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もふもふいっぱい?
192.最後は恒例の
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その後も二曲歌とダンスを披露して、ライブ終演。今回も楽しかったー!
司会をしてくれたタマモがなぜか魂が飛んだような顔をしてたけど。恍惚とした感じでもあるからちょっと怖い?
でも僕が「どうだった……?」って聞いたら、即座に「最高でしたっ! 可愛いの最上級、至高のもふもふパラダイス、ハレルヤ!」とキリッとした顔で力強く言ってくれたから、たぶん大丈夫そう。拝むみたいなポーズは、きっと僕の気のせい。
そんなタマモと苦笑してるアイリーンを引き連れ、屋台スペースに向かう。途中でリリとルトも合流した。
「歌って踊ったらお腹すいちゃったよ。お菓子食べよー」
興奮状態のファンのみんなと交流しながら、屋台を眺める。
僕の屋台でカボチャや栗、芋を使った料理を売ってる。軽食系からスイーツ系まで、幅広い種類があるよ。
店番をするのはスラリンとショコラだ。店番と言っても、お客さんが商品を選んでお金を払うまでセルフでしてくれるから、そこにいてくれるだけでいいんだけど。客寄せです。
屋台スペースなので、他にも屋台がある。プレイヤーで屋台をしてる人の中から、出店の希望を募って集まってもらったんだ。
食べ物から薬・便利アイテムまで、いろいろな商品がある。でも、一番人気はやっぱりハロウィンらしい料理かな。
「おー? 三種のモンブラン、美味しそう!」
猫獣人のプレイヤーが売ってたスイーツに目が釘付け。
カボチャ・栗・芋を使った三種類のミニモンブランは、ハロウィンらしい飾りもあって可愛いし美味しそう。僕でも作れるだろうけど、人が作ったものって妙に惹かれるよね。
「これくださーい」
「はわわ……! どうぞ!」
「マルちゃん、落ち着いて」
猫獣人マルが頬を赤くしながらモンブランセットを渡してくれた。あまりの慌てように、知り合いらしいアイリーンが苦笑してる。
「えっとお金は――」
「いらないです! 素晴らしいライブのお礼に……桃じゃなくてすみません!」
「いや、全然いいんだけど。というか、本当にくれるの?」
「はい、ぜひ!」
キラキラと輝くような眼差しで頷かれた。ここまで言われたら、断る方が失礼かな。
「じゃあ、ありがたくもらうねー」
「私、このスイートポテトもらうね。あ、お金払うから」
「私もこちらの芋シェイクいただきます!」
「うーん、じゃあ、私は野菜チップスかな」
「俺はカボチャグラタンで」
アイリーンとタマモ、リリ、ルトがそれぞれ買っていく。どれも美味しそうだね。
「モンブラン、うまうま」
一口食べた瞬間、カボチャの甘味が口いっぱいに広がる。土台はタルトっぽくなってて、小さいけど食べごたえがあった。
僕が作るより美味しいかも?
「マルちゃんはモモさんに美味しいスイーツを食べてもらいたいがために、パティシエに弟子入りしたんだよ」
「へ!?」
アイリーンがマルについて教えてくれて、ぎょっとした。僕のために……?
マルは「えへへ」と照れたように笑ってる。
「もともと、お菓子を作るのが好きだったんです。でも、リアルで作ると、完成したのを食べてもらう必要があるでしょう? 家族とか学校の友だちに食べてもらうにしても、あまり多いと『ちょっと……』って断られることあって、なかなか満足に作れなかったんですけど。ここだと好きなだけ作れるので、弟子入り楽しいです!」
ニコニコ笑ってるマルを見て、僕もなんだか嬉しくなる。
このゲーム、楽しみ方が人それぞれたくさんあるのがいいよねー。
「そっか。じゃあ、今後、自分のお店を出す感じ?」
「そうしたいです。ここで屋台を出したのも、その資金集めというか――」
なるほど。それなら僕も応援したいな。美味しいスイーツを売るお店はいくらあってもいいからね。
「素材とか必要なら声かけてよ。僕、広い農地でいろいろ育ててるから」
「え、いいんですか?」
「うん。フレンド登録しよー」
「きゃー、ありがとうございます!」
友だち増えました。
続々とお客さんが集まってくるのを見て、バイバーイと手を振って別れる。
「……これでマルちゃんの将来安泰ね」
「もともとアイリーンさんの友だちってことで注目されてましたけどね」
アイリーンがニヤリと笑うのを見て、タマモがクスクスと笑い声を漏らす。
もしかして、僕はアイリーンの思惑に乗せられて、宣伝隊長になった感じ? でも、マルを応援したいのは本心だから、別にいいや。
「競合を避けるために、僕の店で売るスイーツ減らそうかなー」
何気なく呟いた途端、一瞬周囲が静まり返った。ルトが「ゲッ」と引き攣った顔をしてる。
「そんなのダメよ!」
「モモさんのお店で買ったっていう癒やし要素をなくさないでください~っ」
「マルちゃんはマルちゃん、モモさんはモモさんなんです!」
「うさぎ可愛いスイーツを、その他のスイーツと一緒にしちゃうのはありえません!」
いろんな声が聞こえてくるけど、ほぼ判別できなかった。でも、スイーツの販売をやめてほしくない、っていう意思は伝わってくる。
「そう? じゃあ、継続するよー。でも、商品数絞らなきゃいけないんだよね」
「それより、カウンター容量増やす感じがいいんじゃない? それくらい稼いでるよね」
アイリーンが真剣な顔で聞いてくる。どんだけ、料理の種類を減らしてほしくないの?
ちょっと気圧されちゃったけど、アイリーンが言うことも間違ってない。
「でも、工事入れると、少し店を閉めないといけないかも」
「それは私たちの方で周知しますから問題ないですよ」
タマモが『任せてください』と胸を叩いた。こういうところは頼りになるんだよなぁ。
「りょ。じゃあ、詳しい予定決まったら連絡するね」
「はーい。……あ、追加でお願いしたいことがあるんですけど」
「なに?」
無表情に近い真面目な表情だけど、タマモの目が爛々と光っている気がして、見たのをちょっと後悔した。
すすっとルトの後ろに隠れる。
「うわっ!? なんで俺に隠れんだよ!」
「だって、なんか嫌な予感がする……」
「俺関係ねぇだろ!」
「親友なんだから、関係なくない」
「巻き込むんじゃねぇよ!」
逃げようとするルトの背中を掴んでひっつく。
僕は今だけ妖怪・子泣きじじい。ルトの背中から離れないぞー。
「いやいや、モモさんが嫌がることはしませんよ! ただ、魅惑のもふもふたちとの記念写真撮影会をしたい、というだけです!」
ババンッ、と効果音がつきそうな勢いで、タマモがオギンたちがいる方を指差す。今は僕がテイムした子たちみんな、屋台の店番(看板もふもふ)してるみたい。
「……あれ? それだけ?」
拍子抜けして、ルトを掴む手の力が弱まった。
隙を逃さず、ルトが逃走する。アトラクションで遊びに行ったのかも。リリもクスクスと笑いながらついて行ったみたいだ。デート楽しんでねー。
「それだけです。あ、もちろん、モモさんも」
「あ、やっぱり」
僕と写真を撮るの、もう恒例になってるよね。予想してたよ。
「――みんなー、屋台は一旦閉めて、もふもふ記念写真撮影会の時間だよー」
「きゅい?」
スラリンが『僕も? 僕、もふもふじゃないよ?』って答えるけど、別にいいんじゃないかな。愛嬌あるし、きっと人気出るよ。
ピアはライブ終わってすぐに『もういい~』と言って帰っていったから、喚び出さないけどね。
「みなさーん、記念撮影会しますよー。希望者は並んでください!」
タマモが張り切って列を整理し始めるのを見ながら、スラリンたちとポーズの相談をした。
どうせ撮られるなら、思いっきり可愛く写りたいもんね!
司会をしてくれたタマモがなぜか魂が飛んだような顔をしてたけど。恍惚とした感じでもあるからちょっと怖い?
でも僕が「どうだった……?」って聞いたら、即座に「最高でしたっ! 可愛いの最上級、至高のもふもふパラダイス、ハレルヤ!」とキリッとした顔で力強く言ってくれたから、たぶん大丈夫そう。拝むみたいなポーズは、きっと僕の気のせい。
そんなタマモと苦笑してるアイリーンを引き連れ、屋台スペースに向かう。途中でリリとルトも合流した。
「歌って踊ったらお腹すいちゃったよ。お菓子食べよー」
興奮状態のファンのみんなと交流しながら、屋台を眺める。
僕の屋台でカボチャや栗、芋を使った料理を売ってる。軽食系からスイーツ系まで、幅広い種類があるよ。
店番をするのはスラリンとショコラだ。店番と言っても、お客さんが商品を選んでお金を払うまでセルフでしてくれるから、そこにいてくれるだけでいいんだけど。客寄せです。
屋台スペースなので、他にも屋台がある。プレイヤーで屋台をしてる人の中から、出店の希望を募って集まってもらったんだ。
食べ物から薬・便利アイテムまで、いろいろな商品がある。でも、一番人気はやっぱりハロウィンらしい料理かな。
「おー? 三種のモンブラン、美味しそう!」
猫獣人のプレイヤーが売ってたスイーツに目が釘付け。
カボチャ・栗・芋を使った三種類のミニモンブランは、ハロウィンらしい飾りもあって可愛いし美味しそう。僕でも作れるだろうけど、人が作ったものって妙に惹かれるよね。
「これくださーい」
「はわわ……! どうぞ!」
「マルちゃん、落ち着いて」
猫獣人マルが頬を赤くしながらモンブランセットを渡してくれた。あまりの慌てように、知り合いらしいアイリーンが苦笑してる。
「えっとお金は――」
「いらないです! 素晴らしいライブのお礼に……桃じゃなくてすみません!」
「いや、全然いいんだけど。というか、本当にくれるの?」
「はい、ぜひ!」
キラキラと輝くような眼差しで頷かれた。ここまで言われたら、断る方が失礼かな。
「じゃあ、ありがたくもらうねー」
「私、このスイートポテトもらうね。あ、お金払うから」
「私もこちらの芋シェイクいただきます!」
「うーん、じゃあ、私は野菜チップスかな」
「俺はカボチャグラタンで」
アイリーンとタマモ、リリ、ルトがそれぞれ買っていく。どれも美味しそうだね。
「モンブラン、うまうま」
一口食べた瞬間、カボチャの甘味が口いっぱいに広がる。土台はタルトっぽくなってて、小さいけど食べごたえがあった。
僕が作るより美味しいかも?
「マルちゃんはモモさんに美味しいスイーツを食べてもらいたいがために、パティシエに弟子入りしたんだよ」
「へ!?」
アイリーンがマルについて教えてくれて、ぎょっとした。僕のために……?
マルは「えへへ」と照れたように笑ってる。
「もともと、お菓子を作るのが好きだったんです。でも、リアルで作ると、完成したのを食べてもらう必要があるでしょう? 家族とか学校の友だちに食べてもらうにしても、あまり多いと『ちょっと……』って断られることあって、なかなか満足に作れなかったんですけど。ここだと好きなだけ作れるので、弟子入り楽しいです!」
ニコニコ笑ってるマルを見て、僕もなんだか嬉しくなる。
このゲーム、楽しみ方が人それぞれたくさんあるのがいいよねー。
「そっか。じゃあ、今後、自分のお店を出す感じ?」
「そうしたいです。ここで屋台を出したのも、その資金集めというか――」
なるほど。それなら僕も応援したいな。美味しいスイーツを売るお店はいくらあってもいいからね。
「素材とか必要なら声かけてよ。僕、広い農地でいろいろ育ててるから」
「え、いいんですか?」
「うん。フレンド登録しよー」
「きゃー、ありがとうございます!」
友だち増えました。
続々とお客さんが集まってくるのを見て、バイバーイと手を振って別れる。
「……これでマルちゃんの将来安泰ね」
「もともとアイリーンさんの友だちってことで注目されてましたけどね」
アイリーンがニヤリと笑うのを見て、タマモがクスクスと笑い声を漏らす。
もしかして、僕はアイリーンの思惑に乗せられて、宣伝隊長になった感じ? でも、マルを応援したいのは本心だから、別にいいや。
「競合を避けるために、僕の店で売るスイーツ減らそうかなー」
何気なく呟いた途端、一瞬周囲が静まり返った。ルトが「ゲッ」と引き攣った顔をしてる。
「そんなのダメよ!」
「モモさんのお店で買ったっていう癒やし要素をなくさないでください~っ」
「マルちゃんはマルちゃん、モモさんはモモさんなんです!」
「うさぎ可愛いスイーツを、その他のスイーツと一緒にしちゃうのはありえません!」
いろんな声が聞こえてくるけど、ほぼ判別できなかった。でも、スイーツの販売をやめてほしくない、っていう意思は伝わってくる。
「そう? じゃあ、継続するよー。でも、商品数絞らなきゃいけないんだよね」
「それより、カウンター容量増やす感じがいいんじゃない? それくらい稼いでるよね」
アイリーンが真剣な顔で聞いてくる。どんだけ、料理の種類を減らしてほしくないの?
ちょっと気圧されちゃったけど、アイリーンが言うことも間違ってない。
「でも、工事入れると、少し店を閉めないといけないかも」
「それは私たちの方で周知しますから問題ないですよ」
タマモが『任せてください』と胸を叩いた。こういうところは頼りになるんだよなぁ。
「りょ。じゃあ、詳しい予定決まったら連絡するね」
「はーい。……あ、追加でお願いしたいことがあるんですけど」
「なに?」
無表情に近い真面目な表情だけど、タマモの目が爛々と光っている気がして、見たのをちょっと後悔した。
すすっとルトの後ろに隠れる。
「うわっ!? なんで俺に隠れんだよ!」
「だって、なんか嫌な予感がする……」
「俺関係ねぇだろ!」
「親友なんだから、関係なくない」
「巻き込むんじゃねぇよ!」
逃げようとするルトの背中を掴んでひっつく。
僕は今だけ妖怪・子泣きじじい。ルトの背中から離れないぞー。
「いやいや、モモさんが嫌がることはしませんよ! ただ、魅惑のもふもふたちとの記念写真撮影会をしたい、というだけです!」
ババンッ、と効果音がつきそうな勢いで、タマモがオギンたちがいる方を指差す。今は僕がテイムした子たちみんな、屋台の店番(看板もふもふ)してるみたい。
「……あれ? それだけ?」
拍子抜けして、ルトを掴む手の力が弱まった。
隙を逃さず、ルトが逃走する。アトラクションで遊びに行ったのかも。リリもクスクスと笑いながらついて行ったみたいだ。デート楽しんでねー。
「それだけです。あ、もちろん、モモさんも」
「あ、やっぱり」
僕と写真を撮るの、もう恒例になってるよね。予想してたよ。
「――みんなー、屋台は一旦閉めて、もふもふ記念写真撮影会の時間だよー」
「きゅい?」
スラリンが『僕も? 僕、もふもふじゃないよ?』って答えるけど、別にいいんじゃないかな。愛嬌あるし、きっと人気出るよ。
ピアはライブ終わってすぐに『もういい~』と言って帰っていったから、喚び出さないけどね。
「みなさーん、記念撮影会しますよー。希望者は並んでください!」
タマモが張り切って列を整理し始めるのを見ながら、スラリンたちとポーズの相談をした。
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