159 / 259
錬金術士だよ?
147.象さん、あそびましょー
しおりを挟む
早速売り出した一万リョウのぬいぐるみを巡って騒ぎが起きている店を出た。
タマモが喧嘩にならないよう見守るって言ってくれたから、きっと大丈夫だ。希少種会との待ち合わせ時間が迫ってたから、そっちを優先させてもらうね!
ということで、西門で希少種会と合流して、小象のところまで向かう。みんな、もう慣れた感じで道中のモンスターを倒してた。
……ツッキーたちのレベルが高くなってる。ルトに言われてレベリングがんばってて良かったー! 危うく先輩面できなくなるところだったよ。
「うわぁ、みなさん強い! 尊敬します!」
僕たちについてきたヤナが歓声を上げた。
ヤナは異世界の住人頼りで小象戦をクリアしたばかりで、今後転移スキル取得を目指すんだって。今日は僕たちのバトルを見て、攻略法を学びたいって言うから連れてきた。
パーティーメンバーの最大数が六人だから、ヤナはバトルエリア外から見学するだけ。
「当然にゃん」
「ボス戦繰り返してるんだから、そりゃレベルは上がるさ」
「そうですね……。そろそろ転移スキルをもらえそうなんですけど、最近はギリギリのところで失敗するのが続いてるんです」
自慢げなムギとツッキーとは違い、ソウタが苦笑しながら呟いた。
「アイテムを使っても無理な感じなの?」
「モモさんにもらったアイテムは効果抜群ですよ。それがなかったら、もっと厳しい戦いになっちゃいます」
ソウタたちの役に立ってるなら良かった。今日転移スキルをゲットできるといいねぇ。
「アイテムってなに使ってるんだ?」
「えっと……麻痺薬とか……飛ぶのとか、ですね」
ちらっと見てきたソウタの視線に、頷いて返す。羽が生えるアイテムをリリとルトは知ってるし、ヤナに知られても問題ないと思う。
「飛ぶ?」
「僕みたいに飛べるアイテムだよー。まだ一般販売してないから内緒でね? ヤナが使いたいなら、売ってあげるよ」
「内緒にします! なのでください!」
ヤナが勢いよくお願いしてきたので「りょーかい」と応える。ぜひ小象戦で活用してください。
「麻痺薬って、小象にはあまり効かないって聞いたぞ?」
羽が生えるアイテムの話題を聞き流したルトが、不思議そうに呟いた。
「あんまりってだけで、多少は効果あるにゃ。しかも、アイテムでの行動阻害も、転移スキル取得条件の要素の一つになってるんだにゃ」
「そうなの? 知らなかったなぁ」
リリが意外そうに目を見張った。
小象を倒して転移スキルを入手するにはいくつか条件があって、総与ダメ量と味方の回復量がよく知られてるけど、アイテムでの与ダメ量やバフ・デバフでの支援率も関係してくるんだって。
「それでも転移スキルゲットできねぇんだよ。マジ、モモの新アイテムには期待してるぞ!」
ツッキーが僕の背中をバシッと叩いてきた。低空で飛んでたから、びゅーんと勢いよく進んじゃってびっくりする。
「僕はボールじゃないよー!」
「わりぃ、わりぃ……でも、飛びっぷりがハンパなかったぞ!」
ワハハッ、と笑ってるツッキーを振り返って睨む。全然反省してる感じがしない。
「なにやってるにゃ……」
「モモさんにまで迷惑かけないでくださいよ……」
ムギとソウタが呆れた感じでツッキーを見てる。ソウタの口振りだと、ツッキーに迷惑かけられるの慣れてるみたいだ。これは僕がお仕置きすべき?
悩んでたところで小象のところに着いちゃったから、お仕置きはなしになった。ツッキーは命拾いしたね!
「久しぶりの小象戦、腕がなるな」
やる気いっぱいで呟くルトは、バトルジャンキーそのものの表情で、リリを苦笑させていた。
まぁ、そんなところも含めて、良いやつだと思うし、受け入れるよ。僕もなんだかんだとバトルが楽しくなってきてるし。
「今日の目的は新アイテム試用とムギたちの転移スキル獲得だよー。がんばろうね!」
「おう!」
それぞれに気合いを入れた声を返してくれる。
その勢いで、小象のバトルエリアに入った。ヤナは少し離れたところで見学だ。
「小象、久しぶり~。……頭のお花、復活してて良かったよ!」
怯えたように後ずさる小象に挨拶した。そういう仕様とはいえ、避けられるのはちょっぴり傷つく。
前回会った時に、大切な花を奪ったことを思い出すと、仕方ないなと思わざるをえないんだけど。
「バトルについては事前に話していた通りでいいな?」
ルトが小象を見据えながら言う。道中で、大まかなバトルの流れはみんなで確認してたんだ。今回はアイテムの試用が主な目的だから、漏れがないようにするために。
「いえっさー! まず試すのはペイントボールだよね」
「おう。的がデカいから、外すことはねぇだろうが、ちゃんと投げろよ?」
「任せて~」
「……いまいち信用できねぇんだよなぁ」
「なんで?」
ボソッと聞き捨てならないことを言われた。僕はこれまでボム系のアイテムをちゃんと使ってきたんだ。ペイントボールも似たようなものなんだから、問題ないはず!
「私も投げる?」
「んー……じゃあ、リリはボム系担当ね! ムギたちも使ってみて。支援率に関わってくるだろうし」
麻痺ボムとファイアボム、パウダーボムを渡しておく。
火炎の縄は投擲スキル持ちがいないから、試用保留だ。今回のバトルで上手いこと投擲スキルをゲットできたら試してみる予定。
「んじゃ、そろそろ殺るか」
「やる、の漢字変換が物騒だった気がする……」
「気のせいじゃねぇぞ?」
にやりと笑ったルトに呆れた。でも、楽しそうなのは良いことだ。
僕も精いっぱい戦って、楽しもう!
タマモが喧嘩にならないよう見守るって言ってくれたから、きっと大丈夫だ。希少種会との待ち合わせ時間が迫ってたから、そっちを優先させてもらうね!
ということで、西門で希少種会と合流して、小象のところまで向かう。みんな、もう慣れた感じで道中のモンスターを倒してた。
……ツッキーたちのレベルが高くなってる。ルトに言われてレベリングがんばってて良かったー! 危うく先輩面できなくなるところだったよ。
「うわぁ、みなさん強い! 尊敬します!」
僕たちについてきたヤナが歓声を上げた。
ヤナは異世界の住人頼りで小象戦をクリアしたばかりで、今後転移スキル取得を目指すんだって。今日は僕たちのバトルを見て、攻略法を学びたいって言うから連れてきた。
パーティーメンバーの最大数が六人だから、ヤナはバトルエリア外から見学するだけ。
「当然にゃん」
「ボス戦繰り返してるんだから、そりゃレベルは上がるさ」
「そうですね……。そろそろ転移スキルをもらえそうなんですけど、最近はギリギリのところで失敗するのが続いてるんです」
自慢げなムギとツッキーとは違い、ソウタが苦笑しながら呟いた。
「アイテムを使っても無理な感じなの?」
「モモさんにもらったアイテムは効果抜群ですよ。それがなかったら、もっと厳しい戦いになっちゃいます」
ソウタたちの役に立ってるなら良かった。今日転移スキルをゲットできるといいねぇ。
「アイテムってなに使ってるんだ?」
「えっと……麻痺薬とか……飛ぶのとか、ですね」
ちらっと見てきたソウタの視線に、頷いて返す。羽が生えるアイテムをリリとルトは知ってるし、ヤナに知られても問題ないと思う。
「飛ぶ?」
「僕みたいに飛べるアイテムだよー。まだ一般販売してないから内緒でね? ヤナが使いたいなら、売ってあげるよ」
「内緒にします! なのでください!」
ヤナが勢いよくお願いしてきたので「りょーかい」と応える。ぜひ小象戦で活用してください。
「麻痺薬って、小象にはあまり効かないって聞いたぞ?」
羽が生えるアイテムの話題を聞き流したルトが、不思議そうに呟いた。
「あんまりってだけで、多少は効果あるにゃ。しかも、アイテムでの行動阻害も、転移スキル取得条件の要素の一つになってるんだにゃ」
「そうなの? 知らなかったなぁ」
リリが意外そうに目を見張った。
小象を倒して転移スキルを入手するにはいくつか条件があって、総与ダメ量と味方の回復量がよく知られてるけど、アイテムでの与ダメ量やバフ・デバフでの支援率も関係してくるんだって。
「それでも転移スキルゲットできねぇんだよ。マジ、モモの新アイテムには期待してるぞ!」
ツッキーが僕の背中をバシッと叩いてきた。低空で飛んでたから、びゅーんと勢いよく進んじゃってびっくりする。
「僕はボールじゃないよー!」
「わりぃ、わりぃ……でも、飛びっぷりがハンパなかったぞ!」
ワハハッ、と笑ってるツッキーを振り返って睨む。全然反省してる感じがしない。
「なにやってるにゃ……」
「モモさんにまで迷惑かけないでくださいよ……」
ムギとソウタが呆れた感じでツッキーを見てる。ソウタの口振りだと、ツッキーに迷惑かけられるの慣れてるみたいだ。これは僕がお仕置きすべき?
悩んでたところで小象のところに着いちゃったから、お仕置きはなしになった。ツッキーは命拾いしたね!
「久しぶりの小象戦、腕がなるな」
やる気いっぱいで呟くルトは、バトルジャンキーそのものの表情で、リリを苦笑させていた。
まぁ、そんなところも含めて、良いやつだと思うし、受け入れるよ。僕もなんだかんだとバトルが楽しくなってきてるし。
「今日の目的は新アイテム試用とムギたちの転移スキル獲得だよー。がんばろうね!」
「おう!」
それぞれに気合いを入れた声を返してくれる。
その勢いで、小象のバトルエリアに入った。ヤナは少し離れたところで見学だ。
「小象、久しぶり~。……頭のお花、復活してて良かったよ!」
怯えたように後ずさる小象に挨拶した。そういう仕様とはいえ、避けられるのはちょっぴり傷つく。
前回会った時に、大切な花を奪ったことを思い出すと、仕方ないなと思わざるをえないんだけど。
「バトルについては事前に話していた通りでいいな?」
ルトが小象を見据えながら言う。道中で、大まかなバトルの流れはみんなで確認してたんだ。今回はアイテムの試用が主な目的だから、漏れがないようにするために。
「いえっさー! まず試すのはペイントボールだよね」
「おう。的がデカいから、外すことはねぇだろうが、ちゃんと投げろよ?」
「任せて~」
「……いまいち信用できねぇんだよなぁ」
「なんで?」
ボソッと聞き捨てならないことを言われた。僕はこれまでボム系のアイテムをちゃんと使ってきたんだ。ペイントボールも似たようなものなんだから、問題ないはず!
「私も投げる?」
「んー……じゃあ、リリはボム系担当ね! ムギたちも使ってみて。支援率に関わってくるだろうし」
麻痺ボムとファイアボム、パウダーボムを渡しておく。
火炎の縄は投擲スキル持ちがいないから、試用保留だ。今回のバトルで上手いこと投擲スキルをゲットできたら試してみる予定。
「んじゃ、そろそろ殺るか」
「やる、の漢字変換が物騒だった気がする……」
「気のせいじゃねぇぞ?」
にやりと笑ったルトに呆れた。でも、楽しそうなのは良いことだ。
僕も精いっぱい戦って、楽しもう!
1,177
お気に入りに追加
3,052
あなたにおすすめの小説
気絶した婚約者を置き去りにする男の踏み台になんてならない!
ひづき
恋愛
ヒロインにタックルされて気絶した。しかも婚約者は気絶した私を放置してヒロインと共に去りやがった。
え、コイツらを幸せにする為に私が悪役令嬢!?やってられるか!!
それより気絶した私を運んでくれた恩人は誰だろう?
【短編】復讐すればいいのに〜婚約破棄のその後のお話〜
真辺わ人
恋愛
平民の女性との間に真実の愛を見つけた王太子は、公爵令嬢に婚約破棄を告げる。
しかし、公爵家と国王の不興を買い、彼は廃太子とされてしまった。
これはその後の彼(元王太子)と彼女(平民少女)のお話です。
数年後に彼女が語る真実とは……?
前中後編の三部構成です。
❇︎ざまぁはありません。
❇︎設定は緩いですので、頭のネジを緩めながらお読みください。
最後に、お願いがあります
狂乱の傀儡師
恋愛
三年間、王妃になるためだけに尽くしてきた馬鹿王子から、即位の日の直前に婚約破棄されたエマ。
彼女の最後のお願いには、国を揺るがすほどの罠が仕掛けられていた。
【完】あの、……どなたでしょうか?
桐生桜月姫
恋愛
「キャサリン・ルーラー
爵位を傘に取る卑しい女め、今この時を以て貴様との婚約を破棄する。」
見た目だけは、麗しの王太子殿下から出た言葉に、婚約破棄を突きつけられた美しい女性は………
「あの、……どなたのことでしょうか?」
まさかの意味不明発言!!
今ここに幕開ける、波瀾万丈の間違い婚約破棄ラブコメ!!
結末やいかに!!
*******************
執筆終了済みです。
婚約者に毒を飲まされた私から【毒を分解しました】と聞こえてきました。え?
こん
恋愛
成人パーティーに参加した私は言われのない罪で婚約者に問い詰められ、遂には毒殺をしようとしたと疑われる。
「あくまでシラを切るつもりだな。だが、これもお前がこれを飲めばわかる話だ。これを飲め!」
そう言って婚約者は毒の入ったグラスを渡す。渡された私は躊躇なくグラスを一気に煽る。味は普通だ。しかし、飲んでから30秒経ったあたりで苦しくなり初め、もう無理かも知れないと思った時だった。
【毒を検知しました】
「え?」
私から感情のない声がし、しまいには毒を分解してしまった。私が驚いている所に友達の魔法使いが駆けつける。
※なろう様で掲載した作品を少し変えたものです
(完)貴女は私の全てを奪う妹のふりをする他人ですよね?
青空一夏
恋愛
公爵令嬢の私は婚約者の王太子殿下と優しい家族に、気の合う親友に囲まれ充実した生活を送っていた。それは完璧なバランスがとれた幸せな世界。
けれど、それは一人の女のせいで歪んだ世界になっていくのだった。なぜ私がこんな思いをしなければならないの?
中世ヨーロッパ風異世界。魔道具使用により現代文明のような便利さが普通仕様になっている異世界です。
転生先が意地悪な王妃でした。うちの子が可愛いので今日から優しいママになります! ~陛下、もしかして一緒に遊びたいのですか?
朱音ゆうひ
恋愛
転生したら、我が子に冷たくする酷い王妃になってしまった!
「お母様、謝るわ。お母様、今日から変わる。あなたを一生懸命愛して、優しくして、幸せにするからね……っ」
王子を抱きしめて誓った私は、その日から愛情をたっぷりと注ぐ。
不仲だった夫(国王)は、そんな私と息子にそわそわと近づいてくる。
もしかして一緒に遊びたいのですか、あなた?
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5296ig/)
てめぇの所為だよ
章槻雅希
ファンタジー
王太子ウルリコは政略によって結ばれた婚約が気に食わなかった。それを隠そうともせずに臨んだ婚約者エウフェミアとの茶会で彼は自分ばかりが貧乏くじを引いたと彼女を責める。しかし、見事に返り討ちに遭うのだった。
『小説家になろう』様・『アルファポリス』様の重複投稿、自サイトにも掲載。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる