223 / 339
どたばた大騒動?
198.特別なお仕事
しおりを挟む
イグニスさんのことを説明したら、モンちゃんは『頭痛が痛い』みたいな顔をしてた。レアナさんは「あらまぁ」と微笑んでる。少し口元が引き攣っているように見えなくもないけど。
「……そうか。それなら、お前に様子見を頼んだほうがいいのか?」
「どういうこと?」
「俺は国王陛下から、定期的に古竜の様子を確認するよう頼まれてるんだ。本来まだ報告を上げる時期じゃないんだが、目立った動きがあったからには、一応確認する必要がある」
さすが国一番のテイマーだ。国王から頼み事をされるなんて。
「第二の街の門衛さんには、イグニスさんの話をしたよ?」
「冒険者一人、しかも異世界からの旅人の報告じゃ、信憑性が薄いし、上には届いてないだろうな」
なんと。せっかくがんばってお話したのにぃ。
しょんぼりと肩を落としていたら、慰めるように頭をポンポンと撫でられた。
「……僕が改めて様子を見に行ったところで、信憑性がないなら、意味ないってことになるんじゃない?」
「俺がモモから聞いたことを報告として上げれば問題ない。モモの情報が正しいと、俺が保証することになるからな」
当たり前のようにさらっと言ったけど、それって、モンちゃんが僕のことすごく信頼してるってことだよね。なんか嬉しいかも。
上目遣いで窺ったら、モンちゃんは「うん?」と不思議そうに首を傾げた。レアナさんが微笑ましそうに見守ってる。
「様子見ってなにするの?」
「古竜が暴れる様子がないか、困ったことはないか――とにかく古竜の周りで異常がないかを確認するんだ。万が一、人に対して悪感情が芽生えていたら、それを解消するよう努めなけりゃならねぇからな」
「へぇ、よくわかんないけど、おしゃべりして『困ったことありませんかー』って聞けばいいんだね?」
僕が頷きながら言ったら、モンちゃんはなんとも言えない表情で「簡単なことみたいに言いやがる」と呟いた。
どういう意味だろう?
「……モモが、それをできるって言うんなら、そうしてくれるのが一番良いな。くれぐれも不興を買わねぇようにするんだぞ」
「うん、たぶん大丈夫」
イグニスさんのことをよく知ってると断言はできないから、曖昧にしか答えられない。
「モモなら、やらかすことはあっても、たいていのことは大丈夫にしてくれる気がする」
「それは褒められてるのかな?」
「好きなように受け取れ」
「そっか。じゃあ、ありがとー」
「自己肯定感が高いのは良いことだ」
僕の長所です。
ふんす、と胸を張ったところで、モンちゃんから紙を渡された。『依頼書』と書かれてる。
〈テイマー・モンハから上級特別任務『古竜の観察』を依頼されました。はじまりの街・ノース街道サクノ山で古竜を観察し、その様子をモンハに報告しましょう〉
アナウンスの後、改めて依頼書を確認する。達成報酬は『???』となってた。なにをもらえるんだろう?
というか上級特別任務って初めて聞いた。
ヘルプによると、異世界の住人の中でも、王や領主から任された依頼のことを特別任務と呼ぶらしく、特級・上級・中級・下級で分かれてるらしい。
いきなり上級かー。よくわかんないけど、すごそう。
「受けてくれるよな?」
「うん、任せてー」
イグニスさん、怒らせたら怖いだろうけど、普通に話すだけなら問題ないはず。
僕が請け負ったら、モンちゃんは「第三の街が心配だ」と言って、レアナさんを連れてそそくさと帰っちゃった。
あの街、そんなにヤバい状態なのかな? そんな感じには思えないんだけどなぁ。
不思議に思いながらも、とりあえず受けた任務をがんばろうと、ノース街道に向かうことにした。
◇◆◇
イグニスさんがいるところまでは、長い洞窟を通らなきゃいけない。
良い機会だからテイムしたモンスターたちとの連携を高めようと思って、召喚してみた。
「【召喚】スラリン、ユキマル」
突進土竜が掘った穴を通るので、体が大きなショコラたちは喚べない。ということで、今回はスライム二体と一緒に進むよ。
「きゅい!」
「ぴぅ!」
やる気十分なスラリンの横で、ユキマルが周囲を見渡した途端、ピカッと白く光った。泡光スキルで周囲を照らしてくれてるんだ。便利!
「敵が近づいてきたら、警戒色お願いねー。スラリンは攻撃だよ」
指示を出すと、二体ともぽよんと跳んで『まかせてー』と答えてくれた。ほんと頼りになる仲間だよ。
僕は補助スキルを使っておこうかな。
天からの祝福と天の祈り、あとは歌唱スキルの意気高揚と回復効果アップ。これくらいでオッケー?
二体を先頭にして、突進土竜が掘った穴をてくてくと進む。
「ぴぅ」
「きゅーい!」
ユキマルが赤く光ったかと思うと、少し後に現れた突進土竜にスラリンが体当たりをした。
怯ませたところで、突進土竜を包み込むようにして溶解・吸収し始める。ユキマルは応援するように体を揺らしていた。
「このへんのモンスターは、もうスラリンたちの敵にならないねー」
適正レベルを考えると、スラリンがちょうどいいくらい? 多少ダメージを受けても、僕の回復スキルでなんとかなってるし、問題なさそう。
この調子でサクサク進んじゃおー!
「……そうか。それなら、お前に様子見を頼んだほうがいいのか?」
「どういうこと?」
「俺は国王陛下から、定期的に古竜の様子を確認するよう頼まれてるんだ。本来まだ報告を上げる時期じゃないんだが、目立った動きがあったからには、一応確認する必要がある」
さすが国一番のテイマーだ。国王から頼み事をされるなんて。
「第二の街の門衛さんには、イグニスさんの話をしたよ?」
「冒険者一人、しかも異世界からの旅人の報告じゃ、信憑性が薄いし、上には届いてないだろうな」
なんと。せっかくがんばってお話したのにぃ。
しょんぼりと肩を落としていたら、慰めるように頭をポンポンと撫でられた。
「……僕が改めて様子を見に行ったところで、信憑性がないなら、意味ないってことになるんじゃない?」
「俺がモモから聞いたことを報告として上げれば問題ない。モモの情報が正しいと、俺が保証することになるからな」
当たり前のようにさらっと言ったけど、それって、モンちゃんが僕のことすごく信頼してるってことだよね。なんか嬉しいかも。
上目遣いで窺ったら、モンちゃんは「うん?」と不思議そうに首を傾げた。レアナさんが微笑ましそうに見守ってる。
「様子見ってなにするの?」
「古竜が暴れる様子がないか、困ったことはないか――とにかく古竜の周りで異常がないかを確認するんだ。万が一、人に対して悪感情が芽生えていたら、それを解消するよう努めなけりゃならねぇからな」
「へぇ、よくわかんないけど、おしゃべりして『困ったことありませんかー』って聞けばいいんだね?」
僕が頷きながら言ったら、モンちゃんはなんとも言えない表情で「簡単なことみたいに言いやがる」と呟いた。
どういう意味だろう?
「……モモが、それをできるって言うんなら、そうしてくれるのが一番良いな。くれぐれも不興を買わねぇようにするんだぞ」
「うん、たぶん大丈夫」
イグニスさんのことをよく知ってると断言はできないから、曖昧にしか答えられない。
「モモなら、やらかすことはあっても、たいていのことは大丈夫にしてくれる気がする」
「それは褒められてるのかな?」
「好きなように受け取れ」
「そっか。じゃあ、ありがとー」
「自己肯定感が高いのは良いことだ」
僕の長所です。
ふんす、と胸を張ったところで、モンちゃんから紙を渡された。『依頼書』と書かれてる。
〈テイマー・モンハから上級特別任務『古竜の観察』を依頼されました。はじまりの街・ノース街道サクノ山で古竜を観察し、その様子をモンハに報告しましょう〉
アナウンスの後、改めて依頼書を確認する。達成報酬は『???』となってた。なにをもらえるんだろう?
というか上級特別任務って初めて聞いた。
ヘルプによると、異世界の住人の中でも、王や領主から任された依頼のことを特別任務と呼ぶらしく、特級・上級・中級・下級で分かれてるらしい。
いきなり上級かー。よくわかんないけど、すごそう。
「受けてくれるよな?」
「うん、任せてー」
イグニスさん、怒らせたら怖いだろうけど、普通に話すだけなら問題ないはず。
僕が請け負ったら、モンちゃんは「第三の街が心配だ」と言って、レアナさんを連れてそそくさと帰っちゃった。
あの街、そんなにヤバい状態なのかな? そんな感じには思えないんだけどなぁ。
不思議に思いながらも、とりあえず受けた任務をがんばろうと、ノース街道に向かうことにした。
◇◆◇
イグニスさんがいるところまでは、長い洞窟を通らなきゃいけない。
良い機会だからテイムしたモンスターたちとの連携を高めようと思って、召喚してみた。
「【召喚】スラリン、ユキマル」
突進土竜が掘った穴を通るので、体が大きなショコラたちは喚べない。ということで、今回はスライム二体と一緒に進むよ。
「きゅい!」
「ぴぅ!」
やる気十分なスラリンの横で、ユキマルが周囲を見渡した途端、ピカッと白く光った。泡光スキルで周囲を照らしてくれてるんだ。便利!
「敵が近づいてきたら、警戒色お願いねー。スラリンは攻撃だよ」
指示を出すと、二体ともぽよんと跳んで『まかせてー』と答えてくれた。ほんと頼りになる仲間だよ。
僕は補助スキルを使っておこうかな。
天からの祝福と天の祈り、あとは歌唱スキルの意気高揚と回復効果アップ。これくらいでオッケー?
二体を先頭にして、突進土竜が掘った穴をてくてくと進む。
「ぴぅ」
「きゅーい!」
ユキマルが赤く光ったかと思うと、少し後に現れた突進土竜にスラリンが体当たりをした。
怯ませたところで、突進土竜を包み込むようにして溶解・吸収し始める。ユキマルは応援するように体を揺らしていた。
「このへんのモンスターは、もうスラリンたちの敵にならないねー」
適正レベルを考えると、スラリンがちょうどいいくらい? 多少ダメージを受けても、僕の回復スキルでなんとかなってるし、問題なさそう。
この調子でサクサク進んじゃおー!
1,179
お気に入りに追加
3,731
あなたにおすすめの小説

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

野草から始まる異世界スローライフ
深月カナメ
ファンタジー
花、植物に癒されたキャンプ場からの帰り、事故にあい異世界に転生。気付けば子供の姿で、名前はエルバという。
私ーーエルバはスクスク育ち。
ある日、ふれた薬草の名前、効能が頭の中に聞こえた。
(このスキル使える)
エルバはみたこともない植物をもとめ、魔法のある世界で優しい両親も恵まれ、私の第二の人生はいま異世界ではじまった。
エブリスタ様にて掲載中です。
表紙は表紙メーカー様をお借りいたしました。
プロローグ〜78話までを第一章として、誤字脱字を直したものに変えました。
物語は変わっておりません。
一応、誤字脱字、文章などを直したはずですが、まだまだあると思います。見直しながら第二章を進めたいと思っております。
よろしくお願いします。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
間違い召喚! 追い出されたけど上位互換スキルでらくらく生活
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
僕は20歳独身、名は小日向 連(こひなた れん)うだつの上がらないダメ男だ
ひょんなことから異世界に召喚されてしまいました。
間違いで召喚された為にステータスは最初見えない状態だったけどネットのネタバレ防止のように背景をぼかせば見えるようになりました。
多分不具合だとおもう。
召喚した女と王様っぽいのは何も持っていないと言って僕をポイ捨て、なんて世界だ。それも元の世界には戻せないらしい、というか戻さないみたいだ。
そんな僕はこの世界で苦労すると思ったら大間違い、王シリーズのスキルでウハウハ、製作で人助け生活していきます
◇
四巻が販売されました!
今日から四巻の範囲がレンタルとなります
書籍化に伴い一部ウェブ版と違う箇所がございます
追加場面もあります
よろしくお願いします!
一応191話で終わりとなります
最後まで見ていただきありがとうございました
コミカライズもスタートしています
毎月最初の金曜日に更新です
お楽しみください!
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。
まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」
そう、第二王子に言われました。
そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…!
でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!?
☆★☆★
全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。
読んでいただけると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる