もふもふで始めるのんびり寄り道生活 ~便利なチートフル活用でVRMMOの世界を冒険します!

ゆるり

文字の大きさ
上 下
209 / 340
もふもふいっぱい?

190.ハロウィンパーティーを楽しもう

しおりを挟む
 シェルさんとアイリーンから連絡があって曲の確認をしたり、それに合わせたダンスを考えたり、タマモと段取りを相談したり、スラリンたちとステージ上での動きを確認したり。

 忙しく過ごしてたら、あっという間にハロウィンパーティー当日になった。
 ライブは夜からだけど、朝の内から会場は開放してるよー。

「きゃー、なにこれ楽しい!」
「やばいでしょ。もふうさテーマパークとか、ハンパない」

 楽しそうにアトラクションで遊んでる人たちを見て、僕も満足。みんな仮装して来てるから、なんか不思議な雰囲気が漂う空間になってるけど。

「——いや、ハロウィンをテーマにした遊具がある時点で不思議だね」
「普段の格好っぽい俺の方が浮いてる気がする……」

 ルトが騎士服みたいな仮装で遠い目をしてた。似合ってるよ?
 トランプ兵のイメージを取り入れたファッションらしく、ところどころにハートやスペードなどのマークが入っててオシャレ。もちろんリリ製作。

 僕は天使の格好してるんだー。頭の上に金色の輪っかがあって、白い服着てる。リリに頼んで作ってもらった。
 ルトには「普段とあんま変わんねぇな」って言われた。まぁ、天使みたいな羽は常にあるからね。

 シンプルだけど、この格好をしてるのには意味があるんだ。それを明かすのは、歌・ダンス披露のライブまでお預け。

「ふふ、私は全力でおばけ!」
「いや、井戸から出てくるパターンのおばけを全力でやるのは怖すぎる……」

 長い黒髪を前に垂らして、白いワンピースを着たリリがテンション高めに言ってるけど、ものすごく違和感がある。なぜそのチョイスをしたのか不思議。

 髪の色は【ヘアカラー】というアイテムで染めてる。【解除薬】を使えば、すぐに元に戻せるんだ。
 このために素材を揃えて、僕に「これ作ってー」と頼んできたんだから、仮装にかける熱意がすごい。

「モモさん~、私はどう?」

 アイリーンが駆け寄ってきた。僕と似た天使の格好。お揃いだよー。

「可愛いね! ……タマモはどうしたの?」

 なぜか、アイリーンの横で包帯を巻いたタマモが項垂れてた。
 タマモはミイラ男ならぬミイラ狐らしい。ミイラ状態にもふもふな尻尾があるのは、ちょっと違和感あるけど面白い見た目だ。

「うぅ、モモさんとお揃い、羨ましい……」
「私たちは一緒に歌を披露するためにお揃いの恰好なんだよ。ねー?」
「ねー?」

 アイリーンとニコニコ笑い合う。
 披露するのが楽しみだ。たくさん考えて練習いっぱいしたからね。

「いつ始めるんだ?」
「暗くなってからだよ!」

 ルトに答えて、周囲を見渡す。

「――というわけで、今はいっぱい遊ぼう!」

 僕だって、ここでみんなと遊ぶの楽しみにしてたんだよ。


◇◆◇ 


 集まってくれたファンの子たちも含めて、たくさん遊んでたら、段々と暗くなってきた。
 夜になると、設置したライトが映えるね! ハロウィンって感じが増して、楽しい!

「そろそろ始めよっか」

 用意した巨大なカボチャを模したステージの後ろで、アイリーンと頷き合う。
 タマモがライブ前の挨拶を始めると、ステージ前に人が集まってくるのを感じた。

「ワクワクしますね!」
「そうだね。シェルさん、よろしくー」

 一緒に控えてるシェルさんとハイタッチしてから、召喚したスラリン、ピア、ユキマル、ペタ、ショコラに視線を移す。

 スラリンは王冠を載っけて、スライムキングの仮装らしい。……僕が出会ったのは色が違うだけの、普通のスライムに見えたけどね?

 ピアは全体的に電飾でキラキラしてる。ミラーボールかな? って思ったのは秘密。ピア自身はすごく満足げなので良いと思います。

 ユキマルは上に一回り小さい白いボールを載っけてる。顔付きの。つまり雪だるま仮装だね。うん、似合ってるよ……?

 ペタはうさ耳と小さな白い羽を付けてる。ピンクベージュのもこもこなパーカーを着てるし……これは僕の仮装だよね?

 ショコラはタキシードとモノクルで執事コスプレ。執事服を着たテディベアにしか見えない。可愛い。

「みんなもがんばろうね!」
「きゅい!」

 敬礼のようなポーズをしたスラリンに、僕も同じように返したところで、タマモが「これより、モモさんとアイリーンさんによる、ハロウィン特別ライブの始まりです!」と宣言した。

 アイリーンと手を繋いで、ステージに飛んで上がる。
 このために、アイリーンは【天使の羽】っていうイベント交換アイテムをゲットしたんだって。二十秒飛べる効果があるんだとか。

 僕たちがすごい歓声を受けて、手を振って応えてる間に、シェルさんやスラリンたちも所定の位置についた。

 音楽が始まる。
 シェルさんの笛の音色と、ショコラが叩くドラム、ピアが持つ鈴、ペタが持つタンバリンの音が合わさって、ちょっと妖しげな雰囲気なんだけど明るさもある曲だ。
 ハロウィンらしいでしょ。

 曲に合わせて、おばけっぽい動きをしてステップを踏む。

「最初の曲は『もふもふハロウィンナイト!』です。みなさんも一緒に踊りましょうね!」

 タマモの紹介の後、また歓声が聞こえる。観てくれてるたくさんの人が思い思いに曲に合わせて体を揺らし始めた。
 楽しい雰囲気でテンション上がるね!

 ――ピーヒョロピー、ピヒョヒョー♪
 ――タンタンタンタン、シャンシャンシャンシャン♪

 前奏の後に、歌唱開始。

「♪かーわーいー天使は今日、あーくーまーに早変わり!」

 天使の仮装から、悪魔の仮装にチェンジ!
 羽はコウモリっぽい感じのアイテムを使ってるんだ。

「キャー! モモさんが堕天した……!?」
「これもあり!」

 いろんな感想が聞こえてくるけど、歌とダンスを続けるよ?

「♪しーろーいー羽を染めて、やーみーよーに舞い上がる!」

 アイリーンをステージに残して、飛びながらダンスを続ける。
 くるっと回ったり、空中を踏む感じでステップしたり、楽しいよ~。

「♪いーたずらー避けーたいなら! おーかーしーを贈ろうね!」

 宙にばらまかれたお菓子をカゴにキャッチしていく。投げたのはルトだ。あらかじめ頼んでおいたんだ。呆れた顔してたけど、ちゃんとやってくれるんだから優しいよね。

「♪はははー、ろろろー、はろはろハロウィン! はははー、ろろろー、はろはろハロウィン!」

 スラリンとユキマルがペタから噴射された水を吸収して大きくなった。二体をトランポリンのように使って、ダンスをしながらステージ上に戻る。

「♪さぁ、みんなで踊っちゃおー!」

 アイリーンと手を合わせて、飛びながらダンスをする。

「♪るんるるるんるー、るんるんるー、るるるー、るるるー、るんるっるー」

 楽しいね! 観てるみんなもニコニコしながら踊ってる。

 ピアがふわふわ浮きながらたくさん分裂してみんなを驚かせ、ユキマルが赤・青・黄色の光を放つ。
 ペタは曲の強弱に合わせて噴水のように水を噴射する。ユキマルの光とあわさって綺麗でバッチリ!
 ショコラはドラムを叩きながら、楽しそうに揺れてる。
 
 さて、これからサビに入るよー。
 次第に明るさを増していた曲調が最高潮に達した。
 アイリーンの手を離してお揃いダンス開始!

「♪合言葉ーはー、トリック・オア・トリート! 歌えー、踊れー、ハロウィンナイト!」

 初めて見る人にもわかりやすいダンスにしたら、すぐに真似してくれる人が多かった。嬉しいなぁ。

「♪美味しーお菓子がないのならー、かわいーイタズラ、めしあがれ!」

 はいどーぞ、というポーズをウィンク付きですると、歓声が上がった。

「♪白いおばけも、魔女ちゃんもー、今夜はみんなではしゃいじゃお!」

 ここからはアイリーンも一緒に歌う。

「♪るんるるるんるー、るんるんるー、るるるー、るるるー、るんるっるー」
「♪合言葉ーはー、トリック・オア・トリート! 踊れー、騒げー、ハロウィンナイト!」
「♪美味しーお菓子足りないならー、たのしーイタズラ、ゆるしてね!」
「♪かわいいうさぎも、パタパタと、みんなと一緒に、はしゃいじゃおー!」

 最後に『わーい!』とポーズして一曲終わり。
 すごい歓声を受けて、お手振りやウィンクで応える。

 もふもふ好きな人ばっかりだからか、ピアやペタ、ショコラにも「好きー!」と告白してる人がいるね。

 歓声はまだまだ続いてるけど、続いての曲いってみよ~!


******
当作品がファンタジー小説大賞で"癒し系ほっこり賞"をいただきました。
いつも作品を読んでくださっている皆様、応援してくださった皆様、本当にありがとうございます!
続報ありましたらまたお知らせさせていただきます。

(歌詞)
可愛い天使は今日、悪魔に早変わり
白い羽を染めて、闇夜に舞い上がる
イタズラ避けたいなら、お菓子を贈ろうね!

はははー、ろろろー、はろはろハロウィン!
はははー、ろろろー、はろはろハロウィン!

さぁ、みんなで踊っちゃお!

るんるるるんるー、るんるんるー
るるるー、るるるー、るんるっるー

合言葉はトリック・オア・トリート!
歌え、踊れ、ハロウィンナイト!
美味しいお菓子がないのなら、可愛いイタズラめしあがれ!

白いおばけも、魔女ちゃんも
今夜はみんなではしゃいじゃお!

るんるるるんるー、るんるんるー
るるるー、るるるー、るんるっるー

合言葉はトリック・オア・トリート!
踊れ、騒げ、ハロウィンナイト!
美味しいお菓子足りないなら、楽しいイタズラ許してね!

可愛いうさぎもパタパタと
みんなと一緒にはしゃいじゃお!
しおりを挟む
感想 1,383

あなたにおすすめの小説

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。

西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ? なぜです、お父様? 彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。 「じゃあ、家を出ていきます」

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました

初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。 ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。 冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。 のんびり書いていきたいと思います。 よければ感想等お願いします。

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO

無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。 名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。 小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。 特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。 姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。 ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。 スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。 そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。

鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。 鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。 まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。 「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

辺境地で冷笑され蔑まれ続けた少女は、実は土地の守護者たる聖女でした。~彼女に冷遇を向けた街人たちは、彼女が追放された後破滅を辿る~

銀灰
ファンタジー
陸の孤島、辺境の地にて、人々から魔女と噂される、薄汚れた少女があった。 少女レイラに対する冷遇の様は酷く、街中などを歩けば陰口ばかりではなく、石を投げられることさえあった。理由無き冷遇である。 ボロ小屋に住み、いつも変らぬ質素な生活を営み続けるレイラだったが、ある日彼女は、住処であるそのボロ小屋までも、開発という名目の理不尽で奪われることになる。 陸の孤島――レイラがどこにも行けぬことを知っていた街人たちは彼女にただ冷笑を向けたが、レイラはその後、誰にも知られずその地を去ることになる。 その結果――?

【完結】捨てられた双子のセカンドライフ

mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】 王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。 父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。 やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。 これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。 冒険あり商売あり。 さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。 (話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】クビだと言われ、実家に帰らないといけないの?と思っていたけれどどうにかなりそうです。

まりぃべる
ファンタジー
「お前はクビだ!今すぐ出て行け!!」 そう、第二王子に言われました。 そんな…せっかく王宮の侍女の仕事にありつけたのに…! でも王宮の庭園で、出会った人に連れてこられた先で、どうにかなりそうです!? ☆★☆★ 全33話です。出来上がってますので、随時更新していきます。 読んでいただけると嬉しいです。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~

Ss侍
ファンタジー
 "私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。  動けない、何もできない、そもそも身体がない。  自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。 ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。  それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

処理中です...