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美味を求めて
55.モモ七変化!
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タマモとは写真撮影イベントについて後日連絡する約束をして別れた。
もふもふ界の一大スターとして、見栄えのするポーズの研究をしておこうかな。参考にするのは夢の国のキャラクターでいい? あの方々は真のプロだと思います。
「……いや、自分で一大スターとか言うんかい」
「てへぺろ」
ホーム近くでばったり出会ったルトに話したら、ジト目でツッコまれた。その隣でリリは爆笑してる。楽しんでもらえて嬉しいよ。
「そういえば、掲示板でモモのことちょっと話しちゃってごめんねー。言っておくの忘れてた」
「驚いただけだし、別にいいよー」
軽く受け流す。リリのことだから、ちゃんと配慮して掲示板で話してくれてるんだと思う。そこで僕が悪く言われてないなら問題ない。
「ありがと。……それにしても、もふらーさんって、タマモちゃんって言うんだねぇ」
「掲示板で、もふらーって名乗ってるの?」
「うん。地味にファンがついてるプレイヤーさんだよ。もふもふへの熱意がすごい人」
タマモのもふもふへの熱意は、対面した僕もよくわかってる。ファンがつくほどなのは、びっくりだけど。まぁ、アバターもセクシーで可愛いしね。
「あ、そうだ。今度一緒に桃カフェに行こう!」
「ミッションなんだったな。写真撮影イベントで普通にクリアできそうだけど」
「それはそれとして、友だちとカフェでおしゃべりしたい」
「カフェでおしゃべり楽しいよねー。私も行きたい!」
ルトは「えー……」って感じだけど、リリが乗り気だから、一緒に来てくれるはず。二人は基本的にニコイチだもん。
「……それより、南の密林だろ。俺も手伝ってやりたいけどなぁ」
「私たち、そのフィールドは一旦断念したんだよね。視界悪いし、攻撃を受けることが多すぎて。今は東の牧草地でバトルしてるの」
「そうなんだー……」
南の密林、思っていた以上に、難しいフィールドなのか。むむっ、これは困ったぞ。一回ソロでチャレンジしてみないと、難易度がよくわかんないな。
――ポン!
「あ、チャットが来た」
通知音が聞こえて確認したら、マナからの連絡だった。
――――――
マナ『ハロー、ハニー』
モモ『どういうノリなのww』
マナ『挨拶をどうすべきか考えた結果、迷走した』
モモ『文章になるとコミュ障なの? 珍しいパターンだね!ww』
――――――
笑ってたら、ルトとリリに「ナニゴト?」って聞かれた。ごめん、いきなり笑い出した変なやつみたいになってたね。
マナのことを説明しながら、チャットを続ける。
――――――
マナ『コミュ障って初めて言われた。チャット初めてだったことに気づいた。気づかせてくれてありがとう』
モモ『初めてならしかたない! いつでも連絡してね。僕で慣れていこう!』
マナ『ありがとう。それより報告。家帰ってから幻桃のこと改めて調べたよ』
――――――
わざわざ調べてくれたみたい。仕事が早いなー。
マナが調べたことによると、幻桃の木は、南の密林に一本しかないらしい。実が生るのは、三十日で一個だけ。農地で栽培すると、もっと高頻度にたくさんの量を収穫できるみたいだけど。
南の密林で実を収穫するだけで、パティエンヌちゃんに必要な分を満たすのは難しいだろうなぁ。
――――――
マナ『たくさんほしいなら、実を採ってきて、栽培するのがいいと思う。今、栽培法も調べてるけど、まとめるには時間がかかりそう』
モモ『調べてくれてありがとう! 栽培法は【上級栽培】以上のスキルが必要なことは知ってるよ。他にもなんかあったら教えてくれたら嬉しいです』
マナ『わかった。またなにかわかったら連絡する』
モモ『よろしくお願いしまーす!』
――――――
チャットを終えて、「うーん……」と悩む。
やっぱり、南の密林に行って実を採ってこないと、なにも始まらないよね。
「行くか、南の密林……」
装備を揃えるところから始めようかな。そうしたら、所持金が減って、もし死に戻りしたとしても、損が少ない気がするし。
そろそろ銀行みたいな所持金を管理するシステムが実装されないかなー。
「……手伝おうか?」
「え、いや、いいよ。無理しないで。とりあえず一人で挑戦してみるから」
窺うように提案してきたルトに、慌てて手と首を振る。
僕がしたくてすることなんだから、ルトたちを振り回せないよね。今後東の牧草地でレベリングする必要があったら協力してもらおう。
とりあえず、一回ソロで挑戦してみるべし!
「そうだ! ステータスアップにはならないだろうけど、洋服できたからプレゼントするね!」
リリが唐突にポン、と手を打った。
それで僕も、アバター衣装用の装備をお願いしていたことを思い出す。
僕はアクセサリー系の装備しか、ステータスに反映されないんだよね。見た目は変えられるから、リリが作ってくれる衣装に期待してたんだ。
「ほんと!? 楽しみにしてたんだ~」
「たくさん作ってたぞ」
「え、そんなに……?」
なぜだか遠い目をしてるルトに、ちょっぴり困惑する。リリはテンション高く微笑んでるから、なんだか温度差がすごい。
「まずはこれ――【モモスペシャル 農家さんバージョン】!」
はい、と渡されて、首を傾げる。
手のひらサイズの水晶玉のようなものの中に、イラストチックな衣装が浮かんでた。ストレージにしまわれたアイテムに似てる。
「よくわからないなぁ」
「着てみたらわかるよ。アイテムボックスにしまって、アバター衣装変更から選択できるはず」
「なるほど……」
言われた通りにしてみる。
すると、僕の周りをふわっと光が走った。……アニメの変身シーンみたいだ。ちょっとテンション上がる。
「お、似合ってる……くくっ」
「笑ってるじゃん」
ルトが押さえきれない笑みを拳で隠してた。
頭の上にはたぶん麦わら帽子がある。首元には手ぬぐい? ウサギの柄が端に刺繍されてて、リリのこだわりを感じるなー。服はオレンジのシャツ。
「可愛い! 似合ってるよ!」
「自分で見れないのが悲しい……!」
「ステータスでアバター映像見れるよ?」
「えっ、そんな機能があったの?」
リリに言われて、ステータス画面を確認。装備欄の端の方に、アバター確認っていう項目があった。
「――おお! 農家天兎、可愛い!」
画面上に映し出されたのは、僕を傍観した感じの映像。ちょこちょこ動いて、くるっと回ったり、跳ねたり、動作が可愛い。そして、農家衣装がベストマッチしてる!
牧歌的な感じでほのぼのするね~。
実際の農作業では使わないけど、クワとか持ってポーズをとりたい。僕の自撮りならいくらでもできるし。
「アバターに衣装映像を被せてるだけだから、動きやすさは大丈夫だよね?」
「うん、これまでと変わらないよー」
ようやく、裸ん坊うさぎから脱却できた!
元々もふもふで可愛いから、これからも衣装なしバージョンでも楽しむけど。
「次はこれ!」
渡されたのを、今度はまごつくことなく着る。
「……うん? これは……」
「釣り師バージョン!」
「サングラスがヤンチャな感じだね?」
「ぶはっ……いいじゃん、めっちゃ大漁旗掲げてそうだぜ」
防水っぽい見た目のジャケット、頭には麦わら帽子とサングラス。
せっかく作ってくれたし、いつか活用しよう。
爆笑してるルトの足をさりげなく踏んでおく。体重が軽いのが残念!
「こっちは錬金術士だよー」
「白衣だ! 研究者って感じでいいね。知的!」
「あー、まぁ、似合ってんじゃね? 面白みはねぇけど」
「面白さは求めてないの!」
シンプルに白衣とモノクルの組み合わせは、気が引き締まる感じがする。カッコいいんじゃないかな。
……これで作るのが、釣り餌なのはちょっといただけないので、ちゃんと錬金術がんばります。
「そしてこれが、コックさん」
「これも白い衣装だけど、襟元に刺繍があっておしゃれだね。コック帽が可愛い」
「モモにはこれが一番必要だろうな」
「僕、料理してばっかりなわけじゃないよ?」
ルトたちには会う度に料理を渡してるから、勘違いされてる気がする。
「釣りもしてるって知ってる」
「料理と釣りだけじゃないからー! 果物収穫のバイトとか、街探索とかもしてるもん」
「バトルは?」
「……してる!」
まだ第二の街周辺のバトルフィールドに出てないけど。街に一番乗りしたけど、バトル以外が楽しくて、ね。
「街歩き用の服も作ったよ」
「なんか紳士の国みたいな感じ? 一気におしゃれになったね。不思議の国の白ウサギっぽさがある……?」
「普通すぎて面白くねぇな」
「面白さは求めてないんだってば!」
ルトの膝のあたりにパンチ。全然痛がってくれなくて悲しい。
「部屋着はもふもふにした!」
「ねこのきぐるみパジャマ……」
「うさぎに猫を着せるって、どうなんだよ」
さすがにルトが苦笑してる。
僕もどんな気持ちで着てればいいのかわかんない。
フード付きのもこもこパーカーには、猫耳がついてる。リリは、うさ耳はご不満ですか?
アイデンティティが失われた気がして、微妙。でも、アバターは悔しいくらい可愛い……!
「にゃーん」
「猫になりきってんじゃねーよ」
「これを着たら、やらねばならぬと思った」
「可愛いよ!」
「ありがとにゃーん」
招き猫のようなポーズをしたら、リリには好評だった。ルトには冷静にツッコミを入れられたけど。
「バトル用は、魔法使い風にしてみたよー」
「とんがり帽子にローブで、ザ・魔法使いだね」
黒紫色のローブを羽織るだけでも、ばっちり魔法使い。シンプルだけどいいねー。首元のボタンが金色と赤色で可愛い。
「とりあえず今はこれだけ」
「十分だよ! ありがとう!」
「そう? でも、作るの楽しかったから、思い浮かんだらまた作るね」
僕以上にリリの方が乗り気っぽい。作ってくれるならありがたく受け取るよ。
おしゃれになって気分一新。
新しいバトルに向けて気合いが入った気がする!
******
◯NEWアイテム
〈アバター衣装〉
それぞれ組み合わせを変更可能。
【農家さんバージョン】
麦わら帽子、オレンジのシャツ、手ぬぐい。
【釣り師バージョン】
麦わら帽子、防水ジャケット、サングラス。
【錬金術士バージョン】
白衣、モノクル。
【コックさんバージョン】
白衣、コック帽。
【街歩きバージョン】
ジャケット、シャツ、スカーフタイ。
【まったりおうちバージョン(白猫)】
猫耳付きもこもこパーカー。
【魔術士バージョン】
とんがり帽子、ローブ。
******
もふもふ界の一大スターとして、見栄えのするポーズの研究をしておこうかな。参考にするのは夢の国のキャラクターでいい? あの方々は真のプロだと思います。
「……いや、自分で一大スターとか言うんかい」
「てへぺろ」
ホーム近くでばったり出会ったルトに話したら、ジト目でツッコまれた。その隣でリリは爆笑してる。楽しんでもらえて嬉しいよ。
「そういえば、掲示板でモモのことちょっと話しちゃってごめんねー。言っておくの忘れてた」
「驚いただけだし、別にいいよー」
軽く受け流す。リリのことだから、ちゃんと配慮して掲示板で話してくれてるんだと思う。そこで僕が悪く言われてないなら問題ない。
「ありがと。……それにしても、もふらーさんって、タマモちゃんって言うんだねぇ」
「掲示板で、もふらーって名乗ってるの?」
「うん。地味にファンがついてるプレイヤーさんだよ。もふもふへの熱意がすごい人」
タマモのもふもふへの熱意は、対面した僕もよくわかってる。ファンがつくほどなのは、びっくりだけど。まぁ、アバターもセクシーで可愛いしね。
「あ、そうだ。今度一緒に桃カフェに行こう!」
「ミッションなんだったな。写真撮影イベントで普通にクリアできそうだけど」
「それはそれとして、友だちとカフェでおしゃべりしたい」
「カフェでおしゃべり楽しいよねー。私も行きたい!」
ルトは「えー……」って感じだけど、リリが乗り気だから、一緒に来てくれるはず。二人は基本的にニコイチだもん。
「……それより、南の密林だろ。俺も手伝ってやりたいけどなぁ」
「私たち、そのフィールドは一旦断念したんだよね。視界悪いし、攻撃を受けることが多すぎて。今は東の牧草地でバトルしてるの」
「そうなんだー……」
南の密林、思っていた以上に、難しいフィールドなのか。むむっ、これは困ったぞ。一回ソロでチャレンジしてみないと、難易度がよくわかんないな。
――ポン!
「あ、チャットが来た」
通知音が聞こえて確認したら、マナからの連絡だった。
――――――
マナ『ハロー、ハニー』
モモ『どういうノリなのww』
マナ『挨拶をどうすべきか考えた結果、迷走した』
モモ『文章になるとコミュ障なの? 珍しいパターンだね!ww』
――――――
笑ってたら、ルトとリリに「ナニゴト?」って聞かれた。ごめん、いきなり笑い出した変なやつみたいになってたね。
マナのことを説明しながら、チャットを続ける。
――――――
マナ『コミュ障って初めて言われた。チャット初めてだったことに気づいた。気づかせてくれてありがとう』
モモ『初めてならしかたない! いつでも連絡してね。僕で慣れていこう!』
マナ『ありがとう。それより報告。家帰ってから幻桃のこと改めて調べたよ』
――――――
わざわざ調べてくれたみたい。仕事が早いなー。
マナが調べたことによると、幻桃の木は、南の密林に一本しかないらしい。実が生るのは、三十日で一個だけ。農地で栽培すると、もっと高頻度にたくさんの量を収穫できるみたいだけど。
南の密林で実を収穫するだけで、パティエンヌちゃんに必要な分を満たすのは難しいだろうなぁ。
――――――
マナ『たくさんほしいなら、実を採ってきて、栽培するのがいいと思う。今、栽培法も調べてるけど、まとめるには時間がかかりそう』
モモ『調べてくれてありがとう! 栽培法は【上級栽培】以上のスキルが必要なことは知ってるよ。他にもなんかあったら教えてくれたら嬉しいです』
マナ『わかった。またなにかわかったら連絡する』
モモ『よろしくお願いしまーす!』
――――――
チャットを終えて、「うーん……」と悩む。
やっぱり、南の密林に行って実を採ってこないと、なにも始まらないよね。
「行くか、南の密林……」
装備を揃えるところから始めようかな。そうしたら、所持金が減って、もし死に戻りしたとしても、損が少ない気がするし。
そろそろ銀行みたいな所持金を管理するシステムが実装されないかなー。
「……手伝おうか?」
「え、いや、いいよ。無理しないで。とりあえず一人で挑戦してみるから」
窺うように提案してきたルトに、慌てて手と首を振る。
僕がしたくてすることなんだから、ルトたちを振り回せないよね。今後東の牧草地でレベリングする必要があったら協力してもらおう。
とりあえず、一回ソロで挑戦してみるべし!
「そうだ! ステータスアップにはならないだろうけど、洋服できたからプレゼントするね!」
リリが唐突にポン、と手を打った。
それで僕も、アバター衣装用の装備をお願いしていたことを思い出す。
僕はアクセサリー系の装備しか、ステータスに反映されないんだよね。見た目は変えられるから、リリが作ってくれる衣装に期待してたんだ。
「ほんと!? 楽しみにしてたんだ~」
「たくさん作ってたぞ」
「え、そんなに……?」
なぜだか遠い目をしてるルトに、ちょっぴり困惑する。リリはテンション高く微笑んでるから、なんだか温度差がすごい。
「まずはこれ――【モモスペシャル 農家さんバージョン】!」
はい、と渡されて、首を傾げる。
手のひらサイズの水晶玉のようなものの中に、イラストチックな衣装が浮かんでた。ストレージにしまわれたアイテムに似てる。
「よくわからないなぁ」
「着てみたらわかるよ。アイテムボックスにしまって、アバター衣装変更から選択できるはず」
「なるほど……」
言われた通りにしてみる。
すると、僕の周りをふわっと光が走った。……アニメの変身シーンみたいだ。ちょっとテンション上がる。
「お、似合ってる……くくっ」
「笑ってるじゃん」
ルトが押さえきれない笑みを拳で隠してた。
頭の上にはたぶん麦わら帽子がある。首元には手ぬぐい? ウサギの柄が端に刺繍されてて、リリのこだわりを感じるなー。服はオレンジのシャツ。
「可愛い! 似合ってるよ!」
「自分で見れないのが悲しい……!」
「ステータスでアバター映像見れるよ?」
「えっ、そんな機能があったの?」
リリに言われて、ステータス画面を確認。装備欄の端の方に、アバター確認っていう項目があった。
「――おお! 農家天兎、可愛い!」
画面上に映し出されたのは、僕を傍観した感じの映像。ちょこちょこ動いて、くるっと回ったり、跳ねたり、動作が可愛い。そして、農家衣装がベストマッチしてる!
牧歌的な感じでほのぼのするね~。
実際の農作業では使わないけど、クワとか持ってポーズをとりたい。僕の自撮りならいくらでもできるし。
「アバターに衣装映像を被せてるだけだから、動きやすさは大丈夫だよね?」
「うん、これまでと変わらないよー」
ようやく、裸ん坊うさぎから脱却できた!
元々もふもふで可愛いから、これからも衣装なしバージョンでも楽しむけど。
「次はこれ!」
渡されたのを、今度はまごつくことなく着る。
「……うん? これは……」
「釣り師バージョン!」
「サングラスがヤンチャな感じだね?」
「ぶはっ……いいじゃん、めっちゃ大漁旗掲げてそうだぜ」
防水っぽい見た目のジャケット、頭には麦わら帽子とサングラス。
せっかく作ってくれたし、いつか活用しよう。
爆笑してるルトの足をさりげなく踏んでおく。体重が軽いのが残念!
「こっちは錬金術士だよー」
「白衣だ! 研究者って感じでいいね。知的!」
「あー、まぁ、似合ってんじゃね? 面白みはねぇけど」
「面白さは求めてないの!」
シンプルに白衣とモノクルの組み合わせは、気が引き締まる感じがする。カッコいいんじゃないかな。
……これで作るのが、釣り餌なのはちょっといただけないので、ちゃんと錬金術がんばります。
「そしてこれが、コックさん」
「これも白い衣装だけど、襟元に刺繍があっておしゃれだね。コック帽が可愛い」
「モモにはこれが一番必要だろうな」
「僕、料理してばっかりなわけじゃないよ?」
ルトたちには会う度に料理を渡してるから、勘違いされてる気がする。
「釣りもしてるって知ってる」
「料理と釣りだけじゃないからー! 果物収穫のバイトとか、街探索とかもしてるもん」
「バトルは?」
「……してる!」
まだ第二の街周辺のバトルフィールドに出てないけど。街に一番乗りしたけど、バトル以外が楽しくて、ね。
「街歩き用の服も作ったよ」
「なんか紳士の国みたいな感じ? 一気におしゃれになったね。不思議の国の白ウサギっぽさがある……?」
「普通すぎて面白くねぇな」
「面白さは求めてないんだってば!」
ルトの膝のあたりにパンチ。全然痛がってくれなくて悲しい。
「部屋着はもふもふにした!」
「ねこのきぐるみパジャマ……」
「うさぎに猫を着せるって、どうなんだよ」
さすがにルトが苦笑してる。
僕もどんな気持ちで着てればいいのかわかんない。
フード付きのもこもこパーカーには、猫耳がついてる。リリは、うさ耳はご不満ですか?
アイデンティティが失われた気がして、微妙。でも、アバターは悔しいくらい可愛い……!
「にゃーん」
「猫になりきってんじゃねーよ」
「これを着たら、やらねばならぬと思った」
「可愛いよ!」
「ありがとにゃーん」
招き猫のようなポーズをしたら、リリには好評だった。ルトには冷静にツッコミを入れられたけど。
「バトル用は、魔法使い風にしてみたよー」
「とんがり帽子にローブで、ザ・魔法使いだね」
黒紫色のローブを羽織るだけでも、ばっちり魔法使い。シンプルだけどいいねー。首元のボタンが金色と赤色で可愛い。
「とりあえず今はこれだけ」
「十分だよ! ありがとう!」
「そう? でも、作るの楽しかったから、思い浮かんだらまた作るね」
僕以上にリリの方が乗り気っぽい。作ってくれるならありがたく受け取るよ。
おしゃれになって気分一新。
新しいバトルに向けて気合いが入った気がする!
******
◯NEWアイテム
〈アバター衣装〉
それぞれ組み合わせを変更可能。
【農家さんバージョン】
麦わら帽子、オレンジのシャツ、手ぬぐい。
【釣り師バージョン】
麦わら帽子、防水ジャケット、サングラス。
【錬金術士バージョン】
白衣、モノクル。
【コックさんバージョン】
白衣、コック帽。
【街歩きバージョン】
ジャケット、シャツ、スカーフタイ。
【まったりおうちバージョン(白猫)】
猫耳付きもこもこパーカー。
【魔術士バージョン】
とんがり帽子、ローブ。
******
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