆立てて威嚇しているような面持ちでこちらを睨み付けてくる。
「あ、あの」
リーゼロッテは涙で揺れた瞳で睨み付けられ、戸惑っているらしい。
対して私は冷静だった。見知らぬ男子の泣き顔を見たときは驚いたが、同時にげんなりした。
やっぱりな。なんとなく、こういう展開は予想はしていたよ。
ちくしょうが。
「怜」
例の説明書を広げながらうさぎが声をかける。
いちいち、それ広げんなよ。だんだん忌々しく思えてきた。
「ちっ」
私は小さく舌打ちした。5人目の攻略キャラクターが今、目の前にいるからだ。
誰かが私の名を呼び、揺さ振っている。
「………ん」
呼びかけに誘われ、ゆっくりと目を開けた。
「劇終わった?」
目が覚めたときはもうすでに劇は終わったらしく観客の半分が会場を出ていた。
もちろん、壇上にも誰もいない。
「おねえちゃん、ぐあいわるいの?」
心配そうにウィルが私の顔を窺っている。
違う。私は具合が悪いのではなくただ単に眠いから寝ていたのだ。
心配される要素は一個もない。
「上演の最中驚いたんだから。誰かが寝息を立てていると思ったらレイ、寝てるんだもの」
「言っただろ私、絶対寝るって」
「まさか、本当に寝るなんて」
リーゼロッテは呆れながら言った。
「気づかなかった?劇の最後で拍手喝采が起こってたんだから」
「へぇ、気づかなかったわ」
それほど深い眠りに落ちていたんだろう。
「僕はずっと耳元で『起きろ』って囁いてたんだよ」
そういえば、耳元でごにょごにょ誰かが言っていたような気がするがあれはうさぎだったか。
「とにかく、外に出よう」
リーゼロッテに急かされ席を立つ。
廊下は観客でごった返しになっており、前がまったく見えずにいた。そのため廊下を進む速度がのろく、途中で止まったりもしている。
「人多すぎて気持ちわる」
人ごみまったく関係なく進むことができるうさぎが羨ましい。
「うわっ」
後ろから急かされるように押されぎゅうぎゅう詰め状態で苦しい。なんとか振り返るとリーゼロッテも苦しそうにしている。人ごみのせいでリーゼロッテの傍にいるであろうウィルの姿がまったく見えない。
あ~、最悪。悪い意味で眠気が覚めたわ。
私は一刻も早く、ここを出ようと無理やり人を掻き分けながら進んだ。
「はぁ、疲れた」
やっとの思いで劇場から出ることが出来た。人ごみから解放され、深呼吸する。
私は懐中時計を取り出し、時間を確認した。
2時40分。だいたい1時間半くらい経ったんだな。
今日はこのまま帰れそうだ。家から出るときは遭遇するはずの出会いたくない出会いや面倒事にうんざりしていた。しかし、今日はその面倒事には遭わなかった。
今日は珍しくも舞台を観劇するだけで終われるかもしれない。
「あ、リーゼロッテ」
扉から出てきたリーゼロッテを呼びかけた。リーゼロッテもやっと人ごみを抜けて安堵した表情を見せる。
「じゃあ、帰………ってウィルは?」
ウィルの姿が見当たらない。てっきりリーゼロッテと一緒に扉から出てくると思っていたのに。
「え?レイと一緒じゃなかったの?」
どうやら、リーゼロッテのほうも私と同じことを考えていたらしい。
「ウィルくん、ウィルくん」
周囲をきょろきょろ見渡したがどこにもいない。ウィルが扉から出てくるのをじっと待ったがいつまで立っても姿を現さなかった。
時間が経つにつれ、ごった返しになっていた雑踏が疎らになりつつあり見通しも良くなっていった。劇場の前に屯する人間はほとんどいなくなり皆、元来た道を帰っていくが私たちはいまだにその場で何回も行ったり来たりしていた。
「居た?」
「いや、いない」
ウィルの姿をいくら探してもどこにもいなかった。
「空から探したけどやっぱりいないよ」
見つけやすい空中から探しても確認が取れなかったらしい。
「ねぇ、あの鏡は?ウィルに持たせてないの?」
あの鏡とはもちろん、アルフォードのノアが宿ったあの鏡だ。ウィルがあの鏡を所持しているのなら現在いる場所の確認ができるはずだ。
「ウィルくんは持ってない。もし、割れたら危ないからってアルが言っていたから。それに舞台観劇が終わったらすぐ帰るつもりだったし」
持っていないのか。
まさか、ちょっと目を離しただけで迷子になるなんて思っていなかったんだろう。いや、互いがウィルが傍にいる思い込んでしまったせいだ。しかし、これだけ探してもいないとなると。
「まだ、中にいるんじゃない?」
劇場に入るとき猫の鳴き声がした。気のせいだろうと思っていたが、もし本当に猫がいるとしたら猫を追いかけて劇場の奥の入りこんで迷子になっているかもしれない。
「ウィルくん!」
リーゼロッテは私の言葉を聞いた途端、慌てて劇場内に駆けていった。
「はぁ」
私もしぶしぶ後に続く。
前言撤回。結局、今日も無難な一日は過ごせないらしい。
私たちは小走りで周囲を見回していた。さきほどの舞台の感想を言い合ってる客が屯っているエントランスホールや、階段付近、展示ギャラリー、小ホールなど思いつく場所を探している。
しかし、ウィルの姿はやっぱり見当たらない。
あと探していない場所といえば。
「私たちがさっきまでいたホールは?」
もしかしてあの大ホールに戻ったからもしれない。
「行って見よう」
私の思いつきにリーゼロッテは頷く。舞台の後片付けをせっせとしている作り手たちの何人かとすれ違いながらあの大ホールに戻った。
「たしかここだったよな」
「ええ」
全開になっていた扉をくぐり、足を踏み入れた。大ホールは後片付けのためかカーテンや緞帳がすべて吊り上げられてた。おかげでホール内は外の自然の光で明るく、より広々と感じる。
これなら探しやすい。
「う、ぐ……ふ………」
しんと静まりかえっているはずの場所でくぐもった声が耳に入った。
前列の真ん中から聞こえる。
「確かめよう」
リーゼロッテの耳にも聞こえたようだ。
前方に近づくと誰かがイスに座り、蹲っている。嗚咽の主はこいつらしい。イスの背もたれと蹲っているせいで少し近寄っただけでは判断がつかない。
「ウィルくん?」
リーゼロッテが後方から声をかけると蹲っていた身体が起き上がり、ゆっくりと振り返った。
燃えるようなオレンジ色の髪が最初に目に付いた。瞳の色は宝石のぺリドットを思われる緑色をしている。涙で潤んでいるせいかその瞳はより鮮やかに映った。
私たちがホール内に入ってきたことに気づかなかったらしく、流れる涙を止められず、乱暴に目元を擦り、目を吊り上がらせた。
「何?あんたら」
猫が毛を逆立てて威嚇しているような面持ちでこちらを睨み付けてくる。
「あ、あの」
リーゼロッテは涙で揺れた瞳で睨み付けられ、戸惑っているらしい。
対して私は冷静だった。見知らぬ男子の泣き顔を見たときは驚いたが、同時にげんなりした。
やっぱりな。なんとなく、こういう展開は予想はしていたよ。
ちくしょうが。
「怜」
例の説明書を広げながらうさぎが声をかける。
いちいち、それ広げんなよ。だんだん忌々しく思えてきた。
「ちっ」
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