178 / 340
もふもふいっぱい?
162.冒険者モモです
しおりを挟む
モンちゃんたちの家を出て、冒険者ギルドに向かう。
もちろん、途中で仙桃飴を入手したよ!
売ってたお店は『モンスターフード店』だった。いろんなモンスターが好む食べ物アイテムを売ってるらしい。
でも、店主さんが言うには、モンスターをテイムするなら自分で作った食べ物アイテムを使った方が成功する確率が高くなるんだって。
帰り際に、店主さんに「フード用の特殊レシピも売ってるから、また来てくれよ」とも言われた。
商売上手なんだからぁ! きっと利用させてもらうよ!
「ここが第三の街の冒険者ギルドかぁ」
到着した建物を観察する。
第三の街の中央付近にあった冒険者ギルドは、建物自体は周囲と似通ってるけど、出入りしてる人の多くが筋骨隆々で、ちょっと異質な雰囲気。
入口で立ち止まってたら、結構視線を感じる。敵だと思われて襲われないのはありがたいけど、視線が痛い。
ルトたちと一緒に来ればよかったなぁ。
二人に連絡してみたら、『今、温泉中だから行けない』って返事だった。
もしかして混浴?
……羨ましい! 僕も二人と温泉楽しみたかった! 浮き輪とか水鉄砲とか用意して突撃しちゃおうかな!?
一人でダンダンと地面を蹴って不満をぶつけてたら、冒険者たちから距離を置かれた気がする。
誰かが「天兎が荒ぶってるぅ。鎮まりたまえぇ!」ってお祈りポーズをしてた。
驚かせてごめん。だから、地面に膝つくのやめよう?
「騒がしいと思ったら……なにやってんだ、お前」
「ごめんちゃいっ」
「謝る気あるか?」
突然怖い声で話しかけられて、反射的に頭を下げる。
言葉は……まぁ、普通に噛んだんだよね! 恥ずかしいから指摘しないで!
そろっと視線を上げたら、厳ついおじさんが腕を組んで立ってた。
誰だろー? という疑問は、周囲の「ギルド長が出てきた!」という言葉で解決する。
「……なんでギルド長が出てくるの?!」
「お前が騒ぎを起こしてるからだが?」
「ごめんなさい!」
今度はちゃんと言えた。怒らないでよぉ。
「まぁ、お前が悪いわけじゃなくて、あいつらが騒ぎ過ぎだってことはわかったがな」
ため息をついたギルド長が、ポンポンと頭を撫でてくれた。これは許された感じ。
「――依頼受けに来たのか?」
「あー、うん、それもあるけど」
ガントさんに言われたことを思い出して、否定できなかった。第一目的は図書室の利用なんだけどね。
ギルド長は片眉を上げて訝しげな表情になったけど「そうか」と言ってスルーしてくれる。
「依頼はボードか受付カウンターで確認するといい」
そう教えてくれたと思うと、ギルド長が身を翻してギルドの中に入っていく。
慌てて追ってみたけど、もう中にはいなかった。瞬間移動かな!?
たむろしてる冒険者たちの視線を感じる。このギルドは酒場を併設してるらしい。
明るい内から酔っ払ってるのはどうなんだろう? 依頼を完了してるならいいのかな。
とりあえず、受付に行ってみよう。
運良く人が並んでなくて、受付のお姉さんに「こんにちは」と微笑みながら言われた。
「こんにちは~。衛兵長のガントさんに聞いた『結界の影響を受けにくいモンスター』のことを知りたいんだけど」
「その情報はこちらです」
カウンターに紙が載せられる。
書かれているのは三種類のモンスターについて。それぞれ『北の霊峰』『東の鉱山』『西のキーリ湖』で見つかったモンスターらしい。
北の霊峰エリアにいるのは【狂雪獣】というモンスターで、氷属性。
東の鉱山エリアにいるのは【狂岩獣】というモンスターで、岩属性。
西のキーリ湖エリアにいるのは【狂水獣】というモンスターで、水属性。
「……水属性はわかるけど、氷・岩属性なんて初めて見たなぁ」
しかも、各モンスターの名前に『狂』って付いてるのが気になる。これ、きっとなんか意味があるよね。
「——これ、詳しい情報あるの?」
「モンスターについては、二階の図書室でお調べください。依頼は『当該モンスターの討伐、並びに討伐証明アイテムの提出』になっています」
「討伐証明アイテムかぁ」
そういえば、モンスター倒してドロップアイテムを入手しても、錬金に使うばっかりだったなぁ。ギルドの依頼を達成するのも考えた方がいいかも。
「アイテムについても図書室で調べられますよ」
「はーい、行ってみるよ。——あ、お姉さんのお名前は?」
聞いてみたら、ニコッと微笑まれる。
「マリアです。よろしくお願いします」
「僕はモモだよ。今後色々聞くかもしれないから、よろしくね~」
「はい、ご遠慮なくどうぞ。討伐依頼を受諾しておきますか? 期限なしで、失敗ペナルティもありませんよ」
ちょっと考えてから頷く。
たぶんいつか倒すことになるでしょ。
「うん、お願い」
「ではギルド証を見せてください。——依頼受諾が完了しました。他の依頼も確認しますか?」
「今はやめとこうかな」
マリアさんが「そうですか」と頷く。
ここでの目的は達成したし、図書室に行くぞ~。
「マリアさん、またね!」
「はい、モモさんのご活躍を期待しております」
ふりふり、と手を振ったら、控えめに手を振り返してくれた。
離れてから、マリアさんの声で「天兎、激かわなんですけどっ!」と小さく叫ぶのが聞こえてきたのは、気のせいかな?
もちろん、途中で仙桃飴を入手したよ!
売ってたお店は『モンスターフード店』だった。いろんなモンスターが好む食べ物アイテムを売ってるらしい。
でも、店主さんが言うには、モンスターをテイムするなら自分で作った食べ物アイテムを使った方が成功する確率が高くなるんだって。
帰り際に、店主さんに「フード用の特殊レシピも売ってるから、また来てくれよ」とも言われた。
商売上手なんだからぁ! きっと利用させてもらうよ!
「ここが第三の街の冒険者ギルドかぁ」
到着した建物を観察する。
第三の街の中央付近にあった冒険者ギルドは、建物自体は周囲と似通ってるけど、出入りしてる人の多くが筋骨隆々で、ちょっと異質な雰囲気。
入口で立ち止まってたら、結構視線を感じる。敵だと思われて襲われないのはありがたいけど、視線が痛い。
ルトたちと一緒に来ればよかったなぁ。
二人に連絡してみたら、『今、温泉中だから行けない』って返事だった。
もしかして混浴?
……羨ましい! 僕も二人と温泉楽しみたかった! 浮き輪とか水鉄砲とか用意して突撃しちゃおうかな!?
一人でダンダンと地面を蹴って不満をぶつけてたら、冒険者たちから距離を置かれた気がする。
誰かが「天兎が荒ぶってるぅ。鎮まりたまえぇ!」ってお祈りポーズをしてた。
驚かせてごめん。だから、地面に膝つくのやめよう?
「騒がしいと思ったら……なにやってんだ、お前」
「ごめんちゃいっ」
「謝る気あるか?」
突然怖い声で話しかけられて、反射的に頭を下げる。
言葉は……まぁ、普通に噛んだんだよね! 恥ずかしいから指摘しないで!
そろっと視線を上げたら、厳ついおじさんが腕を組んで立ってた。
誰だろー? という疑問は、周囲の「ギルド長が出てきた!」という言葉で解決する。
「……なんでギルド長が出てくるの?!」
「お前が騒ぎを起こしてるからだが?」
「ごめんなさい!」
今度はちゃんと言えた。怒らないでよぉ。
「まぁ、お前が悪いわけじゃなくて、あいつらが騒ぎ過ぎだってことはわかったがな」
ため息をついたギルド長が、ポンポンと頭を撫でてくれた。これは許された感じ。
「――依頼受けに来たのか?」
「あー、うん、それもあるけど」
ガントさんに言われたことを思い出して、否定できなかった。第一目的は図書室の利用なんだけどね。
ギルド長は片眉を上げて訝しげな表情になったけど「そうか」と言ってスルーしてくれる。
「依頼はボードか受付カウンターで確認するといい」
そう教えてくれたと思うと、ギルド長が身を翻してギルドの中に入っていく。
慌てて追ってみたけど、もう中にはいなかった。瞬間移動かな!?
たむろしてる冒険者たちの視線を感じる。このギルドは酒場を併設してるらしい。
明るい内から酔っ払ってるのはどうなんだろう? 依頼を完了してるならいいのかな。
とりあえず、受付に行ってみよう。
運良く人が並んでなくて、受付のお姉さんに「こんにちは」と微笑みながら言われた。
「こんにちは~。衛兵長のガントさんに聞いた『結界の影響を受けにくいモンスター』のことを知りたいんだけど」
「その情報はこちらです」
カウンターに紙が載せられる。
書かれているのは三種類のモンスターについて。それぞれ『北の霊峰』『東の鉱山』『西のキーリ湖』で見つかったモンスターらしい。
北の霊峰エリアにいるのは【狂雪獣】というモンスターで、氷属性。
東の鉱山エリアにいるのは【狂岩獣】というモンスターで、岩属性。
西のキーリ湖エリアにいるのは【狂水獣】というモンスターで、水属性。
「……水属性はわかるけど、氷・岩属性なんて初めて見たなぁ」
しかも、各モンスターの名前に『狂』って付いてるのが気になる。これ、きっとなんか意味があるよね。
「——これ、詳しい情報あるの?」
「モンスターについては、二階の図書室でお調べください。依頼は『当該モンスターの討伐、並びに討伐証明アイテムの提出』になっています」
「討伐証明アイテムかぁ」
そういえば、モンスター倒してドロップアイテムを入手しても、錬金に使うばっかりだったなぁ。ギルドの依頼を達成するのも考えた方がいいかも。
「アイテムについても図書室で調べられますよ」
「はーい、行ってみるよ。——あ、お姉さんのお名前は?」
聞いてみたら、ニコッと微笑まれる。
「マリアです。よろしくお願いします」
「僕はモモだよ。今後色々聞くかもしれないから、よろしくね~」
「はい、ご遠慮なくどうぞ。討伐依頼を受諾しておきますか? 期限なしで、失敗ペナルティもありませんよ」
ちょっと考えてから頷く。
たぶんいつか倒すことになるでしょ。
「うん、お願い」
「ではギルド証を見せてください。——依頼受諾が完了しました。他の依頼も確認しますか?」
「今はやめとこうかな」
マリアさんが「そうですか」と頷く。
ここでの目的は達成したし、図書室に行くぞ~。
「マリアさん、またね!」
「はい、モモさんのご活躍を期待しております」
ふりふり、と手を振ったら、控えめに手を振り返してくれた。
離れてから、マリアさんの声で「天兎、激かわなんですけどっ!」と小さく叫ぶのが聞こえてきたのは、気のせいかな?
1,364
お気に入りに追加
3,731
あなたにおすすめの小説

女子力の高い僕は異世界でお菓子屋さんになりました
初昔 茶ノ介
ファンタジー
昔から低身長、童顔、お料理上手、家がお菓子屋さん、etc.と女子力満載の高校2年の冬樹 幸(ふゆき ゆき)は男子なのに周りからのヒロインのような扱いに日々悩んでいた。
ある日、学校の帰りに道に悩んでいるおばあさんを助けると、そのおばあさんはただのおばあさんではなく女神様だった。
冗談半分で言ったことを叶えると言い出し、目が覚めた先は見覚えのない森の中で…。
のんびり書いていきたいと思います。
よければ感想等お願いします。

【完結】私の見る目がない?えーっと…神眼持ってるんですけど、彼の良さがわからないんですか?じゃあ、家を出ていきます。
西東友一
ファンタジー
えっ、彼との結婚がダメ?
なぜです、お父様?
彼はイケメンで、知性があって、性格もいい?のに。
「じゃあ、家を出ていきます」

最悪のゴミスキルと断言されたジョブとスキルばかり山盛りから始めるVRMMO
無謀突撃娘
ファンタジー
始めまして、僕は西園寺薫。
名前は凄く女の子なんだけど男です。とある私立の学校に通っています。容姿や行動がすごく女の子でよく間違えられるんだけどさほど気にしてないかな。
小説を読むことと手芸が得意です。あとは料理を少々出来るぐらい。
特徴?う~ん、生まれた日にちがものすごい運気の良い星ってぐらいかな。
姉二人が最新のVRMMOとか言うのを話題に出してきたんだ。
ゲームなんてしたこともなく説明書もチンプンカンプンで何も分からなかったけど「何でも出来る、何でもなれる」という宣伝文句とゲーム実況を見て始めることにしたんだ。
スキルなどはβ版の時に最悪スキルゴミスキルと認知されているスキルばかりです、今のゲームでは普通ぐらいの認知はされていると思いますがこの小説の中ではゴミにしかならない無用スキルとして認知されいます。
そのあたりのことを理解して読んでいただけると幸いです。
【完結】捨てられた双子のセカンドライフ
mazecco
ファンタジー
【第14回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞作】
王家の血を引きながらも、不吉の象徴とされる双子に生まれてしまったアーサーとモニカ。
父王から疎まれ、幼くして森に捨てられた二人だったが、身体能力が高いアーサーと魔法に適性のあるモニカは、力を合わせて厳しい環境を生き延びる。
やがて成長した二人は森を出て街で生活することを決意。
これはしあわせな第二の人生を送りたいと夢見た双子の物語。
冒険あり商売あり。
さまざまなことに挑戦しながら双子が日常生活?を楽しみます。
(話の流れは基本まったりしてますが、内容がハードな時もあります)

【完結】デスペナのないVRMMOで一度も死ななかった生産職のボクは最強になりました。
鳥山正人
ファンタジー
デスペナのないフルダイブ型VRMMOゲームで一度も死ななかったボク、三上ハヤトがノーデスボーナスを授かり最強になる物語。
鍛冶スキルや錬金スキルを使っていく、まったり系生産職のお話です。
まったり更新でやっていきたいと思っていますので、よろしくお願いします。
「DADAN WEB小説コンテスト」1次選考通過しました。

私は〈元〉小石でございます! ~癒し系ゴーレムと魔物使い~
Ss侍
ファンタジー
"私"はある時目覚めたら身体が小石になっていた。
動けない、何もできない、そもそも身体がない。
自分の運命に嘆きつつ小石として過ごしていたある日、小さな人形のような可愛らしいゴーレムがやってきた。
ひょんなことからそのゴーレムの身体をのっとってしまった"私"。
それが、全ての出会いと冒険の始まりだとは知らずに_____!!

私は、忠告を致しましたよ?
柚木ゆず
ファンタジー
ある日の、放課後のことでした。王立リザエンドワール学院に籍を置く私マリエスは、生徒会長を務められているジュリアルス侯爵令嬢ロマーヌ様に呼び出されました。
「生徒会の仲間である貴方様に、婚約祝いをお渡したくてこうしておりますの」
ロマーヌ様はそのように仰られていますが、そちらは嘘ですよね? 私は常に最愛の方に護っていただいているので、貴方様には悪意があると気付けるのですよ。
ロマーヌ様。まだ間に合います。
今なら、引き返せますよ?

ぬいぐるみばかり作っていたら実家を追い出された件〜だけど作ったぬいぐるみが意志を持ったので何も不自由してません〜
望月かれん
ファンタジー
中流貴族シーラ・カロンは、ある日勘当された。理由はぬいぐるみ作りしかしないから。
戸惑いながらも少量の荷物と作りかけのぬいぐるみ1つを持って家を出たシーラは1番近い町を目指すが、その日のうちに辿り着けず野宿をすることに。
暇だったので、ぬいぐるみを完成させようと意気込み、ついに夜更けに完成させる。
疲れから眠りこけていると聞き慣れない低い声。
なんと、ぬいぐるみが喋っていた。
しかもぬいぐるみには帰りたい場所があるようで……。
天真爛漫娘✕ワケアリぬいぐるみのドタバタ冒険ファンタジー。
※この作品は小説家になろう・ノベルアップ+にも掲載しています。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる