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………あのやろう
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いまだに目の前の女はわんわんうるさく泣いている。
泣きたいのはこっちだっての。一回黙らせるためにもう一度このビンで横っ面を張っ倒そうか。
「こっちです」
ビンで女を殴ろうと思い至ったときに誰かが裏路地のほうを指差している。どうやら、騒ぎを聞きつけた誰かが兵を呼んできてくれたらしい。
まぁ、これだけうるさく騒がれたら大通りの人間に嫌でも耳に入るか。呼ばれた声に導かれるようにこちらに二人分の足音や影が近づいてくる。
あれ?あの二人、もしかして。
「おい、どうしたんだ?ものすごい泣き声だけど」
「一体何が?」
青い髪の男と黒髪の男が状況を把握しようと私たちを見回しながら聞いた。
「あいつってたしか、コン………コン………」
「あの端整な顔をした男性はコンラッド・シュトラール。ついでに隣が先輩のライ・ビュールだよ」
「そうだ、コンラッドだ」
出そうで出なかった名前をうさぎが変わりに説明書を広げながら教えてくれた。
一見すると、わんわん壁際にもたれながら騒いでいる女性にそれを見下ろしている3人組。その中の一人は空ビンをちらつかせている。下手したらこっちが被疑者にされてしまう。
「あのね、誤解する前に言っとくけど、私のほうが被害者だから」
そうなる前にこの状況を説明しようと先に言葉を発した。
「あ、あなたは
しかし、コンラッドの視線は言葉を発した私にではなくエヴァンスのほうに向けている。それもかなり瞠目し、戸惑っている様子だった。
「久しぶり………ですね」
エヴァンスの方もコンラッドを見たとき一瞬目を見開き、その後は恐る恐るといった感じで返した。
なんだ、この二人知り合いなのか。
「なぜ、こんなところにいるのですか?」
最初は戸惑った表情を見せたが、すぐに切り替えエヴァンスを厳しい表情で見据える。
「なんだ、コンラッド、この人と知り合い………ってえぇ!!??あなたは!!」
エヴァンスをじっと見据えていたライが突然、ひどく驚いた様子で声を上げた。
「ど、どうしてこんな裏路地に!?だって、あ、あなたはこの国のおう―むぐっ!?」
コンラッドは素早い動きでライの口を塞ぎ、私たちをちらりと見据える。
「まずは話を聞きたい。何があったのか説明を」
コンラッドは泣き止むのに疲れ、蹲っている女を見下ろしながら言った。
「え?あぁ、うん」
私は持っていた空ビンをぽいっと地面に投げ捨て、二人の前に立った。
★☆★☆★☆
私たちは何があったのかをあらかた説明をした。懐中時計を盗まれ、この裏路地に誘い込まれ、大きな角材で襲われたこと全部を。もちろん、その時エヴァンスが助けてくれたことも付け足す。二人はそれを黙って聞いていたが、なぜかライはだんだんと青ざめるようになっていった。
「それは、なんというか」
「………」
対してコンラッドの表情は変わらない。
「その当人からも話を聞きたいのですが」
コンラッドはゆっくり視線を女に移した。
女はさきほどよりも落ち着いているようだが、ぶつぶつと何か恨み言のようなことを言っているみたいでとてもまともに話せるような状態には見えない。
「俺にまかせろ。なんとか聞き出す」
「お願いします」
そう言ってライは女に近寄り、話しかける。ここからだと何を話しているのか聞き取ることはできないが、ライが女の話を辛抱強く聞き、相槌を打っていることだけはわかる。
「見回りの警備兵に彼女を引き渡します。なので、あなたはすぐにお戻りください」
コンラッドは淡々とエヴァンスに告げる。敬語なのにその声音は厳しく固く聞こえる。
「お二方にも再度確認のため話をお聞きしたいので少しの間ここに留まってください」
ちらりと私たちにも告げる。
「お~い、なんとか聞き出したよ」
ライはそういってすっと立ち上がった。女はいまだにぶつぶつ何か言っている。こんな状態の女から話を聞きだすのはよっぽど骨が折れたのライのか表情に疲れが見え隠れしている。
「コンラッド、お前がこの人を送れ。後は俺がなんとかする」
「ですが」
「数人の兵が来たらややこしくなるぞ。それに街の人間もちらちらこちらを窺っている。もし、気づかれでもしたら少し面倒だろ。お前が傍にいたほうが最善だ」
「わかりました」
二人は厳しい面持ちで見合わせ、最終的にコンラッドが納得したような素振りを見せる。
「私があなたを送ります。お急ぎを」
コンラッドは半歩下がってエヴァンスに対し、恭しい態度で頭を下げた。
「彼女たちを置いて僕一人だけ、と言いたいところだけどここに長居はできないみたいですね」
エヴァンスはそんなコンラッドに対してどこか寂しげな笑みを浮かべた。大通りのほうに目を向けると野次馬がこちらをちらちら窺っている。
「ライさん、ですか?彼女たちをお願いします」
「は、はい」
エヴァンスに自分の名前を呼ばれ、ライは緊張を孕んだ表情で返事をした。
「すみません。こんなときは一緒にいるべきだと思うのですが」
「あんたさ、さっきの」
私の視線はエヴァンスの右手に集中している。
さっきのはやっぱりノアだよな。気になる、普通に。
「早く、移動を」
じっとエヴァンスの右手を見つめているとコンラッドが淡々とした口調でエヴァンスを急かすように促す。
「あ………」
私の次の言葉を待っていたエヴァンスはハッとした表情でコンラッドを振り返った。
「いいよ。質問は次会ったときに聞くから」
「次………ですか」
「そうだけど?」
攻略キャラクターなんだから嫌でも会うことになるだろう。
「そうですね。では、次会ったときに」
エヴァンスは嬉しそうに微笑みながら待っていたコンラッドと一緒に通りの向こう側に駆けていった。
「私、彼らが何を言っていたのかよくわからなかった」
「私も」
ということにしておこう。
コンラッドたちがなぜエヴァンスに畏まった態度や言動をしていたのかは私の乙女ゲームの経験上だいたい予想はつく。
エヴァンスたちを見送ったすぐ後、2人の警備兵らしき男が駆けてきた。ライはすぐに状況をその二人に説明する。どうやら、エヴァンスのことはオブラートに包みながら話しているらしい。そして、すぐ、二人に女を引き渡した。
女は暴れることなく連行された。女は連行される間ずっと「私は悪くない、悪くない、悪くない」と地の這うような声で何回も繰り返している。こんな不気味な女の顔なんて見たくもないが、確認のためもう一度、女の顔をじっと見つめた。
やっぱり、記憶にない顔だ。この世界の女のサブキャラに殺されるほどの恨みを買った覚えがない。
男ならともかく。やっぱり私ではなく『レイ・ミラー』に恨みがあったのか。
「あの、あなたはあの女の私への殺人動機を聞きだしたんですよね」
この際、ストーレートに聞こう。私は事の詳細を理解しているはずのライのほうに向き合った。
「移動しながら話すよ」
私たちは裏路地を離れ、大通りに出た。圧迫感のない大通りで太陽の光を目一杯浴び、深呼吸する。
「ふぅ」
狭い路地からなのかもう恐怖におびえる必要はないのか強い解放感と安堵感が私の中で満ちていった。
「それで、あの女は一体何者なんですか?」
改めてライに向き合う。この解放的な気持ちを保ちたい私は彼女の動機が私にではなく私が与り知らぬ『レイ・ミラー』に対するものであったほしいと切実に願った。覚えがないのに私を襲おうとしたこと自体腹立たしいことだが、せめて見に覚えのないことだったら変な罪悪感を感じずに済む。
「話が飛び飛びになったり会話がほとんど成立しなかったけど、端的にいえば君への嫉妬らしいんだ」
「嫉妬?」
私はぽかんと口を開けた。ライはぽつぽつと分かりやすく彼女に関する情報や私への恨みの理由を教えてくれた。
「………………」
言葉がでなかった。なんとそれは『レイ・ミラー』に対するものではなく『私』に対する恨み。しかも、あの女の私への恨みの理由は完全に私の予想の斜め上のものだった。
頭が徐々に冷えていく。さきほどまで確かにあった解放感と安堵感が沈静していく。
「あのやろう」
無意識に零れた低い声音。
それはこの場所にいない『あいつ』に対してのものだ。
泣きたいのはこっちだっての。一回黙らせるためにもう一度このビンで横っ面を張っ倒そうか。
「こっちです」
ビンで女を殴ろうと思い至ったときに誰かが裏路地のほうを指差している。どうやら、騒ぎを聞きつけた誰かが兵を呼んできてくれたらしい。
まぁ、これだけうるさく騒がれたら大通りの人間に嫌でも耳に入るか。呼ばれた声に導かれるようにこちらに二人分の足音や影が近づいてくる。
あれ?あの二人、もしかして。
「おい、どうしたんだ?ものすごい泣き声だけど」
「一体何が?」
青い髪の男と黒髪の男が状況を把握しようと私たちを見回しながら聞いた。
「あいつってたしか、コン………コン………」
「あの端整な顔をした男性はコンラッド・シュトラール。ついでに隣が先輩のライ・ビュールだよ」
「そうだ、コンラッドだ」
出そうで出なかった名前をうさぎが変わりに説明書を広げながら教えてくれた。
一見すると、わんわん壁際にもたれながら騒いでいる女性にそれを見下ろしている3人組。その中の一人は空ビンをちらつかせている。下手したらこっちが被疑者にされてしまう。
「あのね、誤解する前に言っとくけど、私のほうが被害者だから」
そうなる前にこの状況を説明しようと先に言葉を発した。
「あ、あなたは
しかし、コンラッドの視線は言葉を発した私にではなくエヴァンスのほうに向けている。それもかなり瞠目し、戸惑っている様子だった。
「久しぶり………ですね」
エヴァンスの方もコンラッドを見たとき一瞬目を見開き、その後は恐る恐るといった感じで返した。
なんだ、この二人知り合いなのか。
「なぜ、こんなところにいるのですか?」
最初は戸惑った表情を見せたが、すぐに切り替えエヴァンスを厳しい表情で見据える。
「なんだ、コンラッド、この人と知り合い………ってえぇ!!??あなたは!!」
エヴァンスをじっと見据えていたライが突然、ひどく驚いた様子で声を上げた。
「ど、どうしてこんな裏路地に!?だって、あ、あなたはこの国のおう―むぐっ!?」
コンラッドは素早い動きでライの口を塞ぎ、私たちをちらりと見据える。
「まずは話を聞きたい。何があったのか説明を」
コンラッドは泣き止むのに疲れ、蹲っている女を見下ろしながら言った。
「え?あぁ、うん」
私は持っていた空ビンをぽいっと地面に投げ捨て、二人の前に立った。
★☆★☆★☆
私たちは何があったのかをあらかた説明をした。懐中時計を盗まれ、この裏路地に誘い込まれ、大きな角材で襲われたこと全部を。もちろん、その時エヴァンスが助けてくれたことも付け足す。二人はそれを黙って聞いていたが、なぜかライはだんだんと青ざめるようになっていった。
「それは、なんというか」
「………」
対してコンラッドの表情は変わらない。
「その当人からも話を聞きたいのですが」
コンラッドはゆっくり視線を女に移した。
女はさきほどよりも落ち着いているようだが、ぶつぶつと何か恨み言のようなことを言っているみたいでとてもまともに話せるような状態には見えない。
「俺にまかせろ。なんとか聞き出す」
「お願いします」
そう言ってライは女に近寄り、話しかける。ここからだと何を話しているのか聞き取ることはできないが、ライが女の話を辛抱強く聞き、相槌を打っていることだけはわかる。
「見回りの警備兵に彼女を引き渡します。なので、あなたはすぐにお戻りください」
コンラッドは淡々とエヴァンスに告げる。敬語なのにその声音は厳しく固く聞こえる。
「お二方にも再度確認のため話をお聞きしたいので少しの間ここに留まってください」
ちらりと私たちにも告げる。
「お~い、なんとか聞き出したよ」
ライはそういってすっと立ち上がった。女はいまだにぶつぶつ何か言っている。こんな状態の女から話を聞きだすのはよっぽど骨が折れたのライのか表情に疲れが見え隠れしている。
「コンラッド、お前がこの人を送れ。後は俺がなんとかする」
「ですが」
「数人の兵が来たらややこしくなるぞ。それに街の人間もちらちらこちらを窺っている。もし、気づかれでもしたら少し面倒だろ。お前が傍にいたほうが最善だ」
「わかりました」
二人は厳しい面持ちで見合わせ、最終的にコンラッドが納得したような素振りを見せる。
「私があなたを送ります。お急ぎを」
コンラッドは半歩下がってエヴァンスに対し、恭しい態度で頭を下げた。
「彼女たちを置いて僕一人だけ、と言いたいところだけどここに長居はできないみたいですね」
エヴァンスはそんなコンラッドに対してどこか寂しげな笑みを浮かべた。大通りのほうに目を向けると野次馬がこちらをちらちら窺っている。
「ライさん、ですか?彼女たちをお願いします」
「は、はい」
エヴァンスに自分の名前を呼ばれ、ライは緊張を孕んだ表情で返事をした。
「すみません。こんなときは一緒にいるべきだと思うのですが」
「あんたさ、さっきの」
私の視線はエヴァンスの右手に集中している。
さっきのはやっぱりノアだよな。気になる、普通に。
「早く、移動を」
じっとエヴァンスの右手を見つめているとコンラッドが淡々とした口調でエヴァンスを急かすように促す。
「あ………」
私の次の言葉を待っていたエヴァンスはハッとした表情でコンラッドを振り返った。
「いいよ。質問は次会ったときに聞くから」
「次………ですか」
「そうだけど?」
攻略キャラクターなんだから嫌でも会うことになるだろう。
「そうですね。では、次会ったときに」
エヴァンスは嬉しそうに微笑みながら待っていたコンラッドと一緒に通りの向こう側に駆けていった。
「私、彼らが何を言っていたのかよくわからなかった」
「私も」
ということにしておこう。
コンラッドたちがなぜエヴァンスに畏まった態度や言動をしていたのかは私の乙女ゲームの経験上だいたい予想はつく。
エヴァンスたちを見送ったすぐ後、2人の警備兵らしき男が駆けてきた。ライはすぐに状況をその二人に説明する。どうやら、エヴァンスのことはオブラートに包みながら話しているらしい。そして、すぐ、二人に女を引き渡した。
女は暴れることなく連行された。女は連行される間ずっと「私は悪くない、悪くない、悪くない」と地の這うような声で何回も繰り返している。こんな不気味な女の顔なんて見たくもないが、確認のためもう一度、女の顔をじっと見つめた。
やっぱり、記憶にない顔だ。この世界の女のサブキャラに殺されるほどの恨みを買った覚えがない。
男ならともかく。やっぱり私ではなく『レイ・ミラー』に恨みがあったのか。
「あの、あなたはあの女の私への殺人動機を聞きだしたんですよね」
この際、ストーレートに聞こう。私は事の詳細を理解しているはずのライのほうに向き合った。
「移動しながら話すよ」
私たちは裏路地を離れ、大通りに出た。圧迫感のない大通りで太陽の光を目一杯浴び、深呼吸する。
「ふぅ」
狭い路地からなのかもう恐怖におびえる必要はないのか強い解放感と安堵感が私の中で満ちていった。
「それで、あの女は一体何者なんですか?」
改めてライに向き合う。この解放的な気持ちを保ちたい私は彼女の動機が私にではなく私が与り知らぬ『レイ・ミラー』に対するものであったほしいと切実に願った。覚えがないのに私を襲おうとしたこと自体腹立たしいことだが、せめて見に覚えのないことだったら変な罪悪感を感じずに済む。
「話が飛び飛びになったり会話がほとんど成立しなかったけど、端的にいえば君への嫉妬らしいんだ」
「嫉妬?」
私はぽかんと口を開けた。ライはぽつぽつと分かりやすく彼女に関する情報や私への恨みの理由を教えてくれた。
「………………」
言葉がでなかった。なんとそれは『レイ・ミラー』に対するものではなく『私』に対する恨み。しかも、あの女の私への恨みの理由は完全に私の予想の斜め上のものだった。
頭が徐々に冷えていく。さきほどまで確かにあった解放感と安堵感が沈静していく。
「あのやろう」
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