クズヒロインなのになぜか人が寄ってくる

キリアイスズ

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そう決意した途端に、これか。

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ポカンとしているバスティアンを私は睨みつけた。

「盛り上がってるとこ悪いんだけど、それ私にはまったく関係ないよな?」

こういう似通った展開、よく漫画かアニメで見かけるな。自分との戦い、とかで勝手に盛り上がって出会ったばかりのキャラクターを巻き込むような展開を。

だいたいの主人公はその空気に流されることが多いが私はそんな空気に流されるつもりはない。

「まったく、延々と自分語りを聞かされてこっちはいい迷惑だ」

なんだよ、「今の自分に足りないもの」とか「掴めるような気がする」とか。
そんなはっきりしないふわふわした理由なんかのために、なんで私が大して観たくもない芝居なんか観にいかなくちゃいけないんだ。

何にしても会って間もない客にこうやって芝居を観ることを強制するなんて、ありえないな。相変らずのご都合主義的展開だ。

「頑張るんだったら一人で勝手にすればいい。私を巻き込むな。それじゃ」

私はそう言い捨て、今度こそ本当に帰るつもりで体をくるりと回した。

「待って」

後ろでバスティアンが慌てて立ち上がったのを感じた。そしてずんずんと近寄ってくるのも。

なんだ、また腕掴む気か?今度は黙って掴まれる気はないぞ。

私は今度はかわすつもりでぐっと両腕に力を込めた。

(来るなら来い。来たら今度は………………ってあれ?)

バスティアンは私の腕を掴まずそのまま素通りした。てっきり腕を掴まれると構えていたため拍子抜けする。そのまま私の目の前に回り込んできた。

何をするのかと身構えていたらバスティアンは私に対し、深く頭を下げてきた。
思いがけないバスティアンの行動に今度は私がポカンとする番だった。

おいおい、そこまでするのかよ。

「あんたの言う通りだよ。舞台を観る、観ないは客の自由だし強制するものじゃない。これは完全に僕のわがままだ。迷惑をかけてるってわかってる。でも、やっぱり諦めたくないんだ。やっぱり、あんたに観に来てほしい。チケット代はもちろん僕が出す。だから………だから………お願いします」

バスティアンは深々と頭を下げ続けた。90度はあるんじゃないかと思うほど腰を曲げている。

「………………………マジかよ」

私はじっと頭を下げるバスティアンを見下した。

私が何をしても何を言ってもこの「舞台」フラグは折れないってことか。

「私さ、もしあんたがまた腕掴んで来たら3発くらい引っ叩こうかと思ってたんだ」

私を引き止めようと強く掴まれていた腕を軽くさすった。じんじん傷んでいた腕がバスティアンの話を聞いていた間に、いつのまにかその痛みが引いているのに気づいた。

「頭上げて」

「え、でも」

「いいから、早く。チラチラ見られてるぞ」

バスティアンは顔を上げる。私の様子を遠慮がちに窺っているにも関わらず、頭を下げる前と同様に意志の強さを瞳に宿らせていた。

「何だよその目、気持ち悪いな………あ~あ、もうまったく」

だるさのせいか疲れのせいか、焼きが回ったのかな。
なんかもう、面倒くさくなってきた。

私は仕方がないというため息を吐き、言葉を発しようと口を開いたが数秒ほど考え、やっぱりやめた。

でもやっぱり………やだな。ここで私が「行く」っていったらなんか負けたみたいじゃないか。

私は基本、家の中に引きこもってじっとしていたい人間なんだ。その私がわざわざ足を運んで興味もない芝居を観に行く。

何かしらの見返りがないと割に合わない。

「………………あ、そうだ」

その見返りを今、思いついた。

「二つ条件がある」

「条件?」

「一つ、私を呼び止める際、二度と私の腕を掴まないこと。いきなり掴まれるのすっごく不快だからやめて」

「わかった。もう一つは?」

「もう一つは、もう二度と私を誘うな。舞台への観劇はこれっきりにして。私、今回の舞台を見終わったら金輪際あんたの舞台を見るつもりないから」

バスティアンは押し黙った。それもそのはず、それは遠回しに「もう二度と私の前に現われるな」という意味でもあったからだ。

これくらいの見返りは私にとっては当然だ。
当然であるべきだ。

「それじゃあ、来てくれるんだね?」

バスティアンは私の瞳を覗き込みながら詰め寄ってきた。

「ま、まぁ、条件をちゃんと守ってくれたら」

「そっか、よかった。ありがとう」

バスティアンは満面の笑みを浮かべた。こんなバスティアンの満面の笑みを今まで見たことがなかったため、私は一瞬だが呆気に囚われてしまった。

思えば私、数回しか会っていないにも関わらず、泣いてる姿とか頭を下げる姿とか満面の笑みとかバスティアンの百面相を会うたびに目にしてないか。もしかして主人公補正がいつのまにか発動していたのか。乙女ゲームありがちのイケメンがヒロインにだけ見せる姿ってやつ?

おいおい、私はこいつの百面相なんて別に見たくなかったんだぞ。

バスティアンは私の手をうっかり握らないようにとしているのか、ぐっと両手を前にして握り締めている。

「たしかにあんたの言う通りだね。いきなり腕掴まれるのって嫌だったよね。次からは気を付けるようにするよ」

は?今何て言った?「次からは」?

「とにかく本当によかったよ。じゃあ今回の舞台公演には来てくれるってことでいいんだよね?」

ん?今回「の」じゃないぞ?今回「だけ」だぞ?
おいおいおいおいおい、私ちゃんと条件言ったよな。

まさか、その通行人の女5人中5人は見惚れるだろう笑みで私を誤魔化そうとしてるんじゃないだろうな。

「なぁ、私の条件忘れてないよな?」

「もちろん、忘れてない」

「じゃあ、言ってみてよ」

「条件はもう腕を掴まないことともう二度と舞台に誘わないこと、だよね?」

「………………合ってる」

この耳で聞いた。条件は一門一句間違ってない。
私の気にし過ぎか。

「じゃあ、チケットは次会った時に渡すから。もうそろそろできる頃だから」

「わかったわかった。その時に渡して」

うんうんと私は適当に流し、その場から離れようとした。

「あ、待って!」

「!」

踵を返そうとする私をバスティアンは声だけで引き止めようとする。もう私の腕を掴めないと理解してるのか、引き止める声が私の肩を少し震わすほど張っていた。

「何?」

「あんたの名前は?」

「は?」

「僕まだあんたの名前聞いてない」

「聞いてないって、もう知ってるだろ?私の名前」

劇場の床下倉庫から助けられた際、リーゼロッテが私の名前を何度も呼んでいたため、バスティアンはすでに知っているはずだ。何より、さっきの店で嫌というほどいろんな奴らからさんざん私の名前を言っていたじゃないか。特にあのアーサーという従兄が。

それなのに、なんで今更私の名前を聞きたがるんだ。

「あんたの口から聞きたいんだ。聞き間違っていたらチケットを渡す際影響がでるし」

「どんな影響だよ。意味不明」

「別にいいじゃんか。頑なに言わないほうが意味不明だよ」

名前言う言わないでいちいち口論するのも馬鹿らしい。
ここはとっとと言っちゃおう。そしてとっとと帰ろう。

「レイ・ミラー」

「え?」

「レイ・ミラー。もういいだろ」

私はバスティアンの顔が見えないようにキュッと帽子を深く被り、足早にその場を去った。

ああもう最悪だ。予想外で面倒なことばっかり起きる。
無心になれば、この世界を無難に過ごせると思っていたのに。
心構えさえしっかりしていれば、感情が激しく揺れ動くことはないと思っていたのに。

そう決意した途端に、これか。
ポカンとしているバスティアンを私は睨みつけた。

「盛り上がってるとこ悪いんだけど、それ私にはまったく関係ないよな?」

こういう似通った展開、よく漫画かアニメで見かけるな。自分との戦い、とかで勝手に盛り上がって出会ったばかりのキャラクターを巻き込むような展開を。

だいたいの主人公はその空気に流されることが多いが私はそんな空気に流されるつもりはない。

「まったく、延々と自分語りを聞かされてこっちはいい迷惑だ」

なんだよ、「今の自分に足りないもの」とか「掴めるような気がする」とか。
そんなはっきりしないふわふわした理由なんかのために、なんで私が大して観たくもない芝居なんか観にいかなくちゃいけないんだ。

何にしても会って間もない客にこうやって芝居を観ることを強制するなんて、ありえないな。相変らずのご都合主義的展開だ。

「頑張るんだったら一人で勝手にすればいい。私を巻き込むな。それじゃ」

私はそう言い捨て、今度こそ本当に帰るつもりで体をくるりと回した。

「待って」

後ろでバスティアンが慌てて立ち上がったのを感じた。そしてずんずんと近寄ってくるのも。

なんだ、また腕掴む気か?今度は黙って掴まれる気はないぞ。

私は今度はかわすつもりでぐっと両腕に力を込めた。

(来るなら来い。来たら今度は………………ってあれ?)

バスティアンは私の腕を掴まずそのまま素通りした。てっきり腕を掴まれると構えていたため拍子抜けする。そのまま私の目の前に回り込んできた。

何をするのかと身構えていたらバスティアンは私に対し、深く頭を下げてきた。
思いがけないバスティアンの行動に今度は私がポカンとする番だった。

おいおい、そこまでするのかよ。

「あんたの言う通りだよ。舞台を観る、観ないは客の自由だし強制するものじゃない。これは完全に僕のわがままだ。迷惑をかけてるってわかってる。でも、やっぱり諦めたくないんだ。やっぱり、あんたに観に来てほしい。チケット代はもちろん僕が出す。だから………だから………お願いします」

バスティアンは深々と頭を下げ続けた。90度はあるんじゃないかと思うほど腰を曲げている。

「………………………マジかよ」

私はじっと頭を下げるバスティアンを見下した。

私が何をしても何を言ってもこの「舞台」フラグは折れないってことか。

「私さ、もしあんたがまた腕掴んで来たら3発くらい引っ叩こうかと思ってたんだ」

私を引き止めようと強く掴まれていた腕を軽くさすった。じんじん傷んでいた腕がバスティアンの話を聞いていた間に、いつのまにかその痛みが引いているのに気づいた。

「頭上げて」

「え、でも」

「いいから、早く。チラチラ見られてるぞ」

バスティアンは顔を上げる。私の様子を遠慮がちに窺っているにも関わらず、頭を下げる前と同様に意志の強さを瞳に宿らせていた。

「何だよその目、気持ち悪いな………あ~あ、もうまったく」

だるさのせいか疲れのせいか、焼きが回ったのかな。
なんかもう、面倒くさくなってきた。

私は仕方がないというため息を吐き、言葉を発しようと口を開いたが数秒ほど考え、やっぱりやめた。

でもやっぱり………やだな。ここで私が「行く」っていったらなんか負けたみたいじゃないか。

私は基本、家の中に引きこもってじっとしていたい人間なんだ。その私がわざわざ足を運んで興味もない芝居を観に行く。

何かしらの見返りがないと割に合わない。

「………………あ、そうだ」

その見返りを今、思いついた。

「二つ条件がある」

「条件?」

「一つ、私を呼び止める際、二度と私の腕を掴まないこと。いきなり掴まれるのすっごく不快だからやめて」

「わかった。もう一つは?」

「もう一つは、もう二度と私を誘うな。舞台への観劇はこれっきりにして。私、今回の舞台を見終わったら金輪際あんたの舞台を見るつもりないから」

バスティアンは押し黙った。それもそのはず、それは遠回しに「もう二度と私の前に現われるな」という意味でもあったからだ。

これくらいの見返りは私にとっては当然だ。
当然であるべきだ。

「それじゃあ、来てくれるんだね?」

バスティアンは私の瞳を覗き込みながら詰め寄ってきた。

「ま、まぁ、条件をちゃんと守ってくれたら」

「そっか、よかった。ありがとう」

バスティアンは満面の笑みを浮かべた。こんなバスティアンの満面の笑みを今まで見たことがなかったため、私は一瞬だが呆気に囚われてしまった。

思えば私、数回しか会っていないにも関わらず、泣いてる姿とか頭を下げる姿とか満面の笑みとかバスティアンの百面相を会うたびに目にしてないか。もしかして主人公補正がいつのまにか発動していたのか。乙女ゲームありがちのイケメンがヒロインにだけ見せる姿ってやつ?

おいおい、私はこいつの百面相なんて別に見たくなかったんだぞ。

バスティアンは私の手をうっかり握らないようにとしているのか、ぐっと両手を前にして握り締めている。

「たしかにあんたの言う通りだね。いきなり腕掴まれるのって嫌だったよね。次からは気を付けるようにするよ」

は?今何て言った?「次からは」?

「とにかく本当によかったよ。じゃあ今回の舞台公演には来てくれるってことでいいんだよね?」

ん?今回「の」じゃないぞ?今回「だけ」だぞ?
おいおいおいおいおい、私ちゃんと条件言ったよな。

まさか、その通行人の女5人中5人は見惚れるだろう笑みで私を誤魔化そうとしてるんじゃないだろうな。

「なぁ、私の条件忘れてないよな?」

「もちろん、忘れてない」

「じゃあ、言ってみてよ」

「条件はもう腕を掴まないことともう二度と舞台に誘わないこと、だよね?」

「………………合ってる」

この耳で聞いた。条件は一門一句間違ってない。
私の気にし過ぎか。

「じゃあ、チケットは次会った時に渡すから。もうそろそろできる頃だから」

「わかったわかった。その時に渡して」

うんうんと私は適当に流し、その場から離れようとした。

「あ、待って!」

「!」

踵を返そうとする私をバスティアンは声だけで引き止めようとする。もう私の腕を掴めないと理解してるのか、引き止める声が私の肩を少し震わすほど張っていた。

「何?」

「あんたの名前は?」

「は?」

「僕まだあんたの名前聞いてない」

「聞いてないって、もう知ってるだろ?私の名前」

劇場の床下倉庫から助けられた際、リーゼロッテが私の名前を何度も呼んでいたため、バスティアンはすでに知っているはずだ。何より、さっきの店で嫌というほどいろんな奴らからさんざん私の名前を言っていたじゃないか。特にあのアーサーという従兄が。

それなのに、なんで今更私の名前を聞きたがるんだ。

「あんたの口から聞きたいんだ。聞き間違っていたらチケットを渡す際影響がでるし」

「どんな影響だよ。意味不明」

「別にいいじゃんか。頑なに言わないほうが意味不明だよ」

名前言う言わないでいちいち口論するのも馬鹿らしい。
ここはとっとと言っちゃおう。そしてとっとと帰ろう。

「レイ・ミラー」

「え?」

「レイ・ミラー。もういいだろ」

私はバスティアンの顔が見えないようにキュッと帽子を深く被り、足早にその場を去った。

ああもう最悪だ。予想外で面倒なことばっかり起きる。
無心になれば、この世界を無難に過ごせると思っていたのに。
心構えさえしっかりしていれば、感情が激しく揺れ動くことはないと思っていたのに。

そう決意した途端に、これか。

だめだ、もうだめだ。疲れすぎて死にそう。もう帰って寝よ。もう何も考えたくない。

私は背中を丸くしながら、今までにないくらい大きなため息を吐き、今度こそ本当に帰路についた。



――私は知らなかった。私を追ってきた人間はバスティアンだけではなかったことを。


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